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  • [Bio-Edu] Plasmid – バイオロジクスには欠かせない遺伝子組換え技術、そして rAAVを作るまで! – AAV Vector配列の例 [2020/08/05]

    [Bio-Edu] Plasmid – バイオロジクスには欠かせない遺伝子組換え技術、そして rAAVを作るまで! – AAV Vector配列の例 [2020/08/05]

    はじめに

    rAAV: recombinant Adeno Associated Virus による遺伝子治療薬の開発には、遺伝子組換え技術が使われている為、この知識がなくてはならい。

    rAAVを作るには、これまでのタンパク質を作ることとは、何倍も複雑かつ多数の手間が掛かっている。

    遺伝子組換え技術からrAAVを作るまでの基礎知識を解説する。

    編集履歴
    2020/04/07 はりきり(Mr) まずは、遺伝子組換え技術
    2020/06/21 追記(rAAV作成に必要なベクター製品)
    2020/08/04 追記(必要なPlasmidとその機能)

    まずは、遺伝子組換え技術

    1) 遺伝子工学の技術

    遺伝子工学の技術 – 福岡大学 –

    http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/genetech.htm

    以下の用語は、同義である。

    • 遺伝子工学 (gene technology, genetic engineering)
    • 遺伝子操作 (gene manipulation)
    • 遺伝子組換え技術 (recombinant DNA technique)

    これら技術は、1970年代に発見された以下の要素で構成されている

    • 制限酵素 (遺伝子の特定部位を切断する酵素)
    • 逆転写酵素 (DNAからmRNAが作られるが、逆に、mRNAからDNA(cDNA)を作る(転写する)酵素
    • リガーゼ (別々のDNA断片にそれぞれ、認識特異配列を認識してDNAを繋ぐ酵素)

    ベクター

    有用と考えた遺伝子配列を細胞に組込む場合、先ず、ベクターという器にその遺伝子配列を載せなければならない。ベクターには、以下のものがある。

    • ファージ
    • ウイルス
    • プラスミド (Plasmid) : 多くのバクテリアの核外の遺伝子で、組換技術用にデザイン・改変された鋳型となるPlasmidが市販されている)
    • コスミド
    • 酵母人工染色体

    大腸菌とPlasmid

    • 大腸菌(E.coli)は、2μmのソーセージの形をしていて、至適な環境では25分で2倍に分裂増殖する。4μmに成長すると中央がくびれて2個になる。菌の中央に位置する染色体DNAは、4000個の遺伝子をコードしており2本鎖で環状である
    • 多くの大腸菌株には、染色体DNA以外に小さい環状の2本鎖DNAを持ち、これをPlasmidといいい、染色体DNAと同様に分裂増殖する際に複製される
    • Plasmidの種類として大きく分けてR (resistant)-Plasmid, F (fertility)-Plasmid (雄株が持つ)がある。
      • Rプラスミド: 薬剤耐性の遺伝子を含む
      • Fプラスミド: 雌株に接合してFプラスミドを伝達する機能
    • 雄の大腸菌は、雌の大腸菌の細胞内に自分のPlasmidを挿入する過程で自分の染色体DNAを伝達することがあり、遺伝子の交雑が起こる
    • 以上の現象などから、遺伝子組換え技術が考案され、大腸菌間の遺伝子組換えを人為的に行える技術が確立されできた。
      • 自然界にPlasmidが存在する
      • そのPlasmidの機能を利用するのが、遺伝子組換え技術

    制限酵素

    遺伝子組換え技術における「ハサミ」である。ThermoFisherには概説。制限酵素の一覧は、TaKaRaを参照

    • それぞれ種々の配列を認識して切断する多数の制限酵素が知られている
    • EcoRI (図1参照)は、GAATTCと相補的(CTTAAG)に結合しているDNAを選択的に、「のり代」のある形に切断する
      • G-AATTC (CTTAA-G) : ‘-‘で切断
    2) 大腸菌と組み換えDNA技術

    大腸菌と組み換えDNA技術

    京都 WEB マガジン 現代アートとサイエンス No.11

    https://plasmid.med.harvard.edu/PlasmidRepository/file/map/pAAV-MCS.pdf

    DNAリガーゼ (ligase)

