[Bio-Edu] Bio Safety Levelとは – 遺伝子組換え実験と輸送など – カルタヘナ法に関わる – ID144 [2025/04/14]

Bio safety

はじめに

バイオセーフティレベル(BSL)は、微生物・遺伝子組換え体などの生物学的材料を取り扱う際の封じ込め対策のレベルで、病原性・感染性などの危険度に応じてBSL-1からBSL-4までに分類されます。BSL-1はリスクが最も低く、BSL-4はエボラウイルス等の高リスク病原体に対応します。

輸送規制では、感染性物質や遺伝子組換え体は国際的にはUN分類(UN 2814、UN 2900など)に基づき梱包・ラベル表示・文書提出が義務付けられ、IATA(航空)やIMDG(海上)の規則が適用されます。

カルタヘナ法(正式には「遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する法律」)は、日本国内で遺伝子組換え生物の使用・輸送・拡散を防ぐ枠組みであり、生物多様性の保全を目的とする国際カルタヘナ議定書に基づき、組換え体の輸送時にも届け出や封じ込め対策が求められます

日米欧では共通の国際指針(WHO、NIH、OECD等)に準拠しつつも、日本はカルタヘナ法を独自に強く適用し、米国はNIHガイドラインに基づく施設内封じ込め管理が中心欧州はEU指令2009/41/ECに基づく環境・労働安全衛生との統合管理が特徴です。規制の適用範囲や申請制度には差異があるため、越境研究や輸送には慎重な法令確認が必要です。


BSLついての概説

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ChatGPT: よい質問です。「BSL(Biosafety Level)」という概念や分類そのものは、日米欧すべてで共通して存在しますが、呼び方や制度的な運用には若干の違いがあります。


✅【共通点】

  • BSL-1〜BSL-4 の4段階は、WHO(世界保健機関)やNIH(米国国立衛生研究所)ガイドラインなどに基づいて国際的に共通した分類体系です。
  • **封じ込め対策(containment measures)**の強化度合いを示す指標であり、病原性や感染経路に応じて分類されます。

🌎【呼称と制度の違い】

地域呼称根拠法・ガイドライン備考
日本BSL(バイオセーフティレベル)感染症法、労働安全衛生法、カルタヘナ法など一部文献では**封じ込め区分(P1〜P4)**も併記される
米国BSL(Biosafety Level)NIH「Biosafety in Microbiological and Biomedical Laboratories(BMBL)」が標準研究機関のバイオセーフティ運用の基盤
欧州通常は「Containment Level(CL)1〜4EU指令 2000/54/EC(労働者の感染防止)や2009/41/EC(GMO使用)英国などではBSLも通用するが、CL表記が公式文書では一般的

📌補足

  • 欧州では「物理的封じ込め(physical containment)」や「GMO分類(Class 1〜4)」という表現も併用され、BSLとは異なる文脈で使われることがあります。
  • 日本では「BSL施設」という表現が文部科学省・厚生労働省等の公的資料でも広く使われており、国際的呼称と整合性があります

つまり、BSLという分類自体は国際的な共通言語ですが、欧州では「Containment Level(CL)」と表現されることが多いというのがポイントです。呼称の違いを意識しながらも、リスク分類としての枠組みは共有されていると理解して問題ありません。


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ChatGPT: 以下に、「Bio Safety Level(バイオセーフティレベル:BSL)」について、特に遺伝子組換え実験や輸送、そしてカルタヘナ法との関係を踏まえた包括的な解説を行います。


【1】Bio Safety Level(BSL)とは?

**Bio Safety Level(BSL)**は、病原体・微生物・遺伝子組換え生物等の取扱いにおける安全対策の段階を示す国際的な基準です。

BSLレベルリスク分類主な対象例必要な封じ込め対策
BSL-1最も低い無害な細菌(大腸菌 K12株など)一般的な実験室対策
BSL-2中程度AAV、インフルエンザウイルス、遺伝子組換えウイルスベクターなどバイオハザードサイン、オートクレーブ、手袋・バイオハザードキャビネット
BSL-3高度結核菌、SARS-CoV-2など封じ込め実験室、陰圧管理、HEPAフィルター排気、アクセス制限
BSL-4最高エボラウイルス、マールブルグウイルスなど完全封鎖空間、宇宙服型防護服、二重陰圧構造など

