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  • [Bio-Edu] ワクチンの製造 – Pallのソリューション [2020/10/14]

    [Bio-Edu] ワクチンの製造 – Pallのソリューション [2020/10/14]

    はじめに

    誰しもがインフルエンザウイルスでのパンデミックを予想していました。しかし、誰も予想していなかった普通の風邪ウイルスのパンデミックが今回起きたのでした。パンデミックは実在したのです。

    COVID-19によって、従来のワクチン開発手法が一変したと断言します。核酸ワクチンが多数開発され臨床試験が実施されました。関連する技術革新がなされ開発期間の短さも更に進みます。今後は、不利な点は許容しそして克服しながら、優位性を更に高めてパンデミックに対応していくことで、核酸ワクチンは更に技術革新が進み、主要な技術となっていくものと思われます。

    種類抗原典型的なプロセス
    核酸ワクチンプラスミドDNA(pDNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、組換えベクターワクチン発酵、化学合成、細胞培養
    組換えワクチン組換えタンパク質、組換えウイルス細胞培養
    サブユニットワクチン組換えタンパク質、多糖類とペプチド結合体細胞培養(哺乳類/昆虫)、発酵(バクテリア/酵母)
    細菌性トキソイドワクチントキソイドタンパク質発酵
    全細胞ワクチン弱毒生ウイルス、弱毒生細菌哺乳類細胞培養、微生物細胞培養
    不活化細菌、不活化ウイルス微生物細胞培養、卵/哺乳類細胞培養

    Vaccine Production
    Securing process quality with flexible manufacturing solutions for all vaccine platforms – Pall –

    https://www.pall.com/en/biotech/vaccine-production.html?_ga=2.53595304.1803705756.1602653437-1800534053.1602653437

    LNPは、ろ過における性能低下を伴うためSterile filterの選択は重要な課題である。以下のPallのWebinarでは、マイクロエマルジョンとその溶液のSterile Filtrationについて解説されている。

    https://vimeo.com/408772789

    ワクチン製造

    Pallのソリューション・リンクです。参考になります。

    Automated Systems

    Featured Product: Single-Use Batch Chromatography Systems link

    Biocontainers

    Featured Product: Allegro (TM) 3D Standard Systems link

    Hardware

    Featured Prouct: Allegro Plastic Totes link

    Mixers

    Featured Product: Allegro 50L High Performance Mixer for Single Use Operations link

    Powder Transfer Bags

    Featured Product: Pall PD2 Powder Handling Bags link

    Services

    Featured Product: Helium Integrity Test (HIT™️) Technology for Allegro™️ 2D Single-Use Systems link

    Valves

    Featured Product: ARTTeSYN – Pinch Valves link

    Sterile connector

    KLEENPAK PRESTO STERILE CONNECTOR link

    取扱ビデオ link

    mRNAのLNP化は、今回のCOVID-19ワクチンにも使われていました。Precision NanoSystemsの技術がそれです。

    編集履歴
    2020/10/14 はりきり(Mr)
    
  • 気になる企業 – Vaccibody – [2020/10/07]

    気になる企業 – Vaccibody – [2020/10/07]

    ID24078

    Vaccibody

    HomePage

    • 新しい免疫療法の発見と開発に専念する臨床段階のバイオ医薬品会社
    • 個別化癌新抗原ワクチンの急速に発展する分野のリーダーであり、Vaccibody技術を持つ
    • 高いアンメットメディカルニーズを持つ癌を治療をターゲットとしている
    • さらに、感染症に関する研究に注力
    • 抗原提示細胞を標的とする標的DNAワクチンの開発
    • デザインテクノロジーは、特定の免疫応答プロファイルを誘導するように調整する
    • Vaccibodyワクチンプラットフォームは、がんや感染症などの医療ニーズが高い多くの疾患領域に対処する可能性を秘めている
    • Rocheとネクタルセラピューティクスとコラボレーション
    • 候補ワクチン
      • VB10.NEO: 個別化がん治療、Phase I/IIa
      • VB10.16: HPV16陽性の関連がん治療、Phase II

    Vaccibody技術

    • 患者活液の採取
    • 腫瘍のDNA/RNAの特異的配列の特定
    • NeoSELECT(TM) アルゴリズムによる最適抗原のデザインと遺伝子の合成(gene construct)
    • クローニングとマスター・プラスミドの作成
    • Personalized Cell Bankの作成とスモールスケール製造
    • 遺伝子組み換え細菌培養にり原薬(plasmid)の製造
    • 製剤化(plasmidと添加剤)
    • VaccibodyをデザインしたPlasmidを筋肉細胞に注入することで、Vaccibodyタンパク質を、体内の細胞で発現させる
    • 細胞から分泌されたVaccibodyには、ターゲティングユニットとしてMIP-1αがデザインされており、これがCD8 Killer T細胞応答を誘導するという特徴を持つ。

    Vaccibodyは、ジェネンテックと世界規模の独占的ライセンスおよびコラボレーション契約($200m, $515m)を締結し、VB10.NEO、個別化された新抗原癌ワクチンを開発します, 2020/10/01

    VACCIBODY ENTERS INTO WORLDWIDE LICENSE AND COLLABORATION AGREEMENT WITH GENENTECH, A MEMBER OF THE ROCHE GROUP, TO DEVELOP INDIVIDUALIZED NEOANTIGEN CANCER VACCINES