    遺伝子組換え技術における「のり;糊」であるsource

    • Plasmid (環状DNA)の一部の領域に制限酵素により「のりしろ」付き状態にしたところに、目的遺伝子(同様に「のりしろ」状態)を結合させて、環状DNA(Plasmind)にする酵素
    • DNAの末端同士をリン酸ジエステル結合させる

    大腸菌にタンパク質を作らせる

    • 最も初期の遺伝子組換え技術の応用例として、糖尿病治療薬のインスリン、ウイルス抑制因子のインターフェロンの大腸菌による生産がある
    • 天然のPlasmidを鋳型として、適切な位置にインスリンやインターフェロンをコードした遺伝子配列を挿入し、デザインしたPlasmidを作る
      • まず、

    Competent Cell

    Competent Cellとは、Plasmidを細胞内に導入しやすいようにダメージ処理が施され安定保存された細胞のことsource、wikipedia

    • カルシウムイオン存在下で冷却処理(膜透過性の増大)
    • 凍結保存(-80℃以下)

    製品

    XL-Blue Competent Cells(Agilent)

    • XL2-Blue UltraCompetent Cells
    • XL1-Blue SuperCompetent Cells
    • XL1-Blue Electroporation-Competent Cells
    • XL1-Blue Competent Cells
    • XL-2-Blue Subcloning Grade Competent Cells

    特徴

    • プラスミドベクター/ラムダファージベクターの両ベクターの増幅に両できる菌株
    • 表現系: EndA(-)
    • Plasmid DNAの増幅/回収に適したCompetent Cell
    • Blue/White スクリーニング、ファージミドDNAのsingle-strandレスキューが可能
    • F7エピソームは、抗生物質耐性
    • XL1-Blue : エレクトロポレーション・コンピテント・セル(>=1e9)
      • 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr)]
    • XL2-Blue : ウルトラコンピテント・セル(>=5e9)
      • 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr) Amy Camr]a
    • カルタヘナ対応が必要

    rAAVを作る

    必要なPlasmidとその機能

    ベクタープラスミドとヘルパープラスミドには、共通する塩基配列があると、相同性組換えによって野生型のウイルスの出現の可能性が高まるため、共通配列が存在しないようにデザインする。

    • ベクタープラスミド (Vector Plasmid)
      • 目的は、目的遺伝子の挿入
      • 両端のITRのみを残し、目的遺伝子を挿入
    • Rep/Cap プラスミド (Rep/Cap Plasmid)
      • 目的は、DNA複製タンパク質とカプシドタンパク質をコードする遺伝子の挿入
    • ヘルパープラスミド (Helper Plasmid)
      • 目的は、AAVの増殖に必要なadenovirus由来遺伝子の挿入 (宿主のHEK293には、更に必要となるE1A, E1Bを持っているため、これらは必要ない)
      • E2A, VA, E4 or f6
    3) AAVを利用した遺伝子治療

    4. AAVを利用した遺伝子治療 – ウイルス 第57巻 第1号 pp.47-56, 2007 –

    http://jsv.umin.jp/journal/v57-1pdf/virus57-1_047-056.pdf

    Vector製品

    Vectorは、Plasmid構造になっています。「運び屋」の別名を特に付けている訳です。

    Agilent社のベクター製品

    recombinant AAVを生産させるための材料として、どのようなものが必要なのか理解することができる。

    (1)目的遺伝子ベクター、(2)rep/capベクター、および(3)Helperベクター、の3つのベクターを、感染性AAV粒子を作るために必要な補間遺伝子をコードするHEK293細胞に同時感染させ、感染性recombinant AAV (rAAV)を作成するための製品群。

