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  • [Bio Edu] Quality by Design – [2021/05/11]

    [Bio Edu] Quality by Design – [2021/05/11]

    ID29705

    Quality by Design

    Quality by Design (QbD)とは、医薬品の開発から始まり、コマーシャル製造のための製造承認申請、および市販後までにおける医薬品の品質を戦略的にデザインする手法である。

    そのためには、様々なツールが使われる。例えば、「魚の骨」、リスク分析ツール、実験デザインのためのDesign of Experience (DoE)などを駆使して、医薬品の品質の向上性・維持に継続的な活動が行われる。

    開発段階では、構築した最終的な製造方法について、その方法がその医薬品の品質にどのように影響するのかを確認するために、製造方法について様々な角度から確認する「Process Characterization」(PC)というイベントの実施が必要となる。その方法で確認された医薬品の製造方法は、市販品と同一の方法である必要がある。別の言い方をすれば、臨床試験第三相試験に使用される治験薬の製造方法とも同一でなければならない。

    PCで確認された製造方法における製造における各種パラメータは、市販品と同スケールでの実製造スケールでの製造確認、すなわち、PPPQは、

    QbDの全体像

    • Quality by Design
      • Development
      • non-clinical study
      • clinical experience
      • QTPP
      • QA → CQA (中間体、原薬の品質特性)
      • PP → CPP (原薬に影響を与える、原薬までの製造プロセスにおけるパラメータ)
        • Proven Acceptable Ranges (PARs)
        • Critical, Key, non-critical (for QA, PP)
          • Safety and Efficacy? (i.e. CQA) → NO : Non-critical
          • YES : NORとPARの関係? → Low RIsk : Key
            • Edge of Failure (失敗の始まり)
            • プロセスの頑健性
            • IPC
            • PAT
          • High Risk → Critical

    NOR : Normal Operating Range (通常の稼働範囲)
    PAR : Proven Acceptable Range (許容範囲)

    • Proven Acceptable Range
      • Zone
      • Normal Operating Range
        • Processing Target

    Quality by Designによる製剤開発とCTD申請 – ファイザー株式会社、September, 2008, 平成20年度GMP事例研究会 –

    http://www.jpma.or.jp/information/quality/pdf/080929_7.pdf

    A-MAB; A Case Study in Process Development

    https://cdn.ymaws.com/www.casss.org/resource/resmgr/imported/a-mab_case_study_version_2-1.pdf

    A-VAX: Applying Quality by Design to Vaccines CMC-Vaccines Working Group May 2012

    https://www.dcvmn.org/IMG/pdf/a-vax-applying-qbd-to-vaccines_2012.pdf

    編集履歴

    2020/08/10 Mr.HARIKIRI
  • [Virus-Edu] 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染機序  [2020/07/27]

    [Virus-Edu] 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染機序 [2020/07/27]

    はじめに

    コロナウイルスの感染機序の1つは、細胞膜とウイルス膜の融合により、ウイルス粒子が細胞膜と一体となり、ウイルス粒子内の遺伝子が細胞内に取り込まれるものと、もう一つは、貪食という機構により、ウイルス粒子そのものが、細胞内に取り込まれ、やがてウイルス粒子からウイルス遺伝子が漏出して細胞内に至るものがある。いずれにしても、細胞内に到達したウイルス遺伝子は、その機能を細胞内に存在する酵素などを利用して発揮することになる。

    新型コロナウイルスの感染機序

    新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) 感染のある過程で、以下に説明する薬剤の臨床試験における抗ウイルス効果のポイントが存在する。

    1a Fusionでの感染

    SARS-CoV-2は、エンベロープを持つウイルスである。このエンペロープであるスパイク・タンパク質が、宿主細胞の表面抗原に対して結合親和性があり、そこに結合することで、最初の感染の足がかりを作る。

    結合すると、ウイルスの脂質二重膜と細胞の脂質二重膜は、膜融合をおこし、ウイルスのRNAが細胞の中に入っていく。

    RNAは、タンパク質の設計図であるため、細胞内のタンパク質合成装置であるリポソーム(Ribosome)により、コードされたタンパク質を合成する設計図となる。

    合成されたタンパク質は、必要な箇所で切断(Proteolysis)されるが、このポイントで、Lopinavir-ritonavirが抗ウイルス効果を発揮する。

    Lopinavir, ritonavir配合剤 – KEGG –
    作用機序: ロピナビルはHIVプロテアーゼの活性を阻害し,HIVプロテアーゼによるgag-polポリ蛋白質の開裂を抑制することで,感染性を持つ成熟したHIVの産生を抑制する.リトナビルは,CYP3Aによるロピナビルの代謝を競合的に阻害し,ロピナビルの血中濃度の上昇をもたらす.本剤の抗ウイルス活性は,ロピナビルによるものである

    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00057826

    Proteolysisで適当な大きさになったタンパク質(非構造タンパク質:nsps)と小胞体由来の膜(と考えられている)が作る複製/転写複合体(Replication-transcription complex; RTC)が作られ、SARS-CoV-2の複製を媒介するsource

    このRTCの中には、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RNA-dependent RNA polymerase; RdRp)が含まれている。このRdRpsourceを阻害する考えられるのが、Remdesivirである。

    Remdesivir – KEGG –

    レムデシビルはアデノシンヌクレオシドのプロドラッグであり、加水分解等による代謝を経て、ヌクレオシド類似体の一リン酸体となった後、細胞内に分布し、代謝されてヌクレオシド三リン酸型の活性代謝物を生成する。活性代謝物はアデノシン三リン酸(ATP)の類似体として、SARS-CoV-2 RNA依存性RNAポリメラーゼによって新たに合成されるRNA鎖に天然基質ATPと競合して取り込まれ、ウイルスの複製におけるRNA鎖の伸長反応を取り込みから少し遅れて停止させる。

    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00068750

    1b 貪食での感染

    SARS-CoV-2ウイルス粒子を貪食する形で細胞内にそのまま取り込む(Endocytosis)。細胞内に入ってきた構造体をEndosomeと言う。

    生成初期のEndosomeの内部は、pH6.3で、その後pH4.7sourceと低くなるsource。この段階で抗ウイルス作用を示すのが、Chloroquine, Hydorxychloroquineであると考えられる。

    COVID-19

    以上

    編集履歴
    2020/07/27 Mr.はりきり
    2022/03/12,追記(はじめに: 2つの感染機序の概説)
  • [Bio-Edu] mAbの不安定性について – タンパク質全般に当てはまる情報  [2020/07/31]

    [Bio-Edu] mAbの不安定性について – タンパク質全般に当てはまる情報 [2020/07/31]

    mAbの不安定性

    mAbの不安定性に関する論文をもとに、レジメとしてまとめた。関連する情報は,末尾の文献リストに記する.

