どういう思いでこの記事を書いたか
白内障手術は簡単な手術ですと言われます。簡単だから安易にしていいのかも疑問でした。できるだけ引っ張って遅らせて手術した方が良いと思っていました 。
早めにした方が良いものと、遅らせた方が良いものと、それぞれ状況次第だと一般論的にはそのように思っていました。その状況というのは、お医者さんの領域になりますね。お医者さんの観察と見立てが全てです。セカンドオピニオンもありますが、お医者さんと同範囲の情報を持っていなければ、自分での判断は簡単ではありません。同範囲としたのは、深い部分のところに関しては、お医者さんに聞くことで補います。聞くためには、何がわからないかという情報も必要だということです。
でも決断は、自分自身でしなければなりません。
白内障といっても、個々に状況が異なることが、今回、自分の身になって少しわかりました。「単純な濁り」、「そうで無い濁り」と大きく分けれると思います。
後嚢性の濁りはあまり良くない濁りのようです。私も、その当たりの情報は、手術するまでは、充分に持っていませんが、後嚢とは、眼底に近い方の凸レンズの頂点領域なので、中心視野として重要な部分です。
私の場合は、20年来、白内障があることは、分かっていました。それは、お医者さんの見立てでしたが、どのような白内障であるかについて、質問したことがありませんでした。
そのため、後嚢の白内障であることを知ったのは、約半年前です。
今回、本当に見えづらくて手術を覚悟し(手術することを決断し)、大きい病院を紹介してもらって、白内障手術をして現在に至っています。
後嚢性の白内障および水晶体の一般的な白内障も伴っている場合、どのような経過を辿るのかを、ここに残しておきたいと思います。
白内障で手術される方に対して、参考になれば幸いです。私は、研究者なので、少し突っ込んで、原理に関わるところまで把握しようとしますが、ご容赦ください。
注意していただきたいのは、このBlogの内容は、ある場合にこうすべきとかを教えるHow To本ではありません。自身が患者として、どのような情報が必要か、世の間にはどんな情報があるかを示そうとしています。もちろん、足りない情報もあります。偏ったものもあります。過不足が無くなるよう、今後もアップデートしたいと思っています。
日本のお医者さんは、絶対数は少なく多忙です。患者自身も賢くならなければいけないと思っています。今回情報を求めるなか、白内障について網羅できている情報源はありませんでした。一つ一つ情報を探して、それぞれの情報をつなげていく作業が必要でした。今後も必要です。
背景
手術の第一歩
大きな病院で診療してもらうと、「角膜の濁りと白内障により見えづらいでしょうから、白内障の手術を先ずしますか」、と勧められました。
角膜の濁りに対する手術は、近視のレーシックと同様、術後は遠視に傾くことは、情報収集から知ってました。どちらの手術を先すべきか理解できないまま白内障手術をするのに疑問を感じました。
そこで、角膜ジストロフィーの手術ができる病院を紹介してもらい、セカンドオピニオンを求めることにしました。
大阪では、角膜ジストロフィーのレーザー治療ができる病院は2カ所あります。自宅から近い方の病院を紹介してもらい受診しました。
セカンドオピニオン
- 角膜専門のドクター
- 現在の年齢が57、老後の生活を考えると、白内障治療と角膜ジストロフィー治療をした後、手元30cm程が見えるようにした方がいい
- 手術は、先に白内障治療を行い、その後、視力が安定してから、角膜ジストロフィーの治療を行う
(選択の問題ですが、いつするかは自己で判断する) - 白内障治療は、このセカンドオピニオンの病院では3~4ヶ月待ち(白内障治療は紹介状元の病院に戻って行うことにしました)
- セカンドオピニオンのお医者さんには、最終的な視力の「持っていきどころ」として、角膜ジストロフィー治療後で30cm程度が焦点距離になることを目的として、先ず実施する白内障治療後の目標の視力、今後の進め方等を書いてもらいました
- その返しの紹介状と共に、最初の病院に後日行き、白内障呪術の入院手続きを行いました(以下につづく)
白内障手術の実際