    Vaccibody enters into worldwide, exclusive license and collaboration agreement with Genentech to develop VB10.NEO, individualized neoantigen cancer vaccines

    https://www.vaccibody.com/vaccibody-enters-into-worldwide-license-and-collaboration-agreement-with-genentech-a-member-of-the-roche-group-to-develop-individualized-neoantigen-cancer-vaccines/

  • 新型コロナワクチン開発、日本はどうする?[2020/06/07]

    新型コロナワクチン開発、日本はどうする?[2020/06/07]

    GDPの1位と2位は先行

    国の豊さを知る指標としてGDPがある。2018年のGDPは、アメリカが2220兆円、中国が1443兆円、日本は、536兆円であるsource。人口は、それぞれ、3.29億人、14.3億人、1.27億人であるwiki

    アメリカのと中国のGDPは、世界1位と2位であり、それぞれの国のベンチャー企業である、ModernaとCanSinoは、新型コロナウイルスのmRNAワクチン開発でフロントランナーとして駆けている。

    Modernaは、2020/04/16, Biomedical Advanced Research and Development Authority (BARDA, 米国生物医学先端研究開発局)から最高4億8,300万ドル (約500億円)助成金の供給が決まっており、商用製造を見据えたパートナーとしてCMOの優であるLonzaと提携したことも発表されている。資金は潤沢、用意は万全のようだ。

    一方、CanSinoは、アメリカの企業である製剤処方の技術を持つPrecision NanoSystemsとの提携を発表している。CanSinoは、自社のmRNA技術、Precision NanoSystemsは、mRNAの製剤技術であるLNP(脂質なの粒子)組成開発能力と自動製造システムを、それぞれ持ち寄り臨床試験を進めている。CanSinoのマーケットは、日本を除くアジア圏、Precision NanoSystemsは、その他の国々の権利を有する。

    Moderna、CanSinoは、それぞれ、2020/03に新型コロナウイルス・ワクチンの臨床試験に入っている。

    さて、日本では、どれだけのベンチャー、技術に助成できるのか?

    2016年、武田製薬は、2016年にジカ熱の治療薬開発にBARDAから3億1200万円(337億円)の助成を受けると発表しているsource

    日本のベンチャー企業からすれば、投資をしてほしいのだか、日本政府としては、それだけの技術があるのかが心配であろう。その場合、技術の目利きが無いと投資は出来ないか、小額になっていまうのが関の山だ。しかし、そもそも、開発資金がないと技術の磨き上げはできない。鶏と卵であるが、最終的には、資金提供者がリスクを負うべきと考える。

    編集履歴

    2020/06/07 はりきり(Mr)
  • [Vc] Moderna – COVID-19 ワクチン臨床(Phase 3の中間結果は94.5%の有効性を示した – ID19527 [2020/11/16]

    [Vc] Moderna – COVID-19 ワクチン臨床(Phase 3の中間結果は94.5%の有効性を示した – ID19527 [2020/11/16]

    ID19527

    ワクチンの臨床結果による有効性の比較

    世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。

    Moderna社のCOVID-19/Phase I Preliminary Report

    COVID-19ワクチン

    Modernaが開発しているmRNAを用いたCOVID-19ワクチンの臨床結果について途中結果が出ています。

    • 2021/05/23, インド変異株(デルタ株)に対する有効性について、1摂取では、AstrazenecaとPfizerとも33%, 2回摂取でAstrazenecaは60%, Pfizerは88%であると、イングランド公衆衛生庁(PHE)が発表, BBC News(ファイザー製とアストラゼネカ製ワクチン、2回接種でインド型変異株に有効=英研究, 2021/05/23))
    • 2020/12/17, mRNA-1273の臨床結果の詳細 : 3つの年齢層にわたる4つの用量レベルのmRNA-1273の安全性と免疫原性を評価、有効性の評価では94.1% (Vaccine Efficacy)と評価された。
      • Study 101
        • デザイン : 非盲検の進行中の第1相用量設定試
        • 結果 : フェーズ2およびフェーズ3の研究で使用される100μgの用量の推奨容量を得た
      • Study 201
        • デザイン : ランダム化プラセボ対照の安全性および免疫原性試験
        • 結果 : 大規模な第3相試験である試験301の開始をサポートする追加の安全性データを取得
      • Study 301
        • デザイン: 30,000人以上で、有効性、安全性、および免疫原性評価、ランダム化プラセボ対照試験

    MRNA-1273 SPONSOR BRIEFING DOCUMENT VACCINES AND RELATED BIOLOGICAL
    – MEETING DATE: 17 DECEMBER 2020 AVAILABLE FOR PUBLIC RELEASE –

    https://www.fda.gov/media/144452/download

    • 2020/11/16, Phase 3(30,000人以上を予定)の中間結果(95人に実薬投与、90人プラセボ)、94.5%の有効性が示された。2020年末までに、2,000万回分の提供を予定している source

    HomePage

    An mRNA Vaccine against SARS-CoV-2 — Preliminary Report

    https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2022483

    • 2020/07/14
    • ワクチン : mRNA-1273 (S-2P antigen encoded), as SARS-CoV-2 spike protein encoded
    • 投与 : 0.5mL (deltoid muscle), days 1 and 29
    • Phase 1 : 45人、18 ~ 55 years of age, 28 days
    • 評価: Anti-S-2P antibody geometric mean titer(GMT) ELISA
      • 以下の29日と57日のデータから投与量が多いほど、抗体価が上昇しているのがわかる
      • 29 Days
        • 25μg: 40,227
        • 100μg: 109,209
        • 250μg: 213,526
      • 57 Days
        • 25μg: 299,751
        • 100μg: 782,719
        • 250μg: 1,192,154
    Good agreement was noted within and between the values from binding assays for S-2P and receptor-binding domain and neutralizing activity measured by PsVNA and PRNT

    Safty

    • 有害事象が低い確率
      • Fever (発熱)
      • Arthralgia (関節痛)
      • Nausea (吐き気)
      • Chills (悪寒)
      • Size of erythema or redness (紅斑または発赤)
      • Size of induration or welling (
    • 有害事情が中程度の確率
      • Fatigue (倦怠感)
      • Headche (頭痛)
      • Myalgia (筋肉痛)
    • 有害事象が高い確率
      • Any systemic symptom (全身症状)
      • Any local symptom (局所症状)
      • Pain (痛み)
    編集履歴
    2020/07/24 はりきり(Mr) Phase Iについて
    2020/11/16 追記 (Phase 3中間報告で94.5%の有効性)
  • [用語] VLP; ウイルス様粒子

    [用語] VLP; ウイルス様粒子

    VLP

    VLP; Virus Like Particle; ウイルス用粒子。ウイルスの殻であるカプシドタンパク質は、それをコードする遺伝子を宿主細胞に組込んで生産させると、生産されたカプシドタンパク質は、自然にウイルス粒子に構成される。これを利用して、感染性の無いウイルス粒子を作りワクチンを開発することができる。Source(日経)

  • [Data Link] 田辺三菱製薬のワクチン戦略 (2017)

    [Data Link] 田辺三菱製薬のワクチン戦略 (2017)

    田辺三菱製薬のワクチン戦略

    データリンク(バイオロジクスに関するもの)として格納します

    日経のサイトに詳しい資料が掲載されてされています。ワクチンに関する基礎的知識、連携している阪大微生物研究所、VLP技術を有する子会社である「メディカゴ」に関して知ることができます。

  • [Vc] Pfizerの新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン – Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine の組成  [2021/06/10]

    [Vc] Pfizerの新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン – Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine の組成 [2021/06/10]

    BNT162とは

    ドイツのBiopharmaceutical New Technologies (BioNTech) 社とPfizerが共同開発するmRNAをベースとする新型コロナウイルス感染症に対するワクチンです。開発ワクチンは、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(receptor binding domain; RBD)をコードするヌクレオチド修飾メッセンジャーRNAをベースのワクチン(BNT162b2)

    • 2020/11/09, 4万3千人を対象に進められているP3臨床試験の途中集計として、その予防効果は90%以上あることを発表したsource
    • 2020/10/20, 日本人におけるBNT162b2の安全性、認容性および免疫原性を評価目的にPhase 1/2試験(160名、20~80歳日本人、BNT162b2とプラセボの比 3:1)を開始したと発表。BNT162b2は30μgを21日間隔で2回接種し、最終接種から12ヶ月後まで評価する計画。BNT162bは、最適化されたスパイクタンパク質の全長をコード強いる。BNT162b2は、ドイツ、米国、ブラジル、アルゼンチンを含む世界で最大120治験実施施設で、44,000人の参加で国際共同治験2/3相が評価中。この試験と、今回の日本出の試験のデータを用いて、日本での製造販売用視認を申請する予定です。承認が得られた場合、1億2000万回分のCOVID-19ワクチンを2021年上半期に日本に提供されるsource
    • 2020/07/31, 日本に対して来年6月までに6000万人分の供給を約束した
    • 2020/07/01, BioNTech社との共同研究であるSARS-COV-2に対するmRNAベースのワクチンの臨床試験(4候補、Phase I/II)の早期データを発表(45例の評価) source
      • 10μg/30μgの投与
      • 28日目, RBD結合IgG抗体濃度が上昇し、SARS-CoV-2に対する中和抗体価が確認された
      • 深刻な有害事象は無かったことから、今後のPhase IIb/3での有効性試験における主要候補と容量レベルの選択が可能となった

    BioNTech

    mRNAをベースに治療薬を開発するベンチャー source

    • mRNAベースの治療薬開発
    • コンピューターテクノロジー
    • 共同研究など他社との協業
      • Genmab
      • Sanofi
      • Bayer Animal Health
      • Genentech
      • Genevant
      • Fosun Pharma
      • Pfizer

    因みに、AstraZenecaが開発している新型コロナウイルス感染症ワクチンは、Adenovirsを使ったワンチンです。T細胞の免疫応答の強化が期待できるため、mRANワクチンよりもワクチン効果が高いことが期待されています。関連記事もご覧ください。

    ワクチンの臨床結果による有効性の比較

    世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。

    Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成

    Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンは、SARS-CoV-2表面の改変したスパイク・糖タンパク質(spike (S) glycoprotein)をコードするメッセンジャー RNA (modRNA)を脂質膜で粒子状にした製剤です。提供形態は、凍結品で以下の組成になっています。

