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  • [Bio-Edu] イオン交換クロマトグラフィの原理 – バイオロジクスの製造における基本 [2021/02/13]

    [Bio-Edu] イオン交換クロマトグラフィの原理 – バイオロジクスの製造における基本 [2021/02/13]

    イオン交換の原理を使ったクロマトグラフィ

    文字通りイオンを交換反応で結合できる樹脂 (レジン) を使ったクロマトグラフィです。カラムにパックすれば陰イオン交換カラムクロマトグラフィーとなります。パックしない場合をバッチクロマトなどと呼びます。

    タンパク質は、アミノ基やカルボキシル基を持っているので、プラス・チャージも、マイナス・チャージも持っています。

    等電点 (pI)とは、タンパク質全体として電荷が中和されている状態の溶液pHを指します。因みに、あるタンパク質を等電点にpH調整すると、沈殿すると言われています。

    イオン交換分離の原理と分離に影響する4つの因子とは? – ThermoFisher –

    https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/principle-and-factors-of-ion-exchange-separation/

    実務では

    • 目的タンパク質の等電点(pI)を知る
    • 陰イオン交換体に結合させたい場合は、目的タンパク質の電荷を負にするために溶液pHを塩基性に調整する
    • 陽イオン交換体に結合させたい場合は、目的タンパク質の電荷を正にするために溶液pHを酸性に調整する
    • イオン交換体との結合を弱めたい場合は、pHでコントロールできるか、実務的には塩濃度を上げることで、イオン結合を弱める手法をとる。もちろん両方を組み合わせることも可能。

    原理

    目的のタンパク質の電荷と溶液中の電荷を帯びたイオンとの競合により、イオン交換体(レジン)との親和性に強度が付くことで、吸着てずにパススルーさせたり、吸着後に溶出させたりする。

    タンパク質の場合、弱塩基性、弱酸性のアミノ基を思っており、有効表面電荷の正負および強度に応じて、イオン交換原理によるクロマトグラフィが可能となる。下図のようにpHを酸性から塩基性にタンパク質が溶けている溶液pHを変化させた時、有効表面電化は、プラスチャージのカチオンからマイナスチャージのアニオンに変化していく。電荷がちょうどゼロ(0)になるpHを等電点 (pI)という。

    Cytiva, https://www.cytivalifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/technical_tips/tips51.html

    なぜpHを上げていくと電荷がマイナスチャージになるのか

    前述のCytivaの参考文献に示されているように、pHを酸性から塩基性に上げていく場合、なぜ電荷が、プラスからマイナスになっていくのか、その原理を以下に解説します。

    酸と塩基・代謝概要 – 熊本大学、平成25年4月15日 病態生化学分野 (生化学2)教授、山縣 和也 –

    http://www.medic.kumamoto酸と塩基・代謝概要-u.ac.jp/dept/biochem2/class/250415-1.pdf

    タンパク質は、アミノ酸で作られているので、単純化してアミノ酸で考える。アミノ酸は、アミノ基(-NH2), カルボキシル基(-COOH)を持っており、両性電解質である。例外は、プロリンでアミノ基の代わりにイミノ基を持つ(本当はイミノ酸)。

    • pI; 等電点となるpHでは、以下のように解離していて総体としての電荷はゼロである
      • (-NH2) → (-NH3+)
      • (-COOH) → (-COO-)
    • 酸(HCl)を添加していくと、H+が増えるため以下の様に乖離して総体として正電荷であり、陽イオン交換体に結合できる
      • (-HN3+) → (-HN3+)
      • (-COO-) → (-COOH)
    • 塩基(NaOH)を添加していくと、H+が減るため以下の様に解離して総体として負電荷となり、陰イオン交換体に結合できる
      • (-HN3+) → (-HN2)
      • (-COO-) → (-COO-)

    pHとは? – 鈴研株式会社 –

    https://www.suzuken-ltd.co.jp/choose/ph/

    pHの理解

    pHは水素イオン濃度を表しています。単純式は以下の通りです。

    pH = ‐log [H+] 

    水は、以下のように電離しています

    H2O = H+ <-> OH

    pHの最大と最小は、1と14です。水素イオン濃度と水酸イオン濃度を掛けるといつでも14になります。

    H+濃度 × OH濃度 = 10-14 mol/L

    イオンの溶離効果は、1 価より2価の方が高い。

    • 陰イオン : Na2CO3 > NaHCO3 > NaOH(KOH)
    • 陽イオン : H2SO4 > メタンスルホン酸 = HCl
    イオン交換分離の原理と分離に影響する4つの因子とは? – ThermoFisher Scientific –
    作成者 LATB Staff, 01.19.2017



    編集履歴

    2021/02/13 Mr.HARIKIR
  • [Bio-Edu] タンパク質の「イオン交換体」による精製原理 – 目的タンパク質の物性を知る必要性 [2021/02/25]

    [Bio-Edu] タンパク質の「イオン交換体」による精製原理 – 目的タンパク質の物性を知る必要性 [2021/02/25]

    はじめに

    タンパク質の精製とは、どのような作業をするのでしょうか? 精製とは目的物と異なる物質を取り除き、目的物質の割合を上げること、すなわち純度を高めることです。

    ここでは、イオン交換体を用いたタンパク質の精製の原理について解説します。

    イオン交換体

    先ず、イオン交換について説明します。その前に,タンパク質はアミノ酸の数珠繋ぎで作られています(ポリペプチド)。具体的には,アミノ酸のアミノ基と隣のアミノ酸のカルボキシル基とがペプチド結合してポリペプチドを作っています.

