[BIO] 医薬品を製造するために使用する原材料の規格はどう決めるか?[2024/01/14]

バイオ医薬品

を含む医薬品全般の話ですが,医薬品の製造に使用する原材料は,その品質を管理する必要があります.管理項目として各種試験項目があり,原材料の製造過程で混入の可能性がある物質に関しては,その混入量の規定がされていたり,理化学試験の項目についても規格値が設定されています.

例えば,シュクロース(sucrose)では,精製水(conductivityが分かっている)に溶解した時の溶液のconductivity値,エタノール(EtOH)混入量などです.

医薬品では,品質が一定に保たれた原材料の使用により最終的に製造されるその医薬品の品質を担保しているのです.

使用する原材料の品質項目と値は,製造者が独自で決めることも可能ですが,薬局方の規格に合致して製造された原材料を原材料メーカーから購入して,自分たちの医薬品製品の製造に使用することも多くりあります.ただし,これら原材料は試験の手間がかかるためコストは高くなります.そこで,コストを下げるために薬局方に合致していない原材料を使用することにして,自分たちで必要な試験項目のみに限定して受け入れ試験を行う方法を取ることもありますが,どちらがコスト削減になるのかは十分に検証が必要です.その場合は,必要が試験項目が漏れていない,受け入れる原材料の製造ロットが安定して受け入れ試験に合格するなどについて考慮が必要です.

以下の表では,例示としてシュクロースの原材料規格を示しました.項目や試験の値は,それぞれの医薬品製造において独自に設定されていたり,各国の薬局方などに記載されていたりします.

Sucrose規格試験の項目の例
独自の試験(例示)溶解した時のConductivity
EtOH(<5000ppm)
MeTOH(<3000ppm)
薬局方説明:白色の結晶性粉末である。無臭で甘味がある。水に溶けやすく、エタノールに溶けにくい。
融点:185~187℃
水分:0.2%以下
灰分:0.01%以下
還元糖:0.05%以下
ヒ素:2μg/g以下
鉛:0.5μg/g以下
重金属:5μg/g以下
紫外可視吸収スペクトル:参照紫外可視吸収スペクトルと一致する1
赤外吸収スペクトル:参照赤外吸収スペクトルと一致する2

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2024/01/14, Mr.HARIKIRI