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先ずは
「GMP省令 条文別の記載概要表」 で条文を確認します. 下表は、第1条〜第31条 を対象にまとめます。第32条以降は医薬部外品の章なので、ここでは除外しています.
GMP省令の構成は、第一章が総則、第二章が医薬品製造業者等の製造所における製造管理及び品質管理であり、第二章は「通則」「原薬たる医薬品」「無菌医薬品」「生物由来医薬品等」「雑則」に分かれています。
また、第20条は「文書及び記録の管理」であり、保管期間だけでなく、記録の欠落防止、正確性、不整合防止、CAPA、記録信頼性確保も含む条文です。
条文 見出し・対象 記載概要 事例で見る観点 第1条 趣旨 GMP省令が、医薬品・医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準を定める省令であることを示す。 個別事例の直接条文にはなりにくいが、省令全体の根拠。 第2条 定義 製品、最終製品、資材、ロット、参考品、保存品、リテスト日、PQS、QRM、安定性モニタリング、バリデーション、CAPA等を定義する。 事例中の用語解釈の基礎。特にロット、参考品、保存品、リテスト日、CAPAの理解に重要。 第3条 適用の範囲 医薬品は第二章、医薬部外品は第三章に基づき、製造所で製造管理・品質管理を行うことを定める。 医薬品と医薬部外品で適用条文を分ける根拠。 第3条の2 承認事項の遵守 承認を受けた事項に従って製造しなければならないことを定める。 承認書と実態の相違、無届け変更、承認外製法など。 第3条の3 医薬品品質システム 品質方針、品質目標、資源配分、PQS照査、記録作成・保管などを求める。 経営層レビュー不全、品質目標未設定、重大問題が上層部に伝わらない事例。 第3条の4 品質リスクマネジメント 品質リスクの特定、評価、管理を継続的に行うことを求める。 交叉汚染、供給者変更、工程変更、洗浄、設備共用のリスク未評価。 第4条 製造部門及び品質部門 製造部門と品質部門を置き、品質部門は製造部門から独立していなければならない。 QAが製造部門に従属している、品質部門が出荷判定を実質的にできない事例。 第5条 製造管理者 製造・品質関連業務の統括、PQS運用確認、承認事項との相違防止、重大品質問題への措置確認を定める。 製造管理者が品質問題を把握していない、改善指示をしていない事例。 第6条 職員 責任者の配置、必要人数の確保、職員の責務・管理体制の文書化を求める。 人員不足、権限不明確、未経験者への重要業務割当て。 第7条 医薬品製品標準書 製造方法、規格、試験方法、薬事法令上の品質事項、製造手順等を製品ごと・製造所ごとに定める。 製品標準書が承認書や現場実態と一致しない事例。 第8条 手順書等 衛生管理、製造管理、品質管理、安定性、PQR、供給者、外部委託、出荷、バリデーション、変更、逸脱、品質情報、回収、自己点検、教育訓練、文書記録管理などの手順書を求める。 SOP未整備、裏マニュアル運用、手順書と実作業の不一致。 第8条の2 交叉汚染の防止 医薬品に係る製品の交叉汚染を防止するため、製造手順等に必要な措置を求める。 設備共用時の洗浄評価不足、高活性品の混入リスク未評価。 第9条 構造設備 製造所の構造設備、清掃・保守、汚染防止、空調、専用化、水供給等を定める。 設備劣化、清掃困難、動線不良、混同・汚染リスクのある構造。 第10条 製造管理 製造指図書、製造指図に基づく作業、製造記録、原料・資材・製品管理、清浄確認、衛生管理、点検整備、校正等を定める。 指図書なし製造、製造記録未作成、秤量値未記録、校正期限切れ計器の使用。 第11条 品質管理 試験検査、検体採取、試験記録、参考品・保存品、試験設備、標準品・試薬等の管理、試験結果判定などを定める。 OOS処理不備、試験記録不備、参考品不足、試験判定根拠不明。 第11条の2 安定性モニタリング 最終製品について、保管中の品質が有効期間を通じて規格に適合するかを継続確認する。 安定性試験未実施、悪化傾向の未評価、規格外傾向の放置。 