    • pCMV-MCSベクター
      • 4.5kb
      • クローニング・ベクター
      • マルチクローニングサイトに目的遺伝子をクローニング → 「pAAV-CMV-MCSベクター」作成
        • 同時トランスフェクション
      • pAAV-MCS、pAAV-LacZへサブクローニグ可能
    • pAAV-LacZベクター
      • 7.3kb
      • クローニング・ベクター/コトロール・ベクター
      • LacZはレポーター
      • pAAV-MCSを作るため自立複製能を持たないAAVベクター
      • Not IでLacZカセットの切り出し、pCMV-MCSベクターから取り出した目的遺伝子カセットクローニングできる →「pAAV-MCSベクター」作成
        • 同時トランスフェクション
    • pAAV-RCベクター
      • 感染性があるrAAV2粒子を作るのに必要
      • rep/cap遺伝子 (DNA複製タンパク質/カブシドタンパク質)
      • 同時トランスフェクション
    • pHelperベクター
      • rAAV2発現用
      • AAV-293細胞との組み合わせで機能する
      • Adenovirus由来遺伝子(E2A, E4, VA RNAs)
      • AAVのlytic phaseの誘発
      • 同時トランスフェクション
    • AAV-293細胞
      • Adenovirus由来の遺伝子をコード(E1A, E1B)
      • トランスフェクション用細胞
    • AAV-HT1080細胞
      • ウイルスのタイター測定用細胞
    4) AAV Helper-Free System

    AAV Helper-Free System

    Agilent (ストラタジーン)

    https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=300079

    AAV Vector

    Example

    図1. pAAV-MCS ベクター
    TypeNameDescriptionStart PositionEnd Position
    viral LTRITRAAV inverted terminal repeat00
    promoterCMVpCMV promoter for mammalian expression00
    gene fragmentbgexIIbeta-globin exon II fragment00
    gene fragmentbhIVSIIbgIVSII fragment00
    MCSMCSMCS (EcoRI, NotI, BamHI, SalI, XhoI, BlgII)00
    gene fragmentbgexIIIbgexIII fragment00
    viral LTRITRAAV inverted terminal repeat00
    ssDNA originF1 oriF1 origin for ssDNA production00
    selectable markerampRampicillin resistance gene00
    bacterial originColE1ColE1-type bacterial origin00
    https://plasmid.med.harvard.edu/PLASMID/GetVectorDetail.do?vectorid=221
    5) AAV – wikipedia

    AAV – wikipedia

    https://ja.wikipedia.org/wiki/アデノ随伴ウイルス
  • [Bio-Edu] ウイルスベクターの比較 – AAV – Adenovirus – Lentivirus – by Vigene Biosciences社 [2020/6/15]

    [Bio-Edu] ウイルスベクターの比較 – AAV – Adenovirus – Lentivirus – by Vigene Biosciences社 [2020/6/15]

    Vigene Biosciences

    Vigene Biosciencesは、AAVのパッケージングを受託しています。Vigene Biosciencesのサイトから、遺伝子治療のVectorとしてAAV, AdenorirusおよびLentivirusの比較があります。以下、ご紹介します。

    CharacteristicAAV*1AdenovirusLentivirus
    Genome4.8 kb (ssDNA)36 kb (dsDNA)9 kb (ssRNA)
    Packaging Capacity4.7 kb7.5 kb9 kb
    InfectionMost dividing and non-dividing cellssame as leftsame as left
    Transduction EfficiencyModerateHighModerate
    IntegrationNon-integratingNon-integratingIntegrating
    ExpressionTransient or stableTransientStable
    ImmunogenicityVery LowHighLow
    BiosafetyBSL-1BSL-2BSL-2
    https://www.vigenebio.com/aav-packaging/ by Vigene社

    *1: AAVはAAVS1遺伝子座にインテグレートしますが、rAAV vectorでは、2つの遺伝子を除去しているためインテグレートされません.又、エピソーム(episomal)のままであり、非分裂細胞(non-dviding cell)内に長期間維持される可能性があります。

    AAVのtransfection戦略

    トリプル・トランスフェクション戦略 (co-transfecting)

    • GOI plasmin
    • rep/cap plasmid
    • Helper plasmid (Adenovirus由来, for genes replication)

    Cre-dependent trans-splicing approach

    reconstituted gene expression from two independent recombinant AAV vectors, however this efficiency is ~20% than single single method.

