タグ: mRNA

messenger RNAのこと

  • [Vc] mRNAワクチンの優位性 (Morderna社) – 従来ワクチンとの比較 – ID15083 [2020/05/03]

    [Vc] mRNAワクチンの優位性 (Morderna社) – 従来ワクチンとの比較 – ID15083 [2020/05/03]

    mRNAワクチンの優位性

    最初に、核酸ワクチンと従来ワクチンとの比較で、核酸ワクチンが優位である点は、探索研究が必要ないこと、それが、最も大きな優位性です。病原となる関連物質の遺伝子配列を特定し、遺伝子組み換え技術を使って、適するモダリティに適応すれば、候補薬剤ができます。この部分が探索研究が必要ないと言っている部分です。従来ワクチンでは、その特定してから候補薬剤となるまでに、精製や免疫などが必要で、それが開発時間がある程度必要であるとして不利であると考えられます。

    核酸ワクチンには、DNAワクチンとmRNAワクチンがあります。どちらも同じものと理解してはいけません。

    Moderna社は、mRNAワクチンに注力する医薬品開発企業です。2017/03の同社ホワイトペーパーから、mRNAワクチンの優位性について概説します1)

    はじめに

    感染症を予防するワクチンは、これまでで最大の医療革新でした。CDCは、過去20年間に与えられた米国の小児ワクチン接種により以下の多くを予防できたと推定しています。

    • アメリカ人が3億2,200万の病気
    • 2,100万人の入院
    • 732,000人の死亡
    • 2,950億ドルの直接費用
    • 1.3兆ドルの社会的費用

    たとえば、1963年に麻疹ワクチンが出現する前は、このウイルスは毎年500,000人の アメリカ人に感染し、48万人が入院していました。今日では、主に外国人旅行者による麻疹の症例は年間60例にすぎません。天然痘、ポリオ、ジフテリア、百日咳、はしか、おたふく風邪、 その他多くのワクチンも公衆衛生に多大な影響を与えてきました。

    しかし、ワクチンの研究、開発、製造、およびデリバリーには革新の余地がかなりあります。

    既存のワクチンのパラダイム

    ワクチン接種の目的は、病原体(抗原と呼ばれる)そのもの、または一部分を少量で無害な用量により安全に事前曝露することで、免疫システムを構築することです。

    これにより、将来実際の病原体に遭遇した場合、既に出来ている免疫システムは病気と戦うことができ、病気を防ぐことができます。

    今日、私たちは25を超えるさまざまな疾患に対するワクチンを持っています。その形態は、

    • 弱められた病原体
    • 不活化された病原体
    • 不活化毒素
    • 病原体の部分サブユニット(構成するタンパク質)
    • 病原体の部分サプユニットの複合体

    などです。

    これら従来のアプローチはすべて、長くて複雑で費用のかかる開発機関と生産期間を伴います。

    1. 対象となる病原体/抗原は、専用の細胞培養および/または発酵ベースの生産で増殖させてから、抽出、殺害、分離、精製。これには、長くて複雑で費用のかかるプロセスが含まれます。
    2. 従来のワクチンの中には、経験的に有効性を示します(それ、なぜ機能するかを知らずに)。有効な正確なメカニズムは、ワクチンが認可されて使用された後にのみ完全に解明される場合があります。百日咳(百日咳)などの一部のケースでは、まだ有効性のメカニズムを理解できていません。
    3. 特注品であるワクチンである場合、固有の製造プロセスや製造設備、などが必要です。さらに、これらの設備投資はワクチン承認の何年も前に行わなければならず、ワクチンが最終的に失敗してこの資本を 浪費する可能性があるというリスクも大きな課題です。ワクチン開発の持続的な活動が損なわれる要因となります。
    4.  既存のワクチンは、経験則によるところが多く、アジュバントを使用して、それらが誘発する免疫応答の種類を調整することを学んでいるだけです。

    核酸ワクチン

    核酸ワクチン、即ち、DNAおよびメッセンジャーRNA(mRNA)は、病原体が疾患を引き起こすために使用するタンパク質をコードするヌクレオチド配列(たとえば、「AAAGGCC …」)をコードしています。

    これらのタンパク質は、免疫システムが認識する抗原として機能するという考えです。 このタンパク質のみでは、病原性はありません。これらのタンパク質には、病原性はありませんが、免疫応答を構築できるという訳です。

    ©2017 Moderna Therapeutics

    https://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/Vaccines/ApprovedProducts/UCM093833

    このアプローチには、従来のワクチンに比べて利点があります。

    1. これらの抗原の多くはすでに特定されているため、発見段階は非常に迅速です。 発見も小動物モデルでの重要なコンピュータ内(コンピュータベース)の抗原設計とワクチンの迅速なテストが可能です
    2. 生産は標準化されています。 それは、病原体または標的特異的細胞培養または発酵などの製造工程も含まない(化学合成による製造と考察される)。 ワクチンを育てる必要はありません。 その結果、単一の施設ですべてのmRNAワクチンを製造でき、単一のプロセス、資本設備、労働力を効率的に利用できます。
    3. ワクチンは、免疫系が認識する方法で自然のウイルス感染を模倣します。 それは筋肉と免疫細胞に送達され、実際の感染時に体の細胞内のウイルスDNA / mRNAを使用して行うのと同じようにヌクレオチド配列を処理します(ただし安全)。
    4. さらに、ワクチンはDNAまたはmRNAであるため、標準化されたプロセスで、より正確に制御されたステップで製造することができます。 これにより、生産がより速く、より安くなり、バッチ間のばらつきによる不必要なバッチ損失の影響を受けにくくなります。 mRNAワクチンとDNAワクチンは、モジュール性と標準化の両方において、従来のワクチンよりも格段に優れています。
    5. さらに、核酸ワクチンは、送達される抗原を正確に調整する能力に基づいて、腋生免疫と細胞免疫の間のバランスを調整する可能性があります。 このため、核酸ワクチンは、従来のワクチンアプローチでは対処が非常に難しい病原体に対処するように設計できます。