それまで、漠然と分かったつもりでいたのですが、白内障の手術である水晶体を人工レンズに置き換える手術は、白内障手術の1部です。その他、私のケースの様に、後嚢性の白内障、厳密には水晶体と後嚢が癒着して濁っている場合は、その濁りの「かき取り」も必要です。それと、人工レンズを挿入してしまうと、滅多なことがない限り、そのまま一生使うことになります(そのため人工レンズの寿命は100年の耐久性があります参考13))。人工レンズは、時間経過とともに水晶体嚢と癒着が進み、それによって視力も安定化します。もしも、人工レンズを取り除くことになった場合は、水晶体嚢も一緒に取り除く手術となります。
戻ってきた病院では、返しの紹介状を元に、白内障手術の予定と方針を固めました。
今日は手術当日(3/16)、白内障の手術で4日間入院して、両目の白内障手術を受けます。
昨年の8月の免許更新では、近視用コンタクを乱視もいけるものにして、なんとかクリアしました。
前回の車の免許更新時でも、白内障の症状は、だいぶ進んでいたのですが、手術は今日まで約5年超、引っ張りました。できれば、60歳まで引っ張りたかったのですが、ここ数ヶ月で左目はほとんど字が読めなくなりました。
両目とも、角膜ジストロフィーがあり、いずれ手術になるので、今回の白内障手術では、近視よりに視力を合わせます。
角膜ジストロフィーでは、レイザー治療を予定しているため、視力が遠視に向くためです。
白内障の手術では、入院当時に、左目のレンズの交換、翌日は観察、3日目に右目のレンズの交換、4日目は退院の予定です。
スケジュール
前日(Sun)
朝昼晩の点眼は、当日手術を受ける左目でした。
レボフロキサン
- レボフロキサン点眼液1.5%「日新」5mL
- 細菌の感染を抑える薬
- 1日3回
当日(Mon)
09:30 入院センターで受付、保険証、限度額証明書
10:00 10F(本来は11F)、身長体重測定、4人部屋
10:30 飲み薬の確認と入院中の投薬確認についての説明
11:00 今日の予定の説明
11:30 清浄綿と細いテープを院内ローソンで購入
12:00 昼食
12:15 絶食
13:15 左目:看護師さんによる目薬、5分間隔
- 以下の目薬を1セットとして3セット
- 目薬1 散瞳薬
- 目薬2
- 目薬3
散瞳薬が効いてくると、明るく見えてきて白内障の目でも視力が改善される。このままでもいいように思える。
13:45 絶飲食
14:00 37.1℃ 微熱
14:15 手術 30分の予定
- 4F 手術室
- キャップ
- ほぼ枕無し、長細い手術台
- 仰向け、モニター(血圧、脈拍、血中酸素)
- 受けバットと50mL注射器で洗浄液による流水洗浄
- おそらくイソジンで目の周りの消毒
- 片目が開いた粘着テープ付きシート
- テープで上まぶたと下まぶたを固定
- 流し込むようにすごい勢いで点眼
- おそらく注射で麻酔
- すごい勢いで点眼
- 眼前に照明、眩しすぎ
- メスが入った感覚はない
- 超音波の音、水晶体を砕く、しばらく断続的に続く
- 全く眩しく無くなり、おそらくライトがあるはずだがミカないし、何も見えなくなった。映像が無い状態になっている。
- しきりに手術する手が眼前で動く
- ゴロゴロがあるとのこと、年期の入った白内障では濁りが硬くなっている事があると聞く
- しばらく手術の手が眼前で動く、おそらく「こすりとっている」
- レンズ装着を優先したと聞かされる
- 濁りは後からでもレーザーで取り除けるとのこと
- ガーゼとカッペで閉じられる
- 終了
14:55 終了
15:00 ベッドで安静、一眠り
16:00 片目での歩行の確認をされる。OKが出る
17:00 看護師さん交代、風呂近視、髭剃り禁止、洗顔禁止
18:00 点眼開始: 裸眼で見る 真っ白
と同時にガーゼ除去
- 以下の目薬を1セット
- 目薬1 抗生剤 クラビット
- 目薬2 抗炎症 ベタメタゾン
- 目薬3 抗生剤 ブロナック
20:00 点眼開始: 白っぽさ治まってきた
- 以下の目薬を1セット
- 目薬1
- 目薬2
22:00 消灯 、左目の水晶体、57年間ありがとう。そして、お疲れ様、就寝
清浄綿とカッペ
清浄綿は、塩化ベンザルコニウム溶液に浸った使い捨て綿、カッペ(眼球保護帯)は、アルミ製でテープで顔に貼り付けて、不用意な眼球への接触から保護する
