はじめに
目次
- はじめに
- ウェスタンブロッティングとは
- WBで何がわかるのか
- WBの基本原理
- WBの基本フロー
- WBで使われる主な試薬・材料(2ページ)
- ローディングコントロールとは(2ページ)
- WBでよくあるトラブル(2ページ)
- WBの結果を見るときの注意点(2ページ)
- WBの長所と限界(2ページ)
- WBを成功させるための基本ポイント(2ページ)
- まとめ(2ページ)
- 参考文献・出典(3ページ)
ウェスタンブロッティング(Western blotting: WB)は、試料中に含まれる特定のタンパク質を検出するための基本的な実験手法です。細胞や組織から抽出したタンパク質を電気泳動で分離し、膜へ転写したあと、目的タンパク質に結合する抗体を使って検出します。タンパク質の有無だけでなく、おおよその分子量、発現量の変化、修飾状態の違いなどを確認する目的で広く使われています。

ウェスタンブロッティングとは
ウェスタンブロッティングは、タンパク質解析の代表的な方法です。基本的な流れは、次の3段階に分けられます。
- SDS-PAGEなどでタンパク質を分子量に応じて分離する
- 分離したタンパク質をゲルから膜へ転写する
- 抗体を使って目的タンパク質を検出する
「Western blot」という名前は、DNAを検出するSouthern blot、RNAを検出するNorthern blotに対応する形で、タンパク質を対象とする手法として使われています。抗体を使って検出するため、immunoblottingと呼ばれることもあります。
WBで何がわかるのか
WBでは、主に以下のような情報を得ることができます。
| 確認できること | 内容 |
|---|---|
| 目的タンパク質の有無 | 試料中に目的タンパク質が存在するかを確認する |
| 分子量の目安 | バンド位置から目的タンパク質のおおよそのサイズを推定する |
| 発現量の比較 | 条件間でタンパク質量が増減しているかを比較する |
| タンパク質修飾 | リン酸化など、特定修飾に対する抗体で状態変化を見る |
| 抗体の特異性確認 | 目的バンド以外に非特異的バンドが出るかを確認する |
ただし、WBは厳密な絶対定量法ではありません。発現量の比較を行う場合は、ローディング量、転写効率、抗体反応、検出条件、正規化方法などを適切に管理する必要があります。
WBの基本原理
WBの基本原理は、「タンパク質の分離」と「抗体による特異的検出」の組み合わせです。
まず、細胞や組織からタンパク質を抽出します。多くの場合、SDSという界面活性剤を使ってタンパク質を変性させ、電荷をそろえます。その後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により、タンパク質を主に分子量の違いで分離します。
次に、ゲル中に分離されたタンパク質をPVDF膜やニトロセルロース膜などへ転写します。転写後、膜上の目的タンパク質に一次抗体を結合させ、さらに酵素や蛍光標識などを持つ二次抗体で検出します。
WBの基本フロー
1. サンプル調製
最初に、細胞、組織、培養上清などからタンパク質を抽出します。この段階では、目的タンパク質が分解されないように、プロテアーゼ阻害剤やホスファターゼ阻害剤を使用することがあります。
サンプル調製で重要なのは、各レーンに同じ量のタンパク質をロードできるようにすることです。タンパク質量が大きく異なると、後のバンド強度の比較が正しくできません。
2. SDS-PAGEによる分離
抽出したタンパク質をゲルにロードし、電気泳動で分離します。一般的に、小さいタンパク質ほどゲル内を速く移動し、大きいタンパク質ほど移動が遅くなります。
目的タンパク質の分子量に応じて、適切なゲル濃度を選ぶことが重要です。低分子タンパク質には高濃度ゲル、高分子タンパク質には低濃度ゲルが使われることが多くあります。
3. メンブレンへの転写
電気泳動後、ゲル中のタンパク質を膜へ移します。この工程をブロッティング、またはトランスファーと呼びます。膜としては、PVDF膜やニトロセルロース膜が一般的に使われます。
転写が不十分だと、ゲルにタンパク質が残り、検出シグナルが弱くなります。一方、条件が強すぎると、特に低分子タンパク質が膜を通過してしまうことがあります。
4. ブロッキング
膜はタンパク質を吸着しやすいため、そのまま抗体反応を行うと、抗体が目的タンパク質以外の場所にも非特異的に結合してしまいます。これを防ぐために、スキムミルク、BSA、専用ブロッキングバッファーなどで膜表面を処理します。Bio-Radの一般的なプロトコールでも、ブロッキング後に一次抗体反応へ進む流れが示されています。
5. 一次抗体反応
一次抗体は、目的タンパク質を直接認識する抗体です。WBの特異性を大きく左右する重要な試薬です。
一次抗体を選ぶ際には、以下を確認します。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| WB適用の有無 | その抗体がWBで検証されているか |
| 由来動物種 | ウサギ、マウス、ヤギなど |
| 認識部位 | N末端、C末端、リン酸化部位など |
| 推奨希釈倍率 | メーカー推奨条件を確認する |
| 予想分子量 | 目的タンパク質のバンド位置と合うか |
6. 二次抗体反応
二次抗体は、一次抗体に結合する抗体です。多くの場合、HRPなどの酵素、または蛍光色素が結合されています。
例えば、一次抗体がウサギ由来であれば、抗ウサギIgG二次抗体を使います。一次抗体と二次抗体の組み合わせを間違えると、目的タンパク質を検出できません。
7. 検出
検出方法には、化学発光、蛍光検出、発色検出などがあります。現在よく使われる方法の一つが、HRP標識二次抗体と化学発光基質を使う方法です。
検出時には、露光時間が重要です。露光が短すぎるとシグナルが弱く、長すぎるとバンドが飽和して定量性が失われます。
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