    このポリペプチドの末端や側鎖(アミノ酸ごとの)には,フリーのアミノ基やカルボキシル基は、溶液のpHに応じてイオン化しています。そのイオン化によって、アミノ基(NH2)は、Hが一つ増えてNH3+になり正に荷電します。カルボキシル基(COOH)は、逆にHが減ってCOOになり負に荷電します。Hを増やすためには、塩酸などの酸を添加します.

    1. -NH3+ ⇌ -NH2 + H+
      • (アミノ基は弱塩基であり水に溶けると右の式に傾く)
      • (右の式に塩酸を添加してH+濃度を上げるとアミノ基に戻る)
    2. -COOH2+ ⇌ -COOH + H+
      • (カルボキシル基は弱酸であり水に溶けると上記左の式に傾くカルボキシラートイオンになる)
      • (左の式に塩酸を添加してH+濃度を上げるとカルボキシル:-COOH2+基に戻る)

    Hを減らすには、NaOHなどの塩基を添加します。アミノ基とカルボキシル基がいずれもイオン化していない状態、すなわちNH2とCOOHになっているpHを等電点(pI)といい、荷電していない状態です。

    1. NH2 →(NaOH adding)→ NH- (アミノ基が正荷電する)
    2. COOH →(HCl adding)→ COOH (カルボキシル基が負荷電する)

    イオン交換体は、負に荷電する合成化合物、または、正に荷電する合成化合物を樹脂(レジン)に結合させているものを言います。陰イオン交換では、陰イオンとイオン結合が可能な正に荷電した合成化合物を結合させたレジンを使用します。

    タンパク質の溶解液のpHを調節して、その目的のタンパク質が負に荷電するか正に荷電するかを設定し、それに応じたイオン交換体を用いて、そのレジンにタンパク質を結合させることで、目的のタンパク質を効率よく回収することができます。具体的には、イオン交換体に結合させたタンパク質は、今度はそのレジンから解離させるために、そのイオン結合を切る条件にレジンの環境を変えてやります。すると、目的のタンパク質がレジンから溶出さされます。

    イオン交換クロマトグラフィ

    レジンの置かれる環境を変化させるために、緩衝液(パッファ)をレジンに添加したり、バッファのみを取り除いたりすることで、レジンの置かれている環境の変化を作ってやります。

    具体的には、バッチ法とカラム法があります。以下にそれぞれ説明していきます。

    バッチ法

    レジンに緩衝液を添加してスパテルでかき混ぜて、レジンの環境の均一化を行います。次に、

    編集履歴
    2020/06/22 はりきり(Mr)

    条件の基本は、電気伝導度とpH

    conductivityとpHの組み合わせ条件を網羅的に実験します。最初は、吸着条件です。その後、洗浄条件も必要ですが、簡便さを追求する場合は、吸着条件の実験データから目的タンパク質の部分的精製条件とすることも可能です。

    • レジンの選定
      • 陽イオン交換
      • 陰イオン交換
      • 疎水担体
      • マルチモーダル
    • 電気伝導度(conductivity)
    • pH
    • その組み合わせ
    • レジンの選定

    検討の概要

    • 陽イオン・陰イオン交換レジン及び疎水担体では、pHとNaCl濃度の組み合わせ
    • ハイドロキシアパタイト(HA)では、NaCl濃度とリン酸(K2HPO4)の組み合わせ
    • Adhere、MMCでは、陽イオン・陰イオン交換レジンと同様、pHとNaCl濃度の組み合わせを使いますが、遠濃度は、高めの範囲を設定します。

    実験方法

    レジンの準備
    • レジンの洗浄(酸・アルカリ、中和、最後に水に平衡化)
    • 遠心してWet volumeを測定
    • その一部を採取して、数日乾燥させて、前後の重さを測定
    • レジンのwet volume(g)を使用した時、含まれる水の量を見積もる(計算しておく)
    出発材料の準備
    • 培養上清
    • 組成が不明でも良い
    • 培養液を水で希釈系列を作る
      • 1倍(希釈無し), 0.1mLを調製
      • 1.5倍, 0.1mLを調製
      • 2.0倍, 0.1mLを調製
      • 5.0倍, 0.1mLを調製
      • 10倍, 01mLを調製
    吸着反応とアッセイ
    • 培養液の希釈系列にレジンを添加
      • 96 well microplateで(プレートミキサー)も良い
      • 蓋つき試験管でも良い(サクラローターで攪拌)
      • 室温, 1hr
    • 分析
      • SDS-PAGE
      • 特異的アッセイ
    • 希釈率を決定

    編集履歴

    2021/02/25, Mr.HARIKIRI

  • [用語] HIC ; Hydrophobic Interaction Chromatography ; 疎水クロマトグラフィ

    [用語] HIC ; Hydrophobic Interaction Chromatography ; 疎水クロマトグラフィ

    HIC

    HIC ; Hydrophobic Interaction Chromatography; 疎水性クロマトグラフィー、一般的には、AEX, CEXより分離精製能力は高いものの、レジン当たりの吸着量が低いため生産効率が高くない.この性質を持つHICを分析法として採用することは問題ないが,タンパク質製造においては生産効率としては問題である.