2日目(Tue)
5:50 起床 (照明)
7:00
- 左目の点眼
- 散瞳薬
- 抗生剤
- 抗生剤
- 右目 殺菌の朝昼晩の朝
7:30 朝食
8:00 主治医の先生による検査
11:00 先生による検査 : 左目のハンディー機器による眼圧測定、明日手術する右目の観察。薄暗い部屋にある一点の発光ダイオードを左目で見ると、ワッカが2つ見える — 挿入した眼内レンズによるようだ (光の輪)。
左目の眼圧が高いとのことで、点眼。
12:00
- 点眼 (右)
- 目薬1 抗生剤 クラビット
- 点眼 (左), 5分刻み
- 目薬1 抗生剤 クラビット
- 目薬2 抗炎症 ベタメタゾン (僕には、感受性が強くて眼圧が上がったため、退院後に他の点眼に代えています)
- 目薬3 抗生剤 ブロナック
16:00 視力検査 (左目) 矯正しても中段より上でも見えない
18:00 点眼
- 点眼 (右)
- 点眼 (左), 5分以上の間隔を空けて点眼
- 目薬1 抗生剤 クラビット
- 目薬2 抗炎症 ベタメタゾン
- 目薬3 抗生剤 ブロナック
18:00 食事
- 食事
- 食後の服薬
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg, 1錠
20:00 部屋移動 (1057→1059)
22:00 消灯、就寝
3日目(Wed)
06:10 目が覚める
- 点眼前に、手術した左目のカッペを外して自己点検(以下)
- 裸眼では、右左共に焦点が合う距離は、20cm程度
- これまで使っていた眼鏡(遠近両用)を使用した時、手術した左目は、手元及びそれより遠い距離でも(30cm, 50cmなど)、にじむ
- 昨日、20時頃に先生がこられて話した際の先生との話
- 先生 : 水晶体嚢(後嚢)に癒着していた濁りについては、嚢を破らないようにしたため、その除去を途中断念したため十分に取り除けなかったとのこと。
- 自分 : 術後、ガーゼがかかった感じはなくなったものの、夕方の検査で、矯正視力がでなかったことを伝えた(先生は知っているはずだが)
- 先生 : 今後行う予定の角膜ジストロフィーのレイザー治療で改善があるか知れない
- 視力が安定するまで時間がかかるといっていたように思う。要確認→ 後日、ドクターに確認した内容: 左目では術中でも、角膜ジストロフィは邪魔になる程であったこと、後嚢の濁りはあるものの視野の真ん中にはないので、角膜のレーザー治療が改善する確率は高いとのこと。
06:30 点眼
- 点眼 (左), 5分刻み
- 目薬1 抗生剤 クラビット
- 目薬2 抗炎症 ベタメタゾン
- 目薬3 抗生剤 ブロナック
07:00 服薬
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg, 1錠
- (食事がでないので、昨日買ってあったピーナッツを15粒ほど食してから服用)
07:15 絶食
08:15 手術準備のための点眼開始
- 以下の目薬を1セットとして3セット
- 目薬1 ミドリンP (散瞳)
- 目薬2 ブロナック (非ステロイド性抗炎症剤)
- 目薬3 ネオシネジン (出血止め)
08:45 絶飲食
09:15 手術 (右目)
10:45 手術終了、病室で1時間安静
12:00
- 食事
- 食後の服薬
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg, 1錠
12:30 点眼
- 点眼 (両目い), 5分刻み
- 目薬1 抗生剤 クラビット
- 目薬2 抗炎症 ベタメタゾン
- 目薬3 抗生剤 ブロナック
15:00 対応、血圧
18:00 点眼
- 点眼 (両目い), 5分刻み
- 目薬1 抗生剤 クラビット
- 目薬2 抗炎症 ベタメタゾン
- 目薬3 抗生剤 ブロナック
18:00 夕食
19:00 右目点眼
- 2種類, 5分後とで2回
20:00 主治医の説明を受けた
- 水晶体嚢を破らないように付着した濁りを取り除いたが、両眼とも同じように濁りは一部残っている
- 水晶体嚢に穴が開いてしまって、そこに人工レンズを入れると、やがて穴が広がってレンズが眼内に落ちてしまうことがある
