血漿中の抗体(IgG)を精製する方法
2019年現在、抗体医薬品のほとんどは、遺伝子組換えCHO細胞から造られている。これらの抗体医薬品は、特定の疾患に対する特異抗体、即ちモノクローナル抗体である。
今回紹介する血漿からの抗体は、補充療法としての抗体である。ヒトの血漿中にある抗体は、モノクローナル抗体ではなく、様々な抗原にたいする抗体が混合体として存在しており、上述の場合をモノクローナル抗体と呼ぶのに対し、ポリクローナル抗体という。
例えば、川崎病では従来から血漿由来抗体の投与が試みられる。川崎病はウイルス感染をきっかけとして、遺伝子素因に起因すると考えられる異常な免疫反応により血管炎が生じる疾患である。ウイルスは変異をするので、モノクローナル抗体では、変異したウイルスに治療効果はない場合がある。比較してポリクローナル抗体では、治療効果の確率が高くなる、理屈的には考えられる。
余談だが、異常な免疫反応に対しては、抗体では効果はないと考えられるため、抗体で効かない場合は、免疫抑制のあるステロイド剤が使用される。
概要
PlasmaをBlue Trisacryl AcroSep columnでAlbuminを吸着除去し, Mix modeのMEP AcroSep columnでIgGを吸着、EDTAでtransferinを洗浄除去後、IgGをpH5で溶出する
原理
- 血中の主たるタンパク成分であるアルブミン (Albumin)は、青色素に特によく吸着する。
- 抗体の物性が良ければ、AEX、CEXのクロマトで精製可能だが、一発で精製したいなら、Mix Mode クロマトが選択肢の一つとなる。
- 血漿には、鉄の輸送屋であるTransferinが含まれているが、おそらく鉄を介してAlbuminと抗体は親和性を有している
精製担体
4-Mercaptoethylpyridine (4-MEP)
https://products.pall.jp/jp/ja/Laboratory/Protein-Sample-Prep-and-Detection/ID25/mep–zidgri78m5c
[ED] 免疫グロブリンG; IgG
https://harikiri.diskstation.me/myblog/biologics/8697/