第11条の3 製品品質の照査 製造工程や品質管理の妥当性・有効性を定期的または随時に照査する。 年次照査が形式的、逸脱・変更・OOS・苦情・回収を照査対象に含めない事例。 第11条の4 原料等の供給者の管理 原料・資材の供給者を品質部門が評価し、必要な取決めや確認を行う。 未評価供給者の使用、供給者変更時の影響評価なし。 第11条の5 外部委託業者の管理 試験検査、保管、その他製造・品質関連業務を委託する外部業者の管理を定める。 外部試験機関との品質取決めなし、委託範囲・記録責任が不明。 第12条 製造所からの出荷の管理 品質部門が、製造記録・試験記録等を確認し、製造所からの出荷可否を決定する。 QA判定前出荷、記録未確認での出荷、逸脱未完了ロットの出荷。 第13条 バリデーション 構造設備、手順、工程、製造管理・品質管理方法が期待される結果を与えることを検証し、文書化する。 重要工程変更後のPV未実施、洗浄バリデーション不足、設備適格性未確認。 第14条 変更の管理 製造方法、設備、原料、資材、試験方法、手順等の変更について、品質影響評価、承認、必要な措置を行う。 変更管理なしで供給者変更、工程条件変更、試験方法変更を行う事例。 第15条 逸脱の管理 製造手順等からの逸脱を記録し、品質影響評価、原因究明、CAPAを行う。 工程管理値逸脱、手順外作業、OOSを逸脱として扱わない事例。 第16条 品質情報及び品質不良等の処理 苦情、品質情報、品質不良等を処理し、原因究明、必要な措置、記録作成を行う。 苦情放置、異物混入情報の未調査、製販への連絡不足。 第17条 回収等の処理 回収品、不適合品等の区分、保管、処理、記録を定める。 回収対象品を通常品と混在、回収範囲不明、廃棄記録なし。 第18条 自己点検 製造・品質関連業務を定期的に自己点検し、結果報告、記録、必要な改善を行う。 自己点検未実施、指摘事項の是正未完了、改善確認なし。 第19条 教育訓練 製造・品質関連業務に従事する職員への教育訓練、報告、記録、実効性評価を定める。 教育未実施者の作業、教育記録の後付け、教育効果未確認。 第20条 文書及び記録の管理 文書の承認・配付・保管、改訂履歴、保管期間、記録の欠落防止・正確性・整合性・信頼性確保を定める。 保管期間前廃棄、バックデート、二重記録、電子記録削除、記録不整合。 第21条 原薬たる医薬品の品質管理 原薬について、所定試験に必要な量の2倍以上を参考品として、リテスト日または有効期間等に応じて保管する。 原薬参考品不足、リテスト日まで保管していない事例。 第21条の2 原薬たる医薬品の安定性モニタリング 原薬について、品質リスクに基づき安定性モニタリング対象、検体、試験項目、試験間隔、結果評価を定める。 原薬の安定性モニタリング未実施、リテスト日根拠不足。 第22条 原薬たる医薬品の文書及び記録の保管 原薬の文書・記録について、リテスト日や出荷完了日からの期間を考慮した保管を求める。 原薬記録をリテスト日前に廃棄、出荷完了日から3年未満で廃棄。 第23条 無菌医薬品の製造所の構造設備 無菌医薬品の製造に必要な清浄区域・無菌区域、滅菌装置、清浄空気、差圧管理、水設備等を定める。 無菌区域の差圧不備、HEPA管理不備、非無菌作業との区分不足。 第24条 無菌医薬品の製造管理 清浄度管理、微生物管理、無菌性保証に重要な工程管理、製造用水管理、更衣・入退室管理を定める。 環境モニタリング不備、無菌充填中の汚染防止不足、製造用水管理値逸脱の放置。 第25条 無菌医薬品の教育訓練 無菌医薬品の製造・試験に必要な衛生管理、微生物学、汚染防止に関する教育訓練を求める。 無菌操作未教育者の充填作業、ガウンニング訓練なし。 第25条の2 生物由来医薬品等の製品標準書 生物由来原料、使用動物、細胞・組織、ドナー関連事項などを製品標準書に記載することを求める。 生物由来原料の由来・規格・管理方法が製品標準書にない事例。 第26条 生物由来医薬品等の製造所の構造設備 生物由来医薬品等の特性に応じ、汚染・混同・交叉汚染を防ぐ構造設備を求める。 微生物培養区域と他工程の区分不足、病原体取扱区域の管理不備。 