    編集履歴
    2020/06/15 Mr.HARIKIRI
  • [Vc] 核酸ワクチンとは DNAワクチンとmRNAワクチン – ベクターワクチンとの違い –  ID15040 [2020/09/10]

    [Vc] 核酸ワクチンとは DNAワクチンとmRNAワクチン – ベクターワクチンとの違い – ID15040 [2020/09/10]

    ID15040

    核酸ワクチン

    ワクチンの目的は、病原性の抑制に直接的/間接的に関わるタンパク質に対する抗体の誘導である。核酸ワクチンには、DNAワクチンとRNAワクチンがあり、目的タンパク質の遺伝子コードに関わり長所/短所が存在する。製造し易さ、ワクチン能力に関わる投与量は製造規模に影響する。副作用の問題も加味して、それぞれの目的に応じて選択される。

    核酸ワクチンでは、従来のタンパク質性ワクチンでは無く、目的のタンパク質の設計図である遺伝子を使う。遺伝子には、DNA(特にplasmid DNA; pDNA)とmRNAがあり、それぞ長所/短所がある。よく似たアプローチとして、ベクターワクチンという種類のものもある。これらは、それぞれ異なるモダリティである。

    • 核酸ワクチン
      タンパク質の設計図であるDNAやmRNAそのものを体内に注入して、細胞内に到達した時には、それが遺伝子をコードしているタンパク質を作らせ、それを異物として認識されることで、免疫抗体が作られる
    • 核酸の保護剤
      核酸(DNAやmRNA)をLNP*1でナノパーティクルにすることで、目的の遺伝子を細胞内に導入し易くさせる。これはをDrug Delivery System (DDS)と言い、mRANの送達技術の進歩によりmRNAを使用した医薬品開発が進展してきている。Precision NanoSystems Inc.mRNA-LNP技術については、下記、「関連記事」参照
    • 参考 : ウイルスベクターワクチン
      ウイルスの病原性を欠損させて、細胞への感染機能により細胞内に到達させ、タンパク質をコードする遺伝子を細胞内にリリースさせることができる。日本では、阪大の仙台ウイルス・ベクター(下記参照)、世界では、AstraZenecaのAdenovirus Vector vaccine などがある
    • ADE
      ワクチンの副作用として知られる、ワクチン接種後の抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)は、症状を悪化させる副作用であり、ワクチン開発にとって重要な評価項目である 参考SOURCE:NIKKEI

    導入された遺伝子は、コードされたタンパク質を産生する。このタンパク質が細胞外に分泌されて、免疫系が働けば、その結果としての抗体が産生される。核酸ワクチンでは、ウイルスベクターワクチンと比較して、液性免疫は起こるものの、細胞性免疫があまり期待ができないこと言われており、メリットでありデメリットである。細胞性免疫があれば、より強固にワクチン効果を期待できる。反面、ウイルスベクターワクチンでの細胞性免疫が生じ安いということは、何回も免疫をすることは、不要な免疫も生じることからデメリットでもある。

    核酸には、DNAとmRNA

    plasmid DNA (pDNA)、mRNA、いずれも細胞内に目的遺伝子を選ぶ事は可能です。

    pDNAは、大元の設計図が含まれていて、これがmRNAに変換される幾つかのステップが必要です。RNAは、直接的に目的のタンパク質に変換されます。

    高分子ナノテクノロジーが切り拓く 核酸医薬デリバリー Drug Delivery System 31-1, 2016 – 核酸医薬とDDS – より

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/31/1/31_44/_pdf

    DNAワクチンとRNAワクチンのメリット/デメリット

    DNAワクチン

    • 文献4)
    • 分解を受けにくい
    • 一般的に組換え大腸菌により大量製造が容易
    • (細胞内でタンパク質を作るには、いったんmRNAに変換されなければならない)
    • 細胞のゲノムに組み込まれて(相同組換え)しまう危険性(癌原性のリスク)が全く無いわけではない。医薬品としては、その辺りの確認が重要となってくる。
    • 抗DNA抗体が産生されやすかったり、不要な免疫活動が起こる

    mRNAワクチン

    • 文献1), 2), 3)
    • 分解を受けやすい (ため、LNP*1 の技術が重要となってくる)
    • 一般的に大量製造が難しい
    • (細胞内に到達できれば、直接的にタンパク質の変換に使われる)
    • 研究がこれまで進まなかったが、mRNAワクチンとして、moderna社が躍進していたが、Pfizer/BioNTech社の新型コロナワクチンが一番最初に世界に上市された
    • 日本のRNAワクチンでは、仙台ウイルス(SeV)ベクターの開発が進んでいる3)

