[rAAV-Design] – 治療用AAV Vectorの設計 – 考慮事項 – ID12947 [2020/06/24]

AAV

もとの設計図

天然のアデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムは、1本鎖DNA (single stranded DNA; ssDNA)です。両端に遺伝子複製に関わるITRがあり、その間にAAVが複製に必要な構成タンパク質や機能性タンパク質の遺伝子が格納されています。

REP遺伝子とCAP遺伝子は、1本ずつですが、翻訳開始位置をずらして翻訳されタンパク質が作られ、異なる構成タンパク質が作られるという効率的な遺伝子になっています。

AAVは、ウイルスの中でも最も小さいウイルスの1つのParvoviarusであり、そのコンパクトさは遺伝子を使い回す設計にあるようです。

図1. AAV Genome Map
編集履歴
2020/04/08 はりきり(Mr)
2020/06/24 追記(もとの設計図)
追記予定 : Biomarinが開発したF.VIII遺伝子治療AAV5には、FullのF.VIII遺伝子は大きさ的に入らないはずだが、どのような設計を行ったのか調べてみたい。

治療用の設計

治療用の設計では、単に遺伝子をカセットしてしまえば済むものではありません。

効力面では、標的細胞からAAVの血清型を選択することも必要です。

安全性面では、挿入する遺伝子にリスクがないのかもを考慮しなければなりません。

詳細については、今後、取りまとめていきたいと思っています。今、思いつく事は、以下の通りの項目です。

  • 発現量関連
    • プロモーター : 強力
    • エンハンサー
  • 効力関連
    • 組織特異性
      • 血清型
    • 生体内分布
      • 中和抗体にすぐにやられなければ、血流に乗り続けて全身に及ぶことが可能なはず
  • 安全性関連
    • 癌化リスク配列
    • 生殖細胞への感染
      • 生体内分布と関連すると考えられる
    • 染色体への挿入
      • AAVベクターでは、rep/cap遺伝子は、目的plasmidに組み込まれないため、AAVの持つ染色体へのインテグレート機能は基本的に持たないが、相同組換えなどの偶然のケースは考えられる
    • 増殖(rcAAV)
  • 中和抗体対策関連
    • 血清型
    • 変異株
      • Lonzaでは、Ancestor AAV株の提供が可能
    • 自然免疫応答(ssDNA)

AAVのセロタイプの違いや現在の臨床治験、治療応用について解説しますアデノ随伴ウイルス(AAV)とは

コスモ・バイオ株式会社 -より

https://www.cosmobio.co.jp/support/technology/a/adeno-associated-virus-aav-apb.asp
変異修理歴
2020/04/08 Mr.HARIKIRI

アデノ随伴ウイルス(AAV)ベ クターの開発 と 血友 病B遺 伝子治療 への応用、村 松 慎 一
Recombinant Adeno-associated Virus Vectors -Application to Gene Therapy bor Hemophilia B-

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsth1990/9/1/9_1_13/_pdf