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  • [rAAV-Edu] POROS CaptureSelect (AAV精製 resin) の性能とAEXによるfull/emptyの分離 – ID2271 [2019/09/18]

    [rAAV-Edu] POROS CaptureSelect (AAV精製 resin) の性能とAEXによるfull/emptyの分離 – ID2271 [2019/09/18]

    AAVX Resinの特徴

    複数の血清型AAVを吸着

    POROSは、Thermo Fisherのブランドです。以前は独立したメカーでしたが、M&Aで傘下になっています。POROSプランドでAAVをキャプチャー精製する製品は、CaptureSelect(TM)というものがあります、そのラインナップは、AAV8, AAV9, AAVXです。AAVXレジンは特別で、血清型の違いに関係なく高い吸着性能を持っています。すなわち、1つのレジンで精製方法をプラットフォーム化することが可能です。

    これは、抗体医薬で使用されるていProtein Aレジンと同様の位置付けに等しい将来性のあるレジンです。

    • Binding Capacity: >10e14 (vg/mL)

    CaptureSelectとは

    ラクダの重鎖抗体を応用したnonobody技術により、AAVに対する結合性のあるLigandをPorosレジンにカップリングした製品である。

    AAVXレジンの吸着性能をバッチ法で評価

    CaptureSelectのラインナップの内、AAVXは殆どのAAVの血清型に対して高い親和性を有している。

    AAVXレジンと各血清型のAAV (培養、抽出、清澄化したサンプル液)を混合し、チューブ内で10分間の吸着反応させる系で、溶出バッファー(0.1M citric acid, pH2)により回収した溶出液をqPCRでvgを測定し、その回収率を評価している。

    その結果、AAV1(99.63%), AAV2(97.8%), AAV2_HSPG(98.33%), AAV4(98.05%), AAV5(97.88%), AAV6(97.45%), AAV6.2(98.93%), AAV7(98.37), AAV8(97.76%), AAVrh10(96.28%), AAVrh32.33(99.29%), AAV9PHPB(98.51%), AAV7m8(98.39%)、と多数の血清型のAAVを高い効率で吸着・溶出が可能であることが示されている。

    AAVXレジンとその他のレジンとの比較

    比較に使用したレジン

    1. AVB: GE Healthcare
    2. Poros AAV8
    3. Poros AAV9
    4. Poros AAVX

    その結果、下図のように、AABレジンでは、AAV8, AAV9、AAV10を吸着できるものの60%から80%程度の吸着能しかないことが示されている。AABレジンの製品仕様ではAAV1, AAV2, AAV3及びAAV5で使用できるとあることから、当然の結果である。

    AAV2のemptyとfullのHQカラムによる分離

    CsCl2密度勾配の超遠心処理で精製した遺伝子が封入されていないempty AAVと封入されているfull AAVを混和して、AEXカラムであるPOSOR HQカラムにアプライしてクロマトグラフィーを行うと、emptyとfullを分離できる。

    • emptyの溶出位置: 10mS/cm
    • fullの溶出位置: 12mS/cm

    参考文献

    Overcoming downstream purification challenges for viral vector manufacturing: enabling advancement of gene therapies in the clinic: https://pdfs.semanticscholar.org/935c/2e2ee928ba35ebbe22bf43c2e5e1ebe1a4f0.pdf

    Separation of adeno-associated virus type 2 empty particles from genome containing vectors by anion-exchange column chromatography: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166093406004022?via%3Dihub

    Review – ラクダが持つ不思議な抗体の魅力:https://harikiri.diskstation.me/myblog/biologics/2300/

    編集履歴

    2019/09/18, Mr. Harikiri
    2021/11/02,記載整備

  • [rAAV] rAAVベクターの精製方法 – Universal Method (2018) – ID2266 [2019/09/18]

    [rAAV] rAAVベクターの精製方法 – Universal Method (2018) – ID2266 [2019/09/18]

    はじめに

    遺伝子治療薬のデリバリー・システムとしてAAV使用が盛んです。今後は、AAVの精製についても抗体医薬と同様に精製方法のプラットフォーム化が進むと予想されます。それを目指して精製関連機材メーカーは、意欲的な製品を発表しているところです。