    一般的に最初の精製カラムに使用するレジンとしては,生産性の点からHICは採用しない方が良い.

    コマーシャルを前提にすれば

    コマーシャル製造を前提にすると,カラム精製の一段目には,吸着容量が大きいモードを選ぶ必要があり,二段目,三段目のカラム精製に使用するレジンは,しれにつれて吸着容量が低くなるレジンを選定することができればコスト面で理想的である.なぜなら,精製段階での回収率は100%ではなく,回収量が段階を経る都度,低下していくためである.

    編集履歴

    2020/12/18, Mr.Harikiri
    2023/10/16, 追記(コマーシャル製造の場合のレジンの選択ポイント)

  • [Bio-Material] Mustang® Q Membrane Units (2004) を使ったアプリケーション (Pall)

    [Bio-Material] Mustang® Q Membrane Units (2004) を使ったアプリケーション (Pall)

    AAVの精製

    Pall社の陰イオン交換体: Mustang Q membraneを使用したアデノウイルスの精製方法

    吸着/溶出モードによるアデノウイルスの精製.流速,吸着容量の設定の記載あり.

    溶出画分は,不純物であるDNAより前にアデノウィルスが溶出される.

    Dynamic High Capacity Mustang® Q Membrane Units for Scaleable Anion Exchange Chromatography Purification of Adenoviral Vectors

    https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S1525-0016%2816%2940971-8

    pDNAの精製

    pDNAは負の電荷であるため、陰イオン交換体であるMUSTANG Qに結合することが可能である。

    • 吸着(一般)
      • 塩濃度: 低い(数十mM)
      • pH: 中性 ~ アルカリ性

    編集履歴

    2020/09/19, Mr.HARIKIRI
    2021/07/06, 追記(pDNAの精製)
  • [Bio-Edu] 組換え大腸菌で造らせたタンパク質のリフォールディングおよび、その後の精製手順  [2020/08/19]

    [Bio-Edu] 組換え大腸菌で造らせたタンパク質のリフォールディングおよび、その後の精製手順 [2020/08/19]

    はじめに

    研究段階のタンパク質の取得は、組換え大腸菌(E.coli)から取得することが多いですが、そのタンパク質は、un-foldingしていることが殆どです。可溶性として取得できたとしても、その活性は非常に低いことも良く知られています。そこで、Re-foldingという手法により、un-foldeしたリコンビナント・タンパク質を立体構造として自然な状態に巻き戻してあげます。巻き戻すという表現は、タンパク質が複数のアミノ酸が1本の鎖状になった構造をしていることから用いられます。

    Re-foldingは、バッファー組成が一般的な組成に置換できて、初めて成功です。置換で濁るようではRe-foldingは失敗です。

    Re-foldingできたタンパク質は、クロマト・レジンを使用して精製します。

    Refoldingとは

    タンパク質は、アミノ酸の数珠つなぎでできています。酵素が活性化するときは、一般的には、ある活性化酵素によって、その前駆体の酵素のどこか一か所が切断され、二本鎖と呼ばる構造になり、立体構造が変化して活性化します。

    タンパク質の機能は、構造にあるということです。

    そのタンパク質が、その本来の機能を発揮するには正しい立体構造になっている必要があります。立体構造を構成する要素はいくつかあります。キーワードは、αヘリックス、βシート、SS結合などです。

    • アミノ酸配列のαヘリックスとβシートのインタラクションによる構造
    • システインとシステインによるSS結合による強固な構造

    組換え大腸菌の産生タンパク質

    組換え大腸菌でタンパク質を産生させると、ほとんどが不溶化してInclusion Bodyと呼ばれる不溶物として大腸菌内に溜まります。これをリフォールディング(refolding)する方法を以下に示します。

    1. ただし、refoldingできるタンパク質の分子量に制限があります。分子量が10kDa未満のInsulinなどは、比較的簡単です。
    2. 分子量20kDa程度のInterferonは、refoding可能です
    3. 分子量が30kDaに近づくとrefolding効率は次第に低下してしてきます。

    Inclusion bodyの回収

    インクルージョンボディは、大腸菌の菌体内に存在します。インクルージョンボディーを取得するには、まず大腸菌を破砕して、大腸菌の細胞内からイングルジョンボディーを細胞外に出てくるようにします。細胞を破砕した後は、遠心により不溶性のインクルージョンボディーを沈殿として回収します。

