FSMAとは何か:医薬品GMP経験者にもわかる米国食品安全強化法の基本と注意点

Supply-chain Programと供給者管理

FSMAでは、サプライチェーン管理も重要です。

特に米国向けに食品や食品原料を輸出する場合、FSVP、すなわちForeign Supplier Verification Programsが関係する可能性があります。

FSVPでは、米国の輸入者が、外国供給業者から輸入する食品が米国の安全基準に適合する形で製造されていることを検証するため、リスクに基づく活動を行うことが求められます。

日本企業にとって重要なのは、FSVPの直接義務者が米国輸入者であっても、日本側の製造業者に対して、文書提出、監査対応、記録提示、工程説明、食品安全計画の説明などが求められる可能性があることです。

JETROも、FSMAは米国内に流通する輸入食品にも適用されるため、米国向けに輸出する日本の食品関連事業者にも対応が求められると説明しています。


HACCP認証を取得すればFSMA対応になるのか

FSMAは、HACCPの考え方に近い部分を含みます。

しかし、HACCP認証を取得していることだけでFSMA対応が完了するわけではありません。

FSMAでは、対象施設や対象製品に応じて、食品安全計画、危害分析、予防管理、モニタリング、是正措置、検証、記録、サプライチェーン管理などを整備する必要があります。

JETROのFSMA関連Q&Aでも、HACCP認証やISO22000などの認証取得が直ちにFSMA対応そのものになるわけではなく、PCHF規則の要件を満たしているかどうかが問われる趣旨の説明がされています。

そのため、ブログでは次のように説明するのが安全です。

HACCPやISO22000、FSSC 22000などの食品安全マネジメントシステムはFSMA理解の助けになるが、それだけでFSMA対応が自動的に完了するわけではない。最終的には、FSMAの対象規則に照らして、食品安全計画や記録、予防管理、検証活動が要求を満たしているかを確認する必要がある。


日本企業がFSMA対応で確認すべき事項

米国向けに食品や食品原料を輸出する日本企業は、少なくとも次の点を確認する必要があります。

確認項目内容
対象製品食品、食品原料、健康食品、サプリメント、機能性素材などに該当するか
FDA施設登録対象施設がFDA登録を必要とするか
21 CFR Part 117Human Foodの予防管理規則の対象か
Food Safety Plan食品安全計画が必要か
Hazard Analysis危害分析が実施されているか
Preventive Controls予防管理が設定されているか
Monitoring管理状態を継続的に監視しているか
Corrective Actions問題発生時の是正手順があるか
Verification管理が有効であることを検証しているか
Records必要な記録を保持しているか
FSVP米国輸入者から検証資料を求められる可能性があるか

特に、日本側では「米国輸入者の義務だから自社には関係ない」と考えてしまうことがあります。

しかし実務上は、米国輸入者がFSVP対応を行うために、日本側の製造業者へ情報提供を求める可能性があります。


医薬品GMP経験者がFSMAを理解するためのポイント

医薬品GMP経験者がFSMAを理解する場合、次のように整理すると誤解が少なくなります。

FSMAは、食品版の予防型品質システムに近い面があります。

しかし、医薬品GMPと同じ制度ではありません。

FSMAでは、食品安全上の危害を分析し、危害を予防または低減する管理を設定し、その実施状況を記録し、検証することが中心です。

医薬品GMPでは、製品品質、有効性、安全性、患者保護を目的として、PQS、品質リスクマネジメント、バリデーション、逸脱管理、CAPA、変更管理、供給者管理、記録管理などを体系的に運用します。

両者は似ていますが、食品安全と医薬品品質という目的の違いを常に意識する必要があります。


誤解しやすい表現と修正版

避けるべき表現修正版
FSMAは食品版の医薬品GMPであるFSMAは食品安全における予防型管理制度であり、医薬品GMPと似た考え方を含むが、同じ制度ではない
Food Safety Planは医薬品GMPの品質計画に相当するFood Safety PlanはFSMA固有の食品安全文書体系であり、医薬品GMPに1対1で対応する単一文書はない
Preventive ControlsはControl StrategyであるPreventive ControlsはControl Strategyの一部に近い考え方として理解できるが、同義ではない
Corrective ActionsはCAPAであるCorrective Actionsは逸脱対応やCAPAの一部に近いが、CAPAと同義ではない
HACCP認証があればFSMA対応済みであるHACCP等は参考になるが、FSMAの対象規則に基づく要求事項を個別に確認する必要がある

人気順

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA