GCTPとは
GMPとGCTPはいずれも製造管理・品質管理の基準であり、細胞バンクの使用は両者に共通する重要概念です。ICH Q5Dは主にGMP対象のバイオ医薬品に対するガイドラインで、安定した細胞株のマスターセルバンク(MCB)およびワーキングセルバンク(WCB)の運用と変更管理を規定します。一方、GCTP対象の再生医療等製品では、ドナー由来や患者個別の細胞を扱うため、ICH Q5Dの枠組みをそのまま適用することは困難です。GCTPでは柔軟なストック管理(原細胞・中間細胞等)や個別の同等性評価が必要とされ、バリデーションや統計比較が難しい場合には、科学的根拠に基づいた評価や非臨床データ等が活用されます。両者に共通する考え方としてICH Q5E(同等性評価)などがあり、GCTPでも参考にされるケースがありますが、制度上は別枠として運用されています。
GCTP省令の章立て
章立て
【GCTP省令の構成】
第一章 総則(第1条〜第3条)
- 第1条:目的
- 第2条:定義
- 第3条:基準の適用
第二章 製造管理及び品質管理の基本原則等(第4条〜第10条)
- 第4条:製造管理及び品質管理の基本原則
- 第5条:責任体制の確保
- 第6条:組織及び職員
- 第7条:教育訓練
- 第8条:品質保証
- 第9条:製造所の設備等
- 第10条:衛生管理等
第三章 文書及び記録(第11条〜第14条)
- 第11条:文書の作成等
- 第12条:記録の作成
- 第13条:文書及び記録の保管
- 第14条:文書及び記録の管理体制
第四章 製造管理(第15条〜第22条)
- 第15条:製造方法等の設定
- 第16条:作業方法の設定
- 第17条:使用する原材料等
- 第18条:製造工程の管理
- 第19条:変更管理
- 第20条:逸脱の管理
- 第21条:苦情処理
- 第22条:回収処理
第五章 品質管理(第23条〜第26条)
- 第23条:試験検査
- 第24条:品質の確認
- 第25条:製品の保管
- 第26条:製品の出荷の判定
第六章 委託(第27条〜第29条)
- 第27条:製造又は試験の委託
- 第28条:契約の締結
- 第29条:委託先の管理
第七章 雑則(第30条)
- 第30条:その他の必要な事項
この構成は、GMP省令と類似性を持ちながらも、細胞・組織等の生物由来製品の特性を反映しており、リスクベースアプローチ・非一律管理・個別性の尊重といったGCTPの基本精神が全体を通じて貫かれています。
GCTPとは
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ChatGPT: 以下に、GCTP(Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice)について、GMPとの違いや他のGxPとの関係を交えて体系的に解説します。
GCTP(遺伝子・細胞・組織に基づく製品の適正製造基準)は、日本において再生医療等製品(再生医療等の治療に用いる細胞や組織、遺伝子を含む製品)の製造に適用される製造管理および品質管理の基準です。
法的根拠は以下です:
- ■ 根拠法令:
- 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」
- 第14条・第23条の2の5(製造管理・品質管理)
- ■ 告示:
- 「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」
→ いわゆるGCTP省令(厚生労働省令第90号, 平成26年)
- 「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」
GMPとの違い
観点 | GMP (Good Manufacturing Practice) | GCTP (Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice) |
---|---|---|
適用対象 | 医薬品(低分子、バイオ医薬品) | 再生医療等製品(細胞・組織・遺伝子) |
管理対象 | 主に化学的・物理的な製剤 | 細胞・組織等の生きた材料を含む |
重点 | 製剤の均一性・安定性、汚染・交叉汚染防止、工程バリデーションなど | ドナー由来リスク、感染症・混入防止、トレーサビリティ、生体由来原料管理など |
