はじめに
目次
- はじめに
- 先ずは,菌種の調達先
- 培地は何を使うか
- 微生物限度試験の具体例
- 培地の種類 :(2ページ)
- 備考(2ページ)
- 培地の調達先(2ページ)
- 無菌試験法の具体例1(膜ろ過法)(2ページ)
- 無菌試験法の具体例2(直接接種法(Direct Inoculation)(3ページ)
- 日本薬局方「4.06 無菌試験」で使用される主な培地一覧(3ページ)
- 培養条件のポイント(3ページ)
- 補足情報(3ページ)
- 【無菌試験における性能確認(陽性対照試験)】(3ページ)
- 参考ポスト(4ページ)
- 参考文献(4ページ)
- 編集履歴(4ページ)
日本薬局方の微生物限度試験法(4.05)と無菌試験法(4.06)に必要な菌種の調達,操作法について示す.
先ずは,菌種の調達先
- 日本薬局方に規定される菌種がnite (製品評価技術基盤機構)のホームページに記載があります.リストに無い菌種についても協力してくれるようです.菌種の供給元はほとんどがNBRCがリストされています.
- 日本薬局方に規定された供試菌株 | バイオテクノロジー | 製品 …
- NRBC株を購入するには,以下のリンクからアカウント登録,オンラインカタログによる申し込み,支払いとなる : NBRC株の入手方法
- ATCCとNBRCの番号の関係(FAQ by nite) : FAQ | バイオテクノロジー | 製品評価技術基盤機構 – NITE
- フナコシから購入 : ATCC®製品の選択から納品まで | ATCC®製品ご利用( …
- 住商ファーマから購入 : ATCC | 取り扱い商品 | ATCC分譲サービス | 住商ファーマ …
- 関東化学から購入 : 標準菌株 | 標準菌株 | 標準菌株・精度管理 | 微生物検査 …
- レーベンジャパンから購入 : レーベン・ジャパン株式会社 | Microbio logics® ATCC | 標準菌株
- 製品の特長
- ATCC®社と同等製品(ライセンス契約取得)
- 冷蔵保存(2~8℃)が可能な凍結乾燥品
- 継代数は3世代以内(1~2世代もあり)
- 簡易包装でユーザーフレンドリー
- 微生物試験のコントロールに最適
- 製品の特長
培地は何を使うか
【共通で使用できる培地】
これらは 微生物限度試験と無菌試験の両方で使用可能または類似した形で利用される培地です。
| 培地名 | 主な用途 | コメント |
|---|---|---|
| Soybean-Casein Digest Medium(SCDM) (大豆-カゼイン消化培地) | 微生物限度試験:TAMC(総好気性微生物数) 無菌試験:好気性・真菌検出 | 両試験で汎用的に使われる代表培地(固体 or 液体で形状が異なる) |
| Sabouraud Dextrose Agar(SDA) (サブロー・デキストロース寒天培地) | 微生物限度試験:TYMC(酵母・カビ) 無菌試験:真菌用培地として類似品(SCDM) | 微生物限度試験では公式に使用される。無菌試験ではSCDMに集約される傾向。 |
【微生物限度試験 専用の培地】
これらは 微生物限度試験(4.05)に特有で、無菌試験では使用されない培地です。
| 培地名 | 主な用途 | 備考 |
|---|---|---|
| MacConkey Agar | 大腸菌の選択分離 | 胆汁酸塩含有、グラム陰性菌選択 |
| Mannitol Salt Agar | 黄色ブドウ球菌の選択分離 | 高塩濃度で選択性あり |
| Cetrimide Agar | 緑膿菌の選択分離 | 色素・蛍光の産生で確認 |
| XLD Agar / Selenite Cystine Broth | サルモネラ属菌検出 | 増菌・分離用 |
| Violet Red Bile Glucose Agar(VRBGA) | 腸内細菌科(胆汁酸耐性グラム陰性菌) | 特定微生物試験用 |
【無菌試験 専用の培地】
こちらは 無菌試験(4.06)でのみ使用される培地です。
微生物限度試験では使われません。
| 培地名 | 主な用途 | コメント |
|---|---|---|
| Fluid Thioglycollate Medium(FTM) (チオグリコール酸液体培地) | 通性嫌気性菌・嫌気性菌の検出 | 30~35℃で14日間培養。酸化還元指示薬入り |