    ここでは、AAVの精製方法について情報を集めてみたいと思います。現状が把握できれば、今後の方向性も自ずと見えてきます。

    文献の内容

    AAVの血清型に依存しないプットフォーム化された精製方法に関する文献

    GE HealthcareのAVB SepharoseとPOROSの CaptureSelect AAV8及びAAV9の比較

    トリビア: 欧州で開発された最初の遺伝子治療薬Glybera (AAV1-LDL)

    Affinity精製の不利な点は、遺伝子が封入の有無(Empty/Full)にかかわりなく精製されること。

    AEXは、EmptyとFullの分離が可能であり、微妙な電荷の違いが存在することを示唆している。

    この文献では、AffinityとAEXを使用することで精製プラットフォームを提案している。

    Affinity精製サンプルのAUC分析では、多数のピークが確認され、Full以外のEmptyやその他のCapcid蛋白質などの不純物が多く含まれていた。

    Affnity後のAEX精製サンプルのAUC分析(UVモニター)では、1つの主ピークを認め、精製度が上がっている画分は、AEXのクロマトプロファイルとしてA260/A280比は、1を超えておりFull画分と考えられた。

    編集履歴
    2019/09/18 はりきり(Mr)
    2020/06/12 整備(Gutenberg blockに変換)

    精製方法の骨格

    Affinityクロマト→イオン交換クロマト

    対象文献

    Universal Method for the Purification of Recombinant AAV Vectors of Differing Serotypes, 2018

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5767896/pdf/main.pdf

    参考文献

    AVB SepharoseTM High Performance, GE Healthcare

    https://www.gelifesciences.co.jp/catalog/pdf/28920754ab.pdf

    アデノ随伴ウイルス精製用アフィニティー担体 – GE Healthcare –

    https://www.gelifesciences.co.jp/catalog/1259.html

    POROSTM CaptureSelectTM AAV Resins: AAV8, AAV9, AAVX – Thermo Fisher –

    https://assets.thermofisher.com/TFS-Assets/LSG/manuals/100038399_POROS_CapSel_AAV8_AAV9_Resins_UG.pdf

    Enabling Custom Solutions for Downstream Processing for Future Therapies: AAV Case Study, BioProcess International, 2016 – bioprocess international –

    https://bioprocessintl.com/ask-the-experts/aav-case-study-poros-resins-captureselect-ligand-webcast/

    編集履歴

    2019/09/18, Mr. Harikiri
    2021/11/02,記載整備

  • [Bio-Edu] 血漿由来の抗体精製 – Poll AcroSep resin), 2009 – ID14 [2019/08/12]

    [Bio-Edu] 血漿由来の抗体精製 – Poll AcroSep resin), 2009 – ID14 [2019/08/12]

    血漿中の抗体(IgG)を精製する方法

    2019年現在、抗体医薬品のほとんどは、遺伝子組換えCHO細胞から造られている。これらの抗体医薬品は、特定の疾患に対する特異抗体、即ちモノクローナル抗体である。

    今回紹介する血漿からの抗体は、補充療法としての抗体である。ヒトの血漿中にある抗体は、モノクローナル抗体ではなく、様々な抗原にたいする抗体が混合体として存在しており、上述の場合をモノクローナル抗体と呼ぶのに対し、ポリクローナル抗体という。

    例えば、川崎病では従来から血漿由来抗体の投与が試みられる。川崎病はウイルス感染をきっかけとして、遺伝子素因に起因すると考えられる異常な免疫反応により血管炎が生じる疾患である。ウイルスは変異をするので、モノクローナル抗体では、変異したウイルスに治療効果はない場合がある。比較してポリクローナル抗体では、治療効果の確率が高くなる、理屈的には考えられる。

    余談だが、異常な免疫反応に対しては、抗体では効果はないと考えられるため、抗体で効かない場合は、免疫抑制のあるステロイド剤が使用される。

    概要

    PlasmaをBlue Trisacryl AcroSep columnでAlbuminを吸着除去し, Mix modeのMEP AcroSep columnでIgGを吸着、EDTAでtransferinを洗浄除去後、IgGをpH5で溶出する

