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レセプターを考えるとき
生体内の物資が、特定の組織に収束するのは、受容体(receptor)を介している。例えば、生体内でホルモンが分泌された時、血流に乗って全身に運ばれる。次に、必要な組織に到達するするのは、そのホルモンと結合親和性の有るreceptorが、その組織にあって、それに結合するためである。その結合の初期段階については、以下の様式を念頭に置いて置かなければならない。
電荷的(正負のイオン的結合)
構造的(パズルのマッチング)
疎水的(疎水性が高いもの同士は収束する)
AAV2のレセプター
感染に関わるレセプターは、AAVの血清型によって異なるが、AAV2は、ヘパリンはよく知られており、そのHeparin分子について、AAV2の結合性を検討してしている2) 、この文献によれば、Heparinの分子の長さによって親和性が異なるとのこと。
個人的なコメントをすると、Heparinは、正電荷であるため、不電荷とはイオン的に結合が可能であり親和性を持つことが可能である。AAV2の表面に負電荷を持つ領域があるものと理解できるし、その分子の長さとその電荷の状態でAffinityは異なるものと思われる。
編集履歴
2019/07/20 はりきり(Mr)
2020/05/31 文言整備、追加(レセプターを考えるとき、まとめ)
Ref : 2) Characterization of Interactions between Heparin/Glycosaminoglycan and Adeno-associated Virus
AAV2の必須な受容体の特定
AAVは,ほとんどの細胞に高効率に感染することから,遺伝子治療用のベターに多用されている.参考文献3) によれば,感染細胞として、一倍体細胞を用いて遺伝子を1つずつノックアウトし,AAV2が感染するか否かを繰り返しAAV受容体を特定した後,ノックアウト動物で最終確認している.
Ig-likeドメイン (PKD: polycystin Kidony disease)の5回貫通する細胞外ドメインが受容体である
N末のIgドメインの2つがAAVと結合する
このIgドメインは,KIAA0319L遺伝子であり,小胞体輸送に関わる分子と結合し,ゴルジ体と細胞表面を行き来する.
PKD : βシートが3枚と4枚で構成された構造
基本的知識
感染力(細胞内に入り込む能力)が有るrAAVを作る為には、天然AAVにコードされているrep/cap遺伝子が必要で有る。
rep遺伝子
Repタンパク質を発現する遺伝子.AAVの製造に必要である.
cap遺伝子
Capタンパク質を発現する遺伝子.AAV粒子を構成する3つのVP1, VP2及びVP3をコードしている.これらのカプシドタンパク質質により,正20面体の立体的構造を作り,その中にAAVの遺伝子が包含される.
感染フロー
Step Process Memo 1 AAVの細胞への付着 attachment, この付着する機序が2016年まで不明だった ↓ 2 エンドサイトーシス endocytosis ↓ 3 エンドソームによる輸送 trafficking ↓ 4 エンドソーム又は,リソソームからの脱出 escape ↓ 5 核への転移 translocation ↓ 6 rep遺伝子の発現 expression ↓ 7 ゲノム複製 replication ↓ 8 cap遺伝子の発現,及び子孫ssDNAを含むAAV粒子を合成 expression ↓ 9 子孫AAVの完成 assembly ↓ 10 感染宿主細胞からの脱出 release
まとめ
今回は、AAV2について、そのレセプターに関する参考文献を紹介した。
良く知られたAAVの血清型としては、AAV1~AAV10程度が知られている。血清型によって、レセプターは異なるようである。なぜなら、感染ターゲットとなる細胞種が、血清型で異なることから、そのように推察されている。
参考文献
1)
基礎知識 – Adeno-associated virus
https://en.wikipedia.org/wiki/Adeno-associated_virus
2)
AAV2とHeparinの親和性について – Characterization of Interactions between Heparin/Glycosaminoglycan and Adeno-associated Virus – Biochemistry, 2013 –
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3859860/#!po=2.00000
3)
AAV2のレセプターついて – An essential receptor for adeno-associated virus infection – Nature, 2016 –
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3859860/#!po=2.00000
編集履歴
2019/07/20, Mr. Harikiri