    1. DNAワクチン

    DNAワクチンの研究は30年前に始まりましたが、認可されたDNAワクチンはまだなく、ほとんどが第1相試験に残っています。

    DNAワクチンに関連する主な課題は、それらが細胞核(2つの膜を通過する、細胞質と核)を貫通する必要があることです。 次に、DNAは核でmRNAに転写されてから、細胞質に移動して抗原の産生を刺激する必要があります。 この中核となる複雑な経路は、多くの場合、DNAワクチンを送達するために、大量の投与と、電気ショックまたは金のミクロスフェアを使用して人の皮膚に投与する、しばしば痛みを伴う特別な送達デバイスの両方を必要とします。 核内に入ると、DNAワクチンは人のDNAを永久的に変化させるリスクがあります。

    • DNAワクチンが機能を発揮するには、細胞膜と細胞核の2つの膜を通過しなければならない
    • デリバリー技術が必要となる
    • 細胞核内でゲノムに組み込まれるリスクがある

    2. mRNAワクチン

    現在、臨床試験には6つの予防的mRNAワクチンがあり、そのうち4つはModerna Therapeuticsによって実施されています。 これらのワクチンは、多くの欠点に対処しながら、DNAワクチンの利点(より速く、標準化された天然の抗原の発現と産生)を組み合わせています。 DNAワクチンとは異なり、mRNAワクチンは核に入る必要がなく、DNAに組み込まれるリスクもありません。また、タンパク質ワクチンに直接翻訳されます。 その結果、mRNAワクチンはDNAワクチンのたった1/1000の用量で済み、特別な送達装置を必要としません。

    ヒトで強力な免疫を誘発する予防的mRNAワクチンの能力を示す最初に発表されたデータは、2017年4月の分子療法で発表されました。(Bahl et al。、2017)

    すべての新しいワクチンと同様に、より大きく、より多様な集団における免疫原性の持続時間とmRNAワクチンの安全性プロファイルのレベルを確立するために時間が必要です。

    しかし、mRNAワクチンの革新は、DNAワクチンを改善する機会を提供します。 これらのワクチンは身体とシームレスに作用し、実際の感染の危険なしに、自然の一連の曝露と防御を模倣します。 抗原の設計とデリバリーの正確さと標準化は、発見のスピードとコスト、開発のスピード、多くのターゲットが成功する確率、そして生産のスピード、コスト、適応性の点で、公衆衛生と商業上の利点をもたらします。

    mRNAは私たちにワクチン接種の100年の歴史における新しいパラダイムを提供します。

    • mRNAワクチンが機能を発揮するには、細胞膜を通過すればいい
    • 特別なデリバリー技術は必要ない
    • 細胞核内でゲノムに組み込まれない
    • DNAワクチンの投与量と比較して1/1000程度で済む

    The science of mRNA
    Learn about messenger RNA’s role in human biology, the instructions it provides that direct cells in the body to make proteins, and why we believe mRNA medicines may have the potential to treat a broad array of diseases.

    Vaccine Excipient Summary
    Excipients Included in U.S. Vaccines, by Vaccin

    https://www.cdc.gov/vaccines/pubs/pinkbook/downloads/appendices/B/excipient-table-2.pdf

    Documenting Vaccination

    https://www.immunize.org/askexperts/documenting-vaccination.asp

    Vaccines Licensed for Use in the United States

    https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/vaccines/vaccines-licensed-use-united-states

    参考文献

    1)

    mRNA Vaccine: Distuptive Innovation in Vaccination – Moderna, May 2017 –

    https://www.modernatx.com/sites/default/files/RNA_Vaccines_White_Paper_Moderna_050317_v8_4.pdf
    編集履歴
    2020/05/16 Mr.HARIKIRI
    2020/08/19 追記 (USワクチン関連情報)
  • [Vc] 核酸ワクチンとは DNAワクチンとmRNAワクチン – ベクターワクチンとの違い –  ID15040 [2020/09/10]

    [Vc] 核酸ワクチンとは DNAワクチンとmRNAワクチン – ベクターワクチンとの違い – ID15040 [2020/09/10]

    ID15040

    核酸ワクチン

    ワクチンの目的は、病原性の抑制に直接的/間接的に関わるタンパク質に対する抗体の誘導である。核酸ワクチンには、DNAワクチンとRNAワクチンがあり、目的タンパク質の遺伝子コードに関わり長所/短所が存在する。製造し易さ、ワクチン能力に関わる投与量は製造規模に影響する。副作用の問題も加味して、それぞれの目的に応じて選択される。

    核酸ワクチンでは、従来のタンパク質性ワクチンでは無く、目的のタンパク質の設計図である遺伝子を使う。遺伝子には、DNA(特にplasmid DNA; pDNA)とmRNAがあり、それぞ長所/短所がある。よく似たアプローチとして、ベクターワクチンという種類のものもある。これらは、それぞれ異なるモダリティである。