病原性、感染経路、感染後の治療法の有無などに応じて分類されます。


【2】BSLと遺伝子組換え実験の関係

遺伝子組換え実験では、取り扱うベクター(例:プラスミド、ウイルス)や挿入遺伝子、宿主細胞の組み合わせによって、**リスク区分(P1〜P3)が決定され、それに応じて必要なバイオセーフティ対策(BSL-1〜3)**が要求されます。

例:

  • 大腸菌K12株 + 抗生物質耐性遺伝子 → P1レベル / BSL-1
  • レトロウイルスベクター(複製不能) + ヒト細胞 → P2レベル / BSL-2
  • レプリコン型ウイルス(複製能力あり) → P3レベル / BSL-3

🧷 Pレベル(P1〜P3)は日本の**遺伝子組換え指針(文科省/環境省)**に基づく概念で、BSLとの対応関係があります。


【3】BSLと輸送の関係(感染性物質の輸送規制)

輸送時にも、BSLのレベルに応じた対応が求められます。

分類輸送区分(UN分類)対応
非感染性試料遺伝子組換えDNAを含む抽出液UN 3373に該当しない通常の梱包
感染性物質(ヒト)血液、体液などUN 33733層包装、バイオハザード表示が必要
高リスク感染性物質SARS-CoV-2、エボラなどUN 2814国際航空輸送協会(IATA)規則に基づく特別梱包

遺伝子組換えウイルスやベクターも、複製性や感染性に応じてUN分類が必要となります。

輸送区分(UN分類)・・・

Q: 輸送区分(UN分類)とは

ChatGPT:

輸送区分(UN分類:UN number classification)」とは、危険物の国際的な輸送安全を確保するために、国連(UN:United Nations)が定めた分類システムのことです。

これは、感染性物質や化学物質、放射性物質などを輸送する際の危険性に応じた分類番号(UN番号)と、その輸送方法に関する規制を定めるもので、**航空(IATA)、陸運(ADR)、海運(IMDG)**などの国際規則に準拠しています。


🔷 UN分類の目的

  • 輸送時の事故・漏洩・拡散リスクを最小化
  • 梱包・表示・通関・輸送方法の標準化
  • 感染症や有害物質の越境拡散を防止(バイオセーフティにも重要)

📦 主な感染性物質に関するUN分類

UN番号名称主な対象物分類
UN 2814感染性物質(ヒトに病原性あり)エボラ、炭疽菌、SARS-CoV-2などクラス6.2:Category A(高リスク)
UN 2900感染性物質(動物に病原性)牛疫ウイルス、鳥インフルなどクラス6.2:Category A
UN 3373生物学的物質(ヒト検体)血液、体液、喀痰などクラス6.2:Category B(中リスク)
UN 3245遺伝子組換え微生物(GMM)組換えウイルス、ベクターなどクラス9:その他の危険物質
UN 1845ドライアイス(冷却材)冷却に使用クラス9:非感染性だが輸送規制あり

📌 UN分類が必要になるケース

事例対象物分類の例
医療研究機関が血液を海外へ送るヒト検体UN 3373
バイオ医薬品の治験用ウイルスベクターを輸送AAV、レトロウイルス(複製性あり)UN 3245 または UN 2814(構造次第)
RNAウイルスベクター(複製不能)遺伝子治療用ベクターUN 3245(通常)

🚚 輸送におけるUN分類の対応義務

区分必要対応
分類判定対象物の感染性、組換え性、複製性により判定
輸送ラベルUN番号を明記した標識・ラベルの貼付が義務
包装要件三層包装・吸収材・耐圧性能等(IATA PI650など)
輸送文書シッパーズ・デクラレーション(輸送申告書)
教育訓練国際輸送を行う者はIATA認定の危険物取扱訓練修了が必要(2年ごと更新)

✅ UN分類と遺伝子組換え物質の関係

  • カルタヘナ法による国内管理と並行して、UN分類による国際輸送管理が必須です。
  • 特にAAV、レトロウイルスベクター、CRISPR編集ツールなどは、分類の判定が重要
    • 複製不能・感染性なし → UN 3245
    • 感染性・複製性あり → UN 2814

🧾 参考となるガイドライン

  • ICAO/IATA「Dangerous Goods Regulations」
  • WHO「Guidance on Regulations for the Transport of Infectious Substances」
  • 経産省「バイオ関連物質等の輸出・輸送に関する手引き」
  • 厚生労働省・環境省「感染性物質の輸送に関する指針」