    Physicochemical Stability of Monoclonal Antibodies: A Review, Published: August 26, 2019 – Journal of Pharmaceutical Sciences

    https://jpharmsci.org/article/S0022-3549(19)30506-4/fulltext

    IgG抗体の構造

    バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術の発展とともに80年代以降劇的に拡大しました。モノクローナル抗体(mAb)は、ジスルフィド架橋で連結された4本の鎖(2本の軽鎖と2本の重鎖)で構成されるタンパク質です。

    • 軽鎖は、2つのドメインからなっている
    • 重鎖は、4つのドメインからなっている
    • 抗体の結合機能を有する腕 (Fab) は、軽鎖の2ドメインと重鎖の2ドメインで構成される
    • 直接抗原と接触して結合する領域5~10程度のアミノ酸を含む相補的決定領域 (CDR; complementarity-determining region)は、可変領域(Fv)と呼ばれ、軽鎖と重鎖のそれぞれに3つずつ(CDR1~CDR3)存在する。
    • 各ドメインは、SS結合により固い構造になっている
    • 重鎖は、Hinge regionでCDR側とFc側に分かれている
    • Hinge Regionは、重鎖同士をSS結合している
    https://jpharmsci.org/article/S0022-3549(19)30506-4/fulltext

    抗体の種類

    アイソタイプ

    • IgG : 抗体医薬に用いられる
      • IgG1: 一般的な抗体医薬
      • IgG2
      • IgG3
      • IgG4: ADCC活性が低い
    • IgA : 粘液関連
    • IgM : 初期反応
    • IgE : アレルギー関連
    • IgD : 高IgD血漿

    サブタイプ

    アイソタイプは、Hinge RegionのSS結合の数などで分類される。

    翻訳後修飾の違い

    抗体の生産細胞株は、一品物です。低分子医薬品でいうジェネリックというものは、バイオ医薬品にないのはそのためです。代わりに「バイオシミラー」と呼ばれるものがあります。遺伝子配列上で同じで合っても、作り直されたバイオ医薬品は、生産細胞株の違いから、翻訳後修飾に違い(例えばグルコシル化の違い)が生じます。

    バイオシミラーの類似性

    • 構造 structure
    • 生物活性 biological activity
    • 有効性 efficacy
    • 安全性 safety
    • 免疫原性プロファイル immunogenicity profile

    バイオシミラーの承認要件

    • 分析 (物理科学的および生物学的)
    • 臨床 (薬物動態、pharmacodynamics)
    • 安全性 safety
    • 効力 potency

    不安定化の局面

    • 容器の移し替え
    • 凍結
    • 静脈投与時の輸液による希釈と投与ラインへの接触

    原因

    安定性に影響する要因(input factor)が、以下のように考えられます。

    • タンパク質の構造(物性)
    • 濃度
    • 界面
    • 光暴露
    • 賦形剤と不純物
    • 攪拌

    結果

    Input factorによって影響を受けたmAbへの変化は、Output factorとして以下のような項目が考えられます。

    • 凝集
    • 断片化 (ペプチド、糖鎖)
    • 構造変化(1次、2次、3次など)