    1. 組換え大腸菌の培養
    2. 菌体の回収
    3. 菌体の破砕(以下のいずれか)
      1. 超音波処理(粘度がなくなるまで十分に)
      2. フレンチプレス(圧力で破砕)
      3. ダイノミル(ビーズで砕く)
    4. 遠心によるpptを回収(Inclusion body)

    可溶化とrefolding

    • Inclusion bodyに6M 塩酸グアニジンや8M 尿素で溶解
    • 遠心または清澄ろ過
    • His-tagを付けていて、もしも純度が低ければ、Ni-NTA Sepharoseなどでbinding/elutionにて精製します。
      • 1M Imidazole(pH調整不要、pH8程度)を添加して25mM最終
      • Niカラムに添加
      • 25mM Imidazole, 6M 塩酸グアニジンで洗浄
      • 0.1M Imidazole, 6M 塩酸グアニジンで溶出
    • Niカラム精製してななければ
      • 1M Tris-HCl pH8を添加して20mM最終
    • 1M DTT添加して50mM最終 (還元剤)
      • refoldingで重要なSS結合は、pH8.3で最も効率的が高まります
    • 1M シスタミン(2塩酸塩)を添加して100mM最終 (酸化剤)
      • 後に希釈した際、DTT濃度が低下するとともに、タンパク質が本来の立体構造に戻ろうとします。その際、本来のSS結合としてシステイン同士が近づきますが、それを酸化して強固な立体構造にします
    • 即、水で6倍希釈
      • 1M 塩酸グアニジン
      • 8.3mM DTT
      • 16.7mM システイン2塩酸塩
    • 室温または15℃、あるいは4℃で一晩静置
      • 分解しやすい場合は、適宜、低温にする
      • あるいは、NaClを最終濃度として、0.15Mから0.5Mの範囲で添加すると分解酵素が抑制できる
    表 Buffer preparation
    Buffer Name調製方法
    1M ImidazoleImidazoleを水に溶かして1Mとする
    6M 塩酸グアニジン塩酸グアニジンを水に溶かして1Mとする
    1M Tris-HCl, pH8Trisを1Mとなる水より少ない量で溶かして、1M HClでpH8とし、水を追加して1Mとする
    1M DTTDTTを水に溶かして1Mとする
    1M Cistamine (2HCl)シスタミン2塩酸塩を水に溶かして1Mとする

    バッファ組成の置換

    バッファ置換により還元剤を取り除き、構造を確定させます。Refoldingがうまくいっているかの最初の判定としては、可溶性を維持しているかにかかっています。ほとんどのケースでは、説明した方法でRefoldingは問題ないはずですが、場合によっては可溶性が維持できず、バッファ組成の置換において不溶化します。そうなると結構厄介ですね。検討時間がなければ、このまま行きましょう。

    Refoldingの評価

    • UF/DF工程でバッファ置換しても可溶性を維持している
    • RP-HPLC (逆相クロマト)分析で、シングルピークであること(ミス・フォールドしていると2峰性のピークを示すことが多いので、それで判定できる)

    UF/DFの手順

    • UF/DF (タンジェンシャル・フロー)によるバッファ置換
      • 元のボリュームに戻す(6倍濃縮)
      • この濃度(ボリューム)を維持しながらDiafiltrationを実施
        • 透析バッファの例示
          • 10mM Histidine-HCl pH7
          • 10mM Tris-HCl pH8
          • 33mM Sodium Acetate pH5
        • 塩は入れない方が不溶化しないことが多い
      • 1000倍以上の希釈を目指す(8 diavolumeで1000倍希釈の計算となる)

    タンパク質の精製

    タンパク質の精製を行います。決して、二度目のNiカラム精製はNGです。精製特製が同じクロマトの使用は意味がありません。

    1. 陰イオン交換体による精製
      1. タンパク質の等電点pIが中性以下なら、その等電点より高いpHでパススルーさせるだけでも、DNAやEndotoxinが取り除けます。
      2. 回収率が悪い場合は、NaClの添加濃度を検討します
    2. ハイドロキシアパタイトによる精製
      1. BIO-RADのCHTが多用される
      2. リン酸が含まれていないバッファなら、取り敢えず、タンパク質は吸着します
      3. K2HPO4濃度(1M K2HPO4-HCl, pH7)を1mM, 5mM 10mM, 20mM 50mM 100mMと順番に、ステップワイズで処理します。どこかで、タンパク質が出てきます.
      4. 十分な濃度のK2HPO4にはせず、最低必要濃度に設定します
      5. その後、回収率や不純物の分布を知るために、0.3M K2HPO4でpost eluation/回収します。
      6. 更に、6M GuHClを1カラムボリュム(CV)添加、5 CVの水を添加して押し出してpost elution/回収します(なべく低いGuHClとしたいので。SDS-PAGEサンプルバッファーでGuHClが析出しますが、お湯で加熱して可溶化したら即、SDS GEL WellにInjectionできます。Wellで析出しても分析を強行します。多少の泳動の乱れは気にしません)
      7. 更に、0.1N NaOHを1カラムボリュム(CV)添加、5 CVの水を添加して押し出してpost elution/回収します(酢酸でpH中生にする)