    関連記事

    編集履歴
    2020/05/02 はりきり(Mr)
    2020/05/08 追記 (作用機序、DNAワクチン開発状況)
    2020/05/28 追記 (拡散には、DNAとmRNA)、訂正
    2020/08/03 個別記事(DNAワクチン、RNAワクチン)のリンク追加
    2020/08/06 修正 (混在していたベクターワクチンとDNAワクチンの説明を訂正)
    2020/09/10 追記 (液性免疫と細胞性免疫について)
    2021/02/24 文言整備

    以上

    参考文献

    1) RNAワクチンの開発

    RNA ワクチンの開発:感染症への応用 - 長谷川 護 (ディナベック)、バイオロジクスフォーラム 第9回学術集会

    http://www.nihs.go.jp/cbtp/home/Biologics-forum/BF9/DrHasegawaM.pdf
    2) RNAワクチン

    RNAワクチン
    安全、効率的かつ汎用性に優れた新しいRNAワクチンの開発 –

    http://inewsletter-king-skyfront.jp/jp/research_highlights/vol-11-research01/
    3) ベクターワクチン

    ベクターワクチン
    センダイウイルスベクターを利用した ワクチン技術の開発

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/22/6/22_6_636/_pdf
    4) 新型コロナのDNAワクチン開発状況

    アンジェス山田社長、新型コロナのDNAワクチンの開発状況を明らかに – 日経バイテク 2020

    https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/03/26/06735/
    5) DNAワクチン

    DNAワクチン
    来春にも新型コロナ感染予防DNAワクチン実用化へ 森下竜一氏 (大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学寄附講座教授)に聞く 2020

    https://iyakutsushinsha.com/2020/04/22/来春にも新型コロナ感染予防dnaワクチン実用化へ/
    6) DNAワクチンの作用機序を解明

    遺伝子(DNA)ワクチンの作用機序を解明, 2008, 科学技術振興機構報 第473号

    https://www.jst.go.jp/pr/info/info473/index.html
    7) 新型コロナワクチンに適したモダリティはあるのか?

    1章 新型コロナワクチンに適したモダリティはあるのか?, 2020 – 日経バイオテク –

    https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/072000119/
  • 気になる企業 – SIRION BIOTECH – ID12564 [2020/07/06]

    気になる企業 – SIRION BIOTECH – ID12564 [2020/07/06]

    ID12564

    SIRION BIOTECH GmbH

    Office

    • Planegg, Germany (HQ), 2005年設立,1-12月(financial year)
    • Cambridge, MA, US
    • Clichy, France

    Finance

    • 主たる収益 : サービスとライセンス
    • 2019 : サービスとライセンス収入は,$11.2 m(約11.2億円/1~12月)

    Viral Vector Service

    • 包括的ウイルスベクターサービス
      • Lentivirus
      • Adenovirus
      • AAV
    • Vector Materials (cGMP)
      • 1e15 vg of AAV
      • 1e10 infection units of Lentivirus

    知的財産

    • 10の臨床試験にSirionの技術が採用されている.そのうちの1つは2019年に市場承認を得ている
    • LentiBOOST(TM)

    Plasmid製造サービス

    3つのOptimize

    1. 転写

    目的組織での効果的な発現に、Promoter, Enhamcerのデザイン

    • Promoter
    • Enhancer

    2. 形質導入

    Capsideのミューテーションなどの改変

    • Capside

    3. 抗原性

    抗原性の低減化

    • Immunogenecity

    SIRION BIOTECH

    Any gene to any cell
    in vivo AAV, stable Lentivirus, transient Adenovirus

    https://www.sirion-biotech.com

    adenovirusベースのガンワクチン

    SIRION社が持っているadenovirusをvectorに使ったがん治療薬の原理です。同社のライセスを使って開発しているがん治療薬の論文から。

    • adenovirusベース
    • 2種類のgeneをパック
      1. VLV (virus like vaccine): ERV (endogenous retrovirus)。ERVはヒトの内在性ウイルスでゲノムの8%を占めています。通常細胞では不活性状態ですが、いくつかのガンで検出されます。
      2. 目的タンパク質
    • 免疫の賦活化対象をERVと目的タンパク質の両方に向ける戦略

