[TOP] BIOLOGICS(タンパク医薬品) ID5933

はじめに

バイオロジクスの薬効の高さは、その販売価格から伺えます。非常に高価です。バイオロジクスを開発できた医薬品メーカーは、高い利益も望めます。日本におけるバイオロジクスの基盤は脆弱です。基盤を基礎研究とかシーズとかであると捉えてはいけません。

基盤とは、臨床試験のサンプルを製造する役割を担うCMO/CDMOです。CMO/CDMOが臨床試験のサンプルを、特にPhase 3用を作れないのはいけません。

作れないにも理由があります。技術レベルが低い、経験もない、問題が生じた場合の対応できる基礎的知識もない、など色々と思い付きます。日本のCDMOは、世界におけるCMOレベルといっても良いかもしれません。日本のCMOは、世界における研究センターと言っても良いかもしれません。

日本のCMO/CDMOのレベルの向上を願っています。

イノベーションなんてクソ喰らえ

日本のバイオロジクスについて能力レベルはどれくらいだろうか。いまだにイノベーションを標榜することが多く、それを言っておげは誰も文句は出ないことが問題である。今の日本では、その戦略は間違っている。出来もしないことを高らかに標榜して、答えのない目標を設定し何度も失敗を繰り返し無駄なループをしている。そもそもイノベーションは、密かに行うべきだ。誰も知らない内に完成させなければならない。凡人はイノベーションの主人公を求めてはいけない。天才に任せておけばいいのである。今の日本のレベルを上げるのは、イノベーションではなく、むしろ、事業を「やり切れる」能力である。

「イノベーション」と事業を「やり切れる」は、両輪として常に回して行かなければならないが、日本に本当に必要なことは、イノベーションではなく「やり切る」能力である。

前置きが長くなったが、日本の現状は、(1)バイオロジクスの製造委託会社(CDMO)の能力は正直言って低い、(2)バイオロジクス関連の部材は、世界のメーカーが牛耳っていており、日本の容器関連ディスポ製品メーカー、クロマト・レジン関連、などの影は薄い、(3)同様に、バイオロジクス製造に使用される装置も然り、(4)用いられる細胞培養用の培地、試薬も然り、である。この状況は、40年前から変わっていない。国内産は、何一つ無いと言ってもいい。このような状況下で、1つ2つイノベーションを起こしたとしても、「タスキ」渡し事業として成り立たせる受け皿としての「やり切る」能力がないため、日本全体のレベルアップには繋がらず、世界の「やり切っている企業」が恩恵を受けるだけである。イノベーションの受け皿である企業が増えること、その能力の改善を同時に考えていく必要がある、と考える。

米国FDAはバイオロジクスについても連続生産を後押しすると発表しています。クロマト装置やセンサーなどのメーカーも連続生産に対応した製品を発表しています。

今後、世界は、連続生産が当たり前になってくるでしょう。日本はそれに対応できるのでしょうか。そもそも、ベースがまだ世界に追い付いていないのでは無いでしょうか。

日本のバイオロジクスに関わるCMO/CDMOは、数も少なく、そもそもレベルが低くく、この波には乗れないでしょう。国策で何とかできないものでしょうか。

シーズや基礎研究を支援しているだけでは未来はありません。一気通貫でやり切る完成したサプライチェーンの構築が急務だと考えます。その対象は、医薬品の開発の要となる最終段階のCMO/CDMOのレベルアップ、そして実経験による実績作りです(by Mr. Harikir)。

Biologics最新記事ページ

FAQ

Education

最新

BIOLOGICS

[GMP] OOS/OOTについて、いずれも規格品質試験の結果の態様、対処方法が異なる ID46255

Post Views: 19 先ずは、規格 とは,specificationのことです.OOS/OOTを説明するためには,最初に規格について説明をする必要があります.以下、バイオ医薬品に関して説明を進めます。 規格を検査…
BIOLOGICS

[BIOLOGICS] 「essentical QbD」の進め方からバイオ医薬品におけるプロセス開発(QTPP/ CQA/ CPP/P PA/ IPQA, PC/PPQ batch位置づけも含めて)その方法を学ぶ ID46273