    編集履歴

    2020/07/06 Mr.はりきり
    2020/07/10 追加(Buffer preparation)
    2020/07/11 追記(Refoldingの結果の評価)
    2020/08/19 追記(「はじめに」を追加、ハイドロキシアパタイト;CHT操作の追加、SDS-PAGE分析の注意点)

    以上

  • [Bio-Raw Material] Protein A resinの簡単な説明 [2020/06/01]

    [Bio-Raw Material] Protein A resinの簡単な説明 [2020/06/01]

    Bio-Raw Material-Resin

    Protein A Column

    抗体を産生株した培養液は、清澄ろ過してから、Protein AカラムによるBinding/Elutionモードで抗体のアフィニティ精製を行う。

    注意しなければならないこと

    • 電気泳動では、抗体の染色バンドのみが確認できるので、精製度は高いと思われがちであるが注意が必要
    • HCP、HCDは多量に含まれている。そのような理由から、精製とは呼びにくく、キャプチャリング(capturing)工程と呼ばれる
    • 次工程として、少なくとも、ハイドロキシアパタイトやAEXを実施すべきである。

    Mab Select SuRe

    Amsphere A3

  • [Data Link] mRNAワクチンの情報収集 – ID15773  [2020/05/16]

    [Data Link] mRNAワクチンの情報収集 – ID15773 [2020/05/16]

    mRNA製品に関連情報収集

    バイオロジクス関連のデータリンクとしてここに格納します。

    参考文献

    mRNA 医薬品の品質・安全性評価の考え方 (2019)

    http://nats.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20190717095649-6ABC2FA50410294C82EBEF7D74463510333BCF1FB717B3F88FCCB2CC782A63A8.pdf

    mRNA 医薬開発の世界的動向

    – 医薬品医療機器レギュレトリーサイエンス、PMDRS, 50(5), 242~249 (2019) – より

    http://nats.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20190717095649-6ABC2FA50410294C82EBEF7D74463510333BCF1FB717B3F864612BCB0CA9F6B2.pdf

    製造方法、品質管理項目、安全性、DCと癌ワクチン
    – mRNA製品の品質・安全性評価について Quality and safety issues on mRNA medicinal products, 2018 日本核酸医薬品学会第4会年会 – より

    https://wwwr.kanazawa-it.ac.jp/wwwr/lab/iameta/pdf/20180710_Quality%20and%20safety%20issues%20on%20mRNA%20medicinal%20products.pdf

    NanoSky 2018 Vol.6

    夢の新薬『mRNA医薬』を実現に導くmRNA安定化技術を開発―外来性RNAの分解機構を解明―2018/11/15

    – 国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 – より

    https://www.amed.go.jp/news/release_20181115-02.html

    TriLInk

    https://www.trilinkbiotech.com/therapeutic-cgmp-manufacturing

    サービス – Synthesis, Purification, Formulation and delivery
    LNP formulationのDoEによる開発

    https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/about-us/partnering-licensing/oem-commercial-supply/therapeutics-commercial-suppy/mrna-therapeutics-commercial-supply.html?gclid=Cj0KCQjwnv71BRCOARIsAIkxW9GslLOpNZlU1C0vgNrvgPXbEN37e28yYx2s3JAvuVag2OH0abo_PjEaAnqHEALw_wcB&ef_id=Cj0KCQjwnv71BRCOARIsAIkxW9GslLOpNZlU1C0vgNrvgPXbEN37e28yYx2s3JAvuVag2OH0abo_PjEaAnqHEALw_wcB:G:s&s_kwcid=AL!3652!3!430564064287!b!!g!!%2Bmrna%20%2Bproduction?cid=bid_mol_lcs_r01_co_cp1358_pjt0000_bid00000_0se_gaw_nt_awa_awa

    通常、最大200塩基程度の化学合成するRNAを、バクテリオファージから得られるRNA転写合成では、数千のヌクレオチドを得られる

    – 長鎖RNA転写合成 (IVT)受託サービス – bio synthesis – より

    https://www.biologica.co.jp/products-service/custom-synthesis/nucleic-acid/transcription/

    https://lifescience.toyobo.co.jp/detail/detail.php?product_detail_id=34

    編集履歴
    2020/05/16 はりきり(Mr)
  • [Vc] mRNAワクチンの製造方法、moderna社とBiaseparations、その他から概略を学ぶ – ID15769 [2021/05/10]

    [Vc] mRNAワクチンの製造方法、moderna社とBiaseparations、その他から概略を学ぶ – ID15769 [2021/05/10]

    mRNAワクチンの製造方法

    moderna社のデモ・ビデオから、mRNAの開発初期の製造法、及RNAを製造委託する場合の受託会社とその製造方法について以下にまとめた。

    RNAの製造は、バイオ技術を使った方法と、低分子合成技術を使った方法で、以下ように製造できるが、タンパク質を作れるほどの長いmRNA (あるいは, pDNA)には、バイオ技術による製造方法が使われていると考えられる。今後、製造承認申請を調査しなければ詳細は不明ですが、2020/05時点で考え得る製造方法を以下に示してみました。

