カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Bio-rAAV] AAVカプシド蛋白質VP1のpH依存的な構造変化 – エンドソーム脱出につながっているのか – ID8476 [2020/02/02]

    [Bio-rAAV] AAVカプシド蛋白質VP1のpH依存的な構造変化 – エンドソーム脱出につながっているのか – ID8476 [2020/02/02]

    VP1の機能

    カプシド蛋白質VP1の領域のうち、pH酸性(4-6)により内部にある部分が表出する、とのこと。

    要約 (Goolge翻訳より)

    感染に不可欠なカプシドの領域を特定するために、構造解析(X線結晶構造解析と低温EM)と変異原性および生化学的解析を組み合わせました。 これは、新しいベクター生産戦略の開発と標的ベクターの約束を可能にする重要な情報につながりました。 X線結晶構造解析を使用して、キャプシドが酸性pHにさらされたときに構造変化を受けるAAVカプシドの領域を特定し、円二色性(CD)を使用して、マイナーカプシドウイルスタンパク質VP1(VP1u)のユニークな領域を示しました。

    ホスホリパーゼA2(PLA2)機能を含む、同様の条件下で展開されます。

    これらのpH(pH 4〜6)は、生産的なAAV感染に不可欠であることが示されており、キャプシドが細胞侵入および輸送中にエンドソーム区画で遭遇するものに匹敵します。

    私たちの研究は、2つの予想外の新しい発見をもたらしました。

    1つ目は、カプシドが未知の酵素活性を持っていることです。つまり、カプシドと外部基質の自己分解的切断を触媒できるpH感受性プロテアーゼです。 プロテアーゼ活性のメカニズムとその機能の両方は不明であり、他のウイルスがコードするプロテアーゼと比較してユニークであるように見えます。

    2つ目は、キャプシドのpH感受性領域の変異は、ウイルスDNAが核でコーティング解除された後でも遺伝子発現に大きな影響を与えることであり、核でのDNAコーティング解除後にキャプシドが遺伝子発現に役割を果たすことを示唆しています。

    さらに、CDの研究は、通常キャプシド内部に埋もれているが、エンドソームの酸性コンパートメントを介して人身売買中に押し出されるVP1uの外部化のメカニズムを示唆しました。 この提案では、(1)プロテアーゼの活性部位とその切断ターゲットを特定することにより、(2)核の脱コーティング後の遺伝子発現におけるpH感受性キャプシド領域の役割を決定することにより、これらの新しい発見を探索したいと考えています。 (3)カプシド内の他の酵素活性であるVP1u関連PLA2に対するpHと陽イオンの影響を調べる。

    エンドサイトーシスで細胞内に入ったAAVは、エンドソーム内で、中性pHからpH5へpHが低下して行くなか、VP1の構造変化が起きること、さらに酵素活性を持っていること。このことは、エンドソームからの脱出の可能性を示唆しています。

    The role of pH and protease activity in AAV viral transduction 

    http://grantome.com/grant/NIH/R01-GM109524-01

    エンドソーム脱出モデル

    ドラッグでリバーリーとしてのナノキャリアが、エンドドームから脱出するモデルなどをまとめた論文

    Carriers Break Barriers in Drug Delivery: Endocytosis and Endosomal Escape of Gene Delivery Vectors, 2019

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6639780/#!po=10.2941
  • [Bio-AAV] AAVカプシド蛋白質のpH依存的な分解性について-論文紹介 (2012) – ID8474 [2020/02/02]

    [Bio-AAV] AAVカプシド蛋白質のpH依存的な分解性について-論文紹介 (2012) – ID8474 [2020/02/02]

    要約 (Goolge翻訳より)

    高度に精製されたアデノ随伴ウイルス(AAV)キャプシドのpH5.5でのインキュベーション試験では、いくつかのアミノ酸位置でのキャプシドタンパク質の有意な自己切断を誘導した。

    pH 7.5では自己切断は見られなかった。 他のAAV血清型の検査により、少なくとも2つの異なるpH誘導性切断パターンが示され、異なる血清型が代替プロテアーゼ切断部位を進化させたことを示唆している。

    対照的に、AAV血清型と外部プロテアーゼ基質とのインキュベーションは、精製されたAAVキャプシド調製物が中性pHで強いプロテアーゼ活性を有するが、キャプシドタンパク質自己切断で見られるものとは反対にpH 5.5ではそうではないことを示した。