柔軟性 | 一定の定型工程を求められる | 高い(オーダーメイド、個別対応) |
バリデーション | 工程バリデーションや設計空間が求められる(QbD含む) | 「同等性の確認」や「工程管理」が重視されるが、統計的評価は難しい場合も多い |
ガイドライン | GCTP省令、QMS省令、再生医療等製品関連通知 |
GxPとの関係性
「GxP」とは、GMPを含む医薬品・医療機器・バイオ製品の品質と安全性確保のための各種基準の総称です。GCTPもこれに含まれます。
GxPの分類 | 対象 | 関連基準 | 概要 |
---|---|---|---|
GMP | 医薬品 | GMP省令, PIC/S GMP | 製造・品質管理(低分子・バイオ) |
GCTP | 再生医療等製品 | GCTP省令 | 細胞・組織・遺伝子等の製品製造 |
GLP | 非臨床試験 | GLP省令 | 動物試験等の信頼性確保 |
GCP | 臨床試験 | GCP省令 | 被験者保護、試験信頼性 |
GDP | 流通 | 医薬品の適正流通基準 | 保管・輸送の品質管理 |
GQP | 品質保証 | GQP省令 | 製造業者や販売業者の品質保証体制 |
QMS(医療機器) | 医療機器・体外診断薬 | QMS省令 | 医療機器の設計・製造管理(ISO13485相当) |
※ 再生医療等製品では「GCTP」+「QMS省令」が求められます。
まとめ(ポイント)
- GCTPは、GMPに代わるものではなく、対象製品(再生医療等製品)に特化した製造管理基準。
- 細胞や組織など「生きた材料」を扱う特性上、バリデーションや一律規格化が難しく、柔軟性ある対応やトレーサビリティ管理が求められる。
- 他のGxP(GLP、GCP、GDP等)と併せて、ライフサイクル全体で製品品質と患者安全を担保する一環となっている。
ご希望であれば、CTDモジュールでの記載位置、具体的な構造設備要件、**国際比較(例:米国のHCT/P、欧州のATMP)**もご案内できます。必要があればお知らせください。
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ChatGPT: GCTPとICHの関係については、直接的な対応関係は限定的ですが、以下のような観点から整理することができます。
GCTPとICHの基本的立ち位置の違い
項目 | GCTP | ICH |
---|---|---|
名称 | Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice | International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use |
性格 | 日本国内の法規制(省令) | 国際的なガイドライン策定団体 |
適用対象 | 日本の再生医療等製品 | 医薬品(新薬)を中心に日米欧での共通化を目指す |
成立目的 | 再生医療等製品の安全性・品質確保 | 医薬品の承認申請における技術要件の国際標準化 |
GCTPとICHとの間接的関係性
1. ICH Qシリーズ(品質)の概念的流用
- ICH Q8(製剤設計), Q9(リスクマネジメント), Q10(製薬品質システム)は、GCTP製品にも部分的に適用可能な概念を含んでいます。
- 特にQ9(リスクマネジメント)とQ10(品質システム)は、製品種別にかかわらず適用可能なフレームワークであり、GCTPにも参考になる考え方としてPMDAも評価。
例:
- GCTP省令でも「製造の各工程におけるリスクを考慮した管理」が要求されており、ICH Q9に基づくFMEAやHAZOP的手法が使われることがあります。
2. ICH Q5・Q6とGCTP製品の類似性
- ICH Q5シリーズはバイオ医薬品(生物由来製品)向けであり、「生体由来」「バッチ間変動」「同等性(comparability)」の管理など、再生医療等製品と共通する課題が多いです。
例:
- ICH Q5A:ウイルス安全性 → GCTPでも細胞原料のウイルス不活化/除去は重要
- ICH Q5E:製造変更時の同等性評価 → GCTPでも細胞培養条件の変更などで必要
- ICH Q6B:生物製剤の仕様設定 → GCTPでも品質特性(CQAs)の設定に対応する