    • 凍結品 (ドライアイス; 75℃程度)で保管・輸送
    • 使用時には、1.8 mLの0.9% Sodium Chloride (diluent) で希釈
    • 複数回用
    • 0.3 mL投与
      • 30mg of modRNA
      • 0.43 mg (4-hydroxybutyl)azanediyl)bis(hexane-6,1-diyl)bis(2-hexyldecanoate)
      • 0.05 mg 2[(polyethylene glycol)-2000]-N,N-ditetradecylacetamide
      • 0.09 mg 1,2-distearoyl-sn-glycero-3- phosphocholine
      • 0.2 mg cholesterol)
      • 0.01 mg potassium chloride
      • 0.01 mg monobasic potassium phosphate
      • 0.36 mg sodium chloride
      • 0.07 mg dibasic sodium phosphate dihydrate
      • 6 mg sucrose
      • (contributes an additional 2.16 mg sodium chloride per dose)
    • 3週間空けて2回の接種

    Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine – Fact Sheets and Additional Information – FDA

    特に、日本語のファクトシートを見たい場合は、ワクチン接種を受ける人と介護従事者のためのファクトシートを参照

    https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/pfizer-biontech-covid-19-vaccine

    審査結果報告書

    製造方法

    審査結果からわかる製造方法は以下の通り。

    • plasmid DNA(pDNA)を大腸菌の培養により得る
    • 大腸菌を溶解してpDNAの抽出、精製される
    • pDNAを直鎖DNAにしてから、転写によるmRANを得る。必要な精製処理が行われる
    • 転写で使用されるUTPは、改変されたものである
    • mRNAはLNPで製剤化されている

    コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS- CoV-2)

    (有効成分名:トジナメラン) , H2年 3月 12日

    https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_4.pdf

    編集履歴

    2020/07/23 はりきり(Mr)
    2020/07/31 日本との合意
    2020/11/09 予防効果は90%以上
    2021/02/03 Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成
    2021/06/10 追記(審査結果報告書)
  • [Vc] アデノウイルス・ベクター・ワクチンとは – 新型コロナウイルスのワクチン開発で威力を発揮する – 必要な遺伝子のみを残す試行錯誤で、現在は第三世代  [2021/02/26]

    [Vc] アデノウイルス・ベクター・ワクチンとは – 新型コロナウイルスのワクチン開発で威力を発揮する – 必要な遺伝子のみを残す試行錯誤で、現在は第三世代 [2021/02/26]

    アデノウイルス・ワクチン

    アデノウイルス(adenovirus)を利用した治療薬の代表は、遺伝子治療薬です。adenovirusを用いた研究は歴史があり、遺伝子治療用のadenovirusは、最新世代の改変型adenovirusが使用されています。

    使用されるワクチン用のadenovirusは、目的に適した改変adenovirusが使用されるはずですが、前世代adenovirusが使用されているようです。この部分は、十分に把握できていないので、今後の調査を進めたいと思っています。

    アデノウイルス・ベクターを使ったワクチンとして代表的なものは、やはり、Astrazeneca社のCOVID-19ワクチンです。2021年中には、日本でも集団摂取が予定されています。Astrazeneca社のワクチンに関する情報は、後半に述べています。

    adenovirusのウイルス膜表面に、目的の抗体を作りたいウイルスの膜表面タンパク質を発現さたり、ベクターとして組み込んだ遺伝子に目的のタンパク質を発現させることも可能です。現在、新型コロナウイルスのワクチンとしてAstrazenecaの臨床試験が行われているadenovirus vector vaccineがあります(2020)、mRNAなどの核酸ワクチンと比較して、細胞免疫を惹起するため強いワクチン効果が期待できます。ただし、ワクチン効果以外の服反応も起こるため、免疫獲得として摂取できる回数は少ない数回に限定されます。核酸ワクチンの場合は、副次的な反応が理論上はないため、複数回の免疫が可能です。抗体ができるまで、複数の免疫も可能と考えられます(2020/09/08)。

    adenovirus vector vaccine (アデノウイルス・ワクチン)は、核酸ワクチンの原理と比較して、抗原提示に関するT細胞の免疫応答が強まる(細胞免疫)、感染細胞への殺傷効果が高い可能性があることから、よりワクチン効果が高い期待があります source: Adenoviral Vector-Based Vaccines and Gene Therapies: Current Status and Future Prospects, 2018

    上記参照文献は、adenovirusに関わる情報を網羅的によくまとめられおり、初学者には貴重な情報源となります。以下、原文の英語を日本語にまとめるとともに記載分類を再編成しレジメ化しました。以下の(数字)は、原文での参照文献番号を表しています。

    • 遺伝子投与(核酸ワクチン)による抗原の産生では、抗体の生成は可能だが、抗原提示に関するT細胞の免疫応答が弱い可能性 (核酸ワクチンの弱点の可能性)
    • adenovirusのウイルス膜表面への抗原提示、あるいはAdenorirus自体によるアジュバント効果(可能性)では、抗体の生成とT細胞の免疫応答のどちらも強力に得る可能性が高まる

    adenovirus

    adenovirusの特徴は、DNAウイルスであり以下の通りです。

    • カプシドとゲノムで構成されている
      • 表面抗原を構成するタンパク質は、(1)ペントン、(2)ヘキソン、(3)ファイバー
    • 血清型間で、ヘキソンの超可変領域とファイバーのエピトープ配列の不均一性が高い
    • 殆どの人は抗体を持っている
    • サイズ : 70 ~ 90 nm
    • 26~45kb二本鎖DNAゲノム、両端に100-140bpのフランクを持つ2つの逆方向末端反復を含む
    • 相補のDNAはそれぞれタンパク質をコードしている(双方向)
    • オルタネイティブ・スプライシングによりmRNAの異なるポリA修飾を使用する