    不安定化のメカニズム

    • 化学的
      • 等電pH; 等電点(pI)の変化
      • CDRへの影響 : 結合活性
      • Fcへの影響 : FcRn結合性
      • SS結合の形成を含む酸化
        • 酸化剤 (過酸化物、光、金属)の有無
      • 酸化
        • 酸化またはコハク酸イミドの形成による全体的な正電荷の増加 (pI増加)
        • mAb血中半減期の減少、皮下バイオアベイラビリティの変化
        • 2つのさんがされた遊離残基の間に発生したするシステイン酸化の結果
        • チオレートアニオン中間体を伴う
        • 酸化されやすいアミノ酸残基
          • メチオニン
            • 二次構造の不安定化による凝集の可能性
          • ヒスチジン
          • システイン
      • 脱アミド (酸塩基反応)
        • 全体的な負電荷の増加(pIの減少)→クリアランス増加
        • プロトンドナー(スレオニン、セリン)による促進
        • 環状ペプチド中間体の形成 → ポリペプチド構造に歪み
        • 影響を受けるアミノ酸
          • アスパラギン
            • スクシンイミド中間体は、アスパラギン酸/イソアスパラギン酸を自発的加水分解する
          • グルタミン酸
      • 断片化
        • 発生する箇所
          • ジスルフィド結合
            • ワンアーム
            • 遊離軽鎖
          • ペプチド結合
            • (非)酵素的分解
            • Hinge region (パパイン消化部位)
            • アスパラギン/アスパラギン酸
              • スクシンイミド中間体を介した自然加水分解の影響を受けやすい(高温の場合)
      • 糖化
        • メイラード反応
          • メイラード反応とは: 還元糖とアミノ化合物を一緒に加熱し褐色物質(メラノイジン)を生じる反応.褐変反応ともいう.アミノ化合物とは,アミノ酸,ペプチド,タンパク質.(source by wikipedia).
          • アマドリ転移で安定かしたケトアミン形成→構造・機能に影響
          • シッフ塩基形成→還元糖とタンパク質が結合
          • 現在、非還元糖の添加で予防
            • 但し、非還元糖の分解により還元糖が生じる
    • 物理的
      • アンフォールディング
        • 高次構造の喪失
        • 化学的条件下による誘発
        • Hingeの柔軟性の低下、凝集促進
      • 凝集体
        • 一次構造は変化しない
        • 弱い非得意的結合
          • ファンデンワールス相互作用
          • 水素結合
          • 疎水結合
          • 静電相互作用
        • 共有結合凝集体
          • SS結合を含む
        • 不可逆的凝集
          • Lumry-Eyringモデル
          • 内山モデル
        • 免疫原性
          • 抗体の中和による活性低下
          • 内因性との交差反応によるIgEを介した過敏症、アナフィラキシー
          • 因子
            • 凝集体サイズ
              • 10μm : 非経口製剤, 第8版 欧州薬局方。巻。8.4。2015年:5013 -5015https://www.edqm.eu
              • 25μm : 粒子汚染-目に見えない粒子。で:第8版 欧州薬局方。巻。8.0。2011:342-344https://www.edqm.eu
            • グリコシル化の程度
            • 不純物
          • B細胞受容体とのクロスリンク
            • Tヘルパー細胞依存性: 抗原提示
            • Tヘルパー細胞非依存性: サイトカイン活性化
    • タンパク質構造
      • CDRの低いpI
        • 可溶性凝集隊の形成を促進
      • CDRの高いpI
        • 特に負に帯電した表面と接触している場合、不溶性凝集体の形成
      • IgG1, IgG2, IgG4のLow pH 処理(pH3.3)後、中性に戻す
        • IgG1は、monomerのまま
        • IgG2, IgG4は、2段階のオリゴマー化プロセスを経て、IgG4では、凝集に至った(59)
          • Hingeの柔軟性の増加に関わっている
          • Fc領域のアンフォールディングがトリガー
        • 結論
          • 凝集しにくい : IgG1 < IgG2 < IgG4 : 凝集しやすい
          • タンパク質のフォールディングが、完全に折り畳まれているnative状態から完全なunfolding状態がある時、中間の状態である部分的な折り畳み状態では、凝集しやすい(24, 47)
    • タンパク質濃度と自己会合
      • タンパク質濃度の低下は、弱く結合した凝集体の乖離につながる
      • 一般的に高い濃度は、凝集につながるとされるが、高い濃度による粘度の増加により凝集を促進させた結果や逆に凝集率を低下させる結果などの報告がある
      • 賦形剤とmAbの比率を変更せずに希釈していくと、賦形剤濃度が低下することで、電解組成を低下させてしまうことで安定性の低下を招く可能性がある(17)
      • イオン強度は、粘土に影響し自己会合に影響する
      • タンパク質の等電点(pI)付近では、電荷が減少することで反発する静電相互作用が減少する。これにより、粘度がが最大になる可能性がある
      • 自己会合ポテンシャルは、浸透第二ビリアル係数(非理想解の尺度)と拡散相互作用パラメータ(分子間相互作用の定量化、浸透第二ビリアル係数の成分)によって予測できる
        • dynamic Light Scattering (DLS)
        • self-interaction chromatography
        • 浸透第二ビリアル係数が強い負の場合、多量体を形成する可能性が高い : 溶質分子間の正味の引力/反発力を示すため(71)
        • ゼータ電位は、表面電荷(静電相互作用、ファンデルワールス)の良い指標
    • 温度
      • 固有のTm (平衡融解温度)
        • 立体構造の破壊は、Tmよりはるかに低い温度から始まる。なぜなら、Tmは、50%ののタンパク質の立体構造が壊れた温度を示すため
        • 一般的に、40℃から80℃
        • 一般的バイオ医薬品の保存温度は、2~8℃あるが,一部のバイオ医薬品,例えばmRNAワクチンなどは,薬効優先戦略を取り剤形をナノパーティクルとしたため,超低温での保存でしか安定性を確保できない薬剤もある.
      • 高温
        • 不可逆的立体構造の破壊
        • 脱アミド(アスパラギン,グルタミンのアミドを含む側鎖の分解 by source)
        • 酸化 (一般的には,アミノ酸であるメチオニンの酸化を意味する)
      • 低温
        • 緩衝液のpHの変化
        • 低温濃縮
        • 界面の形成(水/氷) → 凝集体が生じやすい
        • コロイドとタンパク質の立体配座の安定性の違い
        • 凍結融解の回数増加によりmonomer SEC peakの減少(76)
        • 加熱・冷却の到達温度までの速度
        • mAbは、他のタンパク質に比べて短期の温度変化に強い
    • タンターフェース(吸着)
      • タンパク質表面の電荷、疎水性に関係する
      • 一次包装である比較的不活性なType I ガラス容器でも、比較的大量のタンパク質を吸着できる
        • 静電相互作用による
        • 二次構造の変化はない
      • ポリ塩化ピニル(PVC)またはポリオレフィンIVバッグ保管
        • 1mg/mL IgG4, 1~6時間保存で25%減少し、目に見えない粒子の増加
        • PS20を添加すると改善する(ただし、PS20は、可塑剤の溶出を増やす)
      • Fabとポリスチレン(PS)
        • PS表面に単層のタンパク質層が形成
      • 空気
        • 空気は、水分と比較して相対的に疎水性である
        • 水と空気との海面で吸着して層を形成する可能性がある(83)
      • IVバッグからベッドスペースを無くす
        • PSの有無に関わりなく攪拌で誘導される凝集体形成が減少する
      • シリコンオイル
        • 潤滑剤として使用
        • タンパク質のシリコン油層への吸着→粘弾性ゲル層形成(タンパク質濃度依存)
        • 粘弾性ゲルの破壊は、凝集体の拡散となる
        • 攪拌、最適でないpHで増強
        • 界面活性剤の添加で抑制
        • 適切な量が望まれる
      • 0.01mg/mL in 0.9% NaCl を PES膜によるろ過
        • PESおよびポリアミドは正に帯電してお、mAbが吸着した
        • 5% Glucoseを展開すると吸着減少
      • 不動態化(surface passivation, 表面コーティング)
        • 単相コーティング
        • 多層コーティング
        • 水素結合供与体が少なく、水素結合受容体が多いポリマーを使用すると吸着が少なくなる
      • 光酸化
      • 酸素化ラジカル
      • 光分解
      • 精製過程での検出器による光
      • 環境下の光
        • 液体より凍結乾燥体の方が弱い(108)
      • 芳香属アミノ酸は光に敏感
        • トリプトファン(UV光に弱い)
      • 100mg/mL IgGと8000Lxの白色光, ICH Q1B(30~78h, 推奨事項132万Lx) → 褐色
        • 純度低下
        • monomer低下
        • アミノ酸の酸化
        • 活性の低下
        • 暴露総量に依存する(112)
        • 製材組成も影響を受ける
          • PSの自動酸化
          • 光酸化ヒスチジンは、ヒスチジンと架橋
    • 賦形剤
      • pHは、タンパク質のタイプ(正/負)と総電荷により決定
      • 高いpHは、脱アミド、酸化を促進する可能性があり、重合化の可能性がある
      • pH5-6では、断片化を抑制するが、
      • 更に低いpHは、切断、異性化を引き起こす可能性
        • Aspの断片化は、<pH5で発生
      • 塩はタンパク質に結合(電荷シールド)することで、粘度低下を起こし、コロイド安定性を改善する可能性がある。同時に、タンパク質濃度が高いと短距離疎水性相互作用を起こすため溶解度の低下の可能性がある(塩析効果)
      • ベンジルアルコール (benzyl alcohol)は、凝集促進する
      • 界面活性剤で最も凝集に保護的な物(科学的シャペロン)は、polysorbate (PS) 80 (PS80)、polysorbate 20 (PS20)と比較してしても構造安定性への影響が少ない
      • PS20のミセル濃度と凝集抑制を検討した研究では、ミセル濃度に関係なく、シリコンによる凝集を抑制したことから、臨界ミセル濃度とは関係なく、タンパク質相互作用を阻害するとされる
      • 界面活性剤は、折り畳まれていないタンパク質に優先的に結合することで、天然の状態のタンパク質の安定性へ影響する可能性がある(47)
      • 1% w/v PS80は、強い光の暴露で劣化し自動酸化による過酸化物の量(メチオニン、トリプトファンの酸化)の増加が見られたという結果がある
      • エデト酸2ナトリウム(edetate disodium)は,カルシウムのキレートにより,汚染の可能性のある宿主細胞由来リパーゼによるPSの加水分解を阻害する
      • PS自体からの遊離脂肪酸粒子の形成の可能性
      • PSは、Fc領域に優先的に結合する
      • 界面活性剤に似たシクロデキストリンは、毒性が少なく、過酸化物の生成がなく、タンパク質への影響がないためPSの代替物になり得る。10mM ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは、凝集体を抑制したとする
      • 糖とポリオール
        • 熱力学的安定性の向上(143)
        • 凍結乾燥品での安定性(144)
        • スクロースが使用されるが、グルコースとフルクトースに加水分解される可能性(低pH)があ理、糖化の可能性がある
        • ヒトでの使用登録に無い物
          • トレハロースなどの非還元糖は、メイラード反応しない
          • メリビオースを含むリツキシマブ製剤がある
        • マンニトールは、結晶化の可能性があり、使いづらい
      • アミノ酸
        • アルギニン : 酢酸塩、グルタミン酸アルギニン塩は、IgG1に安定的であったが、塩化物、硫酸ナトリウムアルギニン塩では、安定性は低下してした
        • ヒスチジン : mAb製剤の緩衝液としてよく使用される
        • プロリン : 環状アミノ酸であり、タンパク質の芳香族残基と疎水性領域に結合することでmAbの可溶性を高める
        • グリシン : マンニトールに似て凍結乾燥製剤でアモルファイ状態のままであると凝集を抑制する
        • メチオニン : 光分解から保護する可能性がある
      • 金属イオン
        • 断片化とフリーラジカルを生じる (銅)
        • 断片の影響がなかった金属
          • 亜鉛、マグネシウム、、ニッケル、コバルト、マンガン
        • バッファ種によて影響が異なる
        • タングステン : アンフォールディング、凝集
        • 対策は、キレート剤