3. CTD構成(ICH M4)との関連
- ICH M4(CTDの共通技術文書)では、**モジュール3(品質情報)**にGMP準拠の記載が求められます。
- 再生医療等製品をCTDに記載する場合でも、「GCTP準拠の製造管理・品質管理」情報がModule 3に記載されます。
例:
- 「3.2.S.2.6 製造工程の管理」などにGCTPに基づく作業手順や製造環境管理の記述を含む。
日本でのGCTP製品の国際承認対応(将来展望)
現在、ICHでは再生医療等製品(ATMPなど)に関する包括的ガイドラインの整備は進行中です(例:ICH Reflection Paper on Cell and Gene Therapy)。
→ したがって現状では、GCTPはICHガイドラインを補完的に、国内制度として独自に整備されている状況です。
まとめ
- GCTPはICHのガイドラインに直接準拠する義務はないが、Q8~Q10の品質マネジメントの概念やQ5/Q6のバイオ製剤関連指針を概念的に取り入れている。
- 再生医療等製品の国際調和は今後の課題であり、ICHでもその整備が進められている段階。
- 現時点では、GCTPは日本独自の制度として位置づけられ、ICH的な考え方を補助的に取り入れて運用している。
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ChatGPT: GMPとGCTPは、いずれも医薬品等の製造における「製造管理・品質管理」の基準ですが、以下のような関係性と位置づけがあります。
GMPとGCTPの関係:概略
項目 | GMP | GCTP |
---|---|---|
適用対象 | 医薬品、バイオ医薬品、医療機器の一部 | 再生医療等製品(細胞加工製品、遺伝子治療製品など) |
根拠省令 | GMP省令(薬機法施行規則 第137条など) | GCTP省令(平成26年厚生労働省令第90号) |
法的性格 | 義務 | 義務(再生医療等製品製造業者に対して) |
管理の重点 | 一貫性・均一性・バリデーション・交叉汚染防止 | 生体由来素材の特性に応じた柔軟な管理・トレーサビリティ・感染症管理 |
共通点 | 製造管理と品質管理の体制整備、手順書、記録、逸脱・変更管理、教育訓練など |
GMPとGCTPの相違性と補完関係
なぜGCTPが必要か?
GMPでは対応しきれない以下のような課題に対応するため、GCTPが別途制定されました。
GMPでの課題 | GCTPによる対応 |
---|---|
生細胞・組織等を扱う場合の製品変動性に対応しにくい | 個別化医療への柔軟対応(例:1ロット=1患者) |
ウイルス・マイコプラズマ・クロスコンタミの対応は製剤とは異なるリスク | ドナー選定・感染症検査・原材料の受入管理に重点 |
工程バリデーションにおける統計的保証が困難 | 「再現性のある作業手順」や「工程管理のトレーサビリティ」に重きを置く |
法的観点からの関係
- 両者は薬機法の下にある製造管理基準だが、適用対象が異なる。
- 医薬品等 → GMP適用
- 再生医療等製品 → GCTP適用
- 両方の製品を製造する場合は、それぞれの基準に適合する管理体制を構築する必要がある。
実務上の関係
ケース | GMP | GCTP | 備考 |
---|---|---|---|
通常の低分子医薬品 | 適用 | 対象外 | 従来通りのGMP適合が必要 |
抗体医薬品(バイオ医薬品) | 適用 | 対象外 | ICH Q5/Q6/Q7などのGMP適用 |
再生医療等製品(CAR-Tなど) | 対象外 | 適用 | 製造所はGCTP適合調査を受ける必要あり |
ハイブリッド製品(例:抗体遺伝子導入細胞) | 一部適用 | 主にGCTP | コンポーネント単位で基準を使い分ける必要あり(例:ベクター製造はGMP、細胞加工はGCTP) |
GMPとGCTPの今後の連携
- 欧米では細胞・遺伝子治療製品(ATMP)のガイドライン(例:EU-GMP Annex 2B)が整備されており、再生医療製品でもGMPベースの拡張が進んでいます。
- 日本においてはGMPとGCTPが並存しているが、今後は国際整合性の観点から接近・統合される可能性も指摘されています。
まとめ
- GCTPは、GMPの代替ではなく補完的な制度であり、「生体由来」「少量・多品種・個別対応」など再生医療特有の課題に対応するために設けられた。
- 両者は共通する考え方(手順書、教育、逸脱管理など)を持ちつつ、製品特性に応じて適用すべき規制が異なる。
- 同一施設でGMP品とGCTP品を製造する場合には、それぞれの基準に適合したゾーニング・手順分離・管理体制の並立が必要。
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ChatGPT: ご指摘のとおり、GMP・GCTPいずれに係る製品でも「細胞バンク(cell bank)」の使用は品質管理の基本概念の一つとされています。特にICH Q5D(「生物医薬品の細胞株の由来および特性に関するガイドライン」)では、**マスターセルバンク(MCB)およびワーキングセルバンク(WCB)**の使用や変更管理の枠組みが示されています。
この回答では、以下の観点から比較・整理します:
ICH Q5Dの基本的な枠組み
ICH Q5Dは主にバイオ医薬品(GMP対象)のためのガイドラインであり、以下が骨子です。
項目 | 内容 |
---|---|
主対象 | 生物製剤(抗体、酵素、サイトカイン等)に用いる細胞株 |
主な概念 | 細胞バンク制度(MCB/WCB)を確立し、製造の一貫性とトレーサビリティを担保 |
必須情報 | 起源、生物学的性質、構築法(遺伝子導入など)、安全性(ウイルス、マイコプラズマ) |
変更管理 | セルバンクの更新・新規作成は**同等性(comparability)**の評価が必須 |
GCTP製品での細胞バンクとICH Q5Dの適用可能性
GCTP対象の再生医療等製品(例:iPS細胞由来製品、CAR-Tなど)でも、セルバンク(セルストック)の概念は実務上必須です。
ただし、以下の点でICH Q5Dの「直接的な」適用には限界があります:
【違い1】細胞の性質・多様性
ICH Q5D(GMP) | GCTP対象製品 |
---|---|
工程最適化された安定細胞株(例:CHO細胞など) | 患者由来・ドナー由来など、一過性・多様性のある細胞群が含まれる |
長期にわたり一貫した使用を想定 | 個別製品または短期使用のケースも |
→ **GCTPではMCB/WCB制度が適用できない場合もあり、より柔軟なストック管理(「原細胞」「中間細胞」「最終製品細胞」など)**が運用される
【違い2】変更時の同等性評価のアプローチ
ICH Q5D | GCTP運用(PMDA通知含む) |
---|---|
細胞株の変更時は、品質特性と製造工程に対する同等性評価(ICH Q5Eに準拠)を要求 | 同等性評価は行うが、**統計的比較が困難な場合もあり、科学的合理性に基づいた評価(non-clinical evidenceも含む)**が許容される |
安定発現を前提とした長期的な変更管理 | 分化能・多能性・免疫原性など細胞特性の変化を含む柔軟な変更評価 |
例:
- MCB作成時の培養条件や培地変更(ICH Q5D)→ PPQ等での比較試験が必要
- 自家細胞製品でのドナー変更(GCTP)→ 安全性プロファイルや工程管理で代替評価される
GMP vs GCTPにおける細胞バンク運用のまとめ
項目 | GMP (ICH Q5Dに準拠) | GCTP (日本独自省令ベース) |
---|---|---|
細胞バンクの型 | MCB / WCBの階層構造が基本 | ストック管理は柔軟(例:原細胞バンク、分化済細胞バンク) |
管理基準 | 安定性、均一性、無菌・ウイルス安全性 | 感染症リスク・ドナー管理・同意取得も重視 |
バンク変更時の評価 | Q5Eベースの同等性試験 | Q5Eの考えを援用しつつ、科学的合理性による柔軟評価 |
規格設定 | バリデーション・統計比較で設定 | 個別ロット確認型規格(release-based)も多い |
結論
- ICH Q5DはGMP製品の細胞バンク管理の基本となるが、GCTP製品にはそのまま適用できない点がある。
- GCTP製品では、細胞由来の多様性やオーダーメイド性を考慮した柔軟なストック管理と変更評価が必要。
- ただし、ICH Q5DやQ5Eの考え方は、GCTP製品でも同等性・安全性の議論において十分参考になる(PMDAの照会対応などでも引用されることあり)。
