培養工程
バイオ医薬の生産細胞株であるCHO細胞の培養において、目的物質の生産性を上げるためには、細胞を死なせないように培養を継続しなければならない。
細胞にダメージを与えるのは、代謝物である乳酸(lactic acid)やアンモニア(ammonium)などです。
- 高い細胞密度 → アンモニア↑、乳酸↑、(高い浸透圧)
蓄積を抑えることができれば、細胞は死ななくなるとともに目的タンパク質の生産性を高めることが期待できます。
これまでに、pHを下げる、培養温度を下げる、グルコースを別の糖で代替、グルコース/グルタミンの濃度を下げる、銅の添加などに関する多数の報告がありますが、この論文では、もっとシンプルに解決しています。
- 技術
- 乳酸に適応したCHO細胞の作成技術
- 結果 (現在知られている最高の生細胞数)
- 乳酸を50%削減(flask)、1/8に削減(bioreactor)
- 生細胞数 : 35e6 cells/mL
- 積算性細胞数 : 273e6 cells/days/ml
Glucose + 2HPO4-2 + 2 ADP → 2 Lactate - + 2H+ + 2 ATP ・・・(1) Pyruvate- + NADH + H+ ⇄ Lactate- + NAD+ ・・・(2) ΔG = ΔG’° + RT ln(([LAC-][NAD+]) / ([PYR-][NADH])) ・・・(3) ΔG’° = -25.1 kj/mol ΔG’° = RTlnK’eq = -25.1kj/mol・・・(4)
Pyruvate : ピルビン酸
ADP : アデノシン2リン酸
文献
A Simple Method to Reduce both Lactic Acid and Ammonium Production in Industrial Animal Cell Culture: https://res.mdpi.com/d_attachment/ijms/ijms-19-00385/article_deploy/ijms-19-00385-v2.pdf
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29382079/