    以上

    まとめ

    抗体医薬は最も研究が進んだバイオ医薬品であり,タンパク質医薬品として沢山の研究がなされており,タンパク質であるその他のバイオ医薬品のための開発に欠かせない有用な情報原である.

    編集履歴

    2020/07/26 Mr. Harikiri
    2022/10/23 文言整備,追記 : メイラード反応および関連文献

    参考文献

    メイラード反応による免疫原性の向上に関する文献

    メイラード反応による食物アレルゲンの糖化は、そのT細胞免疫原性を高めます:マクロファージスカベンジャー受容体クラスAタイプIおよびIIの役割 – The Journal of allergy and climical immunology 2010Jan01 Vol. 125 issue(1) –

    [概要]
    オブアルブミン(OVA)とグルコースをメイラード反応させたAGE-OVAは,CD4(+) T細胞の活性を増強させた

    https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/19864011?click_by=p_ref

    メイラード反応による免疫原性の低下に関する文献

    メイラード反応により糖鎖修飾したソバ全タンパク質が脾臓細胞の免疫応答に及ぼす影響

    [概要]
    Fag e 1にグルコマンナンやキシログルガン等の多糖鎖を付加するとソバアレルギー患者血清中のIgE抗体にたいする反応性が顕著に低下する

    [keyword]
    データベースに登録されているソバアレルゲン名: Fag e 1~

    chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/23/2/23_90/_pdf

    メイラード反応における反応は主にリジン

    加工処理中に起こるメイラード反応がエビ・カニ筋肉の消化性とアレルゲン性に及ぼす影響 – 北海道大学・大学院水産化学研究部 –

    [概要]
    メイラード反応条件(60℃,相対湿度35% or 65%)

    chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.sapporoholdings.jp/foundation/record/list/2017/pdf/list_2017_04.pdf

    特異的IgE(CAP-アレルゲン)のAllergen種類

    ビール酵母

    http://uwb01.bml.co.jp/kensa/search/detail/3810128
  • [Bio-Edu] mAbの薬物動態(PK)  [2020/10/17]

    [Bio-Edu] mAbの薬物動態(PK) [2020/10/17]

    モノクローナル抗体の薬物動態

    薬物動態(PK; pharmacokinetics)は、薬物の体内における濃度と消失の速度過程

    薬力学(PD; pharmacodynamics)は、薬物の作用部位における薬物濃度と薬理効果を定量

    • IgGの一般的な投与経路 (用語説明 wikipedia)
      • iv (Intravascular; 静脈投与)
      • sc (Subculaneous; 皮下投与)
      • im (Intramuscular; 筋肉内投与)
    • 小さい < リンパ管のリンパ液の流れ << 血管の血液の流れ <大きい
    • 血中半減期
      • 生理的IgG濃度が12mg/mLの場合、IgGの半減期は21日
      • 高濃度に投与するなどするとクリアランスは高まる
      • 薄い濃度であるほど、クリアラスンスは低くなる
    • mAbのpI (等電点)
      • pIが高くなると全身クリアランスが高くなる
      • pIが高くなるとバイオアベイラビリティも低くなる
      • pIが高くなると細胞表面の不電荷とインタラクションする

    グリコシル化

    グリコシル化は、エフェクター活性と半減期に影響を与える。

    • グリコシルパターン (Glycosylation) 1)
      • 小胞体(ER)では、Mannose (Man)が付くだけ付加される
      • 次のGolgiでは、Manが外され、3つになり、Glactose, Fucose, シアル酸が付加される
      • 5個以上のHigh Mannoseでは、Fucoseが付かないことが原因の可能性も否定できないが、FcγRIIIaとの結合親和性が高まりADCC活性が強くなる
      • Fucosylationは、FcγRIIIaとの親和性を弱めることでADCC活性を低下させる。これを狙った抗体を生産させる産生株がある
      • CDCに影響
      • Asn297アミノ酸
      • アフコシル化 (脱フコース)
        • ADCC活性が高まる
        • クリアランスが高まる
      • ガラクトシル化型
        • FcγRIへの結合性増大する
      • 高Man5, Man8, Man9
    • IgGは腎臓でろ過するには大き過ぎる
      • 腎臓でのクリアランスは無い
    • トランスサイトーシス
      • 血管上皮細胞(neonatal Fc receptor)
      • FcRn
    • エンドサイトーシス
    • ピノサイトーシス
      • 内皮細胞による比較的非特異的な液相エンドサイトーシス
    • 間質空間
      • 細胞外マトリックスで満たされている
      • ゲル状
      • 正電荷
      • 成分は、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸など)、コラーゲンなどの構造タンパク質
    • IgGの排除体積(excluded volume) : ~50%
    • FcRnと結合親和性があるIgG1, IgG2, IgG4の消失半減期は、18~21日で、これは、同等の分子量を持つ他のタンパク質よりかなり長い。
    • IgG3は、FcRnと結合親和性が低く、半減期は、7日と短い
    1)

    小胞体(ER)での糖鎖修飾、Golgiの各部位での修飾について解説がある。Gorgiの特にくTrans Golgiでは、Galactose、更にシアル酸が付加される。
    シアル酸が多い程、血中濃度Cmaxが高くなる。

    IgGサブクラス毎のFc受容体タイプとの結合性の強さ。

    ヒト血清のIgGのシアル酸付加率は、一般的に10未満であるが、CHO細胞の組換えIgGでは、殆どシアル酸は付加されない。マウス・ハイブリドーマで得たIgGでは、シアル酸比率は50%を超える。



    Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2020)

    https://www.researchgate.net/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins

    Biosmilarを作る場合、Glycationのコントロールは重要である。糖鎖付加について、培養添加物を詳細に検討している文献である。

    Impact of cell culture media additives on IgG glycosylation produced in Chinese hamster ovary cells (2019)

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6590254/

    Pharmacokinetics of Monoclonal Antibodies, 2017

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5613179/
    編集履歴
    2020/07/08 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Edu] 組換え大腸菌で造らせたタンパク質のリフォールディングおよび、その後の精製手順  [2020/08/19]

    [Bio-Edu] 組換え大腸菌で造らせたタンパク質のリフォールディングおよび、その後の精製手順 [2020/08/19]

    はじめに

    研究段階のタンパク質の取得は、組換え大腸菌(E.coli)から取得することが多いですが、そのタンパク質は、un-foldingしていることが殆どです。可溶性として取得できたとしても、その活性は非常に低いことも良く知られています。そこで、Re-foldingという手法により、un-foldeしたリコンビナント・タンパク質を立体構造として自然な状態に巻き戻してあげます。巻き戻すという表現は、タンパク質が複数のアミノ酸が1本の鎖状になった構造をしていることから用いられます。

    Re-foldingは、バッファー組成が一般的な組成に置換できて、初めて成功です。置換で濁るようではRe-foldingは失敗です。

    Re-foldingできたタンパク質は、クロマト・レジンを使用して精製します。

    Refoldingとは

    タンパク質は、アミノ酸の数珠つなぎでできています。酵素が活性化するときは、一般的には、ある活性化酵素によって、その前駆体の酵素のどこか一か所が切断され、二本鎖と呼ばる構造になり、立体構造が変化して活性化します。

    タンパク質の機能は、構造にあるということです。

    そのタンパク質が、その本来の機能を発揮するには正しい立体構造になっている必要があります。立体構造を構成する要素はいくつかあります。キーワードは、αヘリックス、βシート、SS結合などです。

    • アミノ酸配列のαヘリックスとβシートのインタラクションによる構造
    • システインとシステインによるSS結合による強固な構造

    組換え大腸菌の産生タンパク質

    組換え大腸菌でタンパク質を産生させると、ほとんどが不溶化してInclusion Bodyと呼ばれる不溶物として大腸菌内に溜まります。これをリフォールディング(refolding)する方法を以下に示します。

    1. ただし、refoldingできるタンパク質の分子量に制限があります。分子量が10kDa未満のInsulinなどは、比較的簡単です。
    2. 分子量20kDa程度のInterferonは、refoding可能です
    3. 分子量が30kDaに近づくとrefolding効率は次第に低下してしてきます。

    Inclusion bodyの回収

    インクルージョンボディは、大腸菌の菌体内に存在します。インクルージョンボディーを取得するには、まず大腸菌を破砕して、大腸菌の細胞内からイングルジョンボディーを細胞外に出てくるようにします。細胞を破砕した後は、遠心により不溶性のインクルージョンボディーを沈殿として回収します。

    1. 組換え大腸菌の培養
    2. 菌体の回収
    3. 菌体の破砕(以下のいずれか)
      1. 超音波処理(粘度がなくなるまで十分に)
      2. フレンチプレス(圧力で破砕)
      3. ダイノミル(ビーズで砕く)
    4. 遠心によるpptを回収(Inclusion body)

    可溶化とrefolding

    • Inclusion bodyに6M 塩酸グアニジンや8M 尿素で溶解
    • 遠心または清澄ろ過
    • His-tagを付けていて、もしも純度が低ければ、Ni-NTA Sepharoseなどでbinding/elutionにて精製します。
      • 1M Imidazole(pH調整不要、pH8程度)を添加して25mM最終
      • Niカラムに添加
      • 25mM Imidazole, 6M 塩酸グアニジンで洗浄
      • 0.1M Imidazole, 6M 塩酸グアニジンで溶出
    • Niカラム精製してななければ
      • 1M Tris-HCl pH8を添加して20mM最終
    • 1M DTT添加して50mM最終 (還元剤)
      • refoldingで重要なSS結合は、pH8.3で最も効率的が高まります
    • 1M シスタミン(2塩酸塩)を添加して100mM最終 (酸化剤)
      • 後に希釈した際、DTT濃度が低下するとともに、タンパク質が本来の立体構造に戻ろうとします。その際、本来のSS結合としてシステイン同士が近づきますが、それを酸化して強固な立体構造にします
    • 即、水で6倍希釈
      • 1M 塩酸グアニジン
      • 8.3mM DTT
      • 16.7mM システイン2塩酸塩
    • 室温または15℃、あるいは4℃で一晩静置
      • 分解しやすい場合は、適宜、低温にする
      • あるいは、NaClを最終濃度として、0.15Mから0.5Mの範囲で添加すると分解酵素が抑制できる
    表 Buffer preparation
    Buffer Name調製方法
    1M ImidazoleImidazoleを水に溶かして1Mとする
    6M 塩酸グアニジン塩酸グアニジンを水に溶かして1Mとする
    1M Tris-HCl, pH8Trisを1Mとなる水より少ない量で溶かして、1M HClでpH8とし、水を追加して1Mとする
    1M DTTDTTを水に溶かして1Mとする
    1M Cistamine (2HCl)シスタミン2塩酸塩を水に溶かして1Mとする

    バッファ組成の置換

    バッファ置換により還元剤を取り除き、構造を確定させます。Refoldingがうまくいっているかの最初の判定としては、可溶性を維持しているかにかかっています。ほとんどのケースでは、説明した方法でRefoldingは問題ないはずですが、場合によっては可溶性が維持できず、バッファ組成の置換において不溶化します。そうなると結構厄介ですね。検討時間がなければ、このまま行きましょう。

    Refoldingの評価

    • UF/DF工程でバッファ置換しても可溶性を維持している
    • RP-HPLC (逆相クロマト)分析で、シングルピークであること(ミス・フォールドしていると2峰性のピークを示すことが多いので、それで判定できる)

    UF/DFの手順

    • UF/DF (タンジェンシャル・フロー)によるバッファ置換
      • 元のボリュームに戻す(6倍濃縮)
      • この濃度(ボリューム)を維持しながらDiafiltrationを実施
        • 透析バッファの例示
          • 10mM Histidine-HCl pH7
          • 10mM Tris-HCl pH8
          • 33mM Sodium Acetate pH5
        • 塩は入れない方が不溶化しないことが多い
      • 1000倍以上の希釈を目指す(8 diavolumeで1000倍希釈の計算となる)