- ドクター曰く、両眼の手術で分かったことは、やはり、両眼共に角膜の濁りは手術する上で邪魔なほどであり、見え方にも相当影響していると思われる
- 眼内レンズと水晶体嚢が癒着し固定されるまでは、視力は安定しない
- 来週以降、通院で様子を見ていく
- 予定通り、角膜ジストロフィーの手術を受ける
- その後、見え方を踏まえ、見えづらい理由が、角膜の濁り由来か、白内障の濁り由来かを判断する
- その理由が、白内障由来の水晶体嚢の取り残した濁りの場合は、YAGレーザーによる除去を考える
- その手術時期は、人工レンズと水晶体嚢が癒着していて安定し、レンズの眼内への落下の恐れがなくなった頃
22:00 消灯、就寝
4日目 (退院日)
6:20 起床
- 両眼のカッペを外して見え方を確認
- 裸眼では、右左共に焦点が合う距離は、10~15cm程度
- 右目では、手術1日後の左目の状況と同じで、白っぽく見える。
- 左目は依然として、「にじむ」、遠近両用のメガネを掛けても、遠近どの距離でも「にじむ」
- 右目は、遠近両用のメガネでこれまで通り、どの距離でも「焦点が合う=にじまない」
07:15 点眼
- 点眼 (両目), 5分刻み
- 目薬1 散瞳 (退院前の検査のため)
- 目薬2 抗生剤 クラビット
- 目薬3 抗炎症 ベタメタゾン
- 目薬4 抗生剤 ブロナック
07:30
- 食事
- 食後の服薬
- セフカペンピボキシル塩酸塩錠100mg, 1錠
08:30 主治医による検診と来週検査のため来院の説明
09:40 精算
10:00 定例検診
10:20 帰路に着く
11:30 昼食と点眼、服薬
12:00 自己観察
- 10年前にかけていたメガネで見え方を観察
- このメガネは、プラスティックレンズで、コーティングが剥がれていています。度数は、現在より1-2段回低めの近視用です。
- よく見えます。南に向いたスリット状の窓があり、その壁に時計があるのですが、逆光になるため、手術前は、文字盤をクリアに読めませんでしたが、このメガネでも良く見えます。
- 近くは、ぼやけます。そこで、100円で買った老眼鏡(+2.50)を重ね掛けすると、パソコンを見るちょうど良い距離40cmでピントがあってよく見えます。
- 昔使用のメガネ + 老眼鏡 (+2.50) : 40cm
- 昔使用のメガネ + 老眼鏡 (+2.00) : 30cm
- 見え方は、クリアです。コントラストが上がっています。鮮明です。黒は、ちゃんとよりクリアな黒色に見えます。見るもの全てのコントラストが上がりました。
- 10年前に、会社支給の安価なPCの画面を見ていた時、同僚が見えているのに自分には判別がつかないことがありました。知識の無い頭で、目が弱いとか、そのせいでコントラストが低いとか、老眼だとか理由をつけていましたが、今思えば、水晶体由来の濁りが大方の理由であったようです。
- 今後は、20歳代から指摘されていた角膜ジストロフィー(当時は「角膜変性」と言われました)のレーザー治療を進めていく予定です。
- これ以降の観察は、角膜ジストロフィーのレイザー治療も含め随時レポートしていきたいと思います。
2020/03/19 はりきり(Mr)
今後の経過について
- 眼内レンズと水晶体嚢が癒着するまでは、視力は安定しない
- 嚢に一部残した濁りは、水晶体嚢を破らないためですが、角膜ジストロフィーの治療後に、視力・見え方を踏まえて、レーザーによる除去の選択肢がある。その手術時期は、人工レンズと水晶体嚢が癒着していてレンズの落下の恐れがなくなった時期
- 通常、白内障治療では、人工レンズを入れてから、3ヶ月から数年後までに生じる水晶体嚢(後嚢)の濁りは、「後発性白内障」とよばれます。
- 私の場合、白内障の症状の主たる原因は、水晶体の白濁ではなく、水晶体嚢(後嚢)の濁りであることが分かり、病状は、既に「後発性白内障」であったと言えます。
術後の点眼期間
1.5ヶ月から3ヶ月 参考12
人工レンズの寿命
100年参考12。基本的にレンズの交換は行われない。人工レンズは、術後数ヶ月で、水晶体嚢と一体化(癒着)し位置的に安定し、それに伴い視力も安定する。