📘 まとめ

観点内容
UN分類とは国際輸送における危険物の分類・管理制度
感染性物質対象UN2814(高リスク)、UN3373(中リスク)、UN3245(組換え微生物)など
実務での意義ラベル表示、三層包装、通関、訓練が必要
遺伝子組換え関連ベクター、細胞、検体すべてが輸送規制対象になる可能性あり

必要であれば、各UN分類に応じた梱包例(図付き)や、輸送文書テンプレートなども提供可能です。お気軽にお申し付けください。

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【4】カルタヘナ法との関係(遺伝子組換え生物の法規制)

カルタヘナ法とは?

正式名称:「遺伝子組換え生物等の使用等に関する法律」
目的:遺伝子組換え生物(Living Modified Organisms:LMOs)の環境への拡散を防止し、生物多様性を保全すること

対象行為:

  • 第一種使用等:環境中への放出(例:GM作物の栽培、実地試験)
  • 第二種使用等:封じ込め使用(例:研究機関・製薬企業での遺伝子組換え実験)

第二種使用等では:

  • バイオセーフティレベル(BSL)に対応した封じ込め施設が必要
  • 遺伝子組換え微生物やベクターの使用計画届出が必要
  • 年次報告、記録の保管、講習受講が義務化されている場合もある

【5】BSL対応実験施設の例(研究機関・製薬会社)

BSLレベル実験室の特徴適用例
BSL-1通常の実験台で十分教育実習、一般的な分子生物学実験
BSL-2バイオハザードキャビネット、オートクレーブ必須AAVやレトロウイルスを用いた遺伝子導入
BSL-3陰圧室、密閉設備、HEPA排気結核菌、レプリコンウイルス等の実験
BSL-4特殊施設のみ(日本では国立感染症研究所など)エボラ、ラッサ熱等の研究

まとめ:BSLと遺伝子組換え/カルタヘナ法の関係性

項目内容
BSLとは微生物・病原体・遺伝子組換え体を安全に取り扱うための封じ込めレベル
実験区分(P1〜P3)との関係組換え体の危険性に応じてBSLが定まる(例:P2=BSL-2)
輸送時の扱い感染性や組換え性の有無に応じてUN分類・包装要件あり
カルタヘナ法遺伝子組換え体の環境拡散を防ぐ法。BSL対策が適切であれば、第二種使用等に該当

参考法令・ガイドライン

  • 「カルタヘナ法に基づく第二種使用等の指針」
  • WHO Laboratory Biosafety Manual(最新版)
  • 日本バイオセーフティ学会のBSL指針
  • 遺伝子組換え実験指針(文科省・環境省)

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Bio Safety Levelについて(2019/07/18,2021/01/29)・・・
1. 概説
2. カテゴリー
3. 関係法令

Bio Safety Level (BSL)とは、細菌やウイルスの取り扱いについて、その病気を引き起こすリスクに応じてグループ(1~4)分けし、そのグループに応じた取り扱いを規定する。基本的には、グループ1~4はBSL1~4とそれぞれに対応する。Protection Level (P1~P4)という表現もあるが、基本的に同義である。

輸送におけるカテゴリーとして、BSL-1, BSL-2は、カテゴリーBに分類、BSL-2, BSL-4は、カテゴリーAに分類される。

  1. カテゴリーB
    1. BSL-1 : AAV、ワクチンや動物に無害な病原体
      人の生活に密着している麹菌、乳酸菌、枯草菌(納豆菌)などは、高校での生物実験に使用できる。
    2. BSL-2 : はしかウイルス、インフルエンザウイルス
  2. カテゴリーA
    1. BSL-3 : 狂犬病ウイルス、結核菌、鳥インフルエンザウイルス、など
    2. BSL-4 : エボラウイルス、ラッサウイルス、天然痘ウイルス、など