    Congratulations to partner InProTher on their published article discussing the potential of #adenovirus to target endogenous retroviruses (ERVs) and help fight diseases including #cancer. Our licensing agreement with InProTher includes coverage of SIRION’s adenovirus technologies to cancer #vaccines encoding ERV-derived antigens for active #immunotherapy. https://bit.ly/2Zn4d72 #viralvectors

    Figure 2
    Illustration of the immune responses elicited by adenovirus based virus-like-vaccine (VLV) vaccination encoding endogenous retroviral (ERV) genes. 
    (1)
     Vaccination with the adenoviral vector (Ad) encoding GAG and ENV genes, ideally harbouring mutations in the immunosuppressive domain (ISD) of ENV, is injected.
    (2)
     At the site of injection Ad directly infects professional antigen presenting cells (APCs) and releases the transgene into the recipient cell nucleus. (3)
     In the nucleus, the viral DNA codes for both viral and transgene proteins. Following their production, the fate of these proteins can be: 
    (4)
     release of virus-like-particles (VLP)s to stimulate B-cells in an antigen structure dependent way; 
    (5)
     uptake by APCs for endosomal degradation, presentation on major histocompatibility complex class II molecules (MHC-II), or 
    (6)
     degradation in the proteasome (directly or after uptake) for presentation on major histocompatibility complex class I molecules (MHC-I) 
    (7)
     stimulation of CD4+ T-cells and subsequent B-cell stimulation, and stimulation of CD8+ T-cells.

    2920/03/25

  • [rAAV-Material] AAVpro® Helper Free System – ID9843 [2020/02/19]

    [rAAV-Material] AAVpro® Helper Free System – ID9843 [2020/02/19]

    研究用試薬である。生じたいかなる損害に対して責任を負わない。ライセンス締結は、治験開始前、上市前に締結。

    AAVpro® Helper Free System – TAKARA BIO –

    http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007791
  • [遺伝子治療] アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療薬 – 学者の承認済み/間近/臨床試験中 – ID1124 [2020/07/17]

    [遺伝子治療] アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療薬 – 学者の承認済み/間近/臨床試験中 – ID1124 [2020/07/17]

    AAVベクターによる遺伝子治療

    2020/7現在、承認及び間近の品目

    • Zolgensma (骨髄性筋萎縮症; Spinal Muscular Atrophy; SMA), Novartis-AveXis
    • Valrox (血友病A; Hemophilia A), BioMarin
      • 昆虫細胞を使用

    2020/6現在、臨床中

    • SPK-8011 (血友病A; Hemophilia A), Roche-Spark
    • SB-525 (血友病A; Hemophilia A), Pfizer-Sangamo Therapeutics連携 (2017/05~)sourceしていたが、現在は、Pfizerに引き継がれているsource
      • 昆虫細胞を使用
    • AMT-061, UniQure(血友病B; Hemophilia B)
      • 昆虫細胞を使用

    2003年の文献。

    http://jsv.umin.jp/journal/v53-2pdf/virus53-2_163-170.pdf

    編集履歴
    2020/01/22 Mr.HARIKIRI
  • [rAAV] Parvovirusに属するアデノ随伴ウイルス(AAV)をベクター(rAAV)にして遺伝子治療を行う — rAAVの特徴と臨床 (2003) – ID2516 [2019/10/02]

    [rAAV] Parvovirusに属するアデノ随伴ウイルス(AAV)をベクター(rAAV)にして遺伝子治療を行う — rAAVの特徴と臨床 (2003) – ID2516 [2019/10/02]

    AAVベクター

    Adeno associated virus (AAV) ベクター(rAAV : recombinant AAV)作成に関する現在の技術 (2019現在でも)では、Rep/Cap遺伝子と目的の治療用遺伝子(GOI)とは、別々のPlasmidで作り、それを混合体として細胞にトランスフェクションする方法が一般的である.即ち、野生型のAAVの感染状況とは異なる人為的な方法でウイルスが作られる.