    • 核酸ワクチン
      タンパク質の設計図であるDNAやmRNAそのものを体内に注入して、細胞内に到達した時には、それが遺伝子をコードしているタンパク質を作らせ、それを異物として認識されることで、免疫抗体が作られる
    • 核酸の保護剤
      核酸(DNAやmRNA)をLNP*1でナノパーティクルにすることで、目的の遺伝子を細胞内に導入し易くさせる。これはをDrug Delivery System (DDS)と言い、mRANの送達技術の進歩によりmRNAを使用した医薬品開発が進展してきている。Precision NanoSystems Inc.mRNA-LNP技術については、下記、「関連記事」参照
    • 参考 : ウイルスベクターワクチン
      ウイルスの病原性を欠損させて、細胞への感染機能により細胞内に到達させ、タンパク質をコードする遺伝子を細胞内にリリースさせることができる。日本では、阪大の仙台ウイルス・ベクター(下記参照)、世界では、AstraZenecaのAdenovirus Vector vaccine などがある
    • ADE
      ワクチンの副作用として知られる、ワクチン接種後の抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)は、症状を悪化させる副作用であり、ワクチン開発にとって重要な評価項目である 参考SOURCE:NIKKEI

    導入された遺伝子は、コードされたタンパク質を産生する。このタンパク質が細胞外に分泌されて、免疫系が働けば、その結果としての抗体が産生される。核酸ワクチンでは、ウイルスベクターワクチンと比較して、液性免疫は起こるものの、細胞性免疫があまり期待ができないこと言われており、メリットでありデメリットである。細胞性免疫があれば、より強固にワクチン効果を期待できる。反面、ウイルスベクターワクチンでの細胞性免疫が生じ安いということは、何回も免疫をすることは、不要な免疫も生じることからデメリットでもある。

    核酸には、DNAとmRNA

    plasmid DNA (pDNA)、mRNA、いずれも細胞内に目的遺伝子を選ぶ事は可能です。

    pDNAは、大元の設計図が含まれていて、これがmRNAに変換される幾つかのステップが必要です。RNAは、直接的に目的のタンパク質に変換されます。

    高分子ナノテクノロジーが切り拓く 核酸医薬デリバリー Drug Delivery System 31-1, 2016 – 核酸医薬とDDS – より

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/31/1/31_44/_pdf

    DNAワクチンとRNAワクチンのメリット/デメリット

    DNAワクチン

    • 文献4)
    • 分解を受けにくい
    • 一般的に組換え大腸菌により大量製造が容易
    • (細胞内でタンパク質を作るには、いったんmRNAに変換されなければならない)
    • 細胞のゲノムに組み込まれて(相同組換え)しまう危険性(癌原性のリスク)が全く無いわけではない。医薬品としては、その辺りの確認が重要となってくる。
    • 抗DNA抗体が産生されやすかったり、不要な免疫活動が起こる

    mRNAワクチン

    • 文献1), 2), 3)
    • 分解を受けやすい (ため、LNP*1 の技術が重要となってくる)
    • 一般的に大量製造が難しい
    • (細胞内に到達できれば、直接的にタンパク質の変換に使われる)
    • 研究がこれまで進まなかったが、mRNAワクチンとして、moderna社が躍進していたが、Pfizer/BioNTech社の新型コロナワクチンが一番最初に世界に上市された
    • 日本のRNAワクチンでは、仙台ウイルス(SeV)ベクターの開発が進んでいる3)

    関連記事

    編集履歴
    2020/05/02 はりきり(Mr)
    2020/05/08 追記 (作用機序、DNAワクチン開発状況)
    2020/05/28 追記 (拡散には、DNAとmRNA)、訂正
    2020/08/03 個別記事(DNAワクチン、RNAワクチン)のリンク追加
    2020/08/06 修正 (混在していたベクターワクチンとDNAワクチンの説明を訂正)
    2020/09/10 追記 (液性免疫と細胞性免疫について)
    2021/02/24 文言整備

    以上

    参考文献

    1) RNAワクチンの開発

    RNA ワクチンの開発:感染症への応用 - 長谷川 護 (ディナベック)、バイオロジクスフォーラム 第9回学術集会

    http://www.nihs.go.jp/cbtp/home/Biologics-forum/BF9/DrHasegawaM.pdf
    2) RNAワクチン

    RNAワクチン
    安全、効率的かつ汎用性に優れた新しいRNAワクチンの開発 –

    http://inewsletter-king-skyfront.jp/jp/research_highlights/vol-11-research01/
    3) ベクターワクチン

    ベクターワクチン
    センダイウイルスベクターを利用した ワクチン技術の開発

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/22/6/22_6_636/_pdf
    4) 新型コロナのDNAワクチン開発状況

    アンジェス山田社長、新型コロナのDNAワクチンの開発状況を明らかに – 日経バイテク 2020

    https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/03/26/06735/
    5) DNAワクチン

    DNAワクチン
    来春にも新型コロナ感染予防DNAワクチン実用化へ 森下竜一氏 (大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学寄附講座教授)に聞く 2020

    https://iyakutsushinsha.com/2020/04/22/来春にも新型コロナ感染予防dnaワクチン実用化へ/
    6) DNAワクチンの作用機序を解明

    遺伝子(DNA)ワクチンの作用機序を解明, 2008, 科学技術振興機構報 第473号

    https://www.jst.go.jp/pr/info/info473/index.html
    7) 新型コロナワクチンに適したモダリティはあるのか?