    いくつかの証拠は、プロテアーゼ活性がAAVキャプシドに固有のものであり、タンパク質の混入によるものではないことを示唆しています。

    対照ウイルス調製物は外部基質に対してプロテアーゼ活性を示さず、AAVウイルス調製物の濾液もキャプシドを汚染するプロテアーゼ活性を示さなかった。

    さらに、N末端エドマンシーケンスは、AAV1とAAV9のユニークな自己切断部位を識別し、これらの部位に隣接するアミノ酸の突然変異誘発は切断を排除しました。

    最後に、保存されたpH感受性構造領域にあるAAV2(E563A)のアミノ酸の変異は、外部基質上のプロテアーゼ活性を除去しましたが、自己切断には影響を与えなかったようだ。

    まとめると、我々のデータは、AAVキャプシドがpH誘導に敏感な1つ以上のプロテアーゼ活性部位を持っていることを示唆した。

    さらに、後期エンドソームに見られるpHに当たる酸性pHは、自己分解性プロテアーゼ活性を誘導するカプシドの構造変化を誘導すると思われる。 pH依存性プロテアーゼ活性は、ウイルス感染に役割を果たしている可能性がある。

    Evidence for pH-Dependent Protease Activity in the Adeno-Associated Virus Capsid (2012)

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3486322/
  • [Bio-Analysis] Comparability Test – バイオ医薬品における同等性/同質性 – ID8641 [2024/06/1]

    [Bio-Analysis] Comparability Test – バイオ医薬品における同等性/同質性 – ID8641 [2024/06/1]

    はじめに

    Release Testとは、医薬品の製造が正常に実施され、それによって製造された原薬または医薬品について、予め定めた規格試験に合致することを確認する試験であり、確認されることで問題の無い品質として出荷できるお墨付きが与えられる試験である。

    MR.HARIKIRIの理解で表現すると、「Comparability Testとは、一般的に原薬のRelease Testを項目を網羅している。すなわち、物性、不純物など多数の項目で構成される品質試験であり、製造法変更などによる同等性を確認する試験群の塊」である。規格試験よりも、更に詳細な物性、例えば「糖鎖分析」、「フリーシステイン数」、「in vitro/in vivoなどによる活性評価」などの試験が追加される。

    開発している医薬品の開発ステージが進むほど、高い同等性が求めらめることは当然であり、臨床試験でのPK/PDも必要となる場合もある。

    CoPilotにきいてみた!

    Copilotの答え

    バイオロジクス医薬品は、先行バイオ医薬品と同等性または同質性を持つ医薬品です。ここで、同等性/同質性 (comparability)とは、以下のように理解されます。

    バイオロジクス医薬品は、化学合成ではなく細胞や細菌が作り出すため、分子量が大きく構造が複雑です。そのため、同等性/同質性を確保するために厳格な評価が行われます。日本では、バイオ後続品の承認審査が進められており、多くのバイオシミラーが既に承認されています1.

    このようなバイオシミラーは、先行バイオ医薬品と同等な品質を持ちつつ、治療効果を提供する重要な選択肢となっています。

    詳細情報

    1.pmda.go.jp

    2.nichiiko.co.jp

    3.fujifilmkyowakirin-biologics.com

    4.ge-academy.org

    以上がCoPilotの答えた同等性/同質性の解釈 (2024/06/21現在).

    ICHガイドライ(Q5E)

    目的

    • バイオロジクスにおける同等性/同質性評価の考え方を示すこと
    • 製造工程の変更により有害な影響を与えないことを立証すること
    • 品質・安全性・有効性に関わること

    背景

    バイオロジクスは、低分子ドラッグと比較して細胞などの生命原理を利用した製造原理であり、完全に理解されているものではない。また、Upstreamの培養、Downstreamの精製工程も複雑であるため、製造方法は、開発当初から完全な条件設定が完了することはできない。そこで、段階的な最適化が進められるのが通常である。製造承認取得後も、これら製造工程の変更が行われることも多いが、その変更される主な理由は、主に経済性であり以下の通りである。

    製造工程の変更の理由

    • 純度アップや収量改善
    • 製造規模の拡大
    • 製品の安定性向上
    • 規制の変更に対する対応

    比較

    Potential impact (潜在的影響)としては、不純物が増加したり、目的物質の物性変化、最悪の場合は活性の低下など品質への影響が考えられる。品質以外の結果として、毒性が顕在化することもあり得る。

    Potential impactを検出するために、Release Test (出荷試験)にあげられる試験項目の実施の他に、extended Characterization Test (追加的な物性試験)が、追加される。

    また、品質における変化があれば、Stability studies data (保存安定性)に影響することも考えられ、悪い影響としては、安定性が維持できず保存期間の短縮化という悪影響も起こり得る。

