カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Data Link] 田辺三菱製薬のワクチン戦略 (2017)

    [Data Link] 田辺三菱製薬のワクチン戦略 (2017)

    田辺三菱製薬のワクチン戦略

    データリンク(バイオロジクスに関するもの)として格納します

    日経のサイトに詳しい資料が掲載されてされています。ワクチンに関する基礎的知識、連携している阪大微生物研究所、VLP技術を有する子会社である「メディカゴ」に関して知ることができます。

  • [Vc] Pfizerの新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン – Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine の組成  [2021/06/10]

    [Vc] Pfizerの新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン – Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine の組成 [2021/06/10]

    BNT162とは

    ドイツのBiopharmaceutical New Technologies (BioNTech) 社とPfizerが共同開発するmRNAをベースとする新型コロナウイルス感染症に対するワクチンです。開発ワクチンは、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(receptor binding domain; RBD)をコードするヌクレオチド修飾メッセンジャーRNAをベースのワクチン(BNT162b2)

    • 2020/11/09, 4万3千人を対象に進められているP3臨床試験の途中集計として、その予防効果は90%以上あることを発表したsource
    • 2020/10/20, 日本人におけるBNT162b2の安全性、認容性および免疫原性を評価目的にPhase 1/2試験(160名、20~80歳日本人、BNT162b2とプラセボの比 3:1)を開始したと発表。BNT162b2は30μgを21日間隔で2回接種し、最終接種から12ヶ月後まで評価する計画。BNT162bは、最適化されたスパイクタンパク質の全長をコード強いる。BNT162b2は、ドイツ、米国、ブラジル、アルゼンチンを含む世界で最大120治験実施施設で、44,000人の参加で国際共同治験2/3相が評価中。この試験と、今回の日本出の試験のデータを用いて、日本での製造販売用視認を申請する予定です。承認が得られた場合、1億2000万回分のCOVID-19ワクチンを2021年上半期に日本に提供されるsource
    • 2020/07/31, 日本に対して来年6月までに6000万人分の供給を約束した
    • 2020/07/01, BioNTech社との共同研究であるSARS-COV-2に対するmRNAベースのワクチンの臨床試験(4候補、Phase I/II)の早期データを発表(45例の評価) source
      • 10μg/30μgの投与
      • 28日目, RBD結合IgG抗体濃度が上昇し、SARS-CoV-2に対する中和抗体価が確認された
      • 深刻な有害事象は無かったことから、今後のPhase IIb/3での有効性試験における主要候補と容量レベルの選択が可能となった

    BioNTech

    mRNAをベースに治療薬を開発するベンチャー source

    • mRNAベースの治療薬開発
    • コンピューターテクノロジー
    • 共同研究など他社との協業
      • Genmab
      • Sanofi
      • Bayer Animal Health
      • Genentech
      • Genevant
      • Fosun Pharma
      • Pfizer

    因みに、AstraZenecaが開発している新型コロナウイルス感染症ワクチンは、Adenovirsを使ったワンチンです。T細胞の免疫応答の強化が期待できるため、mRANワクチンよりもワクチン効果が高いことが期待されています。関連記事もご覧ください。

    ワクチンの臨床結果による有効性の比較

    世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。

    Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成

    Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンは、SARS-CoV-2表面の改変したスパイク・糖タンパク質(spike (S) glycoprotein)をコードするメッセンジャー RNA (modRNA)を脂質膜で粒子状にした製剤です。提供形態は、凍結品で以下の組成になっています。

    • 凍結品 (ドライアイス; 75℃程度)で保管・輸送
    • 使用時には、1.8 mLの0.9% Sodium Chloride (diluent) で希釈
    • 複数回用
    • 0.3 mL投与
      • 30mg of modRNA
      • 0.43 mg (4-hydroxybutyl)azanediyl)bis(hexane-6,1-diyl)bis(2-hexyldecanoate)
      • 0.05 mg 2[(polyethylene glycol)-2000]-N,N-ditetradecylacetamide
      • 0.09 mg 1,2-distearoyl-sn-glycero-3- phosphocholine
      • 0.2 mg cholesterol)
      • 0.01 mg potassium chloride
      • 0.01 mg monobasic potassium phosphate
      • 0.36 mg sodium chloride
      • 0.07 mg dibasic sodium phosphate dihydrate
      • 6 mg sucrose
      • (contributes an additional 2.16 mg sodium chloride per dose)
    • 3週間空けて2回の接種

    Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine – Fact Sheets and Additional Information – FDA

    特に、日本語のファクトシートを見たい場合は、ワクチン接種を受ける人と介護従事者のためのファクトシートを参照

    https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/pfizer-biontech-covid-19-vaccine

    審査結果報告書

    製造方法

    審査結果からわかる製造方法は以下の通り。

    • plasmid DNA(pDNA)を大腸菌の培養により得る
    • 大腸菌を溶解してpDNAの抽出、精製される
    • pDNAを直鎖DNAにしてから、転写によるmRANを得る。必要な精製処理が行われる
    • 転写で使用されるUTPは、改変されたものである
    • mRNAはLNPで製剤化されている

    コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS- CoV-2)

    (有効成分名:トジナメラン) , H2年 3月 12日

    https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_4.pdf

    編集履歴

    2020/07/23 はりきり(Mr)
    2020/07/31 日本との合意
    2020/11/09 予防効果は90%以上
    2021/02/03 Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成
    2021/06/10 追記(審査結果報告書)
  • [Vc] アデノウイルス・ベクター・ワクチンとは – 新型コロナウイルスのワクチン開発で威力を発揮する – 必要な遺伝子のみを残す試行錯誤で、現在は第三世代  [2021/02/26]