    • バイオ技術よるRNA製造
      • DNA plasmidを大腸菌で大量培養して複製
        • 以下の「[Bio-Edu]Plasmid DNA(pDNA)のデザイン及び、その製造方法に関する調査」を参照。
      • DNAの抽出と精製
      • DNAの linearization
      • DNAを鋳型にして転写酵素でRNAを複製
      • RNAの精製

    その後、文献調査した結果、以下の文献からmRNAをワクチンに応用する製造方法を示されたものではないが、mRNA医薬品の製造方法について言及されていたので、その方法を示しておきます。2020/05に示したmRNA製造方法と殆ど変わりませんが、一点細かいポイントですが、DNaseでテンプレートDNAを破壊する工程が必要であることがわかりました。

    mRNA 医薬品の品質・安全性評価の考え方 (2019) – 医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス,PMDRS,50(6),300 ~ 306(2019)] –

    http://nats.kenkyuukai.jp/images/sys/information/20190717095649-6ABC2FA50410294C82EBEF7D74463510333BCF1FB717B3F88FCCB2CC782A63A8.pdf
    • 低分子合成技術によるRNA製造
      • 30年以上も前からある、固相反応により1塩基ずつ直接合成していく
      • 長いものを作ることは難しいため、タンパク質を作れるほどの長いmRNAは、現在の技術では作れないと思われる
      • RNAの精製 (陰イオン担体を使用したクロマトグラフィ)

    mRNAの一般的な製造方法

    modernaのビデオでは、一般的なフローしか説明がされていない。最近の情報として詳細に知りたい場合は、Biaseparationsのサイト*6が参考になる。

    1. 原材料の調達; Supply Chain team delivers raw materials
      • 資材調達部門による原材料の調達
    2. DNAの製造; Plasmid production (DNA)
      • プラスミドDNA構築(*2, *3)
      • 1. 鋳型DNA合成
      • 2. Plasmid DNA合成
      • 3. 大腸菌の形質転換体の調製、大量培養による増幅及び精製
      • 4. 精製Plasmid DNA
    3. mRANへの変換; mRNA transcription
      • Plasmid DNAを鋳型としてmRNAを作る
        • DNAのlinearization
        • mRNA転写
        • 注意) 転写効率は、5-メチル-Cは収率に影響しないが、2’フルオロ修飾は影響する(*1)
    4. mRNAの精製; Purification (RNase freeで実施)
      • modernaの精製方法は不明、一般的なRNA精製方法(*1)は、以下の通り。
      • [1]粗抽出→除蛋白
        • 以下のa or b
        • a. Phenol extraction followed by alcohol precipitation (フェノール・クロロホルム抽出法とエタノール沈殿:90%程度で沈殿化、70%で洗浄)
        • b. Lithium chloride precipitation (>300b(*5) )
      • [2] 精製
        1. a. Spin column purification (シリカゲル (*4) )
        2. b. GP-HPLC
    5. 製剤組成に調整; Formulation
    6. 無菌化; Sterile filtration and fill into vials
    7. 梱包とラベル; Pack/Lable

    受託会社と製造方法

    mRNAの製造受託してくれる会社として、Biologics coがあります。日本では、タカラバイオが受託してくれます。

    参考文献

    (*1) バクテリオファージによるmRNA製造委託に関する情報 – Biologics co.社

    https://www.biologica.co.jp/products-service/custom-synthesis/nucleic-acid/transcription/#highlight

    (*2)
    プラスミドDNA構築 – タカラバイオ – より

    http://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100004295&recommend_flg=1&click_flg=1

    (*3)
    エンドトキシン低減プラスミドDNA大量調製 – タカラバイオ – より

    http://catalog.takara-bio.co.jp/jutaku/basic_info.php?unitid=U100009275

    核酸の精製

    核酸の精製について、参考となる文献を以下に示しました。

    (*4)
    エタノール/イソプロピルアルコールの濃度と適切なpHにより、の核酸がシリカゲルに吸着する。カオトロピックイオンの存在下でも吸着可能。
    Spin column-based nucleic acid purification – wikipedia -より

    https://en.m.wikipedia.org/wiki/Spin_column-based_nucleic_acid_purification

    (*5)
    リチウム沈殿の技術的情報
    – I want to know extraction of RNA with LiCl has an effect on syn of cDNA? – wikipedia -より

    https://www.researchgate.net/post/I_want_to_know_extraction_of_RNA_with_LiCl_has_an_effect_on_syn_of_cDNA

    https://www.modernatx.com/moderna s-mrna-technology

    最近のmRNAの製造方法として参考になる文献

    *6

    High yield mRNA production process from E.Coli to highly pure mRNA.
    Presenter: Aleš Štrancar