第27条 生物由来医薬品等の製造管理 生物由来原料、使用動物、微生物株、発酵、不活化・除去、細胞・組織、ドナー情報等の製造管理を定める。 不活化前後の混同、ドナー情報未確認、生物由来原料記録の未保管。 第28条 生物由来医薬品等の品質管理 参考品、検体、工程段階試験、使用動物管理、微生物株管理、細胞組織医薬品の試験等を定める。 特定生物由来医薬品の参考品不足、工程内試験未実施、微生物株履歴不明。 第29条 生物由来医薬品等の教育訓練 生物由来医薬品等に必要な微生物学、医学、獣医学、病原体汚染防止等の教育訓練を求める。 バイオハザード教育未実施、ドナー由来リスク教育不足。 第30条 生物由来医薬品等の文書及び記録の保管 特定生物由来医薬品、人血液由来製品、その他生物由来医薬品、細胞組織医薬品について長期記録保管を定める。 特定生物由来医薬品の記録を有効期間+30年未満で廃棄する事例。 第31条 雑則・記録の保管の特例 生物由来医薬品等に関する記録保管について、特別な扱いを定める。 指定された記録を所定期間保管していない事例。
この表は、医薬品側の事例集を作るための早見表 です。医薬部外品は含まれません。GMP省令の目次上も、第32条〜第48条が医薬部外品の通則、第49条・第50条が医薬部外品用原薬、第51条〜第53条が無菌医薬部外品として分けられています。
また、実際の監査指摘では、1つの事例が1条文だけに対応するとは限りません。たとえば「バックデート」は第20条だけでなく、製造記録なら第10条、試験記録なら第11条、逸脱隠しなら第15条、PQS不全なら第3条の3にも関係します。
【出典】
個別事例を「抵触」と断定する場合は、品目区分、製造段階、承認書、SOP、GQP取決め、品質影響、意図性によって評価が変わるため、実際の監査指摘文・行政対応文書に使う場合はGMP・薬事の専門家に確認が必要です。
GMP省令
GMP省令は、承認事項の遵守、医薬品品質システム、品質リスクマネジメント、製造部門・品質部門、製品標準書、手順書、構造設備、製造管理、品質管理、安定性モニタリング、製品品質照査、供給者管理、外部委託業者管理、出荷管理、バリデーション、変更管理、逸脱管理、品質情報、回収、自己点検、教育訓練、文書・記録管理などを規定しています。改正GMP省令の施行通知でも、これらの条文ごとに運用上の考え方が示されています。
改正GMP省令の施行通知では、製造指図書に基づかない製造作業は第10条第3号関係で明確に問題視され、製造記録の作成・保管は第10条第4号関係、文書・記録の信頼性確保は第20条第2項関係で説明されています。
また、変更管理は第14条、逸脱管理は第15条として、影響評価、QA承認、製造販売業者への連絡、CAPA、記録作成・保管が求められます。
事例 抵触・関連するGMP省令 補足 正規の製造指図に基づかない製造(記録なし) 10条1号、2号、3号、4号、20条2項 「世紀」は「正規」の誤記と考えられる。製造指図書・製造記録・記録信頼性の問題。 追加発行した指図書のバックデートによる発行日付与 10条1号、20条1項1号・2号、20条2項 文書の作成日・承認日・改訂履歴・記録の正確性に抵触する可能性。 逸脱管理、変更管理の未実施 14条、15条、20条2項 変更か逸脱かを切り分けず、影響評価・QA確認・CAPAを行わない状態。 品質保証部門による適切な出荷可否判断が不可能な状況 12条、11条1項8号、20条2項 試験判定、製造記録、逸脱・変更・品質情報が揃わないと出荷判定できない。 虚偽報告によりマネジメントレビューが機能しない状況 3条の3、11条の3、15条、18条、20条2項 「3条1項」だけでは弱い。PQS、製品品質照査、自己点検、記録信頼性の問題として整理するのがよい。 製造記録を後日まとめて作成し、実作業時の記録として扱う 10条4号、20条2項 同時記録性・正確性・欠落防止の観点で問題。 原料ロット番号、秤量値、作業時刻などを実測値ではなく推定値で記録する 10条4号、20条2項 製造記録の正確性・一貫性に関わる重大なDI不備。 製造指図書と異なる手順で作業したが、逸脱として記録しない 10条3号、15条、20条2項 指図書からの逸脱は逸脱管理が必要。 