[健康] 新型コロナウイルス(Sars-Cov-2)、MARS/SARSとの違い – 感染力 – [2020/10/11] ID10959

ID10959

風邪のウイルス、コロナウイルス

ヒトからヒトへ感染する風邪の原因ウイルスの10~15%は、コロナウイルス(Human Coronavirus: HCoV)といわれている。流行期には35%にも達する。

  • HCoV-229E (αコロナウイルスに分類)
  • HCoV-OC43 (βコロナウイルスに分類)
  • HCoV-NL63 (αコロナウイルスに分類)
  • HCoV-HKU1 (βコロナウイルスに分類)

動物からヒトへ感染するコロナウイルス

重症化しやすい動物からヒトへ感染するコロナウイルスは、2種類が知られていましたが、新型コロナウイルスが加わり、3種類となりました。

物性など

安定性(感染力)まとめ

  • 皮膚表面、80%エタノールで15秒
  • 咳による飛沫では、空気中で最長3時間
  • 金属の銅では、4時間
  • 皮膚での感染力維持期間は、インフルエンザウイルスの1.8時間程度と比較して、9時間
  • 段ボールでは、最長24時間
  • 金属・ガラス・プラスチックでは、最長9日間

新型コロナウイルスの安定性

京都府立医科大学大学院は、「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)とIAV(インフルエンザA型ウイルス)と細胞培養培地の混合物を様々な物体の表面上に塗布して安定性の評価結果を発表しました。SARS-CoV-2のステンレススチール・耐熱ガラス・プラスチック(ポリスチレン)の表面上での生存時間はIAVより8倍程度長いが、80%エタノールの15秒で不活化が可能」

消毒

一般論として、脂質二重膜があるウイルスは、アルコールによる消毒は非常に有効である。脂質はアルコールにより溶けるため、ウイルスの構造を破壊することができる。京都府立医科大学大学院の研究では、それを人の皮膚で実証した1)

1)

【論文掲載】ヒトの皮膚上に存在する新型コロナウイルスの生存期間を解明 2020/10 — 京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学 廣瀬亮平助教、内藤裕二准教授、伊藤義人教授、法医学 池谷博教授、感染病態学 中屋隆明教授ら研究グループ—

https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2020/20201005.html
2)

【解説】 新型コロナウイルス、表面でどれくらい生きられる? 2020/03

https://www.bbc.com/japanese/51939641

コロナウイルスの物性・特徴

国立感染性研究所,「コロナウイルスとは」-より

直径約100nmの球形で、小さくない大きさである。表面には突起が見られる。形態が王冠“crown”に似ていることからギリシャ語で王冠を意味する“corona”という名前が付けられた。

ウイルス学的には、ニドウイルス目・コロナウイルス亜科・コロナウイルス科に分類される。

脂質二重膜のエンベロープの中にNucleocapsid(N)蛋白に巻きついたプラス鎖の一本鎖RNAのゲノムがあり、エンベロープ (envelope) 表面にはSpike(S)蛋白、Envelope(E)蛋白、Membrane(M)蛋白が配置されている。

スパイクタンパク質

注) Spike (スパイク)タンパク質は、受容体結合ドメイン(Receptor Binding Protein)と呼ばれる細胞表面に存在する受容体 (Receptor)に結合する。

2020/04/15のYAHOO Japan Newsの記事では、新型コロナウイルスでその変異が、早くも確認されたとあった。一般的に、1本鎖RNAは、2本鎖DNAと比較して、安定性が低く変異を起こし易いことが知られている。
2020/04/15 はりきり(Mr)
注) 2020/10現在、世界中で新型コロナウイルスのワクチンの開発が行われており、臨床試験の結果もModerna, Astrazenecaなど2、3が出てきている。日本への導入契約がなされたAstrazenecaのAdenovirus Vector Vaccineが最も開発が進んでおり、問題事象も無く抗体価も問題なく高まるとのこと。

ウイルスゲノムの大きさはRNAウイルスの中では最大サイズの30kbである。遺伝学的特徴からα、β、γ、δのグループに分類される。

以上、国立感染性研究所,「コロナウイルスとは」-より

以上、ウイルスと細菌の大きさの違い – 秋田大学 大学院医学系研究科・医学部 – より

http://www.med.akita-u.ac.jp/~doubutu/kansensho/virus17/virus2-2.html

新型コロナウイルスとSARS/MERSとの比較

新型コロナウイルスSARS
(severe acute respiratory syndrome)
MERS
(middle east respiratory syndrome coronavirus)
発生年2019/1220032012
病名COVID-19重症急性呼吸器症候群中東呼吸器症候群
ウイルス種コロナウイルス(1本鎖RNAウイルス)コロナウイルス(1本鎖RNAウイルス)コロナウイルス(1本鎖RNAウイルス)
分類 ? αコロナウイルス αコロナウイルス
ウイルス名SARS-CoV-2SARS-CoVMERS-CoV
感染経路飛沫感染、濃厚接触飛沫感染、濃厚接触濃厚接触
潜伏期間2-14 days2-7 days2-14 days
症状発熱、咳、肺炎高熱、肺炎、下痢発熱、咳、肺炎、敗血症
発生場所中国湖北省/武漢中国関東省アラビヤ半島諸国
死亡率1.4-2.5%9.5%35%
起源?コウモリ?ヒトコブラクダ
取り扱いBLS3BLS3BSL3

まとめ

近年、世界的な流行を起こしたウイルスは、風邪のウイルスであるコロナウイルスでした。これまでに、SARS, MARSと世界的流行のなか、日本での影響は少なかったため、ウイルスにるパンデミックの経験としては、実質的にこのCOVID-19が初めてとなりました。SARSは、人間界から消えたと言われていますが、MARSは、小さな流行を繰り返しながら世界の何処かに存在しているようです。

今後の対策に向けて敵を知るために、COVID-19とSARS, MARSの比較をまとめました。

以上

編集履歴
2020/02/27 はりきり(Mr)
2020/05/01 文言整備
2020/05/10 追記(まとめ)
2020/08/02 追記(MARSはまだ存在している)

参考文献

DIAMOND online

日本は新型肺炎「発生早期」、SARSやMERSとの比較で考える対処法

https://diamond.jp/articles/-/229049

NIID 国立感染性研究所

SARS(重症急性呼吸器症候群)とは

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/414-sars-intro.html

海外で健康に過ごすために 厚生労働省 検疫所 FORTH

2013年05月24日更新 中東で発生している新種のコロナウイルス感染症について (更新18)

https://www.forth.go.jp/topics/2013/05241532.html

NIID 国立感染性研究所

コロナウイルスとは

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/9303-coronavirus.html

BSL : Bio Safety Level

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