    [Vc] アデノウイルス・ベクター・ワクチンとは – 新型コロナウイルスのワクチン開発で威力を発揮する – 必要な遺伝子のみを残す試行錯誤で、現在は第三世代 [2021/02/26]

    アデノウイルス・ワクチン

    アデノウイルス(adenovirus)を利用した治療薬の代表は、遺伝子治療薬です。adenovirusを用いた研究は歴史があり、遺伝子治療用のadenovirusは、最新世代の改変型adenovirusが使用されています。

    使用されるワクチン用のadenovirusは、目的に適した改変adenovirusが使用されるはずですが、前世代adenovirusが使用されているようです。この部分は、十分に把握できていないので、今後の調査を進めたいと思っています。

    アデノウイルス・ベクターを使ったワクチンとして代表的なものは、やはり、Astrazeneca社のCOVID-19ワクチンです。2021年中には、日本でも集団摂取が予定されています。Astrazeneca社のワクチンに関する情報は、後半に述べています。

    adenovirusのウイルス膜表面に、目的の抗体を作りたいウイルスの膜表面タンパク質を発現さたり、ベクターとして組み込んだ遺伝子に目的のタンパク質を発現させることも可能です。現在、新型コロナウイルスのワクチンとしてAstrazenecaの臨床試験が行われているadenovirus vector vaccineがあります(2020)、mRNAなどの核酸ワクチンと比較して、細胞免疫を惹起するため強いワクチン効果が期待できます。ただし、ワクチン効果以外の服反応も起こるため、免疫獲得として摂取できる回数は少ない数回に限定されます。核酸ワクチンの場合は、副次的な反応が理論上はないため、複数回の免疫が可能です。抗体ができるまで、複数の免疫も可能と考えられます(2020/09/08)。

    adenovirus vector vaccine (アデノウイルス・ワクチン)は、核酸ワクチンの原理と比較して、抗原提示に関するT細胞の免疫応答が強まる(細胞免疫)、感染細胞への殺傷効果が高い可能性があることから、よりワクチン効果が高い期待があります source: Adenoviral Vector-Based Vaccines and Gene Therapies: Current Status and Future Prospects, 2018

    上記参照文献は、adenovirusに関わる情報を網羅的によくまとめられおり、初学者には貴重な情報源となります。以下、原文の英語を日本語にまとめるとともに記載分類を再編成しレジメ化しました。以下の(数字)は、原文での参照文献番号を表しています。

    • 遺伝子投与(核酸ワクチン)による抗原の産生では、抗体の生成は可能だが、抗原提示に関するT細胞の免疫応答が弱い可能性 (核酸ワクチンの弱点の可能性)
    • adenovirusのウイルス膜表面への抗原提示、あるいはAdenorirus自体によるアジュバント効果(可能性)では、抗体の生成とT細胞の免疫応答のどちらも強力に得る可能性が高まる

    adenovirus

    adenovirusの特徴は、DNAウイルスであり以下の通りです。

    • カプシドとゲノムで構成されている
      • 表面抗原を構成するタンパク質は、(1)ペントン、(2)ヘキソン、(3)ファイバー
    • 血清型間で、ヘキソンの超可変領域とファイバーのエピトープ配列の不均一性が高い
    • 殆どの人は抗体を持っている
    • サイズ : 70 ~ 90 nm
    • 26~45kb二本鎖DNAゲノム、両端に100-140bpのフランクを持つ2つの逆方向末端反復を含む
    • 相補のDNAはそれぞれタンパク質をコードしている(双方向)
    • オルタネイティブ・スプライシングによりmRNAの異なるポリA修飾を使用する

    遺伝子導入実験ハンドブック — タカラバイオ —

    AAV (Parvoviridae) : ssDNAウイルス, 5kb, 18-26nm, P1レベル, 染色体への積極的なゲノム組み込み(-)
    adenovirus (Adenoviridae) : dsDNAウイルス, 36kb, 70-90nm, P2レベル、染色体への積極的なゲノム組み込み(-)
    lentivirus (Retroviridae) : ssRNAウイルス, 8-9kb, 80-130nm, P2レベル, 染色体への積極的なゲノム組み込み(+)

    by Mr. Harikir (2021/02/11)