Post Views: 11 世界で初めて バイオ医薬品が承認されたのは1982年,人インスリンは大腸菌培養プロセスで生産されたものである.以後,酵母や動物細胞,昆虫細胞を用いた生産系も現れた.いずれの場合でも,安全性と…
BIOLOGICS

[Bio] 1st QbD Approval for Biologics ID46275

Post Views: 10 2013年 にバイオ医薬品として初めてQbDを用いて求めたDesin SpaceによるBLA承認を取得した. 概要 バイオ医薬品の品質に関するデザインスペースの概念と実践について、ジェネンテ…
BIOLOGICS

[BIO] 医薬品を製造するために使用する原材料の規格はどう決めるか?[2024/01/14] ID45151

Post Views: 14 バイオ医薬品 を含む医薬品全般の話ですが,医薬品の製造に使用する原材料は,その品質を管理する必要があります.管理項目として各種試験項目があり,原材料の製造過程で混入の可能性がある物質に関して…
BIOLOGICS

[Bio-Edu] 遺伝子治療医薬品の開発におけるウイルス・ベクターの製造方法 – VigeneのHandbookをもとに解説 [2020/12/22] ID26228

Post Views: 17 はじめに Vigene Biosciences社が提供しているHandbookから、遺伝子治療医薬品の開発におけるウイルス・ベクター (AAV, Adenovirus, and Lentiv…
BIOLOGICS

[抗体医薬] Regeneron社の抗NGF抗体 fasinumab 開発中止/NGF単独では開発は難しい [2023/12/11] ID44543

Post Views: 36 はじめに 神経成長因子 (nerve growth factor ; NGF)を抗体で抑制することで変形性膝関節症の疼痛治療薬として開発が進められてきたリジェネロン社 (Regeneron)…

Biologics最新記事ページ


更新

BIOLOGICS

[GMP] OOS/OOTについて、いずれも規格品質試験の結果の態様、対処方法が異なる ID46255

Post Views: 19 先ずは、規格 とは,specificationのことです.OOS/OOTを説明するためには,最初に規格について説明をする必要があります.以下、バイオ医薬品に関して説明を進めます。 規格を検査…
BIOLOGICS

[BIOLOGICS] 「essentical QbD」の進め方からバイオ医薬品におけるプロセス開発(QTPP/ CQA/ CPP/P PA/ IPQA, PC/PPQ batch位置づけも含めて)その方法を学ぶ ID46273

Post Views: 11 世界で初めて バイオ医薬品が承認されたのは1982年,人インスリンは大腸菌培養プロセスで生産されたものである.以後,酵母や動物細胞,昆虫細胞を用いた生産系も現れた.いずれの場合でも,安全性と…
BIOLOGICS

[Bio] 1st QbD Approval for Biologics ID46275

Post Views: 10 2013年 にバイオ医薬品として初めてQbDを用いて求めたDesin SpaceによるBLA承認を取得した. 概要 バイオ医薬品の品質に関するデザインスペースの概念と実践について、ジェネンテ…
BIOLOGICS

[BIO] 医薬品を製造するために使用する原材料の規格はどう決めるか?[2024/01/14] ID45151

Post Views: 14 バイオ医薬品 を含む医薬品全般の話ですが,医薬品の製造に使用する原材料は,その品質を管理する必要があります.管理項目として各種試験項目があり,原材料の製造過程で混入の可能性がある物質に関して…
BIOLOGICS

[Bio-Edu] 遺伝子治療医薬品の開発におけるウイルス・ベクターの製造方法 – VigeneのHandbookをもとに解説 [2020/12/22] ID26228

Post Views: 17 はじめに Vigene Biosciences社が提供しているHandbookから、遺伝子治療医薬品の開発におけるウイルス・ベクター (AAV, Adenovirus, and Lentiv…
BIOLOGICS

[抗体医薬] Regeneron社の抗NGF抗体 fasinumab 開発中止/NGF単独では開発は難しい [2023/12/11] ID44543

Post Views: 36 はじめに 神経成長因子 (nerve growth factor ; NGF)を抗体で抑制することで変形性膝関節症の疼痛治療薬として開発が進められてきたリジェネロン社 (Regeneron)…

Biologics更新記事ページ

編集履歴
2020/02/20 AAV関連記事を統合
2020/04/14 2カラム化
2020/10/07 1カラム化