    タンパク質の精製

    タンパク質の精製を行います。決して、二度目のNiカラム精製はNGです。精製特製が同じクロマトの使用は意味がありません。

    1. 陰イオン交換体による精製
      1. タンパク質の等電点pIが中性以下なら、その等電点より高いpHでパススルーさせるだけでも、DNAやEndotoxinが取り除けます。
      2. 回収率が悪い場合は、NaClの添加濃度を検討します
    2. ハイドロキシアパタイトによる精製
      1. BIO-RADのCHTが多用される
      2. リン酸が含まれていないバッファなら、取り敢えず、タンパク質は吸着します
      3. K2HPO4濃度(1M K2HPO4-HCl, pH7)を1mM, 5mM 10mM, 20mM 50mM 100mMと順番に、ステップワイズで処理します。どこかで、タンパク質が出てきます.
      4. 十分な濃度のK2HPO4にはせず、最低必要濃度に設定します
      5. その後、回収率や不純物の分布を知るために、0.3M K2HPO4でpost eluation/回収します。
      6. 更に、6M GuHClを1カラムボリュム(CV)添加、5 CVの水を添加して押し出してpost elution/回収します(なべく低いGuHClとしたいので。SDS-PAGEサンプルバッファーでGuHClが析出しますが、お湯で加熱して可溶化したら即、SDS GEL WellにInjectionできます。Wellで析出しても分析を強行します。多少の泳動の乱れは気にしません)
      7. 更に、0.1N NaOHを1カラムボリュム(CV)添加、5 CVの水を添加して押し出してpost elution/回収します(酢酸でpH中生にする)

    編集履歴

    2020/07/06 Mr.はりきり
    2020/07/10 追加(Buffer preparation)
    2020/07/11 追記(Refoldingの結果の評価)
    2020/08/19 追記(「はじめに」を追加、ハイドロキシアパタイト;CHT操作の追加、SDS-PAGE分析の注意点)

    以上

  • [Bio-Edu] Man5化抗体 (mAb)のPKクリアランスは2倍高い  [2020/07/04]

    [Bio-Edu] Man5化抗体 (mAb)のPKクリアランスは2倍高い [2020/07/04]

    論文の概要

    • ほとんどの抗体のアミノ酸位置297(Fc)にはグルコシル化部位がある
    • グリコシル化のパターンによっては、薬物動態(PK)、薬力学(PD)に影響を与える
    • その種類は、(1)マンノース、(2)シアル酸、(3)フコース(Fuc)及び(4)ガラクトース(Gal)が含まれる
    • 特に、マンノシル化(Man5, Man8/9)は、PKに影響しクリアランスが高くなる。その結果、薬効が不十分になる
      • 0timeで100~200μg/mLになるように投与(i.v. 10mg/kg)
      • 99% Fuc抗体では、28日後に10μg/mL
      • 99%以上Man5抗体と99%以上Man8/9抗体は同等の半減期であり、14日後に10μg/mL (図1)
    • シアル酸、N-アセチルノイラミン酸(NANA)のレベルによっては、PKに影響する可能性がある
    • グルカンであるFuc付加は、FcRIIIaとの結合性を低下させっ、ADCC活性を低下させる
    • Galレベルが低ければ、CDC活性も低くなる
    • NS0やSP2/0細胞では、「Gal1-3Gal1-4N-アセチルグルコサンミ-R」、「N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)」などが含まれる(ヒトには存在しない)が、NS0やSP2/0の遺伝子組換え体で作られた抗体医薬品が存在している
    図1. Fuc化抗体とMan5化及びMan8/9抗体のPK

    参考文献

    Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2015)

    https://www.researchgate.net/profile/Liming_Liu4/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins/links/5a5e6026458515c03ee0b245/Antibody-Glycosylation-and-Its-Impact-on-the-Pharmacokinetics-and-Pharmacodynamics-of-Monoclonal-Antibodies-and-Fc-Fusion-Proteins.pdf?origin=publication_detail

    市販の抗体とそのpIと血中半減期に関する文献。FcRnとIgGとの結合についてシミュレーションのデータあり。FcRnと結合親和性が高い抗体ほど、血中半減期は低くなる。

    Charge-mediated influence of the antibody variable domain on FcRn-dependent pharmacokinetics (2015)

    https://www.pnas.org/content/pnas/112/19/5997.full.pdf
  • [Protein] 免疫グロブリン – IgMは感染初期からIgGに先んじて作られ、その後、IgGにバトンタッチ!  [2020/06/26]

    [Protein] 免疫グロブリン – IgMは感染初期からIgGに先んじて作られ、その後、IgGにバトンタッチ! [2020/06/26]

    免疫グロブリンの種類と役割

    免疫グロブリンは、自然免疫の代表格ですが、その種類は5つあり、それぞれ役割があります(図1)。

    ひと昔前では、測定技術低さ・検出感度の低さの問題から、IgMの増加タイミングは、1~2週間後から、IgGについては、2~4週間後からと言われていました。

    しかし、最近では、検出感度の改善により、IgMは、感染早々から, IgGでは、感染後1週間後からと、相当早い段階から産生され初めているようです(図2)。ただし、免疫力を発揮する濃度に達するまで産生されるには、それより数日から数週間を待つ必要があるはずです。

    上記のように以前と今の違いを図2から考察してみます。IgMもIgGも産生されて、その濃度が最大になる頃を見てみると、IgMでは2週間、IgGでは1ヶ月になっています。したがって、それぞれ、産生量のピークとなる頃の期間であると認識すれば、正しい解釈であるとも言えます。

    • IgG : 1量体(150kDa) source、血中に存在する、長期間の免疫、感染後1週間後から増加する
    • IgA : 1および2量体(320kDa) source、唾液・涙に豊富、粘膜の粘液中に多く存在していて、遺物の体内への侵入を防ぐsource
    • IgM : 5量体(900kDa, 稀に6量体) source、血中に存在する、体内に侵入した異物を5ヵ所の結合部位で数珠繋ぎにすることでがんじがらめにする source。初期感染時(感染後早急)から作られるて異物に対処し、その後IgGに引き継ぐ
    • IgD : 1量体(180kDa)、2009年頃までその薬やは不明でしたが、呼吸器感染の免疫を担っているとのこと。上気道感染(扁桃腺、上気道組織)において分泌され、抗原との結合を切っ掛けに好塩基球が活性化するsouece
    • IgE : 1量体(200kDa)、寄生虫関連の抗体、IgEとアレルゲンの結合にヒスタミンがマスト細胞から放出されることにより痒み(その他)が症状して注意喚起する役割ですが、量が多いとアレルギーという症状に繋がりますsource
    図1. 免疫グロブリンの種類

    感染時のIgM/IgGの血中濃度

    図2. 免疫グロブリンの挙動、自然免疫の補体活性及び赤血球凝集活性を測定することで、感染と免疫応答を観る

    CFとHIの説明

    補体結合反応(CF)抗原抗体複合体と結合した補体を感作血球の不溶血を指標として間接的に証明。●群特異性が高い
    ●比較的早期に抗体消失
    ●感染スクリーニング用
    赤血球凝集抑制反応(HI)赤血球凝集能をもつウイルスの場合、その凝集を抑制する抗体を証明。●型特異性が高い
    ●早期に抗体が上昇、持続する

    編集履歴

  • [Kw] 脳下垂体 – 6つのホルモンを分泌  [2020/06/23]

    [Kw] 脳下垂体 – 6つのホルモンを分泌 [2020/06/23]