    • Potential impact (品質、毒性)
    • Release and extended Characterization Test (特製解析)
    • Stability studies data (保存安定性)
    表1. 変更箇所と内容、Product Quality Attributesにおける潜在的インパクト、その測定方法と実施
    変更箇所考えられるインパクト原因試験方法
    培養方法、条件細胞の生理学的(physiology)な影響、プロダクトの変化、C末端Lysの脱落(clipping)、その他翻訳後修飾(post-translational modifications;PTMs)細胞の生理的活動の変化による生体化学反応の変化N型糖鎖分析(glycoforms)、IEF, SDS-PAGE, SEC, AUC, ESI-MS, Freeチオール、ペプチドマッピング
    精製方法、条件重合体(aggregates), 分解物(fragments), 2本作が1本作ずつに乖離(dissociation)など, variants, 不純物(Impurity level)成分の変化による相対的なインタラクションの変化SEC, AUC, SDS-PAGE, IEX, ESI-MS, oligosaccharide
    UF/DF, buffer, timeaggregates, fragments, dissociation, conformation, activity濃度の変化やシェアストレス、Donnan-Effectによるバッファ組成の変化CD, peptic mapping(MS/MS), Cell Based Assay

    Comparability Protocols for Human Drugs and Biologics: Chemistry, Manufacturing, and Controls Information, Guidance for Industry, DRAFT GUIDANCE (2016), 24 page/all

    https://www.fda.gov/files/drugs/published/Comparability-Protocols-for-Human-Drugs-and-Biologics–Chemistry–Manufacturing–and-Controls-Information-Guidance-for-Industry.pdf

    ICH Topic Q5E

    Comparability of Biotechnological/Biological Products, Step 5 (2005), CPMP/ICH/5721/03

    https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/ich-q-5-e-comparability-biotechnological/biological-products-step-5_en.pdf

    ICH Topic Q5Eの解説 – Brigitte Brake BfArM Germany – @2011 ICH, International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use

    https://admin.ich.org/sites/default/files/inline-files/SESSION_II_ICH_Q5E_Comparability.pdf

    pmdaサイトにあるQ5Eの文書「生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品/生物起源由来医薬品)の製造工程の変更にともうなう同等性/同室性評価について」

    https://www.pmda.go.jp/files/000156276.pdf

    編集履歴

    2020/02/02, Mr. HARIKIRI
    2021/04/17 追記(表1に項目「原因」を追加)
    2021/08/16,文言整備
    2021/08/27,追記(開発ステージ関連の記載)
    2024/06/21,追記(CoPilotの解釈)
  • [Bio-Process] 原薬の超低温保管 ID9640 [2020/02/02]

    [Bio-Process] 原薬の超低温保管 ID9640 [2020/02/02]

    原薬の保管

    バイオロジクス精製原薬を長期保存するには、除菌ろ過フィルターでろ過、ガス透過性が低いHDPE製のプラスチックボトルに小分け分注(aliquot)し、長期保存も考慮して超低温冷凍庫にて凍結保管する。

    ロジスティック戦略

    従来のバイオロジクスとシンモダリティのAAV Vectorについて個別に解説する。

    • 従来のバイオロジクス
    • AAV Vector

    従来のバイオロジクスのケース

    従来のバイオロジクスである抗体医薬などでは、超低温冷凍庫による保管の期間として3年程度を設定される。

    保管されている原薬は、その期間内で製剤化され製品化される。製品化された製剤は、病院での使用前保管を前提に、一般的に液状での保管となり、3年程度の期間の保証がされる。

    AAV Vectorのケース (私案)

    新モダリティのAAV Vectorに関しては、市販されている製品が一桁と少ないため、そのベストプラクティスのロジスティック戦略を実績を含め示すことは難しい。

    ここでは、私が考えるロジスティック戦略について思案を示す。

    前提

    • 遺伝子治療は、即時的な治療が必要な疾患でない場合がほとんどであること
    • 投与する薬剤の実行ボリュームは、従来のバイオロジクスと比較して少ないこと
    • 患者数が少ないこと
    • 1回に原薬製造で、数百人の治療に使用可能な原薬が取得可能であること

    AAV Vectorのロジスティック戦略

    • AAV Vectorの製造で得られる原薬と製剤はサイト移動がない一貫製造とする
    • 原薬の保存期間は最長でも半年とすることで、開発期間の効率化を図る
    • 製剤の保存期間を数十年、少なくとも10年を目標にデータを取得し、AAV Vectorの製造数を最大限抑える

    その結果、達成できること

    • 一回製造すれば、数十年少なくとも10年は、得られた原薬を廃棄することなく有効に治療へ供給できる
    • 遺伝子治療は、その患者数が少なく必要な製品数は多くを必要としない。製造メーカーの損益分岐点を低くすることができる