    原理

    • 血中の主たるタンパク成分であるアルブミン (Albumin)は、青色素に特によく吸着する。
    • 抗体の物性が良ければ、AEX、CEXのクロマトで精製可能だが、一発で精製したいなら、Mix Mode クロマトが選択肢の一つとなる。
    • 血漿には、鉄の輸送屋であるTransferinが含まれているが、おそらく鉄を介してAlbuminと抗体は親和性を有している

    精製担体

    4-Mercaptoethylpyridine (4-MEP)

    https://products.pall.jp/jp/ja/Laboratory/Protein-Sample-Prep-and-Detection/ID25/mep–zidgri78m5c

    [ED] 免疫グロブリンG; IgG

    https://harikiri.diskstation.me/myblog/biologics/8697/
  • rAAV精製に必要な精製機材 工事中 – ID1165

    rAAV精製に必要な精製機材 工事中 – ID1165

    Thermo /

    POROS™ CaptureSelect™ AAV9 Affinity Resin

    Antibody Fragment for AAV8, AAV9 , AAVX

    4M Urea, 3M GuHCl, <pH10,, 

    Equiriblation

    PBS

    Washing

    PBS

    1M NaCl containing

    Elution

    pH2-3, citrate

    CIP

    6M Urea, 6M GuHCl

    https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/A27357

  • [Bio-Lab] GE Healthcare PD-10 Column – カスタムな使い方として、中身を取り除いて、好みのレジンを詰める方法 – ID776 [2021/03/10]

    [Bio-Lab] GE Healthcare PD-10 Column – カスタムな使い方として、中身を取り除いて、好みのレジンを詰める方法 – ID776 [2021/03/10]

    PD-10カラム

    • 脱塩カラム
    • 平衡化バッファで平衡化
    • ~1mLをロードして、平衡化バッファで押し出す
    • 目的画分をフラクショネーションする

    目的外使用

    中身のレジンを除外して、別のレジンに積み替えて、簡易精製検討に汎用していました。

    • レジン充填量 : 0.5mL(カラム高5mm程度)
    • 自然落下の方法で使用します
    • 通常の指定される流速より5倍から10倍の高速で検討が可能です
      • ただし、結合キャパシティは、高流速であるため、絶対的なデータ取得ではなく、相対比較とての検討に向いています
      • すなわち、人的な能力を活かした高速検討です。
      • 得られたデータは、相対比較による最も良い条件を確認できますが、実際のスケールアップに際して、通常の条件で確認し、そのスケールでの最適化検討を実施する手順となります。
    • 上下のメッシュの高速簡便な再装着にKnow Howがあります^^)
      • 未使用のレジンは、粒子が小さいものが含まれているので、デカンテーションで除去しておきます
      • 遠心機と遠心チューブを使って、50%スラリーを作ります。遠心した時のレジンの体積に対して溶液を添加します
      • 懸濁したスラリーを、トップのメッシュを外したPD-10カラムに必要なカラムサイズの2倍のスラリー液をピペットで添加します。ピペット・チップは、先を挟みで切って流入口の径を大きくしておきます
      • 添加し終えたら、水でも良いので、追加して液量を増加させ、カラムの80%程度までかさ増しします。ボトムから液が滴下しているはずです
      • 液が無くなってしまわない内に、ボトムのキャップを取り付けます
      • トップのメッシュを取り付けます。カラムの上部に取り付け、直径の合うアダプターを差し込んで、ボトムに向かってある程度の速でで押しコンで行きます。最終目標は、レジンと上下のメッシュに隙間がない状態です。
      • ある程度の速度でアダプターを押し込んで行くと、メッシュに溜まった気泡が抜けさすことができます
      • * アダプター : マルエムチューブ(ポリステレンの使い捨ての試験管)のSS14などが使えます。試験管口をメッシュに当てると真っ直ぐに押し込めることができます
      • 以上の操作で、レジンのPD-10カラムへの充填が完了です

    編集履歴

    2019/07/15 Mr. HARIKIRI
    2021/03/10 追記 (自家充填の方法)
  • [Data Link] rAAV vectorの沈殿法を使った精製方法に関する文献のリンク – ID745