| Soybean-Casein Digest Medium(液体SCDM) | 好気性菌・真菌検出 | 無菌試験では液体形態で使用 |
| ※補助培地:Tryptic Soy Broth(TSB) | バリデーションや予備試験に使用 | 日局には明記されていないが実務で使用例あり |
まとめ表:培地の分類
| 培地名 | 微生物限度試験 | 無菌試験 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Soybean-Casein Digest Medium(固体/液体) | ✅ | ✅ | 主に固体(限度試験)/液体(無菌試験)で使い分け |
| Sabouraud Dextrose Agar | ✅ | △(公式ではない) | 真菌用。限度試験では公式、無菌試験ではSCDMが推奨される |
| Fluid Thioglycollate Medium(FTM) | ❌ | ✅ | 無菌試験専用(嫌気性菌も対応) |
| MacConkey Agar、XLD Agar など | ✅ | ❌ | 特定微生物試験で使用(限度試験専用) |
| Mannitol Salt Agar、Cetrimide Agar | ✅ | ❌ | 限度試験の選択分離用 |
微生物限度試験の具体例
- 微生物限度試験や無菌試験に用いる培地は、**適格性確認(Growth Promotion Test)**を行って、有効な培地であることを確認する必要があります。
- この試験では、所定の微生物を少数(通常≦100 CFU)添加して、適切に増殖するかを確認します。
試験菌の調製 :
(参照: 日本薬局方(第十八改正)「4.05 微生物限度試験」および関連のガイダンス(例:JP解説書、USP、ICH Q6A等)
- マスターシードロットから継代数5回を超えないこと(シードロットシステム)
- 細菌及び真菌の各試験菌は,表中に記載の自要件で個別に培養し試験する.
- 試験菌懸濁液の調製には,ペプトン食塩緩衝液 pH7.0,又はリン酸解消液 pH7.2を用いる.
- カビの一種にはPolysorbate 80を0.05%加えても良い.
- 懸濁液は2時間以内,又は2~8℃で24時間以内に用いる.
- など.
「日本薬局方 一般試験法4.05 微生物限度試験」の概要
Ⅰ.非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験Ⅰ. 非無菌製品の微生物学的試験:生菌数試験
- **TAMC(Total Aerobic Microbial Count)**は、総好気性微生物数のことであり、製品中に存在する好気性の生菌(細菌や一部真菌)を測定するための指標です。
- **TYMC(Total Yeasts and Molds Count)**は、総酵母・カビ数のことで、製品中に含まれる真菌(酵母およびカビ)の生菌数を測定します。
- これらは、製品の種類や投与経路に応じて、許容される限度内であることが求められます。
Ⅱ. 非無菌製品の微生物学的試験:特定微生物試験
非無菌製品には、製品の性質や使用目的に応じて、以下の特定微生物の存在が検査されることがあります。
- 大腸菌(Escherichia coli)
- サルモネラ属菌(Salmonella spp.)
- 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)
- 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)
- 胆汁酸塩添加培地で選択される腸内細菌(Enterobacteriaceae)
※上記は製品のカテゴリー(経口用、経皮用、小児用など)によって検査の要否が異なります。
【補足:日本薬局方で通常対象とならない微生物】
以下の微生物は、日本薬局方における微生物限度試験の特定微生物には含まれていません(他の国の薬局方や食品分野などでは対象となることがあります):
リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)
クロストリジウム属(Clostridium spp.)
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)