承認書と異なる製造方法・工程条件で製造を継続する 3条の2、10条、14条、15条 承認事項遵守、変更管理、逸脱管理の問題。薬事手続き要否の確認も必要。 原料・資材の供給者をQA評価なしに変更する 11条の4、14条 供給者の適格性評価、変更管理、必要に応じたバリデーションが必要。 外部試験機関へ試験を委託しているが、品質取決め・定期確認がない 11条の5、11条1項4号、20条2項 外部委託業者管理、試験記録、結果伝達の管理不備。 OOS結果を無効化し、原因究明なしに再試験結果のみで合格扱いする 11条1項8号、15条、20条2項 OOS原因究明、CAPA、記録信頼性の問題。 工程内管理値を外れたが、製品試験が合格したため記録・評価しない 10条4号、15条、11条の3 工程管理値逸脱として影響調査が必要。PQR/APRにも影響。 変更後の設備・手順で製造したが、変更後評価を実施していない 14条2項、13条、20条2項 変更後の品質影響再確認、必要時バリデーションが必要。 清掃記録が未作成、または実施前に清掃済みとして記録する 10条7号、20条2項、8条1項 設備清浄確認、記録信頼性、衛生管理手順の問題。 校正期限切れの計器を使用して試験・工程管理を実施する 10条9号、11条1項7号、15条 製造計器・試験計器の校正不備。影響評価が必要。 教育訓練未実施の作業者にGMP作業を行わせる 6条、19条 職員の責任・権限、必要な教育訓練の未実施。 教育訓練記録を実施していないのに実施済みとして作成する 19条、20条2項 教育訓練の実効性以前に、記録の真正性に関わる。 自己点検で不備を把握しているが、報告・是正しない 18条、20条2項 自己点検結果の報告、記録、改善措置が必要。 品質情報・苦情を受けたが、原因究明・QA報告をしない 16条、20条2項 品質情報、品質不良等の処理不備。 回収対象品または不適合品を識別・区分せず通常品と同じ場所に保管する 17条、10条6号 不適品・回収品の区分保管、処理記録の不備。 参考品・保存品を規定数量・条件で保管していない 11条1項5号・6号、21条、28条 製品区分により条文が変わる。最終製品、原薬、生物由来等で要確認。 安定性モニタリングで悪化傾向があるのに評価・連絡しない 11条の2、21条の2、16条 OOSまたはOOSのおそれがある場合、評価・措置・製販連絡が必要。 製品品質照査を実施していない、または逸脱・OOS・変更を照査対象に含めない 11条の3 製造工程・規格の妥当性を定期的または随時に検証する必要。 二重記録、裏マニュアル、正式手順書と異なる現場メモで運用する 8条、20条2項、3条の3 施行通知でも「裏マニュアル、二重記録等」は不正な文書・記録として明確に問題視される。 電子記録の監査証跡を確認せず、削除・上書き可能な状態で運用する 20条2項 記録の欠落防止、正確性、一貫性、改変防止の問題。 バックアップがなく、記録の消失・読取不能が発生しても復元できない 20条2項1号 保管期間満了まで欠落がないよう継続管理が必要。 製造所からの出荷可否決定前に通常出荷する 12条、11条1項8号 原則として適正な出荷可否決定前に出荷してはならない。 重大逸脱の可能性があるのに製造販売業者へ連絡しない 15条1項2号、14条、16条 製品品質または承認事項への影響がある場合、製販への連絡が必要。 バリデーション未実施または不合格の工程を商用製造に使用する 13条、14条、15条 新規製造、品質に大きな影響を及ぼす変更、OOS等ではバリデーション要否評価が必要。
この表は「抵触可能性のある条文」を整理したもので、実際の行政判断では、品目区分、製造段階、承認書記載、GQP取決め、当該記録の位置づけ、意図性、品質影響、患者リスクにより評価が変わります。特に「違反」「行政処分相当」と断定する場合は、薬事・GMP監査の専門家に確認が必要です。
【出典】
GMP省令 抵触 事例 – 検索 (bing.com)
第3条から
GMP省令の条文番号順 に医薬品・医薬部外品の主要条文である 第3条の2〜第20条 を中心に整理し「抵触し得る代表事例」を1つずつ示しました.