    1章 新型コロナワクチンに適したモダリティはあるのか?, 2020 – 日経バイオテク –

    https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/072000119/
  • 気になる企業 – Moderna – 新モダリティ(mRNA)・ワクチン (新型コロナウイルス) で駆ける / Phase IIIの中間結果では94.5%の有効性を示す – LNP製剤による2~8℃保存が可能である優位性 –  ID15029 [2020/12/03]

    気になる企業 – Moderna – 新モダリティ(mRNA)・ワクチン (新型コロナウイルス) で駆ける / Phase IIIの中間結果では94.5%の有効性を示す – LNP製剤による2~8℃保存が可能である優位性 – ID15029 [2020/12/03]

    Moderna

    HomePage

    MODERNAは、いち早く、新型コロナウイルスのワクチン開発を進めているIT技術とFA(Factory Automation)を駆使する米国のバイオテクノロジー企業。

    旧来の医薬品開発では達成できない、テクノロジーの連携を究極に進め、mRNAによる個別化医療(多品種-少量生産)モデルを追求している。感染症に対するmRNAワクチンでは、必要となる大量な需要に対しても余念がなく、外部CMOとしてLonzaと連携を発表している。

    • 2020/11/08, 結局は、現時点でワクチン開発の先頭を走っているのは、Pfizer社です。グローバル治験で43,000人余りのPhase III試験で90%の予防効果があるとの中間結果を報告しました。Pfizerは米国から資金提供を受けていません。
    • 2020/11/16, Phase 3の中間結果(95人実薬、90人プラセボ)、94.5%の有効性が示された。2020年末までに2,000人人分を提供する source
    • 2020/10/22, 30,000人がPhase 3臨床試験に登録し、25,654人が2回目の投与を完了しましたsource
    • 2020/07/28, NIHの一部機関NIAIDと共同開発している新型コロナウイルス・ワクチン(mRNA-1273)の臨床試験(Phase III, 30,000人, 2回 x 100μg/28日)が開始された source。来年からは、年間3億回の提供を予定する。
    • LONZAとの製造提携により、20億回の提供も可能としている
    編集履歴
    2020/05/02 Mr.HARIKIRI
    2020/06/03 追記(NorwoodのcGMP施設とビジネスモデル)
    2020/07/28 追記(SARS-CoV-2ワクチンのPhase III clinical開始)
    2020/10/22 追記(SARS-CoV-2ワクチン投与2回目完了は25,000にあまり)
    2020/11/16 追記(SARS-CoV-2、Phase3中間報告では94.5%の有効性を示す)
    2020/12/03 追記 (moderna社のrRNAワクチンはLNP採用による優位性)

    技術力について

    • さまざまな病気や症状に対応するmRNA医薬品の開発に邁進
    • mRNAを医薬品にする技術を主軸 (mRNAテクノロジープラットフォーム)
      • 数百人の科学者とエンジニアからなる専門チームを擁する
      • モダリティsource : 1つの技術ソリューションで多くの (mRNA生物学、化学、製剤とデリバリー、バイオインフォマティクス、タンパク質工学)
        • mRNA予防ワクチン 免疫応答性抗原 (9つのパイプライン)
        • mRNAがんワクチン : ネオ抗原 (2つのパイプライン)
        • mRNA腸内免疫腫瘍 : 抗癌T細胞応答 (3つのパイプライン)
        • mRNAによる局所再生療法 : 標的組織 (VEGF-A)
        • 全身分泌と細胞表面治療 : 抗体・酵素の補充 (3つのパイプライン)
        • 全身の細胞内治療 : 細胞内酵素・オルガネラ特異的タンパク質 (3つのパイプライン)
    • リサーチエンジンsource
      • 数千の前臨床用mRNAの供給できる設備とデジタル技術
      • 「ドラッグデザインスタジオ」は、 数日以内の迅速設計(ワクチンの抗原にふさわしい部分の特定など)と合成指示の連携
      • 自動化された製造で迅速デリバリー
      • 迅速なスクリーニング実験が可能
    • 自社製造設備 sorce
      • マサチューセッツ州ノーウッドには、Phase 2まで対応
        • プロセス開発
        • GLP (IND対応)
        • 毒性研究
        • 薬剤のヒトへの概念実証(PoC)対応

    図2. リポソームにタンパク質を作らせる
    特定のモダリティ内で、基本コンポーネントは、開発候補全体で一般的に同一です- 製剤、5 ‘領域、3’領域。コーディング領域のみが、潜在的な医薬品が細胞に生産を指示しているタンパク質に基づいて変化します。

    主要な課題

    • 免疫システムを回避しながら、mRNAを標的組織および細胞に取り込む
    • 免疫系が誘発された場合、結果として生じる応答はタンパク質産生が制限され、mRNA薬の治療効果を制限される
    • mRNAが自然に生成されたとして、正しいタンパク質を生成するための指示を正確に読み取ることができるリボソーム
    • 細胞がタンパク質を十分に発現して、目的の治療効果を得る
    • 学際的なプラットフォームチームの緊密な連携による科学的および技術的な課題に対処
    • 集中的な機能横断的なコラボレーションによるプラットフォームの高度化と患者への迅速なmRNA薬の提供