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GCTP x GQPとGMP x GQPの比較
Q:
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ChatGPT:
ご指摘の通り、市販段階の品質保証体制において、バイオ医薬品では「GMP × GQP」、再生医療等製品では「GCTP × GQP」の連携が重要になります。ただし、製品の性質や供給形態の違いにより、GCTPとGQPの関係性は、GMPとGQPの関係とは本質的に異なる点も多くあります。
以下に、両者の共通点と相違点を比較表として整理します。
【比較表】GMP×GQP(バイオ医薬品) vs GCTP×GQP(再生医療等製品)
比較観点 | バイオ医薬品(GMP × GQP) | 再生医療等製品(GCTP × GQP) | 解説・補足 |
---|---|---|---|
適用される省令 | GMP省令(製造業者)+ GQP省令(製造販売業者) | GCTP省令(製造業者)+ GQP省令(製造販売業者) | 両者とも「製販分離」に基づく品質保証体制 |
製造の標準性・再現性 | 高度に標準化されておりロット間の再現性が高い | 原材料(ヒト細胞等)の多様性が高く、ロット毎に変動しやすい | GCTPでは個別製造管理が重要 |
製造委託の管理方法 | 委託先とのGMP遵守・品質取決めが前提 | 委託先が医療機関の場合もあり、柔軟なGCTP管理が必要 | 医療現場での加工が関与するケースあり |
品質の判断責任(最終製品) | 製造販売業者(GQP)により出荷判定 | 同様にGQPが最終責任を持つが、GCTPにおける工程管理情報をより詳細に把握する必要がある | 原材料が「患者由来」であることが多いため |
製造販売後の品質情報管理 | 回収・苦情対応・変更管理などをGQPが主導 | 同様だが、臨床との接点がより密接であり個別対応が求められる | 例:個別患者に起因する品質・安全性対応 |
バリデーション | 工程バリデーションが基本(再現性重視) | 品質管理よりも工程の可視化と管理の妥当性が重視される | GCTPは必ずしも再現性重視ではない |
サプライチェーンの複雑さ | グローバルで標準化可能 | 医療機関など小規模施設が関与し、ローカル・個別対応が多い | 再生医療は「地域連携型」サプライチェーンも存在 |
文書管理の焦点 | 品質記録、試験成績、逸脱報告、変更管理など | ドナー情報や製造個票、同意文書、輸送・保管条件の管理も重要 | 細胞由来製品の特有文書がある |
特に重要な違い:製品の「個別性」
項目 | バイオ医薬品 | 再生医療等製品 |
---|---|---|
原材料 | 化学合成物、培養細胞株、遺伝子組換え系統 | 患者由来細胞、ドナー由来細胞、組織等 |
一般的ロット設計 | 数千〜数万本単位の大量生産 | ロット=1患者(個別治療単位)であることが多い |
個別性 | 再現性と標準化を優先 | 個別の変動性を許容しつつ工程管理 |
結論:GCTP×GQPの特徴
- GCTPは「標準化しきれない個別性」を前提とした柔軟で実態に即した工程管理を規定
- GQPはバイオ医薬品と同様に出荷・委託・品質情報の管理責任を負うが、GCTP製造者との情報共有と適格性評価の方法が異なる
- よって、GCTP × GQP の連携では、「個別ロットごとの情報収集と判断」がより重要になる
(GMPでは「代表的ロット評価」が主流)
ご希望があれば、再生医療等製品におけるGCTP×GQP連携の実務フロー図や、SOP作成観点の対応表なども作成可能です。ご指示ください。
GCTP × GQP連携実務フロとSOP
連携実務フロー
再生医療等製品におけるGCTP × GQPの連携実務フロー図(市販後の製造〜出荷までの主要業務の流れ)を示します。これは、**製造所(GCTP適用)と製造販売業者(GQP適用)**の連携が、どのように行われるかを実務ベースで可視化
ステップ | GCTP製造所の役割 | GQP製造販売業者の役割 |
---|---|---|
① | 原材料受入(細胞・組織等) | – |
② | 製造記録作成・工程管理 | – |
③ | 中間製品試験・記録 | – |
④ | 最終製品試験(品質確認) | – |