    GORE(R) STA-PURE(TM) Flexible Freeze Container

    https://www.gore.com/products/gore-sta-pure-flexible-freeze-container

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  • [Bio-Process] Sterile Filtration – ID8462

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    Bio-Equipment

    • 精製ステップ毎のbioburden管理
    • 原薬の除菌ろ過

    Sartorius Stedium

    Pioneering Sterile Filtration
  • [Bio-Process] UF/DF for buffer exchange – タンパク質溶液の緩衝液組成の変更 – ID8458 [2020/02/02]

    [Bio-Process] UF/DF for buffer exchange – タンパク質溶液の緩衝液組成の変更 – ID8458 [2020/02/02]

    抗体

    抗体の精製の場合、バッファ組成を調整しないで次工程に進むことも多い

    rAAV

    次工程のAffinityクロマトグラフィにロードするために緩衝液の組成を調整すると共に、溶液体積の縮小化を行う

    rAAVは、分子量~1,000kDaと想定される。したがってTFF膜のサイズは、それ以下で良いが、製品ラインナップとしては、分子量カット100kDa若しくは300kDaがあるので、状況に合わせて使用する。

    平膜のTFFではなく、フォローファイバーのTFFでは、分子量カットのラインナップは、平膜より多いため、合わせて使用を検討する。

    最終工程の緩衝液置換では、以下の要件に合う組成に置換する

    • 安定な最大濃度
    • 安定なpH
    • 安定な電気伝導度
    • 安定になる最小限度の添加物

    TFF Systemは、PallのAllegro System (3/8インチ)

    Allegro, Pall

    https://biotech.pall.jp/jp/ja/tangential-flow-filtration.html
    編集履歴
    2020/02/02 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Process] Virus Reduction Filtration – ウイルス除去膜 – ID8631 [2020/02/02]

    [Bio-Process] Virus Reduction Filtration – ウイルス除去膜 – ID8631 [2020/02/02]

    Bio-Process

    Virus Reduction Filtration

    (ウイルス除去膜)

    ウイルス除去をフィルターろ過で実現できることを最初に実用化したのは、AsahiKASEIです。

    その先駆者として、現在もなおバイオCMOで使用されている。

    ステップ

    ウイルス除去膜工程は、殆どの場合、下流工程じ実施される。

    抗体医薬の場合、通常実施される工程である。

    rAAV

    rAAV製造において、その必要性があるかは不明であるが、小さいrAAV(20nmφ)より大きないウイルスを除去する目的で、実施する意義はあると思われる。

    運転

    80L/m2

    Planova™ 15N、20N、35N ウイルス除去フィルター

    https://planova.ak-bio.com/jp/products_services/virus-removal/planova-n/

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  • [Bio-Process] Affinity & Polishing chromatography – 抗体の精製 [2021/10/30]

    [Bio-Process] Affinity & Polishing chromatography – 抗体の精製 [2021/10/30]

    ID8453

    Bio-Process-Chromatography

    タンパク質精製の基本であるクロマトグラフィーには、以下のモードがある。

    抗体の精製では、長い歴史があり精製プラットフォームが完成しているため、使用するカラムの種類とその順序は検討する必要は通常ない。それぞれのクロマトの条件についても、検討範囲はある程度狭く限定するとが可能である。

    • Affinity chromatography
      • 抗体のどの部位に結合するかで、以下の3種類のタンパク質が知られている。フルレングスのIgGの場合は、Protein Aが使用される。Fc領域と親和性が高く結合する。
      • Fc領域を持たないデザインの抗体ではProtein Aは使用できない。Fc領域ではない領域と結合するProtein GやProtein Lが使用できる。
      • Protein A
      • Protein G
      • Protein L
    • IEX (Ion Exchange Chromatography)
      • 抗体の精製には、一般的な精製用の担体を用いたクロマトです。Anionは、Endotoxinやウイルスなどの吸着除去の機能を期待して使用されます。Cationは、抗体の分解物や重合体の分離を期待して使用されます。
      • Anion Exchange Chromatography
      • Cation Exchange Chromatography
    • HIC (Hydrophobic Interaction Chromatography)
      • HICは、疎水性の強弱で分離するクロマトに使用します。イオン交換クロマトで十分な精製ができない場合に使用を検討します。
      • Phenyl
      • Butyl
    • HA (Hydroxyapatite)
      • HAはマルチモーダルな特性があり、イオン交換クロマトで十分な精製ができない場合に使用を検討します。塩濃度、pH、リン酸濃度などの条件を詳細に設定することができれば、効果的な精製を可能にします。