    Modernaの強みを垣間見る

    • 米国政府からの支援の速さと大きさ
      • 2020/1/11 : 中国当局から新型コロナウイルス遺伝子配列を世界に共有
      • 2020/1/13 : NIHとModernaは、mRNA-1273の遺伝子配列を選定し、NIAID(米国アレルギー感染症研究所)はPhase I 臨床用製造を開始、資金は、Coalition for Epidemic Preparedness Innovations (CEPI)
      • 2020/02/07 : Phase I用製剤が完成し、バッチリリース試験が始まった
      • 2020/02/24 : NIHに製剤を提出
      • 2020/03/04 : FDAは、NIHが申請していたINDの審査を完了し試験の許可を与えた
      • 2020/03/16 : NIHの発表 (投与開始), シーケンスの決定から最初の投与までに63日で実行できた
      • 2020/03/23 : Modernaによる「Current Report on Form 8-K」を用いた報告。緊急使用の可能性製造能力拡大について、
      • 2020/03/27 : NIHの発表 (アトランタ、エモリー大学でPhase I試験に健常成人ボランティアの登録:18~55歳)
      • 2020/04/16 : BARDAから最高4億8,300万ドルの奨励金をModernaに供給されることを発表
    • 登録ボランティア
      • US, EU and オーストラリア
      • >1,400人が登録
    • モダリティ
      • 複数のmRNAをワクチンとして組み込むことができる
    • 製造設備
      • 自社製造設備を持つ
      • Lonzaとの戦略的提携により製造能力を10倍に拡大できる。技術移管が2020/06より開始され、製造設備がLonzaサイドではスイスやUSに建設される
    • 製造能力
      • worldwide
      • 10億ドーズ/年, 50μg
    • 製造(予定)
      • Lonzaでのファーストバッチ: 2020/07
    • 特許
      • 100を超える特許と、それを補完するライセンスにより事業強度を高めているsource

    Modernaのパイプライン

    sorce

    • 呼吸器感染関連のワクチン
      • mRNA-1273 : 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン
      • mRNA-1777 : RSVワクチン(高齢者)
      • mRNA-1345 : RSVワクチン(幼児)
      • mRNA-1653 : hMPV(ヒトメタニューモウイルス)及びパラインフルエンザウイルス3型(PIV3)ワクチン (Phase I, 2020/05/01)
      • mRNA-1273 : 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)
        • Phase I試験は完了Source-NIH(2020/03/16~, 米国アレル感染症研究所によるIND: (25μg, 100μg, 250μg) x 18才から55才(45人) / 追加: 56才から70才と71才以上、合計3つのコホート), 2020/05/01
      • mRNA-1851 : インフルエンザH7N9
    • 母子感染関連のワクチン
      • mRNA-1647 : サイトメガロウイルス(CMV)ワクチン (Phase II, 2020/05/01)
      • mRNA-1893 : Zikaワクチン (研究段階, FDA Fast Track, 2020/05/01)
    • 蔓延しているウイルス関連のワクチン
      • mRNA-1189 : Epstein-Barrウイルス(EBV)ワクチン

    mRNA-1273について

    新型コロナウイルスのワクチン

    mRNA-1273は、 米国アレルギー研究所の ワクチン研究センター(VRC)の研究者と共同で モデルナが選択した、スパイク(S)タンパク質の融合前安定化型をコードするSARS-CoV-2に対するmRNAワクチンです。  

    感染症 (NIAID)、NIHの一部。Coalition for Epidemic Preparedness Innovations (CEPI)から資金提供された最初の臨床バッチは、2020年2月7日に完了し、分析テストを受けました。

    シーケンス選択から42日後の2月24日にNIHに出荷されました。mRNA-1273のNIAID主導の第1相試験の最初の参加者は、シーケンスの選択から第1相試験の投与まで63日、3月16日に投薬されました。SARS-CoV-2に関するこれまでの同社の作業の概要は、ここにあります。 

    NIAID主導の第1相試験について

    mRNA-1273のオープンラベルのフェーズ1研究は、米国アレルギー感染症研究所によって米国で独自のInvestigational New Drug(IND)アプリケーションの下で実施されています。

    2020年3月16日に開始されたフェーズ1研究は完了しました

    元の3つの用量コホート(25 µg、100 µgおよび250 µg)における18歳から55歳までの45人の健康な成人ボランティアの登録 、追加の6つのコホートを:高齢者(年齢56から70)と高齢者(年齢71以上)の3つのコホート。

    Moderna and Lonza Announce Worldwide Strategic Collaboration to Manufacture Moderna’s Vaccine (mRNA-1273) Against Novel Coronavirus, 2020/05/

    https://lonza.com/news/2020-05-01-04-50

    自社施設

    施設

    • マサチューセッツ州ノーウッド
    • 期間 2016/10~ 2018/07
    • 2018/07以降、100以上の臨床製造パッチの実施
    • >300人
    • 200,000ft2 (更に220,000ft2の余力)
    • MES (Manufacturing Execution System)から規制申請の統合
      • 製造記録、データおよび自動化の統合
      • デジタル管理システム
      • 資材管理
      • 製造の実行
      • ラボ情報
      • 製品のテストとリリース
      • 規制申請情報のデジタル統合の保証

    目的

    • 原材料から臨床用の出荷を内製化
      • 品質、速度、規模、コストの改善
      • 貯蔵寿命
    • INDのための属性試験の早期取得
    • DP製造 (Phase I ~ Commercial)

    機能

    • プロセス開発
      • 凍結乾燥研究→凍結から冷凍保存を可能にする
    • Plasmid調製
    • mRNA調製
    • LNP調製
    • FFF (formulation, fill, finish)
    • QC

    Make Engine 1 (for Pre-clinical)

    • mRNA調製 (配列設計から製剤化) : ~4 weeks
    • mRNA lots : 1,000/month
    • amount : 1~1,000mg/Lot
    • Experience : 23,500 batch since 2014
    • Moderna Eco System : 追跡システム(材料~製造開始~配送)
    • 製造性の最適化 : 人工知能、機械学習、独自アルゴリズム

    Make Engine 2 (個別化医療)

    • 患者のサンプル(Tissue sample: Tumor and Blood)から個別のmRNAを作る (Needle to Needle)
    • 1つの製造バッチが1人の患者のために
    • Personalized Vaccine Unit (PVU)
    • 腫瘍サンプルのシーケンスからPersonalized Cancer Vaccine (PCV)を自動的に設計
    • 独自のバイオインフャマティクク設計アゴリズムとリンクしたmRNAの自動製造