    https://catalog.takara-bio.co.jp/PDFS/transgenesis_experiment.pdf
    • 遺伝子は、それぞれ5つの初期遺伝子と後期遺伝子に分けられる
      • 初期遺伝子 : E1, E3, E4は、自然免疫を抑制する
        • E1
          • E1A
            • ウイルスDNA合成に必要な遺伝子の転写の活性化
            • 宿主細胞への影響 : p53依存的と非依存的によりアポトーシス(ハイジャックアポトーシス)を誘導(9)
            • immuning回避(T細胞への抗原提示の減少(67) )、腫瘍形成(60,61)
          • E1B
            • 宿主タンパク質(p53, Bak, BAX)への結合によりアポトーシスを阻害する(68~79)
        • E2
        • E3 : 免疫調節機能
          • 感染細胞を免疫細胞から認識されないようにする (78)
            • 検出MHCクラスI分子の表面輸送の遮断
            • 宿主細胞の表面にあるNK細胞受容体を減少させる
          • Death receptorsのダウンレギュレーションすることにより、adenovirus感染細胞のアポトーシスを阻害する
        • E4 (74, 75, 76, 77)
          • E1B-55とE4のタンパク質は、Daxxタンパク質を誘発することで、抑制されているウイルスのゲノム発現を可能にする
          • E1B-55kとE4の結合タンパク質は、自然免疫である抗ウイルス応答を抑制する
        • 細胞に取り込まれた時に発現する
        • タンパク質合成、ウイルス複製に必要な宿主遺伝子の発現調整
      • 後期遺伝子
        • L1-L5
        • アセンブリ、放出、宿主細胞の妖怪(1,5,6)
    • 非エンベロープ
    • 20面体DNAウイルス
    • 50以上の血清型 (遺伝的に多様)
    • Adenoviruses (Adenoviridae) (10,11,12)
      • Mastadenovirus
        • 動物のアデノウイルス(サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ)
        • ヒトのアデノウイルス (Human Adenoviruses; HAd)
          • 7つ (A ~ G)
          • 血清学的特徴では、67種類、更にサブグループ
      • Aviadenovirus
      • Siadenovirus
      • Atadenovirus
      • Ichtadenovirus
    • 宿主組織 : 眼、呼吸器、胃腸の上皮など生命の危機に関わらない感染
    • 1953年、Roweらにより組織から分離された(2)
    • ヒトと動物の間で無症状の気道感染症を起こす
    • 免疫不全の患者では生命に危険がおよぶ場合がある
    • 殆どのヒトで中和抗体を有している(3)
    • 癌療法に使用される(4)
    • 構成タンパク質(6, 7, 8)
      • ヘキソン
        • 主たる表面タンパク質(270 x 3量体)
        • 超可変領域を含む。この領域を利用してワクチン抗原にできる
      • ペントン
        • 20面体の12の頂点に12 x 5量体
        • ファイバーと共に宿主細胞の受容体のリガンドとなる
      • ファイバー
        • 12の3量体が突出している
        • ペントンと共に宿主細胞の受容体のリガンドとなる
      • IIIa
        • カブシドの内側に位置する
        • 頂点領域の裏打ちと内包するウイルスゲノムの組み立てに寄与する
      • VI
        • 内側と外側のカプシドシェルをリンクする
      • VIII
        • ヘキソンの裏打ち
      • V, VII, IX
        • DNAゲノムに関連し、ビリオンのコアを構成
        • 末端タンパク質は、2本鎖DNAの末端に結合し、複数のVにより作られたコアとリンクして位置を安定化

    アデノウイルスに対する免疫

    宿主におけるウイルス認識

    adenovirus、その部品を認識するもの (27,28,29,30,31.32,33,34,35,36,37,38,39,40,41)

    • 細胞内でのバターン認識受容体 (PRR)
      • adenovirus由来の5’-triphosphateを持つ2本鎖RNAは、RIG-Iなどのcytosolic PRRに認識される
      • DNA, RNAは、TLR3, TLR7, TLR8などのエンドソーム膜(endosomal membrane)にあるintracellular PRRsに認識される(48,52,53,54,55)
      • 2本鎖DNAの生体内認識 (34,35,56,57)
        • TLR9
        • DNA-dependent activator of IRFs (DAI)
        • DNA-dependent protein kinase (DNA-PK)
        • IFNγ-inducible protein 16 (IFI16)
        • DEAD (Asp-Glu-Ala-Asp) box polypeptide 41 (DDX41)
        • cyclic guanosine monophosphate-adenosine monophosphate (cGAS)
    • 病原体関連分子パターン (PAMP)
    • PRRがPAMPを感知する
    • ウイルス(病原体)であると認識すると、1型インターフェロンを発現しウイルス抑制、炎症性サイトカイン発現 (23,24,25,26,27)
    • receptor : Coxsackie adenovirus receptor (CAR)
      • 促進因子 : IL-8, TNF-α
    • integrin αvβ5 heparin sulfate proteoglycans
    • CD46
    • sialic acid
    • scavenger receptors (マクロファージ、樹状細胞)(33)
    • Toll-like receptors(TLRs)
    • RIG-I like receptors(RLRs)
    • nucleotide-binding oligomerization domain (NOD-like receptors (NLRs)
    • cytosolic DNA sensors
    • effector molecules
    • CD46, desmoglein-2 (type B Adのmacropinocytosis)(39,40)→ IL-12で誘発されるINF-γの産生を抑制する
    • 細胞のβ3インテグリンは、pentonのAgr-Gly-Asn (RGD)モチーフに親和性あり

    Vectorとしての良くない免疫応答

    • adenovirus粒子のみでは自然免疫の誘導は不十分であり、その原因は、DNA由来として残っている(51)
    • 肝臓、脾臓のマクロファージの活性化(42,43)
    • MCP-1, RANTES(TLR2依存性)の活性化
    • IL-1抗体は、adenovirusによる角膜の炎症反応を低減化する(mouse)(45,46)
    • TLR9(E1, E3欠損adenovirusでも感知する→角膜炎症、IL-6,IFNα産生)(49,50)
    • plasmacytoid dendritic cells (pDCs)は、TLR9-MyD88依存、myeloid DCs (mDCs)は依存しない(48)
    • 細胞免疫
      • CD4+ Th1細胞
      • CD8+ T細胞

