バイオ医薬 : 再生医療等製品と通常医薬品におけるValidationとVerificationの違い ~ FDA: continued verificationまで ~[2026/06/06]

9. 低分子医薬品で使われるCleaning Verificationとは

低分子医薬品でも、verificationという言葉が使われる代表例がcleaning verificationです。

EU GMP Annex 15では、cleaning verificationは、各バッチまたはキャンペーン後に、化学分析によって前製品または洗浄剤の残留が許容限度以下である証拠を集める活動として整理されています。

ただし、品目替えのたびに必ず化学分析を行うとは限りません。

品目替え時に一般的に行われる活動は以下です。

品目替え時の活動内容cleaning verificationと呼ぶか
清掃作業SOPに従い装置・部品・作業室を洗浄する通常は呼ばない
目視確認汚れ、粉残り、液残り、異物、ラベル残りを確認通常は単独では呼ばない
ラインクリアランス前品目の原料、包材、表示物、残品がないことを確認通常は呼ばない
清掃記録確認洗浄手順、洗剤、時間、担当者、確認者を確認通常は呼ばない
スワブ・リンス分析前製品残留、洗浄剤残留、TOCなどを測定cleaning verificationに該当し得る

したがって、

品目替え時には清掃確認は一般的に行われる。
しかし、毎回必ず化学分析を伴うcleaning verificationが実施されるとは限らない。

という理解が適切です。

分析を伴うcleaning verificationは、洗浄バリデーションが未完了の場合、新製品導入時、高活性・高毒性製品、共用設備でリスクが高い場合、キャンペーン製造後、逸脱発生時などに実施されやすくなります。


10. Continuous Process Verificationとは何か

もう一つ混同しやすい用語が、continuous process verificationです。

これは、従来型のプロセスバリデーション、つまり代表的な複数ロットで工程性能を確認する方法とは異なり、製造中または製造後に得られる工程データを高頻度・連続的に評価して、工程が管理状態にあることを確認する考え方です。

EU GMP Annex 15では、continuous process verificationは、従来型プロセスバリデーションの代替アプローチとして整理されています。

対象となるデータには、以下があります。

評価対象具体例
投入原料原料特性、粒度、水分、純度、ロット差
CPP温度、圧力、流量、撹拌、pH、導電率、滞留時間
CQA含量、純度、不純物、溶出性、均一性、水分
IPC中間体含量、混合均一性、造粒水分、錠剤重量、硬度
PATデータNIR、Raman、UV、オンライン粒度、オンライン水分
統計的工程管理管理図、トレンド、工程能力、異常検知

ただし、continuous process verificationは「簡便な代替法」ではありません。

採用するには、十分な工程理解、管理戦略、分析法、統計設計、データインテグリティ、異常時対応が必要です。

また、FDAのプロセスバリデーションガイダンスで示されるContinued Process Verificationは、プロセスバリデーション完了後に工程が管理状態を維持していることを確認するStage 3の活動であり、continuous process verificationとは区別して理解する必要があります。


11. 全体比較表:再生医療等製品と通常医薬品の違い

項目低分子医薬品・通常バイオ医薬品再生医療等製品
適用される主な品質システムGMPGCTP
Validationの位置づけ工程が恒常的に目的品質を作れることを示す中心的活動原則重要。ただし一部工程では従来型PVが困難な場合がある
Verificationの主な意味バリデーション活動の一部、洗浄確認、試験法確認、変更後確認、継続的工程確認などプロセスバリデーションが困難な場合に、製造ごとに品質を確認する枠組み
原料の均一性比較的管理しやすい患者・ドナー由来細胞では個体差が大きい
ロット数商用では複数ロット評価が比較的可能少量・個別化製造では十分なロット数確保が難しい
最終試験の位置づけ重要。ただし工程管理と組み合わせて保証重要。ただし最終試験だけでは品質保証が難しい
工程管理CPP、IPC、CQA、PV、CPV、APR/PQR工程内管理、細胞特性、無菌管理、製造ごとの確認が特に重要
品目替え・清掃洗浄バリデーション、必要に応じcleaning verification交叉汚染防止、無菌管理、閉鎖系管理などが重要
実務上の注意verificationという語を広く使いすぎないGCTP上のverificationを品質試験だけと誤解しない

12. 実務上の使い分け

実務文書では、次のように表現すると誤解が少なくなります。

通常医薬品での表現例

適切な表現

「プロセスバリデーション完了後も、工程が管理状態にあることを継続的に確認するため、ongoing process verificationを実施する。」

「洗浄バリデーション完了までの期間、各バッチ後にcleaning verificationを実施し、残留が許容限度以下であることを確認する。」

「変更後初回製造において、変更が意図した結果を与えたことをverificationする。」

避けた方がよい表現

「低分子医薬品ではvalidationの代わりにverificationを行う。」

「verificationはvalidationより厳密である。」

「毎ロットの出荷判定をすべてverificationと呼ぶ。」


再生医療等製品での表現例

適切な表現

「本工程は、倫理上の検体制限および技術的制約により従来型プロセスバリデーションが困難であるため、管理戦略に基づくベリフィケーションにより、製造ごとの品質確認を行う。」

「製造実績の蓄積に応じて、工程理解を深め、可能な範囲でバリデーションの対象を拡大する。」

「ベリフィケーションは、単なる最終品質試験の確認ではなく、工程内管理、製造記録、逸脱評価、品質試験結果を総合して実施する。」


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