⑤ | 製品保管・輸送準備 | – |
⑥ | (試験成績書・製造記録等のGQP側への提供) | 書類評価・逸脱の確認 |
⑦ | – | 出荷判定記録の作成(出荷判定責任者) |
⑧ | – | 出荷可否の最終決定、GCTP製造所へ出荷指示・承認 |
⑨ | 出荷実行(製品配送) | – |
⑩ | – | 製造販売後の品質情報管理(苦情、回収対応) |
フィードバック | 苦情・回収情報の共有 | 苦情情報等をGCTP製造所へフィードバック |
フローのポイント補足:
項目 | 解説 |
---|---|
1~5:GCTP責任範囲 | 工程ごとのトレーサビリティ管理が重要。ロットごとに製造記録(製造指図・実施記録)や、最終試験成績書が作成される。 |
6~8:GQP責任範囲 | 製造販売業者は提供された情報をレビューし、出荷判定を行う。逸脱・苦情が発生した場合、委託先GCTP製造業者と連携して対応。 |
10:品質情報の連携 | 患者単位の副作用や回収等の事象が発生した場合には、個別ロットに対する迅速な対応が求められるため、GCTP製造所との情報共有が継続的に必要。 |
実務対応に必要な文書例:
GCTP製造所が提供する主な文書 | GQP側で確認・保管が求められる主な文書 |
---|---|
・製造実施記録書(BPR) | ・出荷判定記録書 |
・試験成績書(中間・最終製品) | ・品質情報の記録・苦情処理記録 |
・逸脱報告書(発生時) | ・委託先適格性評価記録 |
・原材料由来情報(ドナー同意含む) | ・変更管理記録、年次レビュー |
必要なSOPについて
ステップ | GCTP製造所の役割 | GQP製造販売業者の役割 | 対応する主なSOP項目 |
---|---|---|---|
① | 原材料受入(細胞・組織等) | – | 原材料受入・検体管理SOP |
② | 製造記録作成・工程管理 | – | 製造実施記録記載手順、製造工程管理SOP |
③ | 中間製品試験・記録 | – | 中間試験SOP、試験記録管理手順 |
④ | 最終製品試験(品質確認) | – | 最終製品試験SOP、判定基準設定手順 |
⑤ | 製品保管・輸送準備 | – | 保管管理SOP、出荷前準備SOP |
⑥ | (試験成績書・製造記録等のGQP側への提供) | 書類評価・逸脱の確認 | 製造記録照査手順、逸脱管理SOP |
⑦ | – | 出荷判定記録の作成(出荷判定責任者) | 出荷判定手順、出荷判定記録作成SOP |
⑧ | – | 出荷可否の最終決定、GCTP製造所へ出荷指示・承認 | 出荷承認SOP、GCTP連携手順書 |
⑨ | 出荷実行(製品配送) | – | 出荷実施SOP、配送記録SOP |
⑩ | – | 製造販売後の品質情報管理(苦情、回収対応) | 苦情対応SOP、回収手順、リスク評価SOP |
フィードバック | 苦情・回収情報の共有 | 苦情情報等をGCTP製造所へフィードバック | 苦情・回収情報の報告連携SOP |
製品種別ごとのGMP/GCTP判断フロー(表形式)
判定ステップ | 判断基準 | 該当する省令 | 補足説明 |
① | 製品が化学合成またはタンパク質製剤か? | GMP | 一般的な医薬品やバイオ医薬品 |
② | 製品がウイルス・プラスミドなどの遺伝子導入用製剤か? | GMP | 遺伝子治療薬、ウイルスベクター製剤など |
③ | 製品にヒト(自己または同種)細胞や組織を含むか? | GCTP | 細胞治療・再生医療等製品全般 |
④ | 医療機関等で採取された細胞・組織を原料とし、製品として再投与するか? | GCTP | 自家培養細胞製品、組織移植製品 |
⑤ | 非治療目的で加工された細胞(例:研究用細胞、ストック等)か? | GCTP | iPS細胞ストック等(用途により変更の可能性あり) |
⑥ | エクソソーム製品か? | ケースにより異なる | 製造に細胞が含まれるか、分泌物のみか、治療目的かで判断 |
⑦ | 上記いずれにも該当せず、かつ製品が再生・修復機能を持つことを意図していないか? | GMP | 一般薬に分類、再生医療等製品の定義から外れるもの |
編集履歴
2025/04/22, Mrはりきり
2025/05/21, 追記(GCTP省令の章立て,GCTPx GQP連携フローと関連文書,製品毎の分類)