市場出荷判定はGQP側の重要業務
GCTPでは、製造所における製造管理・品質管理が中心になります。
しかし、最終的に製品を市場に出荷してよいかを判断するには、製造販売業者としての確認が必要です。
市場出荷判定では、たとえば次のような情報を確認する必要があります。
| 確認項目 | 例 |
|---|---|
| 製造記録 | 指図通りに製造されたか |
| 試験結果 | 規格に適合しているか |
| 逸脱 | 品質に影響する逸脱がないか |
| 変更 | 承認内容や品質に影響する変更がないか |
| 保管条件 | 温度、時間、凍結条件などが守られているか |
| 輸送条件 | 輸送中の温度逸脱、時間逸脱がないか |
| 使用期限 | 出荷時点で使用可能期間が適切に残っているか |
| 無菌性・微生物管理 | 無菌試験、環境モニタリング等の結果に問題がないか |
再生医療等製品では、細胞生存率、細胞数、同一性、純度、力価、無菌性、エンドトキシン、マイコプラズマ、凍結・解凍条件などが品質判断に影響することがあります。
そのため、市場出荷判定は、GCTPとGQPをつなぐ非常に重要な実務ポイントです。
品質取決めと委託先管理も重要
再生医療等製品では、製造工程、試験、保管、輸送、原材料供給などを外部に委託する場合があります。
この場合、製造販売業者は、委託先を選ぶだけでは不十分です。
品質取決めを結び、責任範囲を明確にしておく必要があります。
品質取決めでは、少なくとも次のような事項を整理することが重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 責任範囲 | 製造、試験、保管、輸送、記録、報告の責任 |
| 変更連絡 | 工程、設備、原材料、試験法、委託先変更時の連絡 |
| 逸脱報告 | 品質に影響する逸脱が発生した場合の報告 |
| 品質情報 | 苦情、品質不良、異常傾向の共有 |
| 回収対応 | 回収判断、連絡体制、記録保管 |
| 監査 | 製造販売業者による委託先確認 |
| 記録保存 | 製造記録、試験記録、輸送記録等の保存 |
| トレーサビリティ | 原材料、細胞、ドナー、ロット、患者との紐づけ |
特に再生医療等製品では、原材料、細胞、ベクター、培地、サイトカイン、血清、容器、凍結保存条件、輸送条件などが品質に大きく影響する可能性があります。
したがって、品質取決めと委託先管理は、GQP上の重要な論点です。
GVPとの連携も必要
再生医療等製品では、品質管理だけでなく、製造販売後安全管理も重要です。
GVPは、製造販売後安全管理の基準です。
再生医療等製品では、有害事象、安全性情報、感染症リスク、免疫反応、腫瘍形成リスク、長期フォローアップなどが重要になる場合があります。
品質問題が安全性問題に発展することもあります。たとえば、無菌性、細胞生存率、力価、異物、輸送温度逸脱などの品質問題が、患者への安全性に影響する可能性があります。
そのため、GQP部門とGVP部門は、別の機能として整理しながらも、実務上は密接に連携する必要があります。
| 情報の種類 | 主な管理部門 | 連携が必要な理由 |
|---|---|---|
| 品質苦情 | GQP | 安全性に影響する可能性がある |
| 有害事象 | GVP | 品質不良が原因の可能性がある |
| 回収判断 | GQP/GVP | 品質・安全性の両面から判断が必要 |
| 添付文書改訂 | GVP中心 | 品質情報が安全対策に影響する場合がある |
| 製造工程変更 | GQP中心 | 安全性・有効性への影響評価が必要 |
GPSP・使用成績評価も関係する
再生医療等製品では、製造販売後調査や使用成績評価も重要です。
特に、条件及び期限付承認制度を利用する再生医療等製品では、承認後に有効性・安全性に関するデータを収集し、通常承認や再審査に向けて評価することが必要になります。
製造販売後には、使用成績調査、製造販売後データベース調査、製造販売後臨床試験などが関係する場合があります。
したがって、再生医療等製品では、承認取得時点だけでなく、承認後のデータ収集、品質情報、安全性情報、使用成績評価まで含めたライフサイクル管理が重要になります。
条件及び期限付承認後に注意すべきこと
再生医療等製品では、条件及び期限付承認が認められる場合があります。
この制度では、承認時点で一定の有効性が推定され、安全性が確認されていることを前提に、承認後に追加データを収集して評価を行うことになります。
そのため、製造販売業者は、承認後も次のような点を管理する必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 有効性データ | 実臨床で期待される効果が得られているか |
| 安全性データ | 重篤な有害事象、遅発性リスク、長期安全性 |
| 品質の持続性 | 承認時と同等の品質が維持されているか |
| 製造工程変更 | 変更が品質・有効性・安全性に影響しないか |
| 使用成績評価 | 承認条件に基づく調査・評価 |
| 再審査・通常承認 | 次の承認段階に向けた資料整備 |
特に細胞加工製品では、製品の不均質性、ドナー差、製造工程のばらつき、スケール変更、原材料変更などが品質に影響しやすいため、変更管理と同等性・同質性評価が重要です。
実務上の体制イメージ
再生医療等製品の製造販売業者では、少なくとも次のような体制整理が必要になります。
| 役割 | 主な責任 |
|---|---|
| 総括製造販売責任者 | 品質管理業務・安全管理業務を含む製造販売業者全体の統括 |
| 品質保証責任者 / 品質保証部門 | GQP業務、市場出荷、製造業者等の管理、品質情報、回収対応 |
| 安全管理責任者 / 安全管理部門 | GVP業務、安全性情報の収集・評価、安全確保措置 |
| 製造所の製造管理者・品質部門 | GCTPに基づく製造所内の製造管理・品質管理 |
| 製造販売後調査担当 | GPSPに基づく調査、使用成績評価、承認条件評価 |
| 薬事担当 | 承認申請、一変申請、軽微変更届、PMDA相談等 |
| 委託先管理担当 | 製造委託、試験委託、保管・輸送委託の管理 |
重要なのは、製造所の品質部門と、製造販売業者の品質保証部門を同一視しないことです。
製造所はGCTPに基づいて製造管理・品質管理を行います。一方、製造販売業者はGQPに基づいて、製造所を管理監督し、出荷可否を判断し、市場で発生した品質問題にも対応します。
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