    遺伝子導入実験ハンドブック — タカラバイオ —

    AAV (Parvoviridae) : ssDNAウイルス, 5kb, 18-26nm, P1レベル, 染色体への積極的なゲノム組み込み(-)
    adenovirus (Adenoviridae) : dsDNAウイルス, 36kb, 70-90nm, P2レベル、染色体への積極的なゲノム組み込み(-)
    lentivirus (Retroviridae) : ssRNAウイルス, 8-9kb, 80-130nm, P2レベル, 染色体への積極的なゲノム組み込み(+)

    by Mr. Harikir (2021/02/11)

    https://catalog.takara-bio.co.jp/PDFS/transgenesis_experiment.pdf
    • 遺伝子は、それぞれ5つの初期遺伝子と後期遺伝子に分けられる
      • 初期遺伝子 : E1, E3, E4は、自然免疫を抑制する
        • E1
          • E1A
            • ウイルスDNA合成に必要な遺伝子の転写の活性化
            • 宿主細胞への影響 : p53依存的と非依存的によりアポトーシス(ハイジャックアポトーシス)を誘導(9)
            • immuning回避(T細胞への抗原提示の減少(67) )、腫瘍形成(60,61)
          • E1B
            • 宿主タンパク質(p53, Bak, BAX)への結合によりアポトーシスを阻害する(68~79)
        • E2
        • E3 : 免疫調節機能
          • 感染細胞を免疫細胞から認識されないようにする (78)
            • 検出MHCクラスI分子の表面輸送の遮断
            • 宿主細胞の表面にあるNK細胞受容体を減少させる
          • Death receptorsのダウンレギュレーションすることにより、adenovirus感染細胞のアポトーシスを阻害する
        • E4 (74, 75, 76, 77)
          • E1B-55とE4のタンパク質は、Daxxタンパク質を誘発することで、抑制されているウイルスのゲノム発現を可能にする
          • E1B-55kとE4の結合タンパク質は、自然免疫である抗ウイルス応答を抑制する
        • 細胞に取り込まれた時に発現する
        • タンパク質合成、ウイルス複製に必要な宿主遺伝子の発現調整
      • 後期遺伝子
        • L1-L5
        • アセンブリ、放出、宿主細胞の妖怪(1,5,6)
    • 非エンベロープ
    • 20面体DNAウイルス
    • 50以上の血清型 (遺伝的に多様)
    • Adenoviruses (Adenoviridae) (10,11,12)
      • Mastadenovirus
        • 動物のアデノウイルス(サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ)
        • ヒトのアデノウイルス (Human Adenoviruses; HAd)
          • 7つ (A ~ G)
          • 血清学的特徴では、67種類、更にサブグループ
      • Aviadenovirus
      • Siadenovirus
      • Atadenovirus
      • Ichtadenovirus
    • 宿主組織 : 眼、呼吸器、胃腸の上皮など生命の危機に関わらない感染
    • 1953年、Roweらにより組織から分離された(2)
    • ヒトと動物の間で無症状の気道感染症を起こす
    • 免疫不全の患者では生命に危険がおよぶ場合がある
    • 殆どのヒトで中和抗体を有している(3)
    • 癌療法に使用される(4)
    • 構成タンパク質(6, 7, 8)
      • ヘキソン
        • 主たる表面タンパク質(270 x 3量体)
        • 超可変領域を含む。この領域を利用してワクチン抗原にできる
      • ペントン
        • 20面体の12の頂点に12 x 5量体
        • ファイバーと共に宿主細胞の受容体のリガンドとなる
      • ファイバー
        • 12の3量体が突出している
        • ペントンと共に宿主細胞の受容体のリガンドとなる
      • IIIa
        • カブシドの内側に位置する
        • 頂点領域の裏打ちと内包するウイルスゲノムの組み立てに寄与する
      • VI
        • 内側と外側のカプシドシェルをリンクする
      • VIII
        • ヘキソンの裏打ち
      • V, VII, IX
        • DNAゲノムに関連し、ビリオンのコアを構成
        • 末端タンパク質は、2本鎖DNAの末端に結合し、複数のVにより作られたコアとリンクして位置を安定化

    アデノウイルスに対する免疫

    宿主におけるウイルス認識

    adenovirus、その部品を認識するもの (27,28,29,30,31.32,33,34,35,36,37,38,39,40,41)

