概要
リコンビナントAAV(rAAV)の大規模精製方法に関する方法特許(Method Patent)です.
精製のためのスタート原材料は,rAAVを発現した細胞培養上清です.
精製ステップは,2段のクロマトグラフィーになっています.1段目には,高い塩濃度で吸着が可能な疎水クロマト,2段目には,低塩濃度で吸着が可能な陰イオンクロマトです.
以上のステップにより,目的遺伝子を包含していな不要なウイルス粒子を効率的に除去可能であるとしています.
rAAV9の精製条件
当該特許は、現時点では「国際調査報告公開」です。
特徴的なのは、pH10.2を採用していることです。タンパク質にとってpH8以上のアルカリ性は、タンパク質に良い条件ではありません。それと、システイン残基のSS結合が緩むのが、pH8から上のpHです。それをpH10.2を使っているのは、それでしか精製できないからでしょう。ある程度のタンパク質の劣化を許容しているということですが,劣化も精製度もコントロールできるのであれば,品質上問題ではありません.ただし,その結果が効力や副作用などに影響する場合は,投与の仕方を工夫する必要性が生じるでしょうか,それも臨床試験で確認していけばいよのです(Mr.Harikir, 2020/10/01)
- Buffer A: 20mM Bis-Tris propane (BTP), pH10.2
- washing: 10mM NaCl, 20mM BTP, pH10.2
- gradient: 10mM to 190mM NaCl
- correct rAAV9 by A260/A280 ratio monitoring
クレーム
- AAV9の分離方法.pH10.2条件下の陰イオン交換クロマトグラフィーに吸着し、塩濃度勾配で溶出させA260とA280でモニタリングし、A280/A280の比率でAAV9 full capsideを回収
- A260/A280比が1未満から1以上になる
- 溶出ピークにおける伝導度が20mMから190mN NaCl相当となる
- AAV9中間体は50nM(50mMばはないのか、typo? 各所み見られる) NaCl相当で溶出する
- 不純物が10%未満
- 純度は少なくとも95%
- many more
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文献
特許
WO 2017/160360 A9, SCALABLE PURIFICATION METHOD FOR AAV9
https://patents.google.com/patent/WO2017160360A9/en
編集履歴
2019/10/15 Mr.HARIKIRI 2020/10/01 追記(pH10.2について) 2023/10/23 追記(pH10でウイルスの品質に影響はあるだろうが,開発段階では問題にせずに,先に進むのが良い) 2023/10/24 追記(概要)