    [Data Link] rAAV vectorの沈殿法を使った精製方法に関する文献のリンク – ID745

    文献情報のみ

    A simplified purification method for AAV variant by polyethylene glycol aqueous two-phase partitioning Cell Pellet→Lysis→Nuclease→PEG8000-NaCl Precipitation. Replace from ultracentrifugation to precipitation procedure 10% PEG8000, 13.2% (HN4)2SO4
    Culture Supernatant + PEG solution (1/4 vol)→stir slowly 4℃, 1hr→4℃, 3hrs without string to allow full peciptation 40% PEG 8000, 2.4% NaCl, adjust pH7.4
    Adeno-associated Virus (AAV) AssemblyActivating Protein Is Not an Essential Requirement for Capsid Assembly of AAV Serotypes 4, 5, and 11make in 8% PEG 8000, 0.5 NaCl on ice for 3hrs. The pelet was suspet by 50 mM Tris-HCl (pH 8.5) and 2 mM MgCl
    2
    Helper-free Production of Laboratory Grade AAV and Purification by Iodixanol Density Gradient Centrifugation add 1:4 vol precipitation solution to supernatant from cell culture 40% PEG 8000, 2.5 M NaCl water

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  • [Bio-Edu] タンパク質(蛋白質)の精製 – 基礎編 – 不純物の定義、RefoldingからUF膜精製、タンパク質精製の定石まで – そしてタンパク質を知る – ID686 △[2021/06/03]

    [Bio-Edu] タンパク質(蛋白質)の精製 – 基礎編 – 不純物の定義、RefoldingからUF膜精製、タンパク質精製の定石まで – そしてタンパク質を知る – ID686 △[2021/06/03]

    蛋白質の精製 (基礎)

    蛋白質の精製 (purification of protein)とは、不純物と混在している目的蛋白質を一定の性質を利用して物理化学的に分別して、最終的に目的の蛋白質のみを取り出すことです。

    蛋白質の精製の具体例とて、水溶液の状態でタンパク質が溶けているとします。その溶液には、その目的タンパク質以外のタンパク質、脂質、糖質、原材料由来のDNAなどの不純物を含んでいるとします。

    そのタンパク質液の成分(塩濃度、pH、有機溶剤濃度)を調節することで、担体(resin)と呼ばれる固定物への脱着、沈殿精製による不純物との分離(上清/沈殿)、活性炭への不純物吸着など、を実施可能となり、タンパク質を精製することができます。

    しかし、用いる出発材料に含まれる目的タンパク質の含有率が精製効果に強く影響します。目的タンパク質の含有量が多いに越したことはありません。昔の出発材料では、目的タンパク質の含有量が、現在と比べて1桁、2桁低かったため、その精製は非常に大変でした。

    最近の抗体医薬では、培養液での生産性は、5g/Lなど、一昔前と比べて10倍~50倍以上となり、相対的に不純物との比較で含有率の改善がなされています。そのため、昔と比較して精製の難易度は非常に低くなりました。

    このように出発材料の品質が高まったことで、抗体医薬の精製は、プラットフォーム化が可能になりました。すなわち、単純な精製方法でも精製することができると言うことです。もしも、出発材料の品質が低い場合は、もっと複雑な精製工程を組まなければ精製できないことになります。

    • 出発材料に含まれる目的タンパク質は、主たる成分量でなければ、精製することは難しい
    • 相対的な不純物の混入量は、少ない程、精製はしやすくなる。

    不純物とは (Impurity)

    バイオ医薬品では、動物細胞や大腸菌など人ではない細胞に目的の蛋白質の遺伝子を導入して、これらを培養することで目的の蛋白質を分泌させるという培養工程がある。

    以下、不純物の発生源を示す。

    • 培養中に死んでしまう細胞の中味が培養液中に放出される
    • 培養に使用する培地に含む添加物
    • 目的蛋白質の分解物(類縁物質)

    菌や動物細胞は、それらが生きていくための蛋白質などを生産しつつ、目的の蛋白質も生産してくれる。目的の蛋白質でない物質を不純物と定義する。不純物の種類には、宿主細胞由来の蛋白質や脂質、DNAなどが含まれる。