第21条以降は原薬、生物由来医薬品、無菌医薬品などの特則が多いため、別表に作成した。
条文 主な規定内容 抵触し得る代表事例 第3条の2 承認事項の遵守 承認書に記載された製造方法・試験方法と異なる実態で製造しているにもかかわらず、製造販売業者へ連絡せず、薬事手続き要否も確認していない。 第3条の3 医薬品品質システム 品質目標、マネジメントレビュー、上級経営陣への報告が形式的で、重大逸脱やOOSの傾向が経営層に伝わっていない。 第3条の4 品質リスクマネジメント 交叉汚染、設備共用、洗浄残留、供給者変更などのリスクを評価せず、経験則だけで運用している。 第4条 製造部門及び品質部門 製造部門が品質部門の承認なしに出荷判断や逸脱処理を実質的に決めており、品質部門の独立性がない。 第5条 製造管理者 製造管理者が承認事項との相違、重大逸脱、品質システム不備を把握していない、または必要な改善を指示していない。 第6条 職員 GMP業務に必要な人数・能力を持つ職員が確保されておらず、未教育者が重要工程や試験を担当している。 第7条 製品標準書 製品標準書に製造方法、規格、試験方法、保管条件などの必要事項が反映されておらず、現場の実態とも一致していない。 第8条 手順書等 実際の作業は現場メモや裏マニュアルに基づいて行われ、正式なGMP手順書が改訂されていない。 第8条の2 交叉汚染の防止 複数製品を同一設備で製造しているにもかかわらず、交叉汚染リスク評価、洗浄確認、ラインクリアランスが不十分である。 第9条 構造設備 製造室、保管室、試験室の構造・動線・区分が不十分で、原料、資材、中間製品、製品の混同や汚染を防げない。 第10条 製造管理 正規の製造指図書に基づかず製造し、原料ロット、秤量値、作業時刻、工程条件などの製造記録も適切に作成していない。 第11条 品質管理 試験指図、検体採取、試験記録、標準品管理、試験結果判定が不十分で、品質部門がロット品質を適切に確認できない。 第11条の2 安定性モニタリング 安定性モニタリングで規格外または悪化傾向が認められているのに、原因調査、製造販売業者への連絡、必要な措置を行っていない。 第11条の3 製品品質の照査 年次照査・製品品質照査で、逸脱、変更、OOS、苦情、回収、工程能力、安定性傾向を含めず、形式的な報告書だけを作成している。 第11条の4 原料等の供給者の管理 原料・資材の供給者を、品質部門による評価や定期確認なしに採用・変更している。 第11条の5 外部委託業者の管理 外部試験機関や外部保管業者にGMP関連業務を委託しているが、品質取決め、委託範囲、記録管理、定期確認がない。 第12条 製造所からの出荷の管理 製造記録、試験記録、逸脱・変更・品質情報を確認する前に、品質部門の適切な判定なしで製造所から出荷している。 第13条 バリデーション 新製品、新設備、重要工程変更、洗浄方法変更などについて、必要なバリデーションを実施せず商用製造に使用している。 第14条 変更の管理 製造条件、試験方法、原料供給者、設備、手順を変更したが、品質影響評価、QA承認、製販連絡、変更後確認を行っていない。 第15条 逸脱の管理 製造指図書や手順書から外れた作業、工程管理値逸脱、試験異常が発生しているのに、逸脱として記録・原因調査・CAPAを行っていない。 第16条 品質情報及び品質不良等の処理 苦情、品質情報、異物混入、外観異常などを受けても、製造所起因性、関連ロット、回収要否を評価していない。 第17条 回収等の処理 回収対象品や不適合品を通常品と区分せず、回収範囲、保管、廃棄、記録、製販連絡が不十分である。 第18条 自己点検 自己点検を定期的に実施していない、または指摘事項を記録しても是正措置・改善確認を行っていない。 第19条 教育訓練 教育訓練を実施していない職員が製造・試験・出荷判定関連業務を担当し、教育効果の確認も行われていない。 第20条 文書及び記録の管理 GMP記録を保管期間満了前に廃棄した、またはバックデート、二重記録、電子記録の削除・上書きなどにより記録の信頼性を確保できない。