    adenovirus vector

    adenovirus vectorの特徴

    • HAd5は遺伝子送達用ベクターとして開発された
    • 非複製性
    • 広範囲な組織指向性
    • ゲノム解析が進んでいる
    • 大きなDNA遺伝子挿入が可能
    • 宿主ゲノムに組み込まれない
    • 宿主細胞の核にepsomeとしてDNAが残る
    • 36kbの遺伝子をパッケージング可能
    • 自然免疫(先天性免疫)シグナルを活性化することでワクチンとしての利点がある(21,130)
      • 効果的な免疫細胞刺激→適応免疫(獲得免疫)である液性・細胞性の免疫応答
      • 細胞内の病原体の解決には、CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)が重要
      • adenovirus vectorで運ばれる抗原は、
      • MHCクラスI分子を介してT細胞に提示されるめた、adenovirus vectorは、堅牢なCTL応答を誘導できる
      • CTLは、ウイルス感染細胞、細胞内病原体、ガン性細胞を強力に認識し死滅できる
    • 抗体産生及び導入遺伝子て特異的T細胞の誘導
    • 必要な遺伝子をadenovirusから分離し、HEK細胞に担わせることで、共同してベクターを産生させる
    • adenovirusのタンパク質とHCVのタンパク質の相同性が高い

    遺伝子治療におけるadenovirus vectorの歴史

    繰り返し投与により体液性免疫、細胞性免疫、細胞性細胞毒性、発癌などの課題に直面した(129)

    • 1992年、alpha-1 antitrypsin (A1AT)欠損症(124, 125)
    • 嚢胞性線維症 (CFTR遺伝子)(126)
    • 尿素回路関係(オルニチントランスカルバミラーゼ)(127,128)

    ワクチンにおけるadenovirus vectorの歴史

    • HIVワクチン 2003年~2006年、Merck(131)
      • HAd5 vector-based

    第1世代

    アデノウイルス・ベクターは、HEK293細胞とともに改変が進められてきた(2021/02/11, by MR.HARIKIRI)。

    • First generation
    • E1削除
      • 初期、後期のウイルスタンパク質は、濃度依存的にMHCクラスIによる抗原提示により細胞死を誘発するが、それをホスト細胞以外では産生できないことにより毒性低減化に繋がる(104,105)
      • 削除により非複製アデノウイルスとなる (HEK293(ヒト胚性腎細胞), PER.C6などのE1トランスフェクト細胞を使用する (93)
      • HEK293には、E1領域にトランス相補性を入れている(組織形質導入能力)
      • 自然相同組換えが起こり複製力のあるadenovirus(RCA)が出現する可能性を持っている(98)
      • RCAのリスク低減としてのPER.C6では、独自のプロモーター(PGK)を持つadenovirusのE1領域の発現カセットを使用し相同領域を削除(99,100)
      • 4.5kb導入可能となった (92)
    • E3削除
      • 免疫学的経路の阻害(101)が知られている
      • 完全に削除された(102)
      • 8kb導入可能となった(103)

    第2世代

    増殖中の複製能力のあるadenovirus生成の可能性を排除できたが、導入遺伝子の発現が少ないとされる。依然として残る課題は、免疫原性と細胞毒性である。

    • Second generation
    • E1削除 : 第1世代から継承
    • E2削除
    • E3削除: 第1世代から継承
    • E4削除
    • 10.5kb導入可能となった

    第3世代

    ITRとパッケージングシグナルを除く全てのウイルスシーケンスを削除(114)

    • Third generation (114)
      • ITRs
      • packaging signal
    • Helper Dependent or gutless adenoviral vectors(115, 116, 117)
    • high capacity adenoviral vectors (HCAds)と呼ぶ
    • 2種類のvectorが必要(トランスフェクション)
      • Helper virus
        • ホスト細胞に組み込んでいたウイルス遺伝子補完遺伝子をHelper virusで提供により、adenovirusタンパク質を合成可能となる→ capsidのアセンブリ→HCAD genomeのパッケージング
        • HCAdsのみのパッケージングが可能
        • packaging signal flanking loxP siteを含む
          • Helper virusのパッケージングシグナルは、loxP siteのCreを介した組換えにより阻害されることで、Helper virusのgenomeがadenovirus粒子に集まるのを防ぐ(機能が十分でない場合、Helper Virus汚染の問題が生じる)
      • HCAd genome
        • ITRsを含む
        • packaging signalを含む
    • HEK293細胞
      • constitutivery express Cre recombinase
    • Helper virus
    • 免疫原性と細胞毒性の低減化(118,120,121,122)
    • 課題は、生産方法が複雑、Helper virusの汚染問題(123)
    • 36kb導入可能となった

    新型コロナウイルス・ワクチン

    現在、世界で喫緊の課題である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン開発は、イギリス(英国)のアストラゼネカ(Astrazeneca)が最も進んでいるようです。

    英国のAstrazenecaとOxford大学が共同開発しているSARS-CoV-2の感染症(COVID-19)ワクチンは、アデノウイルスをベクターとして使用するAdenovirus vector vaccineです。

    現在、臨床試験は、~10,000人程度を予定されるPhase III試験に入っており、今年中には、20億ドーズの供給が始まると言われています。日本へも1億ドーズを供給する準備があると言っています。Phase I/II試験(約1,000人)の結果、中和抗体の上昇と感染した細胞を破壊するT細胞の誘導が確認されており、結果は良好のようです。1回投与では90%代の効果、2回投与では100%の効果が確認されました。2回投与の場合、日本への1億ドースは、5,000万人分の計算になります。

    Phase I/IIの臨床試験の内容は、以下の記事もご参照ください。

    編集情報
    2020/07/22 Mr.HARIKIRI
    2020/07/25 追記 (adenovirusの網羅的情報)
    2020/08/03 文言整備
    2020/08/08 文言整備
    2020/09/08 追記(細胞免疫)