    • 細胞内でのバターン認識受容体 (PRR)
      • adenovirus由来の5’-triphosphateを持つ2本鎖RNAは、RIG-Iなどのcytosolic PRRに認識される
      • DNA, RNAは、TLR3, TLR7, TLR8などのエンドソーム膜(endosomal membrane)にあるintracellular PRRsに認識される(48,52,53,54,55)
      • 2本鎖DNAの生体内認識 (34,35,56,57)
        • TLR9
        • DNA-dependent activator of IRFs (DAI)
        • DNA-dependent protein kinase (DNA-PK)
        • IFNγ-inducible protein 16 (IFI16)
        • DEAD (Asp-Glu-Ala-Asp) box polypeptide 41 (DDX41)
        • cyclic guanosine monophosphate-adenosine monophosphate (cGAS)
    • 病原体関連分子パターン (PAMP)
    • PRRがPAMPを感知する
    • ウイルス(病原体)であると認識すると、1型インターフェロンを発現しウイルス抑制、炎症性サイトカイン発現 (23,24,25,26,27)
    • receptor : Coxsackie adenovirus receptor (CAR)
      • 促進因子 : IL-8, TNF-α
    • integrin αvβ5 heparin sulfate proteoglycans
    • CD46
    • sialic acid
    • scavenger receptors (マクロファージ、樹状細胞)(33)
    • Toll-like receptors(TLRs)
    • RIG-I like receptors(RLRs)
    • nucleotide-binding oligomerization domain (NOD-like receptors (NLRs)
    • cytosolic DNA sensors
    • effector molecules
    • CD46, desmoglein-2 (type B Adのmacropinocytosis)(39,40)→ IL-12で誘発されるINF-γの産生を抑制する
    • 細胞のβ3インテグリンは、pentonのAgr-Gly-Asn (RGD)モチーフに親和性あり

    Vectorとしての良くない免疫応答

    • adenovirus粒子のみでは自然免疫の誘導は不十分であり、その原因は、DNA由来として残っている(51)
    • 肝臓、脾臓のマクロファージの活性化(42,43)
    • MCP-1, RANTES(TLR2依存性)の活性化
    • IL-1抗体は、adenovirusによる角膜の炎症反応を低減化する(mouse)(45,46)
    • TLR9(E1, E3欠損adenovirusでも感知する→角膜炎症、IL-6,IFNα産生)(49,50)
    • plasmacytoid dendritic cells (pDCs)は、TLR9-MyD88依存、myeloid DCs (mDCs)は依存しない(48)
    • 細胞免疫
      • CD4+ Th1細胞
      • CD8+ T細胞

    adenovirus vector

    adenovirus vectorの特徴

    • HAd5は遺伝子送達用ベクターとして開発された
    • 非複製性
    • 広範囲な組織指向性
    • ゲノム解析が進んでいる
    • 大きなDNA遺伝子挿入が可能
    • 宿主ゲノムに組み込まれない
    • 宿主細胞の核にepsomeとしてDNAが残る
    • 36kbの遺伝子をパッケージング可能
    • 自然免疫(先天性免疫)シグナルを活性化することでワクチンとしての利点がある(21,130)
      • 効果的な免疫細胞刺激→適応免疫(獲得免疫)である液性・細胞性の免疫応答
      • 細胞内の病原体の解決には、CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)が重要
      • adenovirus vectorで運ばれる抗原は、
      • MHCクラスI分子を介してT細胞に提示されるめた、adenovirus vectorは、堅牢なCTL応答を誘導できる
      • CTLは、ウイルス感染細胞、細胞内病原体、ガン性細胞を強力に認識し死滅できる
    • 抗体産生及び導入遺伝子て特異的T細胞の誘導
    • 必要な遺伝子をadenovirusから分離し、HEK細胞に担わせることで、共同してベクターを産生させる
    • adenovirusのタンパク質とHCVのタンパク質の相同性が高い

    遺伝子治療におけるadenovirus vectorの歴史

    繰り返し投与により体液性免疫、細胞性免疫、細胞性細胞毒性、発癌などの課題に直面した(129)

    • 1992年、alpha-1 antitrypsin (A1AT)欠損症(124, 125)
    • 嚢胞性線維症 (CFTR遺伝子)(126)
    • 尿素回路関係(オルニチントランスカルバミラーゼ)(127,128)

    ワクチンにおけるadenovirus vectorの歴史

    • HIVワクチン 2003年~2006年、Merck(131)
      • HAd5 vector-based

    第1世代

    アデノウイルス・ベクターは、HEK293細胞とともに改変が進められてきた(2021/02/11, by MR.HARIKIRI)。

    • First generation
    • E1削除
      • 初期、後期のウイルスタンパク質は、濃度依存的にMHCクラスIによる抗原提示により細胞死を誘発するが、それをホスト細胞以外では産生できないことにより毒性低減化に繋がる(104,105)
      • 削除により非複製アデノウイルスとなる (HEK293(ヒト胚性腎細胞), PER.C6などのE1トランスフェクト細胞を使用する (93)
      • HEK293には、E1領域にトランス相補性を入れている(組織形質導入能力)
      • 自然相同組換えが起こり複製力のあるadenovirus(RCA)が出現する可能性を持っている(98)
      • RCAのリスク低減としてのPER.C6では、独自のプロモーター(PGK)を持つadenovirusのE1領域の発現カセットを使用し相同領域を削除(99,100)
      • 4.5kb導入可能となった (92)
    • E3削除
      • 免疫学的経路の阻害(101)が知られている
      • 完全に削除された(102)
      • 8kb導入可能となった(103)

    第2世代

    増殖中の複製能力のあるadenovirus生成の可能性を排除できたが、導入遺伝子の発現が少ないとされる。依然として残る課題は、免疫原性と細胞毒性である。

    • Second generation
    • E1削除 : 第1世代から継承
    • E2削除
    • E3削除: 第1世代から継承
    • E4削除
    • 10.5kb導入可能となった