【注意点・例外】 第20条は、第20条第1項第3号が保管期間 、第20条第2項が文書・記録の信頼性確保 として整理するのがよいです。施行通知では、文書・記録の信頼性は「作成時から保管期間満了まで」継続的に確保する趣旨と説明されています。
また、原薬では第21条〜第22条、生物由来医薬品等では第27条〜第32条、無菌医薬品では第23条〜第25条などの特則があります。したがって、通常製品向けの表と、原薬・無菌・生物由来等の特則表は下表のように分ける方が、監査指摘事例集として使いやすくなります。
通常製品向けの基本表 多くの医薬品に共通 第3条の2〜第20条 製品標準書、手順書、製造管理、品質管理、出荷、逸脱、変更、教育、文書記録などの基本要求
原薬の特則表 原薬たる医薬品 第21条〜第22条 原薬の参考品、安定性モニタリング、記録保管期間などの追加要求
無菌医薬品の特則表 注射剤、点眼剤など無菌性が必要な医薬品 第23条〜第25条 無菌区域、清浄度、微生物管理、無菌操作教育などの追加要求
生物由来医薬品等の特則表 生物由来医薬品、細胞組織医薬品、特定生物由来医薬品など 第25条の2〜第31条 生物由来原料、使用動物、ドナー情報、不活化・除去、長期記録保管などの追加要求
20条
各事例が「どの条文に抵触するか」は、品目区分、製造段階、承認書記載、SOP、記録の有無、品質影響、意図性により変わります。実際の監査指摘文や行政対応文書にする場合は、GMP・薬事の専門家に確認が必要です。
条文 主な規定内容 抵触し得る代表事例 第21条 原薬たる医薬品の品質管理・参考品保管 原薬ロットについて、所定の試験検査に必要な量の2倍以上の参考品を、リテスト日または必要保管期間まで適切な条件で保管していない。 第21条の2 原薬たる医薬品の安定性モニタリング リテスト日が設定された原薬について、品質リスクに基づく安定性モニタリング対象選定、検体採取、試験項目選定、定期試験、結果評価を実施していない。 第22条 原薬たる医薬品の文書・記録の保管 原薬の製造記録・試験記録・逸脱記録を、リテスト日まで、または出荷完了日から3年間のいずれか長い期間より前に廃棄した。 第23条 無菌医薬品の製造所の構造設備 無菌操作区域にHEPA等で処理された清浄空気の供給や差圧管理設備がなく、清浄度を維持できない構造で無菌製造を行っている。 第24条 無菌医薬品の製造管理 無菌充填工程で、清浄区域・無菌区域の環境管理値、微生物管理、製造用水管理、更衣・入退室管理を適切に設定・運用していない。 第25条 無菌医薬品の教育訓練 無菌操作に従事する職員に、無菌操作、衛生管理、微生物汚染防止、更衣手順に関する教育訓練を実施しないまま作業させている。 第25条の2 生物由来医薬品等の製品標準書 生物由来原料、使用動物、細胞・微生物由来原料の規格や管理方法を製品標準書に記載せず、品質部門の承認も受けていない。 第26条 生物由来医薬品等の製造所の構造設備 微生物培養、採取、不活化、分注、無菌試験などを行う区域が明確に区分されておらず、交叉汚染や微生物汚染を防げない。 第27条 生物由来医薬品等の製造管理 ウイルス・微生物の不活化または除去工程について、未処理品と処理済品の混同・汚染防止措置を講じずに製造している。 第28条 生物由来医薬品等の品質管理 特定生物由来医薬品または細胞組織医薬品について、参考品保管、検体識別、工程内試験、使用動物管理、微生物株管理、試験記録保管を適切に行っていない。 第29条 生物由来医薬品等の教育訓練 生物由来医薬品等の製造・試験に従事する職員に、微生物学、医学、獣医学、病原性微生物の汚染防止に関する教育訓練を実施していない。 第30条 生物由来医薬品等の文書・記録の保管 特定生物由来医薬品や人血液由来製品の記録を、有効期間+30年より前に廃棄している。 第31条 記録の保管の特例 厚生労働大臣が指定する生物由来医薬品について、指定された期間、必要な記録を保管していない。