    以上

  • [Bio-Edu] バイオロジクス精製バルクの凍結保管に際して、その緩衝液のpHは適切か [2020/07/19]

    [Bio-Edu] バイオロジクス精製バルクの凍結保管に際して、その緩衝液のpHは適切か [2020/07/19]

    緩衝液のpH

    緩衝液の調製に際し、そのpHは3局対応の試験法に従って測定し調整される。その測定する温度は、室温付近に規定されている。しかし、リン酸緩衝液は、室温から凍結(-30℃など)までの範囲で、大きなpH変換を生じる。

    リン酸緩衝液に続いて、pH変動が大きい緩衝液は、Tris緩衝液である。抗体医薬でよく使用されているHistidine、酢酸緩衝液では、その変動は少ない。

    25℃から-30℃のpH変化

    • pH7に調整されたリン酸緩衝液の温度とpH変化
      • pH変化は激しい
      • 25℃から0℃ : pH7
      • 0℃から-5℃ : 一気にpH4.5~pH5に低下
      • -5℃から-30℃ : 徐々にpH変化率は低下してpH3.4に至る
    • pH5.7に調整された酢酸緩衝液の温度とpH変化
      • pH変化は緩やか
      • 25℃から0℃ : pH5.7
      • 0℃から-30℃ : 一定割合でpH6.1に至る

    主な緩衝液の25℃から35℃でのpH変化

    BufferpH at 25℃pH at 0℃pH at -35℃
    50 mM Sodium phosphate7.007.023.36
    20 mM Sodium acetate5.635.666.14
    20 mM L-Histidine-HCl5.375.866.19
    20 mM Histidine-acetate5.525.976.48
    20 mM Sodium citrate6.166.495.93
    20 mM Tris-HCl7.377.938.54
    20 mM sodium Succinate5.555.605.85

    Impact of Freezing on pH of Buffered Solutions and Consequences for Monoclonal Antibody Aggregation

    https://www.researchgate.net/publication/40806387_Impact_of_Freezing_on_pH_of_Buffered_Solutions_and_Consequences_for_Monoclonal_Antibody_Aggregation
    編集情報
    2020/07/19 Mr.はりきり
    ID 19312

    その他参考

    Examining the freezing process of an intermediate bulk containing an industrially relevant protein

    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0141022915000046

    以上

  • [Bio-Edu] 免疫グロブリン様受容体; IgLR (FcR, FcγR), 2004年の文献から [2020/08/20]

    [Bio-Edu] 免疫グロブリン様受容体; IgLR (FcR, FcγR), 2004年の文献から [2020/08/20]

    IgLR; 免疫グロブリン用受容体

    2004年と2005年の文献から,FcRに関する基礎情報を理解する.