    Make Engine 3 (臨床試験用資料の提供)

    • 2つのcGMP施設(Norwood, Kembridge )
    • デジタル統合された電子製造記録
    • 冗長性のためにCMO委託製造

    mRNAの剤型

    ModernaのmRNAワクチンの剤型は、以下の文献の通りLipidNanoparticle (LNP)sourceを採用sourceしており、新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンの保存が、2-8℃で30日間可能であり、Pfizer & BioNTechのmRNAワクチンの保存が-80~-60℃であることとの差別化に寄与している。医療機関においては、-80 ~ -60℃仕様のディープフリーザー保有率は極めて低い。

    これまで、製造はCMOに頼ってきたが、自社の施設をNorwoodに建設、およびそのメリットについて。

    BACKGROUND ON MODERNA MANUFACTURING WHY NORWOOD, 2020

    https://www.modernatx.com/sites/default/files/Moderna_MFG_Digital_WhitePaper_Final.pdf

    Lipid Nanoparticle Systems for Enabling Gene Therapies

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5498813/

    COVID-19ワクチンの各社の開発状況 (moderna, inovio, novavax, pfizer, など)

    – ワクチン開発のお話(その2):ワクチン製造方法とCOVID-19ワクチン開発状況 – 城西国際大学 看護学部 大森 直哉

    https://www.jiu.ac.jp/features/detail/id=6587

    関連記事

  • [Bio-Edu] 各種RNAの生物学的な作用点のマップ – by Qiagen – ID9331 [2020/02/13]

    [Bio-Edu] 各種RNAの生物学的な作用点のマップ – by Qiagen – ID9331 [2020/02/13]

    各種RNAの作用

    以下、Qiagenのサイトには、細胞内における各種RNAの作用点に関する図があり、参考になります。

    • Ribonuclease P (RNase P)の細胞内位置
    • Exosomal RNAの挙動
    • Circulating cell-free RNA (ccfRNA)の位置
    • microRNA (miRNA)の位置
    • messenger RNA (mRNA)の位置
    • long non-coding RNA (lncRNA)の位置
    • Small nuclear RNA (snRNA)の位置
    • Pri-mi RNAの位置
    • Y RNAの位置
    • Telomerase RNAの位置

    参考

    Explore the RNA Universe !

    https://www.qiagen.com/us/resources/download.aspx?id=2d28d429-6672-4965-8ee7-32000c65dd45&lang=en

    編修理歴

    2020/02/13, Mr.HARIKIRI
    2021/10/23,文言整備

  • [用語] mRNA; messenger RNA

    [用語] mRNA; messenger RNA

    mRNA: messenger RNAは、細胞の核のDNA上にある遺伝子(特定の機能をコードしている範囲)から複製されます。蛋白質の鋳型として設計図に従いアミノ酸からタンパク質合成に使われます。

  • [Bio-Edu] RNA とは – mRNAはタンパク質を作る直接的な設計図 – その他 rRNA, tRNA – ID7254 [2020/01/15]

    [Bio-Edu] RNA とは – mRNAはタンパク質を作る直接的な設計図 – その他 rRNA, tRNA – ID7254 [2020/01/15]

    主なRNAは3種類

    • mRNA: messenger RNA
    • rRNA: ribosomal RNA
    • tRNA: transfer RNA

    DNAには機能領域、すなわち遺伝子配列を持っており、それを鋳型としてmRANが作られます。

    更にmRNAはタンパク質の鋳型となります。生体内での生物機能を果たすための最終形態である蛋白質をmRNAをもとにつくるということです。

    • mRNAの構造 : 5’末端非翻訳領域 – 翻訳領域- 3’末端-ポリA
      • 非翻訳領域は、翻訳効率に影響する
      • 翻訳領域は、効率的翻訳を狙うにはコドンの最適化が必要
      • 3’末端非翻訳領域は、安定性に影響する

    mRNAが鋳型として使われる場所は、細胞内のリボソームという機関です。

    リボソームはrebosomal RNA (rRNA)と呼ばれるRNAと蛋白質が結合した特殊な構造をしています。

    リボソーム RNA (rRNA) 転写調節機構の存在が明らかになってきており,rRNA は細胞内外の状態に応答して転写され,結果としてリボソーム量および細胞のもつタンパク質合成能が調節されています。

    このリボソームにmRNAが端から取り込まれて、3コドンごと読まれて、そのコドンに応じたアミノ酸をtRNAが運んできます。

    mRNAが、その情報を最後までリボソームにより読まれれると、アミノ酸が繋がった蛋白質が完成します。リポソームは、小胞体 (Endplasmi reticulumn)、特に粗面小胞体に付着(それを粗面と称した)して存在しています。

    編集履歴

    2020/01/15, Mr. Harikiri
    2022/06/14, 文言整備

    ウィキペディア-転移RNA より

    https://ja.wikipedia.org/wiki/転移RNA

    ヤクルト研究所 – リボソームRNA (rRNA, ribosomal RNA))

    https://institute.yakult.co.jp/dictionary/word_6697.php

    核小体・rDNA 構造とリボソーム RNA 転写 I―3 リボソーム RNA 遺伝子の転写調節, 2013

    http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2014/06/85-10-05.pdf

    [用語] RNA, tRNA, rRNA, etc. [Biotech] [2022/09/03]

    [用語] RNA, tRNA, rRNA, etc. [Biotech] [2022/09/03] はコメントを受け付けていません

    [Bio-Edu] DNAとRNAの違い – レジメ – [2020/10/11]