    第3世代

    ITRとパッケージングシグナルを除く全てのウイルスシーケンスを削除(114)

    • Third generation (114)
      • ITRs
      • packaging signal
    • Helper Dependent or gutless adenoviral vectors(115, 116, 117)
    • high capacity adenoviral vectors (HCAds)と呼ぶ
    • 2種類のvectorが必要(トランスフェクション)
      • Helper virus
        • ホスト細胞に組み込んでいたウイルス遺伝子補完遺伝子をHelper virusで提供により、adenovirusタンパク質を合成可能となる→ capsidのアセンブリ→HCAD genomeのパッケージング
        • HCAdsのみのパッケージングが可能
        • packaging signal flanking loxP siteを含む
          • Helper virusのパッケージングシグナルは、loxP siteのCreを介した組換えにより阻害されることで、Helper virusのgenomeがadenovirus粒子に集まるのを防ぐ(機能が十分でない場合、Helper Virus汚染の問題が生じる)
      • HCAd genome
        • ITRsを含む
        • packaging signalを含む
    • HEK293細胞
      • constitutivery express Cre recombinase
    • Helper virus
    • 免疫原性と細胞毒性の低減化(118,120,121,122)
    • 課題は、生産方法が複雑、Helper virusの汚染問題(123)
    • 36kb導入可能となった

    新型コロナウイルス・ワクチン

    現在、世界で喫緊の課題である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン開発は、イギリス(英国)のアストラゼネカ(Astrazeneca)が最も進んでいるようです。

    英国のAstrazenecaとOxford大学が共同開発しているSARS-CoV-2の感染症(COVID-19)ワクチンは、アデノウイルスをベクターとして使用するAdenovirus vector vaccineです。

    現在、臨床試験は、~10,000人程度を予定されるPhase III試験に入っており、今年中には、20億ドーズの供給が始まると言われています。日本へも1億ドーズを供給する準備があると言っています。Phase I/II試験(約1,000人)の結果、中和抗体の上昇と感染した細胞を破壊するT細胞の誘導が確認されており、結果は良好のようです。1回投与では90%代の効果、2回投与では100%の効果が確認されました。2回投与の場合、日本への1億ドースは、5,000万人分の計算になります。

    Phase I/IIの臨床試験の内容は、以下の記事もご参照ください。

    編集情報
    2020/07/22 Mr.HARIKIRI
    2020/07/25 追記 (adenovirusの網羅的情報)
    2020/08/03 文言整備
    2020/08/08 文言整備
    2020/09/08 追記(細胞免疫)

    以上

  • 気になる企業 – AstraZeneca; アストラゼネカ [2021/01/28]

    気になる企業 – AstraZeneca; アストラゼネカ [2021/01/28]

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    サイトから

    • 2019年売上高 : $ 24.4bn (約2.4兆円)
    • 2020/12のAlexion買収二より、武田薬品と並ぶ規模となる
    • Headquarter: イギリス
    • 製品
      • ダグリッソ : EGFR(T790M変異)の非小細胞肺がんの2次治療
      • シムビコート : 気管支喘息治療薬
      • イミフィンジ : 抗PD-L1抗体(デュルパルマブ)
      • など
    • 2020/12/12, Alexionを買収 source
      • Alexion Pharmaceuticals, Inc.: 生物医薬品会社 sourceです。従業員数は、約3,000人。市販製品には、「SOLIRIS」(エクリズマブ)、「Strensiq」(アスフォターゼアルファ)、「Kanuma」(セベリパーゼアルファ)、「ULTOMIRIS」;長時間作用型C5阻害剤で、終末補体カスケードのC5タンパク質を阻害するmAb、「Andexxa」、「Ondexxya」などがある。臨床開発プログラムには、ALXN1210、ALXN1810、ALXN1720、ALXN1830、ALXN1840、ABY-039などがある。

