PIC/S GMPとは,Annexとは [2026/06/03]

PIC/S GMP, Annex?

目次

  1. PIC/S GMP, Annex?
  2. 【日本での位置づけ】
  3. 日米欧の比較(2ページ)
  4. 【日米欧とPIC/Sの関係】(2ページ)

PIC/S GMPとは、PIC/S(Pharmaceutical Inspection Co-operation Scheme:医薬品査察協同スキーム)が発行している、医薬品のGMP査察・製造管理・品質管理の国際的な調和を目的としたGMPガイドです。正式には PIC/S Guide to Good Manufacturing Practice for Medicinal Products、文書番号では PE 009 と呼ばれます。

**Annex(アネックス)**とは、PIC/S GMP本体に付属する「特定分野・特定製品・特定技術に関する追加要件・補足要件」です。日本語では「附属書」「別添」と理解すると分かりやすいです。


現行のPIC/S GMP Guideとして PE 009-17 が掲載されており、構成は少なくとも以下に分かれています。

区分内容
IntroductionPIC/S GMP Guide全体の導入
Part I医薬品、主に製剤のGMP基本要件
Part II原薬、APIのGMP要件。ICH Q7に相当
Annexes無菌医薬品、バイオ医薬品、コンピュータ化システム等の個別・補足要件

PIC/S公式サイトのPublicationページには、PIC/S GMP Guide PE 009-17 Introduction / Part I / Part II / Annexes が個別文書として掲載されています。

Part Iの目次を見ると、Chapter 1「Pharmaceutical Quality System」、Chapter 2「Personnel」、Chapter 3「Premises and equipment」、Chapter 4「Documentation」、Chapter 5「Production」、Chapter 6「Quality Control」、Chapter 7「Outsourced Activities」、Chapter 8「Complaints and Product Recall」、Chapter 9「Self Inspection」など、GMPの基本章で構成されています。

また、PIC/S公式サイトは、EU GMP GuideとPIC/S GMP GuideはGMP要求事項の面で同等であり、並行して発展してきたと説明しています。


【Annexとは何か】

Annexは、GMP本体の一般要件だけでは十分に説明できない領域について、より具体的な要求事項を示す補足文書です。

代表例は以下です。

Annex主な対象
Annex 1無菌医薬品の製造
Annex 2Aヒト用ATMP、先端治療医薬品
Annex 2B生物由来原薬・バイオ医薬品
Annex 11コンピュータ化システム
Annex 15適格性評価・バリデーション
Annex 16Qualified Personとバッチ認証・出荷判定
Annex 19参考品・保存サンプル
Annex 20品質リスクマネジメント

たとえば、通常の固形製剤であればPart Iの基本章が中心になりますが、無菌注射剤であれば Part I + Annex 1 が重要になります。

バイオ医薬品であれば Part I + Part II + Annex 2B などを組み合わせて読む必要があります。


【GMP本体とAnnexの関係】

イメージとしては、以下の関係です。

階層役割
GMP本体 Part I医薬品製造全般に共通する基本要求
GMP本体 Part II原薬/APIに関する要求
Annex無菌、バイオ、バリデーション、コンピュータ化システムなどの個別要求
各国法令・通知日本ではGMP省令、施行通知、事務連絡等

つまり、Annexは「本体とは別物」ではなく、PIC/S GMPを実務に適用する際の一部です。製品・工程・設備・システムに該当するAnnexがあれば、それを本体と併せて考慮します。


【日本での位置づけ】

日本では、法的拘束力を直接持つのは GMP省令、薬機法、関連通知等です。PIC/S GMP Guide自体は日本の省令そのものではありません。ただし、日本はPIC/Sに加盟しており、厚生労働省・PMDAはPIC/S GMP Guideを活用する考え方を示しています。

PMDAのGMP適合性調査ページにも、PIC/S-GMPガイドラインに関する事務連絡等が掲載されています。

厚生労働省は、PIC/Sについて、各国のGMPとGMP適合性調査方法の国際整合を図る団体と説明しています。

したがって日本の実務では、GMP省令・施行通知を法令上の基準としつつ、PIC/S GMP GuideおよびAnnexを国際整合・査察対応・品質システム構築の重要な参照基準として使う
という理解が適切です。


【注意点・例外】

PIC/S GMP Guideは改訂されます。Annex 1、Annex 11、Annex 15などは実務影響が大きいため、最新版確認が重要です。

また、PIC/S GMPとEU GMPは非常に近い体系ですが、完全に同一とまでは言い切れません。特にEU固有の制度、Qualified Person、販売承認制度、EU法令との接続部分は注意が必要です。

日本での法的適用や査察対応では、PIC/S GMPだけで判断せず、GMP省令、施行通知、事務連絡、PMDA・都道府県の運用も確認する必要があります。重要な出荷判定、査察対応、承認申請、品質システム設計では専門家に確認が必要です。


【出典】

【確実性: 高】

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