GMP省令
GMP省令は、承認事項の遵守、医薬品品質システム、品質リスクマネジメント、製造部門・品質部門、製品標準書、手順書、構造設備、製造管理、品質管理、安定性モニタリング、製品品質照査、供給者管理、外部委託業者管理、出荷管理、バリデーション、変更管理、逸脱管理、品質情報、回収、自己点検、教育訓練、文書・記録管理などを規定しています。改正GMP省令の施行通知でも、これらの条文ごとに運用上の考え方が示されています。
改正GMP省令の施行通知では、製造指図書に基づかない製造作業は第10条第3号関係で明確に問題視され、製造記録の作成・保管は第10条第4号関係、文書・記録の信頼性確保は第20条第2項関係で説明されています。
また、変更管理は第14条、逸脱管理は第15条として、影響評価、QA承認、製造販売業者への連絡、CAPA、記録作成・保管が求められます。
| 事例 | 抵触・関連するGMP省令 | 補足 |
|---|---|---|
| 正規の製造指図に基づかない製造(記録なし) | 10条1号、2号、3号、4号、20条2項 | 「世紀」は「正規」の誤記と考えられる。製造指図書・製造記録・記録信頼性の問題。 |
| 追加発行した指図書のバックデートによる発行日付与 | 10条1号、20条1項1号・2号、20条2項 | 文書の作成日・承認日・改訂履歴・記録の正確性に抵触する可能性。 |
| 逸脱管理、変更管理の未実施 | 14条、15条、20条2項 | 変更か逸脱かを切り分けず、影響評価・QA確認・CAPAを行わない状態。 |
| 品質保証部門による適切な出荷可否判断が不可能な状況 | 12条、11条1項8号、20条2項 | 試験判定、製造記録、逸脱・変更・品質情報が揃わないと出荷判定できない。 |
| 虚偽報告によりマネジメントレビューが機能しない状況 | 3条の3、11条の3、15条、18条、20条2項 | 「3条1項」だけでは弱い。PQS、製品品質照査、自己点検、記録信頼性の問題として整理するのがよい。 |
| 製造記録を後日まとめて作成し、実作業時の記録として扱う | 10条4号、20条2項 | 同時記録性・正確性・欠落防止の観点で問題。 |
| 原料ロット番号、秤量値、作業時刻などを実測値ではなく推定値で記録する | 10条4号、20条2項 | 製造記録の正確性・一貫性に関わる重大なDI不備。 |
| 製造指図書と異なる手順で作業したが、逸脱として記録しない | 10条3号、15条、20条2項 | 指図書からの逸脱は逸脱管理が必要。 |
| 承認書と異なる製造方法・工程条件で製造を継続する | 3条の2、10条、14条、15条 | 承認事項遵守、変更管理、逸脱管理の問題。薬事手続き要否の確認も必要。 |
| 原料・資材の供給者をQA評価なしに変更する | 11条の4、14条 | 供給者の適格性評価、変更管理、必要に応じたバリデーションが必要。 |
| 外部試験機関へ試験を委託しているが、品質取決め・定期確認がない | 11条の5、11条1項4号、20条2項 | 外部委託業者管理、試験記録、結果伝達の管理不備。 |
| OOS結果を無効化し、原因究明なしに再試験結果のみで合格扱いする | 11条1項8号、15条、20条2項 | OOS原因究明、CAPA、記録信頼性の問題。 |
| 工程内管理値を外れたが、製品試験が合格したため記録・評価しない | 10条4号、15条、11条の3 | 工程管理値逸脱として影響調査が必要。PQR/APRにも影響。 |
| 変更後の設備・手順で製造したが、変更後評価を実施していない | 14条2項、13条、20条2項 | 変更後の品質影響再確認、必要時バリデーションが必要。 |
| 清掃記録が未作成、または実施前に清掃済みとして記録する | 10条7号、20条2項、8条1項 | 設備清浄確認、記録信頼性、衛生管理手順の問題。 |
| 校正期限切れの計器を使用して試験・工程管理を実施する | 10条9号、11条1項7号、15条 | 製造計器・試験計器の校正不備。影響評価が必要。 |
| 教育訓練未実施の作業者にGMP作業を行わせる | 6条、19条 | 職員の責任・権限、必要な教育訓練の未実施。 |
| 教育訓練記録を実施していないのに実施済みとして作成する | 19条、20条2項 | 教育訓練の実効性以前に、記録の真正性に関わる。 |
| 自己点検で不備を把握しているが、報告・是正しない | 18条、20条2項 | 自己点検結果の報告、記録、改善措置が必要。 |
| 品質情報・苦情を受けたが、原因究明・QA報告をしない | 16条、20条2項 | 品質情報、品質不良等の処理不備。 |
| 回収対象品または不適合品を識別・区分せず通常品と同じ場所に保管する | 17条、10条6号 | 不適品・回収品の区分保管、処理記録の不備。 |
| 参考品・保存品を規定数量・条件で保管していない | 11条1項5号・6号、21条、28条 | 製品区分により条文が変わる。最終製品、原薬、生物由来等で要確認。 |
| 安定性モニタリングで悪化傾向があるのに評価・連絡しない | 11条の2、21条の2、16条 | OOSまたはOOSのおそれがある場合、評価・措置・製販連絡が必要。 |
| 製品品質照査を実施していない、または逸脱・OOS・変更を照査対象に含めない | 11条の3 | 製造工程・規格の妥当性を定期的または随時に検証する必要。 |
| 二重記録、裏マニュアル、正式手順書と異なる現場メモで運用する | 8条、20条2項、3条の3 | 施行通知でも「裏マニュアル、二重記録等」は不正な文書・記録として明確に問題視される。 |
| 電子記録の監査証跡を確認せず、削除・上書き可能な状態で運用する | 20条2項 | 記録の欠落防止、正確性、一貫性、改変防止の問題。 |
| バックアップがなく、記録の消失・読取不能が発生しても復元できない | 20条2項1号 | 保管期間満了まで欠落がないよう継続管理が必要。 |
| 製造所からの出荷可否決定前に通常出荷する | 12条、11条1項8号 | 原則として適正な出荷可否決定前に出荷してはならない。 |
| 重大逸脱の可能性があるのに製造販売業者へ連絡しない | 15条1項2号、14条、16条 | 製品品質または承認事項への影響がある場合、製販への連絡が必要。 |
| バリデーション未実施または不合格の工程を商用製造に使用する | 13条、14条、15条 | 新規製造、品質に大きな影響を及ぼす変更、OOS等ではバリデーション要否評価が必要。 |
この表は「抵触可能性のある条文」を整理したもので、実際の行政判断では、品目区分、製造段階、承認書記載、GQP取決め、当該記録の位置づけ、意図性、品質影響、患者リスクにより評価が変わります。特に「違反」「行政処分相当」と断定する場合は、薬事・GMP監査の専門家に確認が必要です。
【出典】
- 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(e-Gov法令検索)
- 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(厚生労働省・令和3年4月28日)
- GMP事例集(2022年版)について(厚生労働省・令和4年4月28日)