関係法令

Bio Safety Levelは、以下の法律や指針を理解し対応する必要がある。

  1. 遺伝子組換え実験規程 (自分たちで策定)
  2. バイオセーフティ管理規程 (自分たちで策定)
    1. 病原体等取扱に関する安全管理などの要領
    2. 安全委員会などの構築 (実施者や実験の審議)
    3. 使用におけるサンプルの保管、廃棄とその方法、輸送などの記録と記録の保管
  3. 感染性物質の輸送規則に関するガイダンス
    1. カテゴリーA/B
    2. 国際的には3次包装、日本では、ゆうパックなどの輸送業社のカタログ参照
    3. サンプル情報としてのラベルが必要
    4. 常温輸送とドライアイス詰め輸送
  4. カルタヘナ法 : 微生物等の拡散防止措置に関する条約。批准国リスト
    1. 第一種使用
      1. 拡散防止措置を取らない
      2. 大臣承認
    2. 第二種使用
      1. 拡散防止措置を取る
      2. 大臣確認
  5. 感染症法 (感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律、1998年10月2日公布)
    1. 特定病原体等(1種〜4種)
    2. それ以外
  6. 家畜伝染予防法、植物防疫法、外国為替及び外国貿易法
  7. 国立感染症研究所(NIID)病原体等安全管理規程
  8. NIH Guidelines for Research Involving Recombinant DNA Molecules
  9. WHO Laboratory Biosafety Manual
  10. 国民保護法施行令
  11. 植物防疫法
  12. 万国郵便条約
  13. 輸出貿易管理令
  14. 参考文献

https://groups.oist.jp/sites/default/files/imce/u318/docs/biosafetymanual_ver100_j.pdf

カルタヘナ条約カルタヘナ議定書(生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書)
(Cartagena Protocol on Biosafety)
アメリカ、カナダ、オーストラリアは批准していない。台湾も批准していない状態と思われる(ナイトパール
と呼ばれる光るメダカが作られ、日本に輸入され拡散している/環境省HPより)
カルタヘナ法「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(カルタヘナ法), H16/2

カルタヘナ法に従う承認申請手続き

日本におけるカルタヘナ法に基づく申請手続きを示す。

  1. 申請書ドラフト作成
  2. ドラフトのPMDAへの提出
  3. PMDA (以下、第一種で6ヶ月、第二種で3ヶ月)
    1. 正式版のPMDAへの提出(承認申請)
    2. PMDAの審査
    3. 大臣承認/確認
  4. 治験計画の提出
  5. 使用の開始

感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2011-2012版 – WHO guidance和訳 – NIID 国立感染性研究所 –

https://www.niid.go.jp/niid/images/biosafe/who/WHOguidance_transport11-12.pdf

感染性物質の輸送規則に関するガイダンス 2013-2014版 – WHO guidance和訳 – NIID 国立感染性研究所 –

https://www.niid.go.jp/niid/images/biosafe/who/WHOguidance_transport13-14.pdf#page=29

バイオセーフティ管理 – カテゴリーB容器 – NIID 国立感染性研究所 –

https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-biosafe/947-youkisb.html

バイオセーフティ管理 – カテゴリーA容器 – NIID 国立感染性研究所 –

カテゴリーA容器は、リンク文書のp23~p26を参照

https://www.niid.go.jp/niid/images/biosafe/who/WHOguidance_transport13-14.pdf#page=29

カルタヘナ法ガイドブック – バイオインダストリー協会 –

https://www.jba.or.jp/link_file/publication/H18_8_karutahena.pdf

カルタヘナ法の「第一種使用規程承認申請書」及び「生物多様性影響評価書」に関する作成ガイダンスの策定 (2019) - AMED –

遺伝子治療用のウイルス (アデノウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルス)を使ったベクターによる治療は、カルタヘナ法における第一種使用となる。今回、国立成育医療研究センター成育遺伝研究部HP内で公開された(「遺伝子細胞治療に関する規制及び学会等での資料/ AMED・遺伝子治療におけるカルタヘナ法の第一種使用規程の考え方に関する研究・成果物(2019.10.21)」 )。

https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20191127-02.html

遺伝子治療用製品等及び感染症の予防を目的とする遺伝子組換え生ワクチンの治験実施までの留意事項 – JPMA –

http://www.jpma.or.jp/information/bio/deliverables/2020/pdf/2020_notice_01.pdf

http://www.jpma.or.jp/information/bio/deliverables/2020/notice_01.html

遺伝子治療用製品等及び感染症の予防を目的とする遺伝子組換え生ワクチンの治験実施までの留意事項 (第2版) – JPMA –

編集履歴

2019/07/18 Mr.Harikiri
2021/01/29 追記 (第一種使用に当たるウイルスベクターを使用した遺伝子治療に関するガイドライン)
2025/04/14 ChatGPT版を追記
2025/04/17 追記(はじめに,日米欧の違い)