    野生型(Wild type)のAAVの感染の場合、高い確率でターゲットとなっている染色体のある特定の位置に、そのAAVの遺伝子が組み込まれる。その位置は同定されている。

    しかし、rAAVによるGOIの染色体DNAへの組み込みは、Wild Type AAVの場合とは異なり、染色体に組み込まれたとしても稀で、しかもランダムの位置に導入される考えられている。

    AAVの血清型

    今回紹介する文献(2003年)では、当時で1から8型が知られていたようだ。血清型2, 3および5はヒトより分離されたもので、2型が最もよく研究されている。

    現在(2020)では、血清型9と10も知られており、血清型9では、脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子治療薬であるZolgensmaに使われている(2020/07/17追記)。

    ベクター種ごとの特徴

    • adeno associated virus( AAV )ベクターは、非分裂細胞への効率的な遺伝子導入と長期の遺伝子発現。他のウイルスベクターと比較してAAVの方が安全性に優れている。ただし、未分化な幹細胞への導入効率は低い。
    • レンチウイルスベクター(HIVベクターが代表的)は、AAVベクター同様に非分裂細胞への効率的な遺伝子導入と長期の遺伝子発現。静止期にある幹細胞に適しており、ES細胞に効率よく遺伝子導入できる
    • レトロウイルスベクター: 分裂細胞にしか遺伝子導入ができないため、造血系細胞への導入に絞られる
    • アデノウイルスベクター: 非分裂細胞への効率的な遺伝子導入が可能であるが、遺伝子発現は長期持続しない
    ウイルス種ターゲット発現持続性安全性
    AAVAAV1~10非分裂細胞長い高い
    LentivirusHIV非分裂細胞
    (ES細胞)
    長い
    Retrovirus分裂細胞
    (造血系)
    Adenovirus非分裂細胞短い

    AAVのウイルス学的特徴

    • AAVは、動物ウイルスの中で最も小型の線状1本鎖DNAウイルスであるパルボウイルス科(Parvoviridae)に属し、20-26nmの大きさで、ヒト成人での感染率は85%である。物理学的に極めて安定。
    • AAV2のReceptorはヘパラン硫酸が想定され、FGF receptorやαVβ5インテグリンなどもreceptorとして示唆されている。
    • AAV5のReceptorは、PDGF receptorであることが分かっている。

    Parvoviridaeは3属

    ここでは,AAVがどのウイルスに属しているのか,どんな特徴があるのか,について理解するために,その他のウイルスと比較する.

    1. Autonomous Parvovirus
      • バルボウイルス属
      • 複製にヘルパーウイルスを必要としない
    2. Dependovirus
      • ディペンドウイルス属
      • AAVのこと。複製にヘルパーウイルスを必要とする
      • 病原性は認められていおらず、血清型は1から8が知られている
    3. Erythrovirus
      • エリスロウイルス属
      • 人に感染するB19と猿パルボウイルスは、赤血球への特異性と特徴的な転写機構から区別されている

    AAVベクターとしての特徴

    ウイルスゲノムは約5kbの線状1本鎖DNA.ブラス鎖とマイナス鎖は半々。ゲノムの両端に145b長のITR (inverted terminal repeat)がT型ヘアピン構造で存在し、プライマーの役割となり複製時に機能すると共に、ウイルス粒子へのPackagingと宿主細胞染色体DNAへの組込みにも機能する。

    • AAVウイルスゲノム : 5kb,1本鎖DNA
    • ゲノムの両端に145bのinverted terminal repeat (ITR)を有する.
    • ITRは,T型ヘアピン構造をとっている.
    • ITRは,複製時にプライマー機能,ウイルス内へのPackaging,宿主染色体DNAへの組込機能を有する.具体的には,以下の通り.
    • p5プロモータからRep78, Rep68 (large Rep)のmRNAが転写: endonuclease, helical, ATPase は、プロモータ活性調節、ゲノム複製、宿主 第19版染色体長腕AAVS1領域(共通配列GAGCにRep78/Rep68が結合)へのゲノム組込み.
    • ただし、AAVベクターでは、ITRに続けてRepはコードさせず、GOIを配置するため、特定箇所への組込み機能は享受できないが、稀に組み込まれるとそれはランダムになる傾向があり、且つ、アクティブな遺伝子領域に起こりやすい.非分裂の場合、挿入変異を心配する必要はないと考えられる
    • p19プロモータからRep52, Rep40 (small Rep)のmRNAが転写: VP1, VP2, VP3のカプシド蛋白
    • 単独感染では、(A)潜伏感染のみで済むが、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスが重感染するとAAVが複製されることになり、(B)溶解感染となる
    • AAVベクターで導入された遺伝子は、ほとんどがエピソームとして存在していると考えられているため、増殖細胞の場合では、失われやすい.
    • ゲノムが1本鎖であることから遺伝子発現には2本鎖になるStepが必要であり、その効率が高くない場合は、大量のベクターを必要とする
    • 小型の粒子であることから、挿入できる遺伝子は小さくなる
    • 重複関連が可能なため、別々のベクターを使って足りないものを導入することが可能 (コンカタマー形成が可能であるため、別々に導入(スプリットベクター)しても細胞内で連結される性質を利用できる)