    以下のレジメは、「免疫グロブリン様受容体 (IgLR) 分子群による免疫制御, 2004」より。

    • 免疫グロブリン様受容体(Immunoglolumin-Like Recepotrs ;IgLR)
    • 細胞外のI型膜貫通タンパク質
      • 細胞活性化シグナル : 免疫レセプターチロシン活性化モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based activation motif: ITAM)を持つ
      • 抑制性シグナル : 免疫レセプターチロシン抑制モチーフ(immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif: ITAM)を持つ
    • FcR : ほとんどの免疫系細胞上に発現している(最初の報告は,1996年)
      • I型アレルギー関連
      • 自己免疫関連
      • がん免疫関連
      • 抗原提示から始まる免疫応答における活性化と抑制
      • α鎖はIgスーパーファミリーのI型膜貫通型蛋白質
      • FcRのα鎖には,γ鎖(シグナル伝達に関与)が会合
      • γ鎖(FcRγ)の細胞内ドメインには,ITAMがあり,LynなどのSrc型チロシンキナーゼによりリン酸化 → Ca濃度上昇,Ras経路活性化 → 細胞の活性化
    • KIRs : natural killer; NKに発現するkiller cell IgLRs (KIRs)やimmunoglobulin-like transcript (ILT)/leukocyte immunoglobulin-like receptor (LILR)と呼ばれる
      • リガンド
        • 腫瘍組織適合性抗原(major histocompatibility complex; MHC) class I分子
        • MHCの相同分子
      • 自己認識に関わる機能
    • paired IgLR (PIR)
      • KIRやILTの相同分子である
      • PIR-AとPIR-Bのアイソフォーム
      • PIR-Aのα鎖には,γ鎖(シグナル伝達に関与)が会合
      • γ鎖(FcRγ)の細胞内ドメインには,ITAMがあり,LynなどのSrc型チロシンキナーゼによりリン酸化 → Ca濃度上昇,Ras経路活性化 → 細胞の活性化
    • FcRγ欠損マウスでは以下の機能が消失する
      • マクロファージによるIgG依存性貪食能の消失(FcγRI, FcγRIII, PIR-Aは,IgGと結合するが,その発現/機能が失われため)
      • IgEを介するアナフィラキシー反応の消失(FcεRIはIgEと結合するが,その発現/機能が失われるため)
      • IgGを介するII型,III型アレルギー反応の消失
    • FcγRIIB, PIR-Bはモノマーで存在 (抑制:免疫反応を負に制御)
      • 細胞内に,ITIMを有する
      • B細胞レセプター(B cell receptor;BCR)と共架橋 → ITIMのチロシンリン酸化 →
        • → FcγRIIB : Src homology 2 (SH2) domain-containing inositol 5′ phosphatase (SHIP)のフォスファターゼ活性化 → Ca導入のブロック(抑制活性)
        • → PIR-B : SH2-domain-containing protein tyrosine phosphatase (SHP)-1のフォスファターゼ活性化 → Ca導入のブロック(抑制活性)
      • FcγRIIB欠損マウス
        • IgGを介する受身皮膚アナフィラキシー反応の増強
        • IgGなどの抗体作成の促進
      • B cell (FcγRIIB + (BCR + (抗BCR抗体 or 抗原抗体複合体)) ) → 架橋刺激 → B cellにおける抑制性のシグナル
      • B cell (FcγRIIB + (n/a + (抗BCR抗体 or 抗原抗体複合体)) ) → 架橋刺激 → SHIPの活性化されず → B cellアポトーシス
        • BCR発現が低い場合にB cellの選別機構となっている
        • 具体的には,脾臓,リンパ節での杯中心で活性化されたB cellのみを選別している
    • PIR-Bは無刺激でもITIMがチロシンリン酸化されている
      • SHP-1と恒常的に会合している
      • 無刺激では機能しない
      • レセプター架橋刺激依存的ではない
      • B cellのみではなく,マスト細胞,樹状細胞
    • FcRによる抗原提示
      • FcR, PIRはマクロファージ, 樹状細胞(DC)に発現
      • 樹状細胞による貪食/エンドサイトーシス
        • IgGでコートされた可溶性免疫複合体を取り込み
        • 細胞内での分解処理 → 抗原ペプチドをMHC class I, II分子に提示 → T細胞を活性化
      • 抗原のみの取り込みの場合と比べて,その提示機能は,著しく効率が高い
    • FcγRIIB
      • 抑制的であるが,抗原提示機能がある
    • 濾胞性樹上細胞 (folicular dendritic cell; FDC)
      • FcRとFcγRIIBのみ発現
      • FcγRIIBを介して免疫複合体を抗原提示する
    • RIPによるTヘルパータイプ1/2 (Th1/2)の制御
      • DCの機能制御 : FcR, PIR
      • PIR-B(抑制性)の欠損マウス : 典型的Th2型反応
        • 胸腺依存性抗原に対する免疫応答であるIgG1, IgE産生(↑),IgG2a(↓)
        • 免疫後のリンパ節細胞は,IL-4(↑),IFN-γ(↓)
        • bone-derived DC (BMDC)は,wild typeと比較して,MHC class II分子,補助刺激分子CD80, CD86 は低下(↓)
          • 無刺激又は顆粒球マクロファージ刺激因子(granulocyte macrophage-colony stimulating factor;GM-CSF)の刺激による細胞内タンパク質のチロシンリン酸化が亢進されるものの,GM-CSFレセプターβ鎖のリン酸化は一過性である
        • 抗原刺激時のIL-12(↓)
      • PIR-BはDCにおいて,通常,レセプター刺激なしでも恒常的に抑制機能を発揮している
    • ADCC
      • 抗体依存性細胞障害; antibody-dependent cell-mediated cytotoxity)
      • NK細胞上のFcRであるFcγRIIIを介して,抗体で捕捉された細胞が破壊される
        • パーフォリン
        • グランザイム
    表1. Fcレセプター
    ReceptorStructure and apparent Affinity Mouse IgAffinity Human IgConstitutive ExpressionInduced ExpressionType
    FcγRIa
    (CD64)
    α: 70kDa
    γ: 9kDa + ITAM
    1e7M-1 to IgG2a>>3,1,2b1e7~1e9M-1 to IgG1 >=3>4>>2Macrophage
    Monocyte
    Neutrophils,
    Eosinophils,
    Dendritic cells (DC)
    I
    FcγRIIa
    (CD32A)
    α: ~40kDa +ITAM – likenot found<1e7M-1 to IgG3>=1, 2>>4Newutrophils, Nonocytes, Eosinophils, Macrophages, DC,
    Platelets
    I
    FcγRIIb
    (CD32B)
    40~60kDa + ITIM<1e7M-1 to IgG1,2a,2b>>3
    3e5M-1 to IgE
    <1e7M-1 to IgG>=1>4>2II B1 : B cell
    II B2 : mast cell, basophil, DC, Leukocyte(LC), macrophage, eosinophil, newtrophil
    I
    FcγRIIc
    (CD32C)
    NK cells, LCI
    FcγRIIIa
    (CD16A)*
    α: 50~80kDa
    γ or ζ + ITAM
    <1e7M-1 to IgG1, 2a,2b>>3
    5e5M-1 to IgE
    1e7M-1 to IgG1,3>>2,4Macrophage, NK cell, Monocytes, Mast cell, eosinophil, LC, neutrophil (mouse)Dendritic cellsI
    FcγRIIIb
    (CD16B)
    ~50kDa + GPI linknot found<1e7M-1 to IgG1,3>>2,4Newtrophil,EosinophilsI
    FcεRI
    (CD23)
    α: 45~65kDa +β: 32kDa
    γ+ITAM
    >1e10M-1 to IgE>1e10M-1 to IgEMast cell, basophil, eosinophil, LC (human), CD (human)Neutrophils, Eosinophils, T cells, Monocytes, MacrophagesII
    FcαRI
    (CD89)
    α: 55~75kDa
    γ+ITAM
    not found2e7M-1 to IgA1, 2Macrophage, neutrophil, eosinophilI
    FcRn (IgG recycling)α: 50kDa
    β2m: 12kDa
    1e8M-1 to rat IgG2a>2b, 1,2c2e8M-1 to IgGPlacenta, small intestine, monocyte, DC, vascular endothelial cellI
    Fcα/μRIα: ~70kDaHigh, but not detemined1e5M-1 to IgM, IgAB cell, macrophageI
    poly-IgR~85 kDaHigh, but not deteminedHigh, but not determinedEpithelium, liver, small intestine, lungI
    DC-SIGNDendritic cells, MacrophagesII
    (1) IgGとアレルギー、アレルギー 54(10), 1183-1189, 2005
    (2) Fcγ Receptor Function and the Design of Vaccination Strategies, Immunity, 2017 Aug 15; 47(2): 224-233.

