PIC/S GMP, Annex?
目次
PIC/S GMPとは、PIC/S(Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme:医薬品査察協同スキーム)が発行している、医薬品のGMP査察・製造管理・品質管理の国際的な調和を目的としたGMPガイドです。正式には PIC/S Guide to Good Manufacturing Practice for Medicinal Products、文書番号では PE 009 と呼ばれます。
**Annex(アネックス)**とは、PIC/S GMP本体に付属する「特定分野・特定製品・特定技術に関する追加要件・補足要件」です。日本語では「附属書」「別添」と理解すると分かりやすいです。
現行のPIC/S GMP Guideとして PE 009-17 が掲載されており、構成は少なくとも以下に分かれています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| Introduction | PIC/S GMP Guide全体の導入 |
| Part I | 医薬品、主に製剤のGMP基本要件 |
| Part II | 原薬、APIのGMP要件。ICH Q7に相当 |
| Annexes | 無菌医薬品、バイオ医薬品、コンピュータ化システム等の個別・補足要件 |
PIC/S公式サイトのPublicationページには、PIC/S GMP Guide PE 009-17 Introduction / Part I / Part II / Annexes が個別文書として掲載されています。
Part Iの目次を見ると、Chapter 1「Pharmaceutical Quality System」、Chapter 2「Personnel」、Chapter 3「Premises and equipment」、Chapter 4「Documentation」、Chapter 5「Production」、Chapter 6「Quality Control」、Chapter 7「Outsourced Activities」、Chapter 8「Complaints and Product Recall」、Chapter 9「Self Inspection」など、GMPの基本章で構成されています。
また、PIC/S公式サイトは、EU GMP GuideとPIC/S GMP GuideはGMP要求事項の面で同等であり、並行して発展してきたと説明しています。
【Annexとは何か】
Annexは、GMP本体の一般要件だけでは十分に説明できない領域について、より具体的な要求事項を示す補足文書です。
代表例は以下です。
| Annex | 主な対象 |
|---|---|
| Annex 1 | 無菌医薬品の製造 |
| Annex 2A | ヒト用ATMP、先端治療医薬品 |
| Annex 2B | 生物由来原薬・バイオ医薬品 |
| Annex 11 | コンピュータ化システム |
| Annex 15 | 適格性評価・バリデーション |
| Annex 16 | Qualified Personとバッチ認証・出荷判定 |
| Annex 19 | 参考品・保存サンプル |
| Annex 20 | 品質リスクマネジメント |
たとえば、通常の固形製剤であればPart Iの基本章が中心になりますが、無菌注射剤であれば Part I + Annex 1 が重要になります。
バイオ医薬品であれば Part I + Part II + Annex 2B などを組み合わせて読む必要があります。
【GMP本体とAnnexの関係】
イメージとしては、以下の関係です。
| 階層 | 役割 |
|---|---|
| GMP本体 Part I | 医薬品製造全般に共通する基本要求 |
| GMP本体 Part II | 原薬/APIに関する要求 |
| Annex | 無菌、バイオ、バリデーション、コンピュータ化システムなどの個別要求 |
| 各国法令・通知 | 日本ではGMP省令、施行通知、事務連絡等 |
つまり、Annexは「本体とは別物」ではなく、PIC/S GMPを実務に適用する際の一部です。製品・工程・設備・システムに該当するAnnexがあれば、それを本体と併せて考慮します。
【日本での位置づけ】
日本では、法的拘束力を直接持つのは GMP省令、薬機法、関連通知等です。PIC/S GMP Guide自体は日本の省令そのものではありません。ただし、日本はPIC/Sに加盟しており、厚生労働省・PMDAはPIC/S GMP Guideを活用する考え方を示しています。
PMDAのGMP適合性調査ページにも、PIC/S-GMPガイドラインに関する事務連絡等が掲載されています。
厚生労働省は、PIC/Sについて、各国のGMPとGMP適合性調査方法の国際整合を図る団体と説明しています。
したがって日本の実務では、GMP省令・施行通知を法令上の基準としつつ、PIC/S GMP GuideおよびAnnexを国際整合・査察対応・品質システム構築の重要な参照基準として使う
という理解が適切です。
【注意点・例外】
PIC/S GMP Guideは改訂されます。Annex 1、Annex 11、Annex 15などは実務影響が大きいため、最新版確認が重要です。
また、PIC/S GMPとEU GMPは非常に近い体系ですが、完全に同一とまでは言い切れません。特にEU固有の制度、Qualified Person、販売承認制度、EU法令との接続部分は注意が必要です。
日本での法的適用や査察対応では、PIC/S GMPだけで判断せず、GMP省令、施行通知、事務連絡、PMDA・都道府県の運用も確認する必要があります。重要な出荷判定、査察対応、承認申請、品質システム設計では専門家に確認が必要です。
【出典】
- PIC/S Publications – PIC/S GMP Guide PE 009-17
- PIC/S GMP Guide Part I PE 009-17
- PMDA GMP適合性調査業務
- 厚生労働省:PIC/S加盟について
【確実性: 高】
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