    脳下垂体

    脳下垂体からは6つのホルモンが分泌される。

    1. 成長ホルモンsource
      • (脳下垂体→) Growth Hormone →(肝臓→) IGF-I → (細胞の受容体) source: wikipedia
    2. 甲状腺刺激ホルモン
    3. 副腎皮質刺激ホルモン
    4. 性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン)
    5. 性腺刺激ホルモン(黄体形成ホルモン)
    6. プロラクチン(催乳ホルモン)

    下垂体後葉からは2種類のホルモンが分泌される。

    1. 抗利尿ホルモン
    2. オキシトシン(射乳ホルモン)

    下垂体の働きについて

    https://ghw.pfizer.co.jp/adult/pituitary/function.html

    脳下垂体とは

    http://www.acromegaly-center.jp/general/about_acromegaly/cause/noukasuitai.html

    巨人症

    https://www.nanbyou.or.jp/entry/3922

    成長ホルモン分泌の不足による「成長ホルモン分泌不全低身長症」 pfizerサイト – より

    https://ghw.pfizer.co.jp/comedical/cause/abnormality.html
    編集履歴
    2020/06/23 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Edu] 抗体医薬(mAb) – 物性・安定性

    [Bio-Edu] 抗体医薬(mAb) – 物性・安定性

    mAbの安定性の予測

    最近の抗体医薬(mAb)の濃度は、100mg/mLを超える高い濃度の製品が殆どとなった。

    特許 JP2011068675A Stable liquid pharmaceutical formulation of IgG antibody

    50mg/mL以上の高濃度IgGの安定的な溶液組成

    https://patents.google.com/patent/JP2011068675A/ja

    濃度が高いことで、mAb同士の衝突が高まるため、凝集化(Aggregates)の問題が浮上してくる。

    抗体医薬の使用期限の設定は、5℃保管で2〜3年程度であるが、その安定性を実際の期間でデータ取得することは当然としても、その安定化のためのバッファ組成の開発検討として、実期間を使って行うことは非効率である。

    そのため、加速試験の手法により開発検討が行われる。

    最新の文献によれば、以下の知見が得られている。

    • 100mg/mLのmAbを使った研究
    • 30℃でのAggregates増加曲線 : 約0.5%/week in 30℃ (グラフから読み取り)
    • 5℃と30℃では、mAbのAggregatesの増加曲線が相関する: 30℃のデータにあるファクターを掛ければ5℃でのAggregatesを予測できると考えられる
    • 5℃と40℃では、相関しない
    • 5℃と30℃では、Aggregatesの生成は二量体によるものが殆どであるが、40℃ではそれより多い多量体の増加によるAggregates生成となる

    Accelerated Aggregation Studies of Monoclonal Antibodies: Considerations for Storage Stability
    , Ruben Wa€lchli 1, Pieter-Jan Vermeire 2, Jan Massant 2, Paolo Arosio 1, Journal of Pharmaceutical Sciences 109(2020)595-602

    https://jpharmsci.org/article/S0022-3549(19)30718-X/pdf

    抗体100mg/mLの分子濃度は、4×1017分子/mL

    抗体医薬などのバイオ医薬品の物理化学的評価

    編集履歴
    2020/06/17 はりきり(Mr)

    Physicochemical Stability of Monoclonal Antibodies: A Review

    https://jpharmsci.org/article/S0022-3549(19)30506-4/fulltext

    Published:August 26, 2019DOI:https://doi.org/10.1016/j.xphs.2019.08.009

    概要

    モノクローナル抗体(mAb)は、タンパク質の性質に関連する不安定性の問題の影響を受けます。この作業では、モノクローナル抗体の不安定性、パラメーター、およびそれらの安定性に影響を与えるさまざまなメカニズム(タンパク質の構造と濃度、温度、インターフェース、光への曝露、賦形剤と汚染物質、および攪拌)とさまざまな分析を検討します。適切な物理化学的安定性研究に使用される方法:物理的安定性アッセイ(凝集、断片化、および一次、二次、および三次構造分析)、化学的安定性アッセイおよび定量的アッセイ。最後に、mAbs製剤のさまざまな公開された安定性研究からのデータが、それらの再構成された形で、または希釈された溶液をすぐに投与できる状態で、まとめられました。全体、mAbの物理化学的安定性は、製剤、環境、操作などの多くの要因に関連しており、それぞれ特定の特性情報を収集できるいくつかの補完的な分析手法を使用して徹底的に調査する必要があります。いくつかの安定性研究が発表されており、それらのいくつかは拡張された安定性の可能性を示しています。ただし、これらのデータは、調査方法論に潜在的な不足があるため、疑問視する必要があります。

    キーワード

    使用される略語: 

    Aspアスパラギン酸)、AUC分析超遠心)、AFM原子間力顕微鏡)、CD円二色性)、CDR相補性決定領域)、CEX陽イオン交換クロマトグラフィー)、CE毛管エレクトロマイグレーション)、CIEF毛管等電点電気泳動) 、CZEキャピラリーゾーン電気泳動)、CGEキャピラリーゲル電気泳動)、DNAdesoxyribonucleic acid)、Fab抗原結合フラグメント)、Fc結晶化可能フラグメント)、FT-IRフーリエ変換赤外線)、HOS高次構造)、ICH国際調和協議会)、INN国際非専有名称))、IV静脈内)、mAbモノクローナル抗体)、MALDIマトリックス支援レーザー脱離イオン化))、MS質量分析)、PAGEポリアクリルアミドゲル電気泳動)、Ph。Eur。ヨーロッパ薬局方)、pI等電点)、PMFペプチド質量指紋)、PVCポリ塩化ビニル)、RPLC逆相液体クロマトグラフィー)、SDSドデシル硫酸ナトリウム)、SECサイズ排除クロマトグラフィー)、TOF時間飛行中)、Tm熱展開温度)、UV紫外線

    前書き

    バイオ医薬品の使用は、組換えDNA技術の開発により80年代以降劇的に拡大しています。1モノクローナル抗体(mAb)はバイオ医薬品の主要なクラスであり、中枢神経系障害、感染症、心血管疾患など、がんから喘息までの幅広い疾患を対象とした適応症があります。モノクローナル抗体は、単一の細胞クローンから生成された正確なターゲットを持つ免疫グロブリン(または免疫グロブリンの断片)です。2それらは、ジスルフィド架橋で連結された4つの鎖(2つの軽鎖と2つの重鎖)で構成されるタンパク質です。これらのチェーンには、2つの異なるタイプのドメインがあります。各可変ドメインにある3つの相補性決定領域(CDR)は、そのターゲットへの抗体結合の特異性に関与しています。最後に、四次構造全体を3つのフラグメントに分割できます。1つの軽鎖、1つの可変重ドメインと1つの定常重ドメイン、および1つの結晶化可能なフラグメントを含む2つの抗原結合フラグメント(Fab、抗体の「アーム」に対応) (Fc、抗体の「ベース」に対応)両方の重鎖の残りを含みます。図1は、これらのさまざまな構造をまとめたものです。