    [Bio-Edu] DNAとRNAの違い – レジメ – [2020/10/11] はコメントを受け付けていません

    [Bio-Edu] 各種RNAの生物学的な作用点のマップ – by Qiagen – ID9331 [2020/02/13]

    [Bio-Edu] 各種RNAの生物学的な作用点のマップ – by Qiagen – ID9331 [2020/02/13] はコメントを受け付けていません
  • [Bio-Edu] 遺伝子 – 生体内におけるDNAからタンパク質の合成 ・基礎知識 –  [2020/06/13]

    [Bio-Edu] 遺伝子 – 生体内におけるDNAからタンパク質の合成 ・基礎知識 – [2020/06/13]

    ID2216

    遺伝子

    遺伝子組換え技術を知るには、遺伝子の知識が必要だ。基礎知識について以下記載した。

    遺伝子からタンパク質まで

    細胞核にはDNAがあり、その遺伝子が働く時、mRNAに変換されます。mRNAは、タンパク質の鋳型となってタクパク質が合成されます。

    • 細胞
      • {染色体;
      • chromosomes →
      • (unpackaging) →
      • Nucleosome structure (Histone + DNA; 構造を意味する = genome; 全遺伝子情報を意味する) →
      • スプライシング (必要な遺伝子のみを取り出す工程) →
      • gene (遺伝子) →
      • DNA(と呼び変える) →
      • (RNA polymerase, by Transcription )→
      • mRNA} → (核からmRNAが飛び出る)
      • mRNA →
      • 細胞質
      • 細胞質 {mRNA →
      • Ribosome (tRNAとAmino Acid, rRNA(ribosomal RNA), RibosomeはERに付着している )でタンパク質合成, by Translation ) →
      • protein →
      • ER; 小胞体 (folding, glycosylation ) →
      • Golgi body (de-mannosylation, fucosylation, galactosylation and sialylation) }

    遺伝子 (gene)はDNAであり、それを鋳型として転写酵素 (RNA polymerase)によりmRNAが合成される。RNAの場合は、構成ヌクレオチドは、DNAの場合の 「T」が、「U」に置き換わる。

    構成物質

    以下の示すヌクレオチドは、A(or U)はT、GはCと結合します。この相補性が鋳型となる基本機能となって働いています。

    DNAを構成するプリン塩基、即ちヌクレオチドは4種類

    • A アデニン
    • T チミン
    • G グアニン
    • C シトシン

    mRNAを構成するプリン塩基も4種類(AがUに替わる)

    • U ウラシル
    • T チミン
    • G グアニン
    • C シトシン

    コドン

    開始コドン

    一般的にメチオニン(AUG)が開始コドンである

    終止コドン

    対応するアミノ酸(とtRNA)が存在しないコドン。一般的に以下の3つがある。

    • UAA(オーカー)
    • UAG(アンバー)
    • UGA(オパール)

    翻訳の場所

    細胞内にあるリボソームの中でmRNAからproteinへの翻訳が行われる。

    希少なコドン

    プリン塩基(U, T, G, C)の3の組み合わせでコドンが作られます。最も多い種類のコドンで同じアミノ酸を作れたり、1つのコドンでしかそのアミノ酸を作れなかったり、アミノ酸によって異なっています。プリン塩基はコドンの原材料、コドンは、アミノ酸の原材料です。原材料は、生体に依存しています。原材料が枯渇することもあります。

    6種のコドンで作ることができるアミノ酸は、Arg, Leu, Ser, の3つです。この3種類のアミノ酸は、これらを作る原材料であるプリン塩基が枯渇しにくいと言えます。一方、生体には沢山必要としているとも言えます。

    一方1種類のコドンでしか作ることができないアミノ酸は、Metです。Metの場合は、枯渇しやすい/少量でしか必要でない、と言えます。

    残りのアミノ酸は、コドン種が2種類、3種類、4種類で作ることができます。

    まとめると、1種類、2種類、3種類、4種類、および6種類のコドンでアミノ酸は作られます。

    アミノ酸コドン

    厳密には、(mRNAの)コドンがアミノ酸なのではなく、コドンがアミノ酸に変換されることを意味します。コドンに相補的に一致するtRNAがアミノ酸を結合して連れてきます。これがアミノ酸への変換です。

    3文字記号1文字記号呼称 (link to wikipedia)コドン
    AlaAアラニンGCU、GCC、GCA、GCG
    ArgRアルギニンCGU、CGC、CGA、CGG、AGA、AGG
    AsnNアスパラギンAAU、AAC
    AspDアスパラギン酸GAU、GAC
    CysCシステインUGU、UGC
    GlnQグルタミンCAA、CAG
    GluEグルタミン酸GAA、GAG
    GlyGグリシンGGU、GGC、GGA、GGG
    HisHヒスチジンCAU、CAC
    IleIイソロイシンAUU、AUC、AUA
    LeuLロイシンUUA、UUG、CUU、CUC、CUA、CUG
    LysKリシンAAA、AAG
    MetMメチオニンAUG
    PheFフェニルアラニンUUU、UUC
    ProPプロリンCCU、CCC、CCA、CCG
    SerSセリンUCU、UCC、UCA、UCG、AGU、AGC
    ThrTトレオニンACU、ACC、ACA、ACG
    TrpWトリプトファンUGG
    TyrYチロシンUAU、UAC
    ValVバリンGUU、GUC、GUA、GUG
    開始コドンAUG、(AUA)、(GUG)
    終止コドンUAG、UGA、UAA
    https://ja.wikipedia.org/wiki/コドン#コドンはmRNA上にある

