はじめに
rAAV: recombinant Adeno Associated Virus による遺伝子治療薬の開発には、遺伝子組換え技術が使われている為、この知識がなくてはならい。
rAAVを作るには、これまでのタンパク質を作ることとは、何倍も複雑かつ多数の手間が掛かっている。
遺伝子組換え技術からrAAVを作るまでの基礎知識を解説する。
編集履歴 2020/04/07 はりきり(Mr) まずは、遺伝子組換え技術 2020/06/21 追記(rAAV作成に必要なベクター製品) 2020/08/04 追記(必要なPlasmidとその機能)
まずは、遺伝子組換え技術
1) 遺伝子工学の技術
遺伝子工学の技術 – 福岡大学 –
http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/genetech.htm
以下の用語は、同義である。
- 遺伝子工学 (gene technology, genetic engineering)
- 遺伝子操作 (gene manipulation)
- 遺伝子組換え技術 (recombinant DNA technique)
これら技術は、1970年代に発見された以下の要素で構成されている
- 制限酵素 (遺伝子の特定部位を切断する酵素)
- 逆転写酵素 (DNAからmRNAが作られるが、逆に、mRNAからDNA(cDNA)を作る(転写する)酵素
- リガーゼ (別々のDNA断片にそれぞれ、認識特異配列を認識してDNAを繋ぐ酵素)
ベクター
有用と考えた遺伝子配列を細胞に組込む場合、先ず、ベクターという器にその遺伝子配列を載せなければならない。ベクターには、以下のものがある。
- ファージ
- ウイルス
- プラスミド (Plasmid) : 多くのバクテリアの核外の遺伝子で、組換技術用にデザイン・改変された鋳型となるPlasmidが市販されている)
- コスミド
- 酵母人工染色体
大腸菌とPlasmid
- 大腸菌(E.coli)は、2μmのソーセージの形をしていて、至適な環境では25分で2倍に分裂増殖する。4μmに成長すると中央がくびれて2個になる。菌の中央に位置する染色体DNAは、4000個の遺伝子をコードしており2本鎖で環状である
- 多くの大腸菌株には、染色体DNA以外に小さい環状の2本鎖DNAを持ち、これをPlasmidといいい、染色体DNAと同様に分裂増殖する際に複製される
- Plasmidの種類として大きく分けてR (resistant)-Plasmid, F (fertility)-Plasmid (雄株が持つ)がある。
- Rプラスミド: 薬剤耐性の遺伝子を含む
- Fプラスミド: 雌株に接合してFプラスミドを伝達する機能
- 雄の大腸菌は、雌の大腸菌の細胞内に自分のPlasmidを挿入する過程で自分の染色体DNAを伝達することがあり、遺伝子の交雑が起こる
- 以上の現象などから、遺伝子組換え技術が考案され、大腸菌間の遺伝子組換えを人為的に行える技術が確立されできた。
- 自然界にPlasmidが存在する
- そのPlasmidの機能を利用するのが、遺伝子組換え技術
制限酵素
遺伝子組換え技術における「ハサミ」である。ThermoFisherには概説。制限酵素の一覧は、TaKaRaを参照
- それぞれ種々の配列を認識して切断する多数の制限酵素が知られている
- EcoRI (図1参照)は、GAATTCと相補的(CTTAAG)に結合しているDNAを選択的に、「のり代」のある形に切断する
- G-AATTC (CTTAA-G) : ‘-‘で切断
2) 大腸菌と組み換えDNA技術
大腸菌と組み換えDNA技術
京都 WEB マガジン 現代アートとサイエンス No.11
https://plasmid.med.harvard.edu/PlasmidRepository/file/map/pAAV-MCS.pdf
DNAリガーゼ (ligase)
遺伝子組換え技術における「のり;糊」であるsource
- Plasmid (環状DNA)の一部の領域に制限酵素により「のりしろ」付き状態にしたところに、目的遺伝子(同様に「のりしろ」状態)を結合させて、環状DNA(Plasmind)にする酵素
- DNAの末端同士をリン酸ジエステル結合させる
大腸菌にタンパク質を作らせる
- 最も初期の遺伝子組換え技術の応用例として、糖尿病治療薬のインスリン、ウイルス抑制因子のインターフェロンの大腸菌による生産がある
- 天然のPlasmidを鋳型として、適切な位置にインスリンやインターフェロンをコードした遺伝子配列を挿入し、デザインしたPlasmidを作る
- まず、
Competent Cell
Competent Cellとは、Plasmidを細胞内に導入しやすいようにダメージ処理が施され安定保存された細胞のことsource、wikipedia
- カルシウムイオン存在下で冷却処理(膜透過性の増大)
- 凍結保存(-80℃以下)
製品
XL-Blue Competent Cells(Agilent)
- XL2-Blue UltraCompetent Cells
- XL1-Blue SuperCompetent Cells
- XL1-Blue Electroporation-Competent Cells
- XL1-Blue Competent Cells
- XL-2-Blue Subcloning Grade Competent Cells
特徴
- プラスミドベクター/ラムダファージベクターの両ベクターの増幅に両できる菌株
- 表現系: EndA(-)
- Plasmid DNAの増幅/回収に適したCompetent Cell
- Blue/White スクリーニング、ファージミドDNAのsingle-strandレスキューが可能
- F7エピソームは、抗生物質耐性
- XL1-Blue : エレクトロポレーション・コンピテント・セル(>=1e9)
- 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr)]
- XL2-Blue : ウルトラコンピテント・セル(>=5e9)
- 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr) Amy Camr]a
- カルタヘナ対応が必要