    • 蛋白質 (細胞質由来)
    • 糖質 (細胞由来の糖、endotoxinも含む)
    • 脂質 (細胞膜)
    • 核酸 (細胞の核由来DNA、付随するヒストンなど)

    出発材料

    現在では、遺伝子組み換えによる生産が主流となっているが、遺伝子組換え技術が開発されるまでは、目的蛋白質を生産してくれる菌や動物細胞を偶然見つけたりして専用に選択していた。

    選択した細胞を培養し、ある程度の細胞濃度に増殖させた後、刺激剤を使ったりして目的の蛋白質を生産させていた。例えば、夢の薬と言われたインターフェロン (interferon)は、血液中の白血球を集めて培養し、刺激剤を添加するとInterferonを分泌した。株化細胞を使う場合は、Namalwa細胞ATCCというlymphoblastを使い、刺激剤は、仙台ウイルスを使用してInterferonを分泌されていた。もう、今から40年以上の昔の話である。

    • 組織由来株化細胞
    • ハイブリドーマ
    • 遺伝子組換え大腸菌
    • 遺伝子組換え動物細胞

    沈殿精製

    その頃の蛋白質精製には、いろんなバリエーションの沈殿化法が多用されていました。

    • アセトン沈殿 (結晶分画製剤)
      • 一部の血漿分画製剤の沈殿化に使用されていました
    • エタノール沈殿 (Cohnのエタノール分画が有名)
      • 血漿分画製剤の精製に使用されています。
      • 温度管理を厳密にしないとタンパク変性してしまいます
    • 硫安沈殿
      • 血清・血漿からIgGを粗精製に使用できます。ウサギに免疫し血清を取得してから、30%飽和濃度でIgGを沈殿化できます
    • PEG沈殿 (血漿分画製剤)
      • rAAV精製にも最近まで多用されていました。最近は、Thermo Fisher Scienceの抗AAV抗体レジンが、性能が良く代替的に使われるようになりました
    • グリシン塩酸沈殿(血漿分画製剤)
      • Fibrinogeの沈殿精製など、分子量の大きな凝固因子に使用されていました

    再構成(re-folding)

    大腸菌で産生させたタンパク質の場合、立体構造の再構成(re-folding)処理が殆どの場合必要です。一般的にタンパク質は、アミノ酸が数珠繋ぎになっている一本の糸のようなものです。その糸がどのように絡まるかが、そのタンパク質の機能が発揮される条件です。その正しい絡まり方を導くことが、Re-foldingと言います。正しい絡まり方ができなかった結末の場合、それは、mis-foldingと言います。mis-foldingしたタンパク質を一旦解いてfoldingし直すには、Re-foldingが必要です。

    詳しい手順は、以下のページをご参照ください。

    [Bio-FAQ] Refoldingとはなんですか? [2022/11/16]

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    [Bio-Edu] 組換え大腸菌で造らせたタンパク質のリフォールディングおよび、その後の精製手順 [2020/08/19]

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    [Bio-Edu] 遺伝子組換え大腸菌からタンパク質を精製する製造フロー概略 – ID6624 [2020/01/09]

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    吸着精製

    その他にも土や活性炭、イオン交換樹脂や多孔性のガラスビーズ(Controlled Pored Glass: CPG)などが蛋白質を吸着させる物質として使用されていた。これらの物質を吸着担体 (resin)と呼んだすりする。

    • 土(ミドライド)
    • 活性炭
    • イオン交換樹脂
    • 多孔性ガラスビーズ ( controlled pore glass; CPG )Merck

    これらのトラディショナルな技術は、現在の技術にシームレスに生かされている。バイオ医薬品のハーベストに使用されるディプスフィルター(Depth Filter)には、土や活性炭が膜の素材と共に練りこまれている製品がある。

    クロマト精製

    ゲル濾過精製

    もっぱら研究室では、分子量で分画するGel Filtration Chromatography (GPC)を汎用していた。3cmφ x 120cmのカラムにSephacryl S-200などのレジンを1日ががり充填、バッファーによる平衡化、夕方にサンプルをロードして翌日までオートサンプラーでフランジョンを分取していた。

