iPS細胞などの再生医療等製品にもGQP体制は必要か?GMP・GCTP・GQP・GVP・GPSPの違いを整理する[2026/06/03]

はじめに

目次

  1. はじめに
  2. この記事の結論
  3. 再生医療等製品とは何か
  4. GMPとGCTPの関係
  5. GCTP省令とは何か(2ページ)
  6. GCTP適合性調査とは何か(2ページ)
  7. GQP省令とは何か(2ページ)
  8. GMP・GCTP・GQPの違い(2ページ)
  9. 製造販売業者と製造業者を分けて考えることが重要(2ページ)
  10. 市場出荷判定はGQP側の重要業務(3ページ)
  11. 品質取決めと委託先管理も重要(3ページ)
  12. GVPとの連携も必要(3ページ)
  13. GPSP・使用成績評価も関係する(3ページ)
  14. 条件及び期限付承認後に注意すべきこと(3ページ)
  15. 実務上の体制イメージ(3ページ)
  16. まとめ(4ページ)
  17. 注意点・例外(4ページ)
  18. 参考文献・出典(4ページ)
  19. 用語集(4ページ)
  20. 参考文献・出典(5ページ)
  21. 日本・米国・EUにおける再生医療等製品関連GxPの比較表(5ページ)
  22. 製造管理・品質管理GxPの比較(5ページ)
  23. GQP相当の品質保証体制の比較(6ページ)
  24. 市販後安全管理・市販後調査の比較(6ページ)
  25. 早期承認・条件付き制度の比較(6ページ)
  26. 日本・米国・EUの違いを一言で整理(6ページ)
  27. 注意点・例外(6ページ)
  28. 参考文献・出典(7ページ)

iPS細胞由来製品、体性幹細胞加工製品、免疫細胞加工製品、遺伝子治療用製品などは、薬機法上の「再生医療等製品」として扱われます。

再生医療等製品では、製造所における製造管理・品質管理について、医薬品GMP省令ではなく、GCTP省令が適用されます。

ここで誤解しやすいのが、GMPとGCTPの関係です。

再生医療等製品では、制度上、「GMPにGCTPを加味する」というよりも、再生医療等製品の製造管理・品質管理基準としてGCTP省令に基づく体制を構築すると表現する方が正確です。

ただし、GCTPはGMPと無関係ではありません。GCTPには、製造管理、品質管理、文書・記録管理、逸脱管理、変更管理、教育訓練、自己点検、バリデーション、品質リスクマネジメントなど、GMPと共通する品質システムの考え方が多く含まれています。

そのため、実務上は、GMP的な品質保証の考え方を踏まえながら、再生医療等製品の特性を反映したGCTP体制を整備すると理解するとよいでしょう。

さらに重要なのは、GCTPが適用されるからといって、製造販売業者のGQP体制が不要になるわけではないという点です。

結論として、再生医療等製品でも、製造販売業者にはGQP省令に基づく品質管理体制が必要です。

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この記事の結論

再生医療等製品の品質・安全性管理は、次のように整理すると理解しやすくなります。

領域主な対象適用される基準
医薬品・医薬部外品の製造所における製造管理・品質管理医薬品等の製造業者、製造所GMP省令
再生医療等製品の製造所における製造管理・品質管理再生医療等製品の製造業者、外国製造業者、製造所GCTP省令
製造販売業者の品質管理・品質保証製造販売業者GQP省令
製造販売後安全管理製造販売業者GVP省令
製造販売後調査・使用成績調査等製造販売業者再生医療等製品GPSP省令

GMPとGCTPは、どちらも製造所側の製造管理・品質管理基準ですが、対象となる製品区分が異なります。

医薬品ではGMP省令、再生医療等製品ではGCTP省令が対応する基準になります。

一方、GQPは製造販売業者の品質管理基準、GVPは製造販売後安全管理、GPSPは製造販売後調査・使用成績評価に関係する基準です。

つまり、GCTPは製造所側の基準、GQPは製造販売業者側の基準であり、両者は代替関係ではありません。

再生医療等製品とは何か

再生医療等製品は、薬機法上、医薬品や医療機器とは別に位置づけられた製品区分です。

代表的には、以下のようなものが含まれます。

分類
細胞加工製品iPS細胞由来製品、体性幹細胞加工製品、免疫細胞加工製品など
組織加工製品培養表皮、培養軟骨など
遺伝子治療用製品ウイルスベクター製品、遺伝子導入細胞製品など

注意が必要なのは、薬機法上の「再生医療等製品」と、再生医療等安全性確保法に基づいて医療機関で実施される「再生医療」は、制度上の位置づけが異なるという点です。

本記事で扱うのは、薬機法上の再生医療等製品を製造販売する場合のGMP・GCTP・GQP・GVP・GPSPの整理です。

GMPとGCTPの関係

医薬品では、製造所における製造管理・品質管理についてGMP省令が適用されます。

一方、再生医療等製品では、製造所における製造管理・品質管理についてGCTP省令が適用されます。

したがって、再生医療等製品については、制度上、GMP省令を基本にしてGCTPを上乗せするという構造ではありません。

製造所管理の主たる基準としては、再生医療等製品の特性に応じたGCTP省令が適用されます。

製品区分製造所の製造管理・品質管理基準実務上の理解
医薬品・医薬部外品GMP省令医薬品等の製造管理・品質管理基準
医療機器・体外診断用医薬品QMS省令医療機器等の品質マネジメント基準
再生医療等製品GCTP省令再生医療等製品の特性を踏まえた製造管理・品質管理基準

ただし、GCTPはGMPと共通する考え方を多く持っています。

たとえば、次のような考え方は、GMPとGCTPの双方で重要です。

共通する品質システムの考え方内容
製造管理手順に従って一貫した製造を行う
品質管理試験検査、規格適合性、記録確認を行う
文書・記録管理手順書、製造記録、試験記録を管理する
逸脱管理手順や規格からの逸脱を評価し、是正する
変更管理工程、設備、原材料、試験法等の変更影響を評価する
教育訓練職員に必要な教育訓練を行う
自己点検体制や運用状況を定期的に確認する
バリデーション工程や方法が期待どおり機能することを確認する
品質リスクマネジメント品質リスクを評価し、適切に管理する

このため、実務上は、GMPの経験や品質保証の考え方を活かしながら、再生医療等製品に特有の管理項目をGCTP体制として組み込むことになります。

言い換えると、再生医療等製品で必要なのは、**「GMPにGCTPを加味した体制」ではなく、「GMP的な品質システムの考え方を踏まえたGCTP体制」**です。

この違いは細かいようですが、制度理解としては重要です。

「GMPにGCTPを加味する」と表現すると、GMPが主でGCTPが補足であるように読めます。しかし、再生医療等製品の製造所管理では、主たる基準はGCTP省令です。

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