[rAAV] rAAVベクターの特異的精製法:AVB Sepharoseアフィニティ精製(2009年事例) – ID2461 [2019/09/28]

AAV

1. はじめに(背景・目的)

組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV: recombinant AAV)は、遺伝子治療の遺伝子デリバリー・ベクターとして広く利用されています。rAAV精製では、不純物を効果的に除去しつつ、高純度・高収量のウイルス粒子を得ることが重要です。一般的な陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィー法はウイルス以外の負荷不純物も同時に吸着するため、特異的結合能を持つ精製基材を用いた手法が求められています。


2. AVB Sepharoseとは

AVB Sepharoseは、AAVカプシドに対して特異的に結合するリガンドを固定化したアフィニティクロマトグラフィー樹脂です。特異的吸着により、AAV粒子を選択的に保持し、他のタンパク質や不純物を効率的に除去できます。

※ AVB は「AAV Binding」(AAV結合)の略称で、AAV複数血清型に対して結合性を示す設計です。 


3. 精製プロトコール(2009年事例)

以下は、昆虫細胞(Sf9)のバキュロウイルス系発現で作製したrAAVを対象とした1ステップ精製法の概略です。

  1. Sf9細胞(10^8細胞)をバキュロウイルスで感染(1時間)
  2. 約3日間培養後、培養液から細胞を回収
  3. 細胞を破砕し、抽出液を回収
  4. Benzonase処理により未組み立てDNAを分解
  5. AVB Sepharose High Performance カラムを用いてアフィニティ精製
  6. 洗浄:PBS(pH 7.4)
  7. 溶出:低pH グリシン-HCl(pH 2.7)
  8. 溶出画分のウイルス粒子濃度:1.7 × 10^13 particles/mL
  9. SDS-PAGE による純度評価:>90%(VP1/VP2/VP3の主要バンド確認) 

4. 実験評価

  • 収量:1セル当たり約3.7 × 10^4 ~ 9.6 × 10^4 nuclease抵抗性粒子が得られた
  • 純度:主要キャプシドタンパク質(VP1/VP2/VP3)がSDS-PAGEで主要画分として検出され、相対的な不純物低減が示唆される 

5. 考察(補足)

  1. AVB Sepharoseは血清型やベクター設計により結合効率が変動する可能性があるため、対象rAAV血清型への適合評価が必要です。
  2. 低pH溶出はCapsid安定性に影響することがあるため、pH緩衝条件最適化やpHショック対策が推奨されます。
  3. 遺伝子治療用製剤レベルでの精製では、GMP対応やフル/エンプティ粒子分離など追加開発が必要です。 


Abbreviations: NRP, nuclease-resistant paticle; TU, transduction unit.

文献

A Simplified Baculovirus-AAV Expression Vector System Coupled With One-step Affinity Purification Yields High-titer rAAV Stocks From Insect

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1525001616308000

編集履歴

2019/09/28, Mr.Harikiri
2022/01/12,追記(はじめに)
2023/10/25,文言整備
2026/02/10, 文言整備