    Date: od demand, October 19-22, 2020

    Cell & Gene Therapy Bioprocessing & Commercialization  (digital event)

    ユーザー登録すると文献がダウンロードできます。

    https://www.biaseparations.com/en/library/seminars-webinars/1098/high-yield-mrna-production-process-from-ecoli-to-highly-pure-mrna

    関連記事

    編集履歴

    2020/05/16 はりきり(Mr)
    2020/05/17 追記 (Plasmid DNAの調製、バクテリオファージによるRNA製造に関する委託内容)
    2020/05/19 追記 (低分子合成技術によるRNA製造)2020/09/27 修正(mRNA製造フロー)、文言整備
    2020/12/04 追記 (mRNA製造に関する最近の文献*6:Biaseparations社)
  • [rAAV] 特許 0010468  – rAAV vector精製 – アパタイト・クロマト精製法 (レジメ)- ID13457

    [rAAV] 特許 0010468 – rAAV vector精製 – アパタイト・クロマト精製法 (レジメ)- ID13457

    METHODS FOR PURIFICATION OF RECOMBINANT AAV VECTORS United States Patent Application 20190010468 Kind Code:A1

    http://www.freepatentsonline.com/y2019/0010468.html

    概要

    • PEG添加でCHT (and CHF)のDBCを100倍の増強
    • All rAAV

    Claim

    1. A method for isolating a population of recombinant adeno-associated virus (rAAV) particles from in-process impurities in a feedstream, comprising the steps of:(a) contacting a feedstream containing the rAAV particles with an apatite chromatography medium in the presence of polyethylene glycol (PEG), wherein the rAAV particles bind to the apatite chromatography medium; and(b) eluting the rAAV particles bound to the apatite chromatography medium with an elution buffer containing less than 3% (w/v) PEG.

    2. The method of claim 1 , wherein the apatite chromatography medium is ceramic hydroxy apatite (CHT).

    3. The method of claim 1, wherein the apatite chromatography medium is ceramic fluoroapatite (CFT).

    4. The method of claim 1, wherein the specific binding of the apatite chroma attooggrraapphhyy mmeeddiiuumm ttoo tthhee xrAAAV particles is between 1014 and 1016 DNase-resistant particles per milliliter (DRP/mL).

    5. The method of claim 1 , further comprising a step of binding the rAAV particles in the feedstream eluted from the apatite chromatography medium to an anionic chromatography medium.

    6. The method of claim 1 , wherein the feedstream containing the rAAV particles in step (a) is contacted with an apatite chromatography medium in the presence of polyethylene glycol (PEG) and a basic buffer.

    7. The method of claim 6, wherein the basic buffer is between pH 7.6 and 10.

    8. The method of claim 6, wherein the basic buffer is between pH 8.0 and 10.0. 

    9. The method of claim 6, wherein the basic buffer is between pH 9.0 and 10.0.

    10. The method of claim 6, wherein the basic buffer comprises borate.

    11. The method of claim 1, wherein the PEG has an average molecular weight between about 5,000 (PEG5000) grams per mole and about 15,000 (PEG15000) grams per mole.

    12. The method of claim 11 , wherein the PEG has an average molecular weight of about 6,000 (PEG6000) grams per mole.

    13. The method of claim 1, wherein the feeds tream containing the rAAV particles in step (a) is contacted with the apatite chromatography medium in the presence of between about 3% (w/v) and about 10% (w/v) PEG.

    Claims

    1. A method for isolating a population of recombinant adeno-associated virus (rAAV) particles from in-process impurities in a feedstream, comprising the steps of: (a) (i) contacting a feedstream containing the rAAV particles with an apatite chromatography medium in the presence of polyethylene glycol (PEG), wherein the rAAV particles bind to the apatite chromatography medium; and (ii) eluting the rAAV particles bound to the apatite chromatography medium with an elution buffer containing less than 3% (w/v) PEG; and (b) (i) contacting the feedstream eluted from the apatite chromatography medium containing the rAAV particles with a hydrophobic interaction chromatography (HIC) medium in a high salt buffer comprising citrate, wherein the rAAV particles and the in-process impurities bind to the HIC medium; and (ii) eluting the rAAV particles bound to the HIC medium with a medium salt buffer.  

    2. The method of claim 1, wherein the apatite chromatography medium is ceramic hydroxyapatite (CHT) or ceramic fluoroapatite.  

    3. 35. (canceled)  

    6. The method of claim 1, wherein the feedstream containing the rAAV particles in step (a)(i) is contacted with an apatite chromatography medium in the presence of polyethylene glycol (PEG) and a basic buffer.  

    7. (canceled)  

    8. The method of claim 6, wherein the basic buffer is between pH 8.0 and 10.0.  

    9. (canceled)  

    10. The method of claim 6, wherein the basic buffer comprises borate.  

    11. The method of claim 1, wherein the PEG has an average molecular weight between about 5,000 (PEG5000) grams per mole and about 15,000 (PEG15000) grams per mole.  