通常、人工レンズは、術後、水晶体嚢とともに寿命を全うすることになる。
関連の記事
水晶体
袋(水晶体嚢; すいしょうたいのう)に入っている弾力性の高い透明な機関です。外界側の袋を前嚢、内側を後嚢といいます。主成分は、Type-IV collagen (参考4)です。
水晶体を構成する物質は、水晶体上皮細胞 (lens epithelial cell: LEC)と、上皮細胞由来の繊維細胞およびそのクリスタリンという蛋白質です。前嚢側を前極、後嚢側を後極という。
前極には、LECが一層で覆っています。水晶体の円の縁は赤道部といいます。上皮細胞は赤道部まで来ており、赤道部では、幹細胞としての働きをしています。足りなくなった繊維細胞を補充する役割です。
繊維細胞への分化は、前極と後極に向かって細長く伸びながら、中央の核に向かっていきます。中央に向かいながら、オルガネラである、細胞核、ミトコンドリア、ゴルジ体などの小器官が減少・消失し、透明性の高い繊維細胞となります(参考4が参照する文献1)。
クリスタリン濃度は、水晶体の中央部が最も高くなっており、高屈折率を持っています。
[スペキュレーション/推察] 幹細胞として上皮細胞が、水晶体嚢に一生留まっているということは、おそらく、歳を重ねていけば、水晶体での細胞密度は高くなると考えられます。それが、老眼につながるものと思われます(これ以上のとは、また調査して言及します)。
規則正しい結晶構造を維持できるのは、核がない線維芽細胞とクリスタリンが規則正しく並んでいるためで、透明性を維持できる源です。
この構造が壊れると濁りが生じ、白内障と呼ばる状態・症状になります。また、その構造が壊れる原因には、クリスタリン蛋白質の部分的切断、酸化、リン酸化、ラセミ化、アミノ酸の異性化などが報告されています。更にその原因についても、ラノステロールシンターゼ(LSS)遺伝子の変異にあるなど、ラノステロールが混濁した水晶体を透明化に戻すという報告が学術雑誌Natureにてあり、治療薬しての期待が高まっています。
後発性白内障
通常、白内障治療では、人工レンズを入れてから、数年後に生じる水晶体嚢(後嚢)の濁りが生じることは少なくないが、これを「後発性白内障」という。LECが僅かでも残っていれば、水晶体嚢や人工レンズ上で増殖・重層化する事が原因である(参考5)。
参考文献
参考1
参考1 : 公益社団法人 日本白内障屈折矯正手術学会 (JSCRS)
http://www.jscrs.org/index/page/id/76
「白内障手術について」より
参考2
参考2 : 放射線白内障(水晶体混濁)より
https://www.rerf.or.jp/programs/roadmap/health_effects/early/cataract/
水晶体の幹細胞について記載あり。
参考3
参考 3 :「水晶体内のDNAが残ると白内障を引き起こすことが明らかに」(H15)
https://www.jst.go.jp/pr/report/report350/
水晶体を構成する繊維細胞にDNAが存在しない理由として、その分解酵素とかんがえられたCAD, DNase IIの発現はみられず、DLADという分解酵素が確認され、このノックアウト・マウスの水晶体は白内障を呈した。
https://www.jst.go.jp/pr/report/report350/zu2.html
参考4
参考 4 : X 線位相差 CT による水晶体タンパク濃度可視化:糖尿病性白内障モデルマウスにおける変化と Na-Ca 交換体強発現による白内障防止効果の検討 (2008)
水晶体構造についての説明があり、水晶体中央部でクリスタリン濃度が高い事について言及があります。
http://www.spring8.or.jp/pdf/ja/MBTU/H20/11.pdf
参考5
参考 5 : 水晶体上皮における増殖領域と 組織幹細胞の同定 ―新しい固定液を用いた良好な 組織切片による解析― (2009)
http://microscopy.or.jp/jsm/wp-content/uploads/publication/kenbikyo/44_4/pdf/44-4-286.pdf
参考6