GMP省令の目次では、第二章のうち第21条〜第22条が「原薬たる医薬品」、第23条〜第25条が「無菌医薬品」、第25条の2〜第30条が「生物由来医薬品等」、第31条が雑則として整理されています。
第21条は原薬の参考品保管、第21条の2は原薬の安定性モニタリング、第22条は原薬に係る文書・記録の保管期間を規定しています。
特に第22条では、リテスト日が設定された原薬について「リテスト日まで」または「製造所からの出荷完了日から3年間」のいずれか長い期間を保管期間として扱う趣旨が示されています。
第23条〜第25条は無菌医薬品の特則です。第23条では清浄度維持、専用室、滅菌装置、清浄空気供給、差圧管理などの構造設備が規定され、第24条では作業区域の清浄度管理、微生物管理、汚染防止、重要工程の管理値、製造用水管理、職員の衛生管理が規定されています。
第25条の2〜第31条は生物由来医薬品等の特則です。第25条の2では生物由来原料や使用動物等を製品標準書に記載すること、第27条では不活化・除去工程、発酵等の工程管理、カラム等の汚染防止、使用動物管理、生物由来原料の確認・記録保管などが求められています。
第28条では特定生物由来医薬品・細胞組織医薬品の参考品保管、検体の識別、工程段階での試験、使用動物管理、微生物株の記録などが規定されています。第30条では、生物由来医薬品等に係る記録について、特定生物由来医薬品または人血液由来製品は「有効期間+30年」、その他の生物由来医薬品または細胞組織医薬品は「有効期間+10年」などの保管期間が定められています。
第21条以降は、すべての製造所に一律に適用される条文ではありません。原薬、無菌医薬品、生物由来医薬品等、細胞組織医薬品、特定生物由来医薬品 など、品目区分や製造工程に応じて適用条文が変わります。
また、同じ事例でも、実際の監査指摘では第21条以降だけでなく、第8条、10条、11条、13条、14条、15条、20条 などの通則条文と併記されることが多いです。たとえば、無菌区域の環境モニタリング不備は第24条だけでなく、手順書不備なら第8条、記録不備なら第20条、逸脱未処理なら第15条も関係します。
【出典】
【確実性: 高】 条文の見出しと主要要求事項は一次情報に基づくため確実性は高いです。ただし、個別事例がどの条文に「抵触」と評価されるかは、品目区分、工程、承認書、製造所のSOP、品質影響、記録の有無により変わるため、実際の監査指摘文や行政対応文書にする場合はGMP・薬事の専門家に確認が必要です。
保管期間
保管期間だけに絞って、20条1項3号を中心にした事例として追加します。原薬・特定生物由来製品などは別条文や長期保管が絡むため、区分を分けて整理します。
保管期間に関する抵触事例 としては、「20条1項3号」中心の事例群 を示しました。 ただし、原薬 は第20条1項3号ではなく 第22条 、生物由来医薬品等 は 第30条・第31条 も関係します。
事例 抵触・関連するGMP省令 補足 製造記録を、規定された保管期間満了前に廃棄した 20条1項3号 最も典型的な保管期間違反。 試験検査記録を、製品の有効期間+1年より前に廃棄した 20条1項3号、11条 試験記録は出荷判定や品質調査に必要。 教育訓練記録を、作成日から5年未満で廃棄した 20条1項3号、19条 教育訓練記録は「有効期間+1年」ではなく、原則5年管理として整理される。 変更管理記録を、変更後の製品ロットが市場に残っている期間中に廃棄した 20条1項3号、14条 変更の妥当性・影響評価を後日確認できなくなる。 逸脱管理記録を、関連ロットの有効期間満了前に廃棄した 20条1項3号、15条 苦情・回収・OOS調査時に原因追跡できない。 OOS調査記録を、製品の有効期間+1年より前に廃棄した 20条1項3号、11条、15条 試験結果の妥当性・再試験判断の根拠が失われる。 出荷判定記録を、保存期間満了前に廃棄した 20条1項3号、12条 出荷可否決定の根拠を示せない。 製品品質照査の記録を、規定期間満了前に廃棄した 20条1項3号、11条の3 継続的工程確認・傾向評価の根拠が失われる。 