    COVID-19関連

    新型コロナワクチンの開発

    • 2021/01/28, 日本における供給体制が分かってきました(goto
    • 2020/09/12, 因果関係なしとしてUK治験を再会 source
    • 2020/09/09, アメリカから12億円の資金を受けていた当該ワクチン開発において、Phase 3 (3万人-内1万人はプラセボ、大規模無作為割付、二重盲検, source)の試験で1人に重い症状を示したことから、安全性の観点からPhase 3試験の一次中止したと発表した。同日、大手ワクチン開発企業は、ワクチン開発は、安全性第一であるとの共同声明を発表したした。
    • 2020/08/05, 新型コロナ ワクチン供給で「アストラゼネカ」と合意へ 厚労省 (NHKニュース), 1億回分以上の供給の見通しが立った
    • 2020/07/20, Phase 1/2 (COV001)の臨床試験結果を発表 astrazeneca
      • 18~55歳、健常人、1,077人
      • 対象ワクチン : 髄膜炎菌共役ワクチン(MenACWY)
      • 単回投与、2回投与(10人/1ヶ月)
      • 投与後1ヶ月で95%の被験者においてSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する抗体が4倍に増加
      • それに伴いT細胞応答が誘導され、14日目をピークに投与後2カ月間維持された
      • MNA80アッセイによる中和活性は、ワクチン投与後4週後で、1回投与被験者では、91%、2回等予後被験者で100%であった
      • 深刻な有害応答は無く、一時的な局所・全身応答は7割で見られた(頭痛、疲労、悪寒、発熱、倦怠感、筋肉痛)
      • 予期せぬ反応は引き起こさず予想された結果と一致するが、Phase III試験で確認する必要がある
      • 論文(LANCET)から方法の詳細
        • ワンチン : SARS-CoV2スパイクタンパク質を発現するチンパンジーAdenovirus vectorワクチン (ChAdOx1 nCov-19)
        • 実施施設 : 英国5サイト
        • 単一盲検ランダム化比較試験
        • 18~55歳
        • 投与量 : ChAdOx1 nCov-19 (5e10 particles)
        • コントロール : MenACWY
        • 評価
          • 総IgG ELISA
          • マルチプレックスイムノアッセイ
          • 中和アッセイ
          • 偽ウイルス中和アッセイ
          • 細胞応答 (ex-vivoインターフェロン-γイムのスポットアッセイ)
    • ChAdOx1 nCoV-19のSpikeタンパク質の設計は、Jenner Instituteで開始(2020/01)
    • Virus Bankingおよび臨床試験サンプルは、オックスフォード大学 (Oxford University)のClinical BioManufacturing Facility
    • 今後の商用製造は、イタリアAdvent社に移されるとみられる
    • 2020/06, 日本政府と協議を開始の合意を発表
    • 第一三共、Meiji Seikaファルマ、KMバイオロジクスと協力し日本でのワクチン安定供給をしていく
    • 2020/01/28, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発が最も進んでいるのが、イギリスのAstraZenecaです。現在、オックスフォード大学と共同開発した新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の臨床第3相試験(Phase 3)をおこなっいます。その他、中国の3社もPhase 3で臨床試験を行っています。

    ワクチンの臨床結果による有効性の比較

    世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。

    新型コロナワクチン、日本への供給

    日本での新型コロナワクチンは、まず、Pfizer製から投与されると言われています。Astrazenecaの新型コロナウイルス・ワクチンの日本での供給体制については、以下の通りを予定されているとのことです (2021/01/28, Mr. Harikiri)

    • 国内での製造担当は、兵庫県のJCRファーマー
      • バイオロジクス製品化実績を多く持つ
    • 容器充填は、熊本県のKMバイオロジクス
      • 充填能力として、半年で5,700本。
    • 包装は、東京のMeiji Seikaファルマです

    その他開発品(治療薬)

    • Calquence (アカラブルニブ) : 高サイトカイン血症) source
      • 慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)の成人患者に対する治療薬
      • 承認2019年に承認
    • フォシーガ (ダパグルフロジン) : 臓器不全
      • KEGG情報 source
      • 選択的SGLT2阻害剤−糖尿病治療剤−
      • 2020/05, FDA承認

    編集履歴

    2020/01/28 Mr. Harikiri
    2020/07/22 追記(その他開発品)
    2021/01/28 追記(新型コロナワクチンの基本での供給体制)
  • 気になる企業 – GSK; グラクソ・スミスクラインは、世界最大のワクチン企業 – 抗体医薬は3品目  [2020/07/21]

    気になる企業 – GSK; グラクソ・スミスクラインは、世界最大のワクチン企業 – 抗体医薬は3品目 [2020/07/21]

    GSK

    世界最大のワクチン開発企業

    サイトから、2019年の売上高を調べた

    • 2019年売上高 : £m 33,754 (約5兆円)
    • 医薬品(£m 17.554)
    • Vaccines (£m 7,157)
    • Consumer Healthcare (£m 8,995)
    • イギリス

    ノバルティスとグラクソ・スミスクライン(GSK)は、2015/03/03、事業交換により、ノバルティスは、(1)ガン領域などの医療用医薬品、(2)アイケア、(3)ジェネリックで主導的地位を獲得する。GSKは、(1)呼吸器領域とHIV領域、(2)コンシューマーヘルスケア、(3)ワクチン事業のリーダーを目指す source

    • 上市済み抗癌剤売却 → (160億ドルの事業移管, 2015) → Novartis
    • インフルエンザを除くワクチン増強 ← (52億ドル+αの事業移管) ← Novartis

    GSKの抗体医薬

    2015年にガン領域を手放したGSKだが、抗体医薬で再びガン領域の活動を開始している。

    • ドスタルリマブ;dostarlimab : 抗PD-1抗体、進行性/再発性子宮内膜がん (2019/03)。dostarlimabは、2019/1に約5500億円で米テサロを買収し獲得したもの (2020/03)。
    • belantamab mafodotin : B細胞成熟抗原(BCMA)-ADC, 多発性骨髄腫

    呼吸器領域の新薬ヌーカラ

    • サイト
    • ヌーカラ皮下注用100mg、成分(mepolizumab), 抗IL-5抗体
    • 気管支喘息、好酸球性多発系血管炎症肉芽腫症

    競合他社

    • アストラゼネカ(シムビコート:Symbicort source、ファセンラ:Fasenra source)
    • Boehringer Ingelheim(スピリーバ:Spiriva source、ストリベルディスク:Striverdi Respimat source)
    • Sanofi (デュピクセント; Dupixent source)
    編集履歴
    2020/07/20 Mr.HARIKIRI