    12. (canceled) 

    TABLE 2. Screening of resins for binding of rAAV-1 compared to binding of process contaminants

    ResinResin TyperAAV-1Helper VirusHost Cell DNASerum AlbuminSerum Proteins
    UnoS pH 5.5Cation Exchange+0++
    UnoS pH 7.0Cation Exchange
    UnoQ pH 8.5Anion Exchange+++++++++++
    UnoQ pH 7.0Anion Exchange++++++++++++
    Fractogel EMD SO3Cation Exchange+++00
    CHTApatite+0++++
    CFTApatite+0++++
    HIC PhenylHydrophobic Exchange00
    HIC ButylHydrophobic Exchange+++00
    HIC HexylHydrophobic Exchange+++00
    HIC PPGHydrophobic Exchange00
    Source SIon Exchange+00++0
    Source QIon Exchange+00++0
    TMAEIon Exchange+00++0
    IMAC FeCl300++
    Superdex 200Gel Filtrationvoidvoidchasechasechase
    HW55Gel Filtrationvoidvoidchasechasechase
    HW65Gel Filtrationvoidvoidchasechasechase
    HW75Gel Filtrationvoidvoidchasechasechase
    Key: (−) = present in flow-through (no binding); + = weakly bound (eluted very early in the gradient); ++ to ++++ = stronger binding (eluted further along the gradient).

    TABLE 3. Relative strength of binding of rAAV-1 and BSA to apatite resin at pH = 6.5 or pH = 9.0, with or without 5% (w/v) PEG6000

    Binding conditionsBSA5% (w/v) PEG6000
    pH = 6.50+++
    pH = 6.50 + 5% (w/v) PEG6000++++++
    pH = 9.0++
    pH = 9.00 + 5% (w/v) PEG6000+++++
    Key: + = weak binding;, ++ = medium binding; ++++ = strong 

    TABLE4. Glucan clearance in the process

    Processing stepGlucan concentration (ng/mL)Total amount per lot (ng) (250 L scale)
    Clarification10.42,600,000
    TFF1361,541,016
    CHT elution1.94,769
    Post HIC and SEC0.2662
    Final Anion Exchange Eluate0.171

    TABLE 5. Screening for AAV1 binding in alternative buffers

    Total infectious units of Ad5 in CHT column fractionsFraction
    Load ratio6.6 mL13.5 mL33 mL
    Load9.0 × 1081.3 × 109 9.0 × 108
    Flowthrough + chase<2.5 × 105<3.6 × 105<6.9 × 105
    POWash2.9 × 1062.7 × 106<2.6 × 106
    Washes II & III3.6 × 1062.2 × 106 2.8 × 106
    Elution<6.9 × 104<6.9 × 104<3.5 × 105
    Log reduction value (LRV)>4.1>4.3>3.4

    TABLE 6

    疎水担体として一般的によく使われるButylとPhenylを比較してして、各緩衝液組成の下、パススルーさせた時、そのパススルーの回収率の比較をしている。

    一般論として、バッファ組成から吸着性が良いと考えられる条件は、以下の通りであるが、その一般論とは少し異なっているように思われる

    • 吸着性は、酸性pHで強くなり、アルカリ性pHで低くなる
    • 吸着性は、塩濃度が高い程強くなる。ただし、塩の分子量に依存しており、分子量が大きいほど強くなる
    • この表の結果では、この経験則に反しているように見える。このような場合、以下の考察が必要であると考える
      • 塩の種類による可溶性の向上/不要化の促進があるかも知れない
    • 考えられる考察
      • アルカリ性と酸性では、酸性の方が可溶的である
    Buffer System TestedButyl 650M (% in flow-through)EMD-Phenyl (% in flow-through)
    1.1M Sodium Sulfate (pH = 7)0%0%
    1M Sodium Citrate (pH = 7)0%0%
    1.3M Potassium Phosphate (pH = 7)3%3%
    2.9M NaCl, 50 mM Sodium Citrate (pH = 4)0%28% 
    1M Glycine, 50 mM Sodium Citrate (pH = 4)4%1%
    50 mM Potassium Phosphate (pH =4.5)3%NT
    50 mM Sodium Citrate (pH 4)4%NT
    2.9M NaCl, 50 mM Potassium Phosphate (pH 4.5)17% NT

    TABLE 7. Relative binding of rAAV-1 versus model in-process impurities in different HIC buffers

    表から言えることは、rAAV-1は、AAV血清型1で作ったVector、Ad5は、遺伝子治療用で最も使用されるadenovirus血清型5。疎水担体(HIC)への結合性は、rAAV-1よりもAd5の方が強い。不純物であるDNAの結合性は弱い。

    Buffer SystemrAAV-1Ad5DNA
    0.1M sodium sulfate + bis tris buffer, pH = 7.0+++
    0.8M sodium sulfate, bis tris buffer, pH = 7.0+++0
    1M sodium citrate, pH = 7.0+++0
    2.9M NaCl (50 mM sodium citrate to buffer at pH = 4.0)0
    Key: “0” = no binding material present in flow-through; “−” = very weak binder; “+” = strong binder; “++” = stronger binder.

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