    図サムネイルgr1
    図1 抗体の一般的な構造。Fc、結晶化可能なフラグメント; Fab、抗原結合フラグメント。V、可変ドメイン。C、定常ドメイン。L、軽鎖; H、重鎖; SS、ジスルフィド結合。大きな画像を見る高解像度画像をダウンロードダウンロード(PPT)

    抗体は、構造と機能が異なる5つのアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgE、IgD)に分類されます。IgGアイソタイプは、特にヒンジ領域のジスルフィド結合の数が異なるサブタイプにさらに分類できます。IgG 1は医薬品製造で最も一般的に使用されるサブタイプですが、IgG 2およびIgG 4が見つかることもあります(たとえば、IgG 4サブタイプは、さまざまな抗炎症メカニズムの免疫療法の設計で使用されています)。4、 5特許が失効すると、治療用タンパク質は他の企業による開発と製造に開放されます。ただし、「ジェネリック」という用語は不適切です。これは、新しい製品がまったく同じ細胞株によって生産されないため、まったく同じものを複製することができないためです。たとえば、翻訳後の違い(グリコシル化)または変更された高次構造が存在する場合があります。「バイオシミラー」という用語は「類似バイオ医薬品」の略であり、欧州医薬品庁によって「欧州連合で承認済みの別の生物医学(「参照医学」と呼ばれる)と非常に類似している生物医学」として定義されています。構造、生物活性と有効性、安全性と免疫原性プロファイル(タンパク質や他の生物医学の免疫応答を引き起こす固有の能力)の用語」6 同様の定義を持つ米国食品医薬品局。7 マーケティングの承認要件には、分析(物理化学的および生物学的)と臨床(薬物動態、薬力学、安全性、および効力)の両方の参照生物医学との比較可能性研究が含まれます。8 承認とマーケティングの後、他の適応症は、比較可能性の広範な正当化に基づいてのみ、そしてさらなる臨床研究なしに、参照生物医学から推定され得る。8 ただし、臨床データの外挿は、特に癌の適応症において困難な場合があります。9 同様に、mAbのような複雑なタンパク質は不可避的に微小不均一性を持ち、翻訳後修飾されたバリアントを含みます。これは、可能な賦形剤の変更と異なる製造条件と組み合わせて、安定性データの外挿を複雑なプロセスにします。10チャイニーズハムスターの卵巣などの哺乳動物細胞を介した治療用抗体の製造中、多数のパラメータが、細胞株の変動、経時的な細胞継代数、長時間の細胞継代などの望ましくない改変の原因となる可能性があります。環境細胞培養条件。11 グリコシル化(例、N-結合型グリコシル化)などの翻訳後修飾は、生物学的活性を変化させる可能性があります。12 たとえば、抗体依存性細胞性細胞傷害活性に影響を与えるフコシル化レベルの変化、13 mAbの安定性も同様です。14 例えば、三村ら。15 それはmAbsの熱安定性に重要な役割を果たすかもしれないが、ガザブルセコとリューは16 は、オリゴ糖がpH 4で断片化率を低下させたが、5から9の間では低下させなかったことを示しました。mAbはその後、不安定な状態に陥る危険性のあるさまざまな状況に遭遇する可能性があります。たとえば、再パッケージング、偶発的な凍結、静脈内(IV)バッグでの通常の希釈、IVラインによる投与などです。17さらに、特定の状況では、公開された安定性研究に基づいて、ユーザーは、希釈バッグと再構成されたバイアル保存時間に関する製品特性の推奨事項の概要から逸脱する場合があります。ただし、これらの安定性研究の信頼性は、タンパク質の安定性のすべての側面を探究しないと不確実であり、その結果がすべての状況に転用できず、mAbが不安定になるリスクがあるため、これは慎重に行う必要があります。そのようなイベントの臨床結果は、特に免疫原性の可能性に関して、まだ調査中です、18 関係が完全には理解されておらず、分解経路に依存しているように見えても、いくつかの出版物が凝集体による免疫応答の増強を示しているため、利用可能なデータは必ずしも安心できるものではありません。19、 20、 21、 22タンパク質の安定性に関する全体的なテーマについて多くの優れたレビューがあるにもかかわらず、23、 24、 25、 26日、 27日、 28この作業の目的は、mAbの安定性に関する最新のレビューと、mAbのさまざまな公開された安定性研究からのデータの編集を、再構成された形式で、または希釈した溶液をすぐに投与できる形で提案して、読者に比較を提供することです市販後の安定性研究の概要と、段階的な提案によるタンパク質安定性研究の推奨事項へのコンプライアンスの潜在的な欠如を指摘する。完全に理解するために、まず適切な物理化学的安定性研究に使用されるさまざまな分析方法の説明に入る前に、mAbが受けるさまざまな不安定性メカニズムとその安定性に影響を与えるパラメーターと条件について簡単に説明し、最終的にコンパイル自体を示します。重要な主題であるにもかかわらず、

    mAb不安定性メカニズム

    タンパク質の分解は、化学的不安定性と物理的不安定性に分類できるさまざまな不安定性メカニズムに起因する可能性があります。化学反応は物理的な不安定性につながる可能性があるため、これらの不安定性は密接に絡み合っています29日 物理的不安定性は化学的に影響を受けやすい残基へのアクセスを与えるか、相互作用する可能性のある残基間のギャップを閉じるかもしれません、28不安定性の元々の原因が何であるかを知るのが難しいとしても。たとえば、Luoら。30凝集体におけるいくつかの化学修飾の存在を示した。ただし、これらの変更が存在するか、集計前に存在しないかについては結論を出しませんでした。

     化学的不安定性

    ジスルフィド結合の形成を含む酸化は、最も頻繁な化学分解の1つです。これは、酸化剤(過酸化物、光、金属など)が存在する場合、または存在しない場合に発生し、自動酸化と呼ばれます。28 メチオニン、ヒスチジン、システイン残基など、一部の残基は特に酸化されやすい。28、 31 ジスルフィド結合の形成は、チオレートアニオン中間体を含む2つの酸化された遊離残基間で発生するシステイン酸化の結果の1つです。24 これらのブリッジの形成は分子内または分子間であり、基本的な環境で強化されます。28タンパク質のもう1つの主要な化学的分解プロセスは脱アミド化であり、主にアスパラギンに影響を与え、グルタミン残基にも影響を及ぼします。これは、酸塩基反応であり、プロトンドナーとして機能する可能性のある特定の近くの残基(たとえば、スレオニンまたはセリン)の存在によって促進され、環状ペプチド中間体が形成され、ポリペプチド構造に歪みが生じる可能性があります。25、 32、 33 アスパラギンの場合、スクシンイミド中間体は自発的にアスパラギン酸またはイソアスパラギン酸に加水分解されます。34mAbsの断片化は、ジスルフィド結合またはペプチドで発生する可能性があります。28ジスルフィド結合の破壊により