    アフィニティクロマト

    特に純度を高めたい場合は、免疫用の抗原をなんとかして精製し、ウサギに免疫して抗体を取得して、抗体をクロマト担体にカップリングしてAffinity Columnを用意した。更に、今から40年以上も前でも、精製度の改善には定評があったのは、リン酸カルシウムの結晶であるハイドロキシアパタイトであった。

    • ゲル濾過(Gel Filtration Chromatograph; GFC), Size Exclusion Chromatography (SEC)などとも言う
    • 抗体カラム
    • ハイドロキシアパタイト (リン酸カルシウム)

    ハイドロキシアパタイトは、通常は針状に結晶化したものをカラムに充填して使っていた。その針状結晶はもろいため、使用している間に粉砕が進み、繰り返し使用は難しかった。しかし、オリンパスがCeramix化に成功(人工骨の研究)したことで、蛋白質の精製に用途を広げて現在に至っている。

    精製の戦略

    精製の戦略 ( Purification Strategy )を考えてみる。

    現在では、3種類の異なるモードのカラムクロマト精製で蛋白質の精製を行うのが主流である。

    基本的な戦略は、(1)「キャプチャリング」、(2)「陰イオン交換体」、(3)「陽イオン交換体」の3つの特性の異なる担体を使った手法を用いれば、殆どの蛋白質は精製が可能である。

    1. キャプチャリング
    2. 陰イオン交換体
    3. 陽イオン交換体

    抗体の場合のキャプチャリングであるAffinity精製は、Protein AやProtein Gなどを用いる。血液由来の凝固系因子のAffintiy精製では、Heparin担体が適用できることが多い。

    1. Protein Aカラム
    2. Heparinカラム
    3. Tag精製(His-tabを付加している場合)

    どうしてもAffinityが使えない場合は、出来るだけAffinity精製と同等な精製方法を探索しなければ、精製は困難になってくる。

    その探索に注力する必要も生じるが、吸着キャパシティから選択するならば、陽イオン/陰イオンを使った条件設定に注力することも必要である。

    タンパク質の精製では、同じモードの精製方法は重ねてはいけない。それぞれのモードで除去できる不純物の特性はある程度一定であるため、同じモードを重ねても効率が悪く回収率の低下を招くばかりである。

    • 同じ精製モードは重ねないこと
    • 精製モードは、まんべんなく組み合わせること
    • 最初の精製工程は、キャプチャリングであることを意識する
    • バッファー組成は、次の工程への繋がりがよいこと
    • UF/DFも多用しないこと

    更に、純度がどうしても上がらない場合、疎水モードやマルチモーダルの使用も考慮する。

    • 親和性担体 (Affinity resin)
    • 陰イオン交換体 (Anion Exchange Resin)
    • 陽イオン交換体 (Cation Exchange Resin)
    • 疎水担体 (Hydrophobic Resin)
      • Phenyl Resin: 低分子か疎水性が弱い蛋白質用
      • Butyl Resin: 疎水性が強すぎる蛋白質用
    • マルチモーダル (Multi Modal Resin)
      • ハイドロキシアパタイト (BIO-RAD): 陰陽の両方のモードをもち、少なくとも塩濃度、リン酸濃度、pHの3つのパラメータを駆使できる
      • capto Adhere (GE Healthcare): 陰イオンと疎水性のモード持つ
      • MMC (GE Healthcare)

    クロマト精製と組合わせ技

    沈殿化 (precipitation)

    概要

    沈殿による精製方法も使える状況は多い。例えば、沈殿化しやすい蛋白質の場合、それを活用するのが効率的な場合もある。人工的にデザインした、ある蛋白質の部分的なドメインを精製する場合、そのドメインは自然界には無い人工的な物質であることで、物理化学的性質が通常とは異なっていることが想定される。

    そのような物質であるケースでは、少しの食塩の添加により電気伝導度(conductivity)が上がっただけで、沈殿化する場合がある。これは、しめたもんだ。喜んで沈殿物を回収して、その純度を確認しよう。