自己点検記録を、作成日から5年未満で廃棄した 20条1項3号、18条 GMPシステムの点検履歴を示せない。 バリデーション計画書・報告書を、関連製品の保管必要期間前に廃棄した 20条1項3号、13条 工程・設備・洗浄等の妥当性根拠が失われる。 校正記録・設備点検記録を、関連ロットの品質保証に必要な期間前に廃棄した 20条1項3号、10条9号、11条1項7号 当時使用した設備・計器の適格性を確認できない。 電子記録のバックアップ保存期間がGMP上の保管期間より短い 20条1項3号、20条2項 保管期間中に閲覧・復元できない場合、実質的な保管不備。 紙記録は保管しているが、電子生データ・監査証跡を早期削除している 20条1項3号、20条2項 試験・製造の真正な記録が一部失われる。 倉庫移転・文書保管業者変更時に、保管期限内のGMP記録を紛失した 20条1項3号、20条2項 保管期間だけでなく、欠落防止・検索性・完全性の問題。 保管期限を「作成日から5年」と機械的に設定し、有効期間+1年の方が長い製品でも5年で廃棄した 20条1項3号 保管期間計算ミスの典型例。 有効期間延長後も、旧有効期間に基づく廃棄予定日のまま記録を廃棄した 20条1項3号、14条 有効期間変更時は記録保管期限も再評価が必要。 原薬の製造・試験記録を、第22条で求められる期間より前に廃棄した 22条 原薬は第20条1項3号ではなく、第22条で保管期間を整理する。 リテスト日が設定された原薬について、リテスト日または出荷完了日を考慮せず早期廃棄した 22条 原薬ではリテスト日の扱いが重要。 生物由来医薬品等の記録を、通常製品と同じ保管期間で廃棄した 30条、31条 生物由来医薬品等は長期保管が求められる場合がある。 特定生物由来医薬品・人血液由来製品の記録を、有効期間+30年より前に廃棄した 30条 感染症等発生時の追跡調査を可能にするため、特別な長期保管が必要。 その他の生物由来・細胞組織医薬品の記録を、有効期間+10年より前に廃棄した 30条 通常の20条保管期間とは別枠で整理する。 保管期間満了前に記録を廃棄したが、廃棄記録・廃棄承認記録がない 20条1項3号、20条2項 廃棄そのものの妥当性を後日説明できない。 記録保管期限台帳がなく、どの記録をいつまで保管すべきか管理できていない 20条1項3号 実際に廃棄していなくても、管理不備として指摘され得る。 外部保管倉庫に委託したGMP記録について、保管期限・検索性・返却手順を取り決めていない 20条1項3号、20条2項 外部保管でも製造業者等の管理責任は残る。
GMP省令第20条は「文書及び記録の管理」であり、保管期間は第20条第1項第3号に位置づけられます。したがって、単純な「保管期間満了前の廃棄」は第20条第1項第3号を中心に整理するのが適切です。
一方、原薬については第22条に「文書及び記録の保管」が別に置かれており、原薬の記録保管は第20条第1項第3号だけで整理しない方が安全です。
東京都のGMP基準書例でも、原薬の場合は「第20条(ただし第三号を除く)及び第22条」と読み替える旨が示されています。
また、生物由来医薬品等については、第30条が文書・記録の保管に関する特別要求を規定しており、特定生物由来医薬品および人血液由来製品では有効期間+30年、その他の生物由来・細胞組織医薬品では有効期間+10年の記録保存が説明されています。
電子記録の場合は,単なる保存年限だけでなく、保管期間中に改変防止、消去防止、バックアップ、表示・印字可能性 が確保されているかも問題になります。厚労省通知では、電子媒体での記録保管について、変更・削除の防止、変更履歴、バックアップ、保管方法・保管期間・保管責任者等を定めることが示されています。
【出典】
条文の大枠は高い確実性があります。ただし、個別製品の記録保管期間は、通常製品、原薬、生物由来医薬品等、承認書、GQP取決め、社内SOPにより変わるため、実際の監査指摘文に落とす場合は専門家に確認が必要です。
2024/10/17, Mr.Harikiri
2026/05/27, 追記