    遺伝情報の発現、転写と翻訳 ~ 転写 > なぜ直接DNAから蛋白質を作らないのか?

    https://www.nig.ac.jp/museum/genetic/03_c.html

    コドン – ウィキペディア より

    https://ja.wikipedia.org/wiki/コドン

    リボソーム - ウィキペディア

    https://ja.wikipedia.org/wiki/リボソーム

    DNAからタンパク質に変換

    以下の動画は、染色体のDNAがmRNAに変換され、細胞質にあるRibosomeというタンパク質でできた装置とtRNAによりタンパク質が合成される様をわかりやすく3D動画で説明されています。

    YouTubeより
    編集履歴
    2020/01/13 はりきり(Mr)
    2020/06/13 追記(希少なコドン)
    2021/10/30 文言整備

    [用語] RNA, tRNA, rRNA, etc. [Biotech] [2022/09/03]

    [用語] RNA, tRNA, rRNA, etc. [Biotech] [2022/09/03] はコメントを受け付けていません

    [Bio-Edu] DNAとRNAの違い – レジメ – [2020/10/11]

    [Bio-Edu] DNAとRNAの違い – レジメ – [2020/10/11] はコメントを受け付けていません

    [Bio-Edu] 各種RNAの生物学的な作用点のマップ – by Qiagen – ID9331 [2020/02/13]

    [Bio-Edu] 各種RNAの生物学的な作用点のマップ – by Qiagen – ID9331 [2020/02/13] はコメントを受け付けていません
  • [健康] 神経疾患(ミオパシー、てんかん)に共通する異常なリピート配列の発見 – リピート配列は開始コドンがなくてもたんぱく翻訳される – ID1093 [2020/07/11]

    [健康] 神経疾患(ミオパシー、てんかん)に共通する異常なリピート配列の発見 – リピート配列は開始コドンがなくてもたんぱく翻訳される – ID1093 [2020/07/11]

    東大、3つの神経筋疾患に共通する異常なリピート配列を発見、創薬応用へ

    東大は、3つの神経疾患について、異常なリピート配列を発見した。

    異常なリピートは、非翻訳領域にCGGの3塩基からなる繰り返し配列の異常伸長であり、以下に示した3つの疾患に共通しており、別の疾患と考えられてきたこれらの疾患は、共通の繰り返し配列のリピートを原因とする疾患であることがわかった。

    • 神経核内封入体病(neuronal intranuclear inclusion disease:NIID)
      • 認知症などで知られている神経変性疾患。幼少期から高齢まで幅広く発症。
      • NBPF19 遺伝子の5’非翻訳領域に存在するCGG繰り返し配列の異常伸長を確認
    • 白質脳症を伴う眼咽頭型ミオパチー(oculopharyngeal myopathy with leukoencephalopathy:OPML)
      • 頭部MRI画像で神経核内封入体病に類似した大脳白質の異常を示し、加えて眼球の運動を司る筋肉、嚥下・発声を担う咽頭の筋肉、四肢の筋肉を侵す疾患
      • 解析の結果、LOC642361・NUTM2B-AS1という別の遺伝子に、同じCGG繰り返し配列の異常伸長が存在することを確認
    • 眼咽頭遠位型ミオパチー(oculopharyngodistal myopathy:OPDM)という3つの神経筋疾患
      • 眼球運動、咽頭、さらに四肢の遠位部の筋力低下が特徴的な筋疾患で、国が定める指定難病の一つである、遠位型ミオパチーに含まれる疾患
      • 前述の白質脳症を伴う眼咽頭型ミオパチーと筋の罹患部位の分布が非常に類似していることをヒントに解析した結果、LRP12遺伝子に、やはりCGG繰り返し配列の異常伸長変異が存在することを確認

    東大、3つの神経筋疾患に共通する異常なリピート配列を発見、創薬応用へ、日経バイテク, 2019/07

    https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/19/07/22/05843/

    これまでに得られている関連情報

    一般的にタンパク質への翻訳は,開始コドン(ATG)から始まる.しかし,特定の塩基配列の非常に長い繰り返し配列(リピート配列)が存在すると,開始コドンがなくても翻訳が生じることが2010年に実験的に確かめられ,repeat-associated non-ATG(RAN)翻訳と呼ばれるようになった.

    RNA翻訳, 2015, – 薬学用語解説-

    https://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?RAN翻訳

    「てんかんの新しい発症機構の解明 ―繰り返し配列の異常伸長によっててんかんが生じることを発見―」

    発表ポイント

    • 本邦に多く見られる、家族性のてんかんについて、次世代シーケンサーを駆使したゲノム解析によりその原因遺伝子として 3 遺伝子を発見
    • 発見した 3 つの遺伝子(SAMD12 遺伝子、TNRC6A 遺伝子、RAPGEF2 遺伝子)は、いずれの場合も、イントロン領域に存在する、TTTCA という繰り返し配列の異常伸長が、発症原因となっていることを解明
    • TTTCA 繰り返し配列の異常伸長が共通していることから、この異常伸長が直接てんかん発症の原因になっていると考えらる。神経細胞核内に TTTCA 繰り返し配列を有す る RNA の凝集体が観察され神経細胞の傷害に関与していると考えられます

    【記者会見】別々の3疾患に共通する原因がヒトゲノムCGG塩基の繰り返し配列の異常伸長であることを解明, 2019/07

    https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/20190723.html

    観想

    mRNAからタンパク質に翻訳している機関はRibosomeであるが、Ribosomeがエラーしていると考えられるのか疑問に残った。Ribosome自体の頑健性に関わっている可能性があるもあるかもしれない。

    2020/07/11 Mr.はりきり