    塩濃度を上げて沈殿化させる場合、pHは低い方が沈殿化しやすい。これも活用できる。

    • 塩の添加
      • NaClで沈殿化できればラッキー
      • その他、硫酸アンモニウム
    • pHを5以下に下げる
      • タンパク質溶液のpHを下げる場合、HClは希塩酸でも禁忌!。タンパク変性が強い
      • 酢酸(Acidic Acid)がマイルド。ただし、高濃度の酢酸は、逆に効果となる。

    物性を活用する

    沈殿法の原理について確認しておこう。厳密な定義はないものの、アミノ酸が数珠つなぎになったもので、数十個程度ではペプチド (Peptide)と呼ばれ、更に大きくなり分子量が5000 (5kDa)以上で蛋白質 (Protein)と呼ばれる。

    アミノ酸の種類により塩基性、酸性、疎水性の特性があり、これらの数珠つなぎとしての全体の特性が、ある蛋白質の総体的な物性を示すことになる。蛋白質は、絡まない紐のように存在しているのではなく、折れ曲がったり、巻いていたり、アミノ酸同士の物性に応じた相互的に引き合って入り反発しあっていたりと関係性が生じており、その状況は、存在している溶液中の塩濃度、pHや共存している溶剤の影響をうけて、その立体的な構造が形作られる。

    そのためアミノ酸の配列依存的に、その立体構造が確定するものの、周りの状況により影響をうけるため、一意的に決まるものではない。まさに、それこそがある蛋白質の物性ということである。セントラルドグマなどいいう言葉も聞いたことがあるが、僕は、そのような理論はよく知らない。

    沈殿法の種類

    • 塩析
      • 飽和劉安
      • NaCl
      • リン酸カリウム
      • グリシン塩析
    • 有機溶剤による沈殿
      • EtOH沈殿 : CORN Ethanol Fractionationが有名である。
      • アセトン沈殿
    • pHを下げる
      • pH6より低いpHに調整
      • 蛋白質によっては、中性pHで沈殿化するためpH8などのアルカリ性にする場合もある

     沈殿法(参考ページ)

    はじめに 無機塩の高濃度添加は、タンパク質を沈殿させる基本です。タンパク質溶液に対して塩を添加することで、タンパク質の疎水性という物理的性質の強度を溶液中で強めることができます。疎水性が高まると、そのタンパク質の成分であ…
    はじめに タンパク質の精製とは、どのような作業をするのでしょうか? 精製とは目的物と異なる物質を取り除き、目的物質の割合を上げること、すなわち純度を高めることです。 ここでは、イオン交換体を用いたタンパク質の精製の原理に…
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    膜で不純物を吸着除去

    Depth filterという製品群がある。当然、日本製では製品はないが、外国製のPall MilliporeやSartorius Stedim, 3M, GE Helthcareなどのメーカーを当たれば良い製品が見つけられる。

    Depth filterの用途は一般的に、清澄ろ過であるが、膜に土や活性炭を練りこんでいる製品もあり、清澄化とともに不純物の吸着除去も同時に実現できる。抗体医薬の場合、陰イオン交換体のDepth filterでろ過することで、DNAなど負荷電の不純物が吸着し、抗体はパススルーする。これらの製品は、昔、僕らが鉱物由来であるミドライトなど、粘土を使ってInterferon (IFN)を精製していた時の技術の焼き直しである。トラディショナルな技術は、今も息づいている。

    濃縮とバッファ交換 (Concentration and Diafiltration)

    40年より前では、ホローファイバーで目的の蛋白質などを濃縮していた。この技術は還元濃縮みかんジュースなどで、今でも使われている。40年前に当時のメンブランメーカーであったミリポア社が限外濾過膜で平膜を開発し、画期的な構造の濃縮装置を開発した。ホローファイバーを使用して濃縮した場合、1週間かかるところを、この装置を使うと2時間で濃縮が完了してしまうほどの破壊的な技術であつた。そう、この装置をベリコン (Pellicon)という。

    短時間で濃縮が可能となると、これまでの濃縮に加え、溶液の組成置換も実施できるようになり、濃縮とバッファ置換は同義となった (Concentration and Diafiltration)。