    臨床試験

    参考文献によれば、AAV2ベクターによる血友病Bの臨床試験: 筋肉では一部の患者で効果があった。現在、肝臓で試験中(ベクターゲノムが精液中に一過性に検出されたが、生殖細胞への遺伝子導入は確認されていない)

    以上

    参考文献

    1. ウイルス 第53巻 第2号 pp.163-170, 2003, http://jsv.umin.jp/journal/v53-2pdf/virus53-2_163-170.pdf
    2. Dependoparvovirus, ViralZone
    編集履歴 Mr.HARIKIRI
    2019/12/31 文言整備、少々追記
    2020/05/03 文言整備
    2020/07/17 追記(Zolgensma)
    2023/10/24 文言整備
  • [rAAV] rAAVベクターの精製方法 – Universal Method (2018) – ID2266 [2019/09/18]

    [rAAV] rAAVベクターの精製方法 – Universal Method (2018) – ID2266 [2019/09/18]

    はじめに

    遺伝子治療薬のデリバリー・システムとしてAAV使用が盛んです。今後は、AAVの精製についても抗体医薬と同様に精製方法のプラットフォーム化が進むと予想されます。それを目指して精製関連機材メーカーは、意欲的な製品を発表しているところです。

    ここでは、AAVの精製方法について情報を集めてみたいと思います。現状が把握できれば、今後の方向性も自ずと見えてきます。

    文献の内容

    AAVの血清型に依存しないプットフォーム化された精製方法に関する文献

    GE HealthcareのAVB SepharoseとPOROSの CaptureSelect AAV8及びAAV9の比較

    トリビア: 欧州で開発された最初の遺伝子治療薬Glybera (AAV1-LDL)

    Affinity精製の不利な点は、遺伝子が封入の有無(Empty/Full)にかかわりなく精製されること。

    AEXは、EmptyとFullの分離が可能であり、微妙な電荷の違いが存在することを示唆している。

    この文献では、AffinityとAEXを使用することで精製プラットフォームを提案している。

    Affinity精製サンプルのAUC分析では、多数のピークが確認され、Full以外のEmptyやその他のCapcid蛋白質などの不純物が多く含まれていた。

    Affnity後のAEX精製サンプルのAUC分析(UVモニター)では、1つの主ピークを認め、精製度が上がっている画分は、AEXのクロマトプロファイルとしてA260/A280比は、1を超えておりFull画分と考えられた。

    編集履歴
    2019/09/18 はりきり(Mr)
    2020/06/12 整備(Gutenberg blockに変換)

    精製方法の骨格

    Affinityクロマト→イオン交換クロマト

    対象文献

    Universal Method for the Purification of Recombinant AAV Vectors of Differing Serotypes, 2018

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5767896/pdf/main.pdf

    参考文献

    AVB SepharoseTM High Performance, GE Healthcare

    https://www.gelifesciences.co.jp/catalog/pdf/28920754ab.pdf

    アデノ随伴ウイルス精製用アフィニティー担体 – GE Healthcare –

    https://www.gelifesciences.co.jp/catalog/1259.html

    POROSTM CaptureSelectTM AAV Resins: AAV8, AAV9, AAVX – Thermo Fisher –

    https://assets.thermofisher.com/TFS-Assets/LSG/manuals/100038399_POROS_CapSel_AAV8_AAV9_Resins_UG.pdf

    Enabling Custom Solutions for Downstream Processing for Future Therapies: AAV Case Study, BioProcess International, 2016 – bioprocess international –

    https://bioprocessintl.com/ask-the-experts/aav-case-study-poros-resins-captureselect-ligand-webcast/

    編集履歴

    2019/09/18, Mr. Harikiri
    2021/11/02,記載整備