    Protein A Column chromatography

    抗体を産生株した培養液は、清澄ろ過してから、Protein AカラムによるBinding/Elutionモードで抗体のアフィニティ精製を行う。

    注意しなければならないこと

    • 電気泳動では、抗体の染色バンドのみが確認できるので、精製度は高いと思われがちであるが注意が必要
    • HCP、HCDは多量に含まれている。そのような理由から、精製とは呼びにくく、キャプチャリング(capturing)工程と呼ばれる
    • 次工程として、少なくとも、ハイドロキシアパタイトやAEXを実施すべきである。

    AAV (rAAV)の精製においても、抗体の精製プラットフォームに従うように、レジンの開発が勧められており、Affinity resinの市販品も既に存在する。

    • Anti AAV antibody
      • Cytiva製
      • ThermoFisher製

    Mobius® FlexReady Solutions

    https://www.merckmillipore.com/JP/ja/Mobius-Single-Use-Manufacturing/Mobius-FlexReady-Solutions/EcGb.qB.e04AAAFZUuNiYtcV,nav

    Single-use for Downstream, GE Healthcare –

    https://www.gelifesciences.com/en/us/solutions/bioprocessing/products-and-solutions/downstream-bioprocessing/single-use-for-downstream

    編集履歴

    2020/02/02, Mr. Harikiri
    2021/10/30, 追記(レジンに期待する機能など)

  • [Bio-Process] UF/DF for chromatography – 溶液組成の置換と目的物の濃縮/膜の選定に関する考慮点 – [2021/01/05]

    [Bio-Process] UF/DF for chromatography – 溶液組成の置換と目的物の濃縮/膜の選定に関する考慮点 – [2021/01/05]

    ID8446

    UF/DF工程

    UF/DF工程は、Ultrafilterを用いたUltrafiltration/Diafiltration工程です。具体的には、目的物質の濃縮と緩衝液組成の置換です。UltrafilterすなわちUF膜は、分子量の差を利用して分子集団を分画することを目的としており、そのためには、目的のタンパク質の分子量に応じたサイズを選択できる。しかし、厳密には、分子量のみでUF膜を選択できることは稀れです。UF膜の素材の物理的特性と目的タンパク質や不純物などのタンパク質の物理特性に影響をうけるためです。その物理特性に影響できるのが緩衝液のpH, 伝導度などです。

    UF/DF工程の組込み目的は、次工程の目的によって異なります。例えば、次の工程がクロマトグラフィーである場合は、ロードに適する組成に置換することが、UF/DF工程の処理目的となる。最終的なサンプル組成を目的としている場合は、組成の置換と目的タンパク質の濃度調整も処理目的となる。

    UF/DF実施の考慮点

    • 抗体では、30kDa~50kDaの分子量カットのものを使用する
    • AAV Vectorの場合は、理論分子量が1,000kDaであるため、それより小さい500kDaで濃縮できるはずだが、メーカーや製品によるバラつきもあり、漏れる量に違いが生じる。できるだけ漏れを少なくするには、100kDaの膜サイズを使用する。また、バッファ組成によっては、「漏れ率」が変化するため、予備検討が必要である。以下に示したTMPやCross Flow Rateによっても、漏れ率は異なるため、条件設定には、十分に理解して検討を進める。
    • TMPの設定
      • 膜システムの出と入の圧力差の設定
      • システムの配管口径に依存する
        • 高濃度のタンパク質では、極端に配管口径が小さい場合、TMPを標準に設定できたとしても、Cross Flow Rateが適切に設定できない場合がある
    • Cross Flow Rateの設定
      • 膜付近で濃縮されたタンパク質を洗い流す効果を効率的に設定する必要がある
      • システムの配管口径に依存する
        • 高濃度のタンパク質では、システム口径は、出来る限り最大化を目指す
      • 膜面積当たりのポンプ流速 (L/m2)
    • メーカーの違い
      • Pall
      • Merck Millipore
      • Cytiva
      • Nova
      • etc.
    • 処理する目的物の組成の違い
      • pH
      • 伝導度 (塩濃度、塩の種類、etc)
    • UF膜の材質の違い
      • PES
      • 再生セルロース
    • 処理温度
      • 室温(18-24℃)
      • 15℃
      • 4℃
    • 構造
      • 平膜
      • ホローファイバー

    編集履歴

    2020/02/02 Mr.Harikiri
    2021/01/05 文言整備、追記(漏れ率、条件設定における考慮するポイントなど)

    Pallの製品

    日本ポール

    https://www.pall.jp

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