    限外濾過膜の濃縮側にEndotoxinを残し、目的タンパク質をろ過

    実は、限外濾過処理を応用して、目的蛋白質と発熱製物質であるEndotoxinを分離分別可能である。Endotoxinは、ミセルを作っているので、見かけの分子量は100kDa以上になっているため、目的タンパク質が100kDa以下の場合、ろ過液に目的蛋白質を回収することができる。

    限外ろ過膜 (ultrafilter)

    • 限外ろ過膜には、平膜,ホローファイバーがある
    • 処理目的は、膜が持つ性能である分画分子量以下の低分子画分をろ過しすることで、循環システムから排除する。高分子画分は、残留させることで、循環システムに残留させる
    • ホローファイバーは、製造方法から簡単であったことから従来から使用されていたが、1980年代に膜メーカーのmillipore者が平膜の限外濾過膜を開発してベリコン膜と呼ばれ普及した。
    • 平膜では膜面と並行に目的溶液を流しながら(クロスフロー: cross flow),膜面に圧力を掛けることで、膜の分画分子量より大きい分子量画分を膜面を滑らせるとともに、小さい分子量画分をろ過する.ウイルス除去処理用フィルターもmilliporeが開発している。
    • ホローファイバーでは,平膜と同様の原理を使えるが中空糸構造であることから,そのオリフィス径(液が通る断面積)は小さいため,濃縮による不溶性異物により目詰まりしてろ過効率が低下しやすいが、バイオ医薬品の製造では必須でいるウイルス除去ファイルターはボローファイバーが使用されている。その場合、デッドエンド法が使われ、ファイバーの先端から末端に向けて処理液を送液する際、末端をデッドエンドにして圧力をかけることでファイバーの外側に濾過液が滲み出る原理の方法である。細胞を含む培養液の成長ろ過にホローファイバーが使用される場合は、クロスフロー法が使用される。
    平膜とホローファイバーの比較
    比較follow fibercross flow
    流路絶対的に狭い。ファイバーを増やしても内径は狭いまま理論的には膜幅と膜と膜との間隔だけ面積に相当する広い流路
    循環流速早くできない早くできる
    処理速度遅い早い
    適用低い粘度の溶液処理。培養液の清澄ろ過低濃度から高濃度タンパク質のろ過・濃縮
    製品Planova 20N (ASAHI-KASEI)Pellicon (Pall-Millipore), (Sartorius), (Novasep)

    参考文献

    minimate TFF capsule

    タンパク質の性質を知ること

    PDB

    結晶解析により立体構造がわかっているタンパク質の場合、のプロテイン データペースに登録されています。

    立体構造から、そのタンパク質の物性イメージをつかみます。

    • FabとIL-6のComplex : PDB
    • Fab (Rontlizumab) – Interferon-a2 : PDB
    • Infliximab (Fab) : PDB
    • AAV 5 : PDB

    Helical Wheels

    アミノ酸が連なったものがペプチドであり、タンパク質です。その構造は、αヘリックス、ベータシート、ランダムシートに分けられます。そのアミノ酸の結合具合をαヘリックスの配置に模倣して、そのドメインがどのようなアミノ酸群、すなわち、疎水性や極性を持っているのかを、単位として理論的に簡略化する図が、Helical Wheelsです。

    どの当たるのアミノ酸配列が、

    Analysis of individual sequences

    http://www.bioinfo.org.cn/lectures/index-7.html

    Helical Wheel

    https://en.wikipedia.org/wiki/Helical_wheel

    解析ソフトの解説も参考になります。

    4.14.12 Helical Wheel – HULINKS –

    https://www.hulinks.co.jp/support/gi/tutorial/m041412.html

    まとめ

    この投稿では、タンパク質についてどのような精製があるかを解説した。実際に精製しようとすると、その具現化がまた骨の折れる作業となる。

    編集履歴

    2019/07/11 はりきり(Mr)
    2020/05/09 文言整備
    2020/06/13 追記(平膜とボローファイバーの比較)
    2020/07/07 Update
    2021/06/03,追記(Helical Wheel)