BNT162とは
ドイツのBiopharmaceutical New Technologies (BioNTech) 社とPfizerが共同開発するmRNAをベースとする新型コロナウイルス感染症に対するワクチンです。開発ワクチンは、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(receptor binding domain; RBD)をコードするヌクレオチド修飾メッセンジャーRNAをベースのワクチン(BNT162b2)
- 2020/11/09, 4万3千人を対象に進められているP3臨床試験の途中集計として、その予防効果は90%以上あることを発表したsource。
- 2020/10/20, 日本人におけるBNT162b2の安全性、認容性および免疫原性を評価目的にPhase 1/2試験(160名、20~80歳日本人、BNT162b2とプラセボの比 3:1)を開始したと発表。BNT162b2は30μgを21日間隔で2回接種し、最終接種から12ヶ月後まで評価する計画。BNT162bは、最適化されたスパイクタンパク質の全長をコード強いる。BNT162b2は、ドイツ、米国、ブラジル、アルゼンチンを含む世界で最大120治験実施施設で、44,000人の参加で国際共同治験2/3相が評価中。この試験と、今回の日本出の試験のデータを用いて、日本での製造販売用視認を申請する予定です。承認が得られた場合、1億2000万回分のCOVID-19ワクチンを2021年上半期に日本に提供されるsource。
- 2020/07/31, 日本に対して来年6月までに6000万人分の供給を約束した
- 2020/07/01, BioNTech社との共同研究であるSARS-COV-2に対するmRNAベースのワクチンの臨床試験(4候補、Phase I/II)の早期データを発表(45例の評価) source
- 10μg/30μgの投与
- 28日目, RBD結合IgG抗体濃度が上昇し、SARS-CoV-2に対する中和抗体価が確認された
- 深刻な有害事象は無かったことから、今後のPhase IIb/3での有効性試験における主要候補と容量レベルの選択が可能となった
BioNTech
mRNAをベースに治療薬を開発するベンチャー source
- mRNAベースの治療薬開発
- コンピューターテクノロジー
- 共同研究など他社との協業
- Genmab
- Sanofi
- Bayer Animal Health
- Genentech
- Genevant
- Fosun Pharma
- Pfizer
因みに、AstraZenecaが開発している新型コロナウイルス感染症ワクチンは、Adenovirsを使ったワンチンです。T細胞の免疫応答の強化が期待できるため、mRANワクチンよりもワクチン効果が高いことが期待されています。関連記事もご覧ください。
ワクチンの臨床結果による有効性の比較
世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。
Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成
Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンは、SARS-CoV-2表面の改変したスパイク・糖タンパク質(spike (S) glycoprotein)をコードするメッセンジャー RNA (modRNA)を脂質膜で粒子状にした製剤です。提供形態は、凍結品で以下の組成になっています。
- 凍結品 (ドライアイス; 75℃程度)で保管・輸送
- 使用時には、1.8 mLの0.9% Sodium Chloride (diluent) で希釈
- 複数回用
- 0.3 mL投与
- 30mg of modRNA
- 0.43 mg (4-hydroxybutyl)azanediyl)bis(hexane-6,1-diyl)bis(2-hexyldecanoate)
- 0.05 mg 2[(polyethylene glycol)-2000]-N,N-ditetradecylacetamide
- 0.09 mg 1,2-distearoyl-sn-glycero-3- phosphocholine
- 0.2 mg cholesterol)
- 0.01 mg potassium chloride
- 0.01 mg monobasic potassium phosphate
- 0.36 mg sodium chloride
- 0.07 mg dibasic sodium phosphate dihydrate
- 6 mg sucrose
- (contributes an additional 2.16 mg sodium chloride per dose)
- 3週間空けて2回の接種
Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine – Fact Sheets and Additional Information – FDA
特に、日本語のファクトシートを見たい場合は、ワクチン接種を受ける人と介護従事者のためのファクトシートを参照
https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/pfizer-biontech-covid-19-vaccine
審査結果報告書
製造方法
審査結果からわかる製造方法は以下の通り。
- plasmid DNA(pDNA)を大腸菌の培養により得る
- 大腸菌を溶解してpDNAの抽出、精製される
- pDNAを直鎖DNAにしてから、転写によるmRANを得る。必要な精製処理が行われる
- 転写で使用されるUTPは、改変されたものである
- mRNAはLNPで製剤化されている
コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS- CoV-2)
(有効成分名:トジナメラン) , H2年 3月 12日
https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_4.pdf
編集履歴
2020/07/23 はりきり(Mr) 2020/07/31 日本との合意 2020/11/09 予防効果は90%以上 2021/02/03 Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成 2021/06/10 追記(審査結果報告書)