はじめに
バイオロジクスの薬効の高さは、その販売価格から伺えます。非常に高価です。バイオロジクスを開発できた医薬品メーカーは、高い利益も望めます。日本におけるバイオロジクスの基盤は脆弱です。基盤を基礎研究とかシーズとかであると捉えてはいけません。
基盤とは、臨床試験のサンプルを製造する役割を担うCMO/CDMOです。CMO/CDMOが臨床試験のサンプルを、特にPhase 3用を作れないのはいけません。
作れないにも理由があります。技術レベルが低い、経験もない、問題が生じた場合の対応できる基礎的知識もない、など色々と思い付きます。日本のCDMOは、世界におけるCMOレベルといっても良いかもしれません。日本のCMOは、世界における研究センターと言っても良いかもしれません。
日本のCMO/CDMOのレベルの向上を願っています。
イノベーションなんてクソ喰らえ
日本のバイオロジクスについて能力レベルはどれくらいだろうか。いまだにイノベーションを標榜することが多く、それを言っておげは誰も文句は出ないことが問題である。今の日本では、その戦略は間違っている。出来もしないことを高らかに標榜して、答えのない目標を設定し何度も失敗を繰り返し無駄なループをしている。そもそもイノベーションは、密かに行うべきだ。誰も知らない内に完成させなければならない。凡人はイノベーションの主人公を求めてはいけない。天才に任せておけばいいのである。今の日本のレベルを上げるのは、イノベーションではなく、むしろ、事業を「やり切れる」能力である。
「イノベーション」と事業を「やり切れる」は、両輪として常に回して行かなければならないが、日本に本当に必要なことは、イノベーションではなく「やり切る」能力である。
前置きが長くなったが、日本の現状は、(1)バイオロジクスの製造委託会社(CDMO)の能力は正直言って低い、(2)バイオロジクス関連の部材は、世界のメーカーが牛耳っていており、日本の容器関連ディスポ製品メーカー、クロマト・レジン関連、などの影は薄い、(3)同様に、バイオロジクス製造に使用される装置も然り、(4)用いられる細胞培養用の培地、試薬も然り、である。この状況は、40年前から変わっていない。国内産は、何一つ無いと言ってもいい。このような状況下で、1つ2つイノベーションを起こしたとしても、「タスキ」渡し事業として成り立たせる受け皿としての「やり切る」能力がないため、日本全体のレベルアップには繋がらず、世界の「やり切っている企業」が恩恵を受けるだけである。イノベーションの受け皿である企業が増えること、その能力の改善を同時に考えていく必要がある、と考える。
米国FDAはバイオロジクスについても連続生産を後押しすると発表しています。クロマト装置やセンサーなどのメーカーも連続生産に対応した製品を発表しています。
今後、世界は、連続生産が当たり前になってくるでしょう。日本はそれに対応できるのでしょうか。そもそも、ベースがまだ世界に追い付いていないのでは無いでしょうか。
日本のバイオロジクスに関わるCMO/CDMOは、数も少なく、そもそもレベルが低くく、この波には乗れないでしょう。国策で何とかできないものでしょうか。
シーズや基礎研究を支援しているだけでは未来はありません。一気通貫でやり切る完成したサプライチェーンの構築が急務だと考えます。その対象は、医薬品の開発の要となる最終段階のCMO/CDMOのレベルアップ、そして実経験による実績作りです(by Mr. Harikir)。
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