    CD16

    • wild type
      • ファゴサイトーシス
      • 酵素分泌
      • 炎症性メディエータ
      • ADCC
      • マスト細胞脱顆粒
      • 免疫複合体の排除
    • 176Val/V158
      • 高結合性
    • 176Phe/F158
      • 低結合性
    • ホモ接合体では、自己免疫疾患や治療IgG抗体への反応感受性に影響する可能性

    免疫グロブリン様受容体 (IgLR) 分子群による免疫制御, 2004

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjph1987/18/2/18_2_59/_article/-char/ja/

    IgGとアレルギー、アレルギー 54(100, 1183-1189, 2005(平17), 東北大学加齢医学研究所遺伝子導入研究分野、高井俊行

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjph1987/18/2/18_2_59/_article/-char/ja/

    Fc receptor proteins – ACRO Biosystems –

    https://www.acrobiosystems.com/A712-Fc-Receptor-Proteins.html?utm_source=google&utm_medium=kw&utm_campaign=fc-PC&utm_content=both&utm_term=300X600&gclid=EAIaIQobChMI0LTeuMS46gIVT0tgCh2RsAUQEAEYASAAEgJdSPD_BwE

    Fc受容体 – Sino Biological –
    ターゲット抗体のタイプを知ることができる

    https://jp.sinobiological.com/research/fc-receptor/fc-receptor-proteins

    AlphaLISA FCGR3A Binding Kit – Perkin Elmer –

    http://www.perkinelmer.co.jp/assays/tabid/1997/Default.aspx

    Fcγ Receptor Function and the Design of Vaccination Strategies –

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5573140/

    NK Cell-Fc Receptors Advance Tumor Immunotherapy 2019
    NK細胞は、RcγRIIc(CD32c)を発現できる

    https://res.mdpi.com/d_attachment/jcm/jcm-08-01667/article_deploy/jcm-08-01667-v2.pdf
    編集情報
    2020/07/18 Mr.はりきり
    2020/08/20 追記
  • [Bio-Edu] 進化するPCR – droplet digital PCRまで – 原理を解説する  [2020/07/16]

    [Bio-Edu] 進化するPCR – droplet digital PCRまで – 原理を解説する [2020/07/16]

    PCR

    Polymerase chained reaction

    デジタルPCRとは。そして更に、ドロップレットPCRの原理は、シンプルで美しい。

    • ~20,000ウェルの微細なナノウェルにDNA分子をランダムに分配する。ナノウェルとは、water in oilの事です。これを考案したの凄いのです。
    • 0個のウェルが存在するようにする(限界希釈)ことで、ポアソン分布を成り立たせ、その統計手法により分子数を定量する
    • エンドポイントPCRにより、分子が0個(ネガティブ)となる数に基づいて、サンプル中のDNA分子数をポアソン統計手法により計算する

    各PCRの説明

    原理説明
    PCRDenature → Annealing → Extension
    Denature : 100℃近い温度で、ダブルストランドのDNAを1本に解く
    Annealing : 50℃~60℃で、Primerを相補結合させる
    Extension : 70℃程度で、耐熱性のDNA polymerase (Tag Polymerase)で伸長反応
    Endo point method、エンドポイント増幅量を標準と比較してして判定、装置が単純(サーマルサイクラー)
    Real time PCRリアルタイム測定(増幅の傾き; 指数増殖フェーズのデータを利用)、蛍光シグナル使用
    統計手法により絶対量を予測、広いダイナミックレンジ、1.5~2倍の濃度差識別
    Digital PCR微細な多数のウェルに分子が0個のものもあように分配(ナノ流体工学に基づくチップ; 数千~数万の反応ウェル)してエンドポイントPCR。ネガティブ・ウェル(必ず必要)の割合と複数分子のウェルからポアソン統計(分子が0,1,2あるいは3個入る場合の確率)、により、絶定数を定量可能。標準曲線不要、PCR反応阻害を受けにくい
    Droplet Digital PCRナノ流体工学に基づくチップを、もっとシンプルな考え方で解決しています。チップでナノのスペースを作るのではなく、water in oilによる微細なエマルジョンの1つ1つを反応ウェルと見なせます。50μLの反応液に数万の反応ウェルが存在することになります。このままPCR反応を行います。エンドポイントの産物は、ドロップレットという粒子として、フローサイトメトリーの原理で一つ一つ数万の粒子ごとに蛍光強度を測定する。
    ThermoFisher と BIO-RADのサイトから

    Digital PCR

    次世代の定量技術!デジタルPCRの原理とは? – ThermoFisher –

    https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/digitalpcr1/

    QX200 Droplet Digital PCR システム – BIO-RAD –

    https://www.bio-rad.com/ja-jp/product/qx200-droplet-digital-pcr-system?ID=MPOQQE4VY
    編集情報
    2020/07/16 Harikiri(Mr)
  • [Bio-Analysis] SECカラム – AAV5を分析  [2020/07/17]

    [Bio-Analysis] SECカラム – AAV5を分析 [2020/07/17]

    SECによるAAV5の分析

    AAV5をSECカラムで分析する例示が示されている。SECカラムでAAVを分析できるかどうか不明であったが、SEC分析は問題ないようだ。

    カラムのpore sizeのスクリーニングによりSRT SEC 500が最も分離能が良好。

    Sepax Institutes, SRT SEC-500 for AAV

    編集情報
    2020/07/17 Mr.はりきり
    ID 4842

    以上

  • [Bio-Edu] mAbの一般的な副作用 (レジメ) [2020/07/17]

    [Bio-Edu] mAbの一般的な副作用 (レジメ) [2020/07/17]

    mAbの副作用

    抗体医薬でよく知られる副作用として、インフュージョンリアクション (infusion reaction, infusion-related reactio, 投与虹反応)がある

    • Infusion reactionは、特に分子標的薬の静脈投与後30分から2時間以内に発現する
    • 2回目以降に起こるばあいもある

    症状

    全身反応として現れる。

    • 顔面紅潮
    • 心拍数増加
    • 血圧変化
    • 呼吸困難
    • 気道攣縮
    • 背部痛
    • 発熱
    • 掻痒
    • 浮腫
    • 吐気
    • 発疹
    • アナフィラキシー
    • アレルギー反応

    対処

    • 対処
      • 投与の中断
      • 投与時間の変更
    • 予防 (前投与)
      • 抗ヒスタミン剤
      • 消炎鎮痛剤
      • ステロイド剤
    AntibodyFormatInfusion Reaction (Japanese Package Insert)
    rituximabmouse/human chimera~90%
    infliximabmouse/human chimeraunknow
    cetuximabmouse/human chimera<0.5~10%
    brentuximab vedotinmouse/human chimera11%
    trastumumabhumanized~40%
    gemtuzumab ozogamicinhumanized47.9%
    bevacizumabhumanizedunknown
    eculizumabhumanizedunknown
    panitumumabhuman<1%
    mogamulizumabhumanized58.8%
    ofatumumabhuman49.8%
    trastuzumab emtansinehumanized1.20%
    pertuzumabhumanized8.8%
    alemtuzumabhumanized96.9%
    nivilmabhumanunknown
    ipilimumabhuman1%
    ramucirumabhuman0.4%

    参考文献

    交代医薬の創薬から承認まで, 坂中千穂, YAKUGAKU ZASSHI 137(7)817-822 (017)

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/137/7/137_16-00252-1/_pdf
    編集情報
    2020/07/17 Mr.はりきり
  • [Bio-Equip] XCell ATF – cell culture perfusion system – by REPLIGEN – 従来のバイオリアクターにATFを追加することで、ハーベスト期間を延長できバッチ生産性向上が可能 [2021/02/03]

    [Bio-Equip] XCell ATF – cell culture perfusion system – by REPLIGEN – 従来のバイオリアクターにATFを追加することで、ハーベスト期間を延長できバッチ生産性向上が可能 [2021/02/03]

    Bio-Equipment

    XCell ATF

    Fed-batchで培養しながら、一定量の培養液を連続的に抜き取りろ過してハーベストするすることで、より長期間の培養が可能隣る。

    • ATFは、培養液と細胞を膜で分離し、培養液のみを抜き取る
    • 培養液には、目的の生産物が含まれている
    • バイオリアクターに残る培養液が少なくなった分の培地を添加する
    • 以上の操作により、老廃物の低減化とハーベスト期間の延長が可能となり、従来よりもバッチあたりの生産性を向上させることが可能となる。

    カタログ ATF6, ATF10 – REPLIGEN

    https://www.repligen.com/application/files/2415/6527/9704/SG-suATF6.pdf

    ATF : Alternative Tangential Flow

    XCell ATF – REPLIGEN –

    https://www.repligen.com/technologies/xcell-atf

    XCell ATF – REPLIGEN –

    http://able-biott.co.jp/product/xcell-atf/
    編集情報
    2020/07/15 Mr.はりきり
    2021/02/03 説明の詳細化
  • 気になる企業 (だった) – Shire plc – 買収で大きくなり、関連する「のれん代」も含めてTAKEDAが2019年に買収 [2020/07/14]

    気になる企業 (だった) – Shire plc – 買収で大きくなり、関連する「のれん代」も含めてTAKEDAが2019年に買収 [2020/07/14]

    Shire plc

    • アイルランドにHeadquarterを置く希少疾患に注力する企業でした
    • 多数のベンチャー企業を買収して大きくなった
    • その買収に関連する「のれん代」は2兆円
    • TAKEDAからの買収前で、血液事業の減損処理は、1兆円を見込んでいた。その原因は、Roche-中外の二重抗体「ヘムライブラ」が、インビビター型血友病だけでなく、非インビビター型にも広く使用されるという競争力低下です source: Shireの研究開発(R&D)について
    • 2017, Shireの売上は、$15.2-billion (約1.5兆円)、製品のみの売上は、$14.4-billionsource: dcatvciorg
      • その内Shireの製品は、$7.4-billion
      • Baxalta製品が$7.0-billion
      • Immunology関連では、$4.4-billion (約4,400億円)
      • Hematology関連では、$3.8-billion (約3,800億円)
    • TAKEDAは、$62-billion (約6.2兆円)で買収を完了した(2019/01) source: dcatvciorg
    編集情報
    2020/07/14 Mr.はりきり