日本政府による「PPAP」(パスワード付きZIPファイルとパスワードを別送する方式)の廃止方針が、現場に揺れを生んでいる中、多くの組織が求める“次の安全なファイル送信手段”について、最新状況とオススメの手段を以下に整理しました。
なぜPPAPは廃止されたのか?その問題点とは
- ZIP暗号の脆弱性や同一経路での送信
ZIP形式の暗号化は脆弱で、メールでパスワードも同じ経路で送るPPAPは、盗聴されるリスクが高いと指摘されています 。 - マルウェアの検査回避
パスワード付きZIPはメールゲートウェイで中身がスキャンできず、ウイルス検知をすり抜けてしまう危険性があります 。 - 誤送信対策としても不十分
パスワードを別手段で送っても、運用負担が高く、形骸化しがちです 。 - 対応の公式要請
金融庁からも、2025年5月に金融機関に対してPPAPの利用廃止が要請されました 。
PPAP以降、いま注目される安全なファイル送信方法
A. WebFileなど“セキュア送信システム”の利用
- 金融業界などで注目されている「WebFile」は、ファイル送信システムとして設計され、セキュリティ要件が厳しい現場でも導入が進んでいます 。
B. ファイル転送サービス・クラウドストレージの活用
- クラウドストレージ
ファイル共有リンクにアクセス制御(閲覧・ダウンロード期限、パスワード、ウイルススキャンなど)を組み込むことで、安全性と利便性を両立できます 。 - 一般企業での導入例
ギガファイル便やfirestorageなど、簡易なファイル転送サービスもPPAPの代替として活用されています 。 - **Next File Share(ネクストアライブ)**
・URL共有
・メールアドレス認証
・自動削除
・直感的なUI (月額500円〜)といった特徴を備えた、次世代型ファイル共有サービスです 。
C. S/MIME や 暗号化メール
- メール本文と添付ファイルを丸ごと暗号化する S/MIME は、メールベースでの安全な送信を可能にする選択肢です 。
D. エンタープライズ向けMFT(Managed File Transfer)・プロトコル利用
- SFTP / FTPS / AS2 / HTTPS
安全な通信プロトコルとして、従来のFTPに代わる選択肢として使用されています 。 - MFT(Managed File Transfer)
これらのプロトコルを統合し、暗号化・認証・監査・ワークフローを管理できるシステムで、安全性と運用効率が向上します 。 - FileCloud(Zero Trust File Sharing)
独自に作成されたパスワード付きZIPを、ファイルサーバー側で強力な暗号化として提供し、パスワードを保持しない仕組みでセキュリティを向上させます 。
E. その他:Send Anywhere や Smash などのツール
- Send Anywhere
6桁の認証コードで送信でき、10GBまで対応。 - Smash
無制限サイズの無料送信可能+パスワード保護オプションあり 。
結論
政府や金融当局からの正式な要請も受け、PPAP方式はセキュリティ上も運用上も限界が指摘されています。
その代替として、安全性/操作性/コスト/運用効率などをバランスさせた方法が多数存在しており、組織のニーズに応じて最適な手段を選ぶのが現状です。
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