参考 6 : 紫外線の増加がヒトの健康に及ぼす影響に関する研究 – 紫外線照射による白内障発症機序の解明に関する実験的研究 (H5)
http://www.spring8.or.jp/pdf/ja/MBTU/H20/11.pdf
参考7 ラノステロール
ラノステロールで水晶体を透明化できるか — 白内障学会 (2019)
https://www.jstage.jst.go.jp/pub/pdfpreview/cataract/31/1_31_11-002.jpg
参考8
水晶体混濁を透明化させる制御機構と治療戦略の解明 — KAKEN より
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K11470/
モデル・ラットによるLSSの遺伝子変異に続いて起こる、遺伝子発現量の低下に関する研究(Major intrinsic protein of lens fiber (MIP, Aquaporin0), deoxyribonuclease II beta (Dnase2b), heat shock protein B1 (Hspb1) , crystallin,γ D), 2017-2020
参考9
参考 : 「白内障の原因を解きほぐすラノステロール 」Nature ダイジェストより
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v12/n10/%E7%99%BD%E5%86%85%E9%9A%9C%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%82%92%E8%A7%A3%E3%81%8D%E3%81%BB%E3%81%90%E3%81%99%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB/68020
一部の家系では、水晶体に存在するラノステロールを合成するラノステロールシンターゼ(LLS)の遺伝子に変異があり、機能性のラノステロールが少ないことで、アミロイド様の繊維状に変化したクリスタリンをほぐせないことが、白内障の原因の一つである
参考10 光の輪
参考 : 【質問】 夜間に見える虹の輪 (2009) — 徳島県医師会
https://www.tokushima.med.or.jp/kenmin/doctorcolumn/hc/848-114
人工レンズは、元のレンズ(水晶体)より、より多くの光を通すこと、直径が小さいこと、などが原因で夜には光のワッカが見える、と記載されている。視力を失った開眼手術からQOL向上へと役割がかわってきていおり、年間60万件が人工レンズによる白内障手術が行われるようになった(1999原典より転載)、とのこと。現在は2020年であり、10年前の記述で更に原典はその更に10年前であるため、その正確性は検証の余地があると思われるものの、概ね間違いないと思われる。
参考11
参考 : 「水晶体被曝の実態)調査計画より
https://www.musashino.jrc.or.jp/clinical/_documents/17337_h2902.pdf
水晶体内には、マクロファージなどの貪食細胞が存在しないため、損傷をうけた部位のクリアラスんがない。核がある上皮細胞が放射線被曝により損傷を受けることで、白内障が誘発されるため、医師・技師の被曝実態を調査するとしている(2017)
参考12
金沢医科大学 眼科学講座より
http://www.kanazawa-med.ac.jp/~ophthal/?page_id=54
後発性白内障と水晶体上皮細胞のトロポミオシンとの関連性、miRNAなどの研究 (2013)
参考13
白内障の手術に関する、よくある質問 – 森井眼科医院 – より
人工レンズの寿命 (100年)、術後の点眼期間 (1.5~3ヶ月)
https://morii-ganka.jp/operate/cataract/cataract05.html
編集履歴
編集履歴 2020/03/16 はりきり(Mr) 2020/12/18、追記 (人工レンズは、水晶体嚢に癒着していくことで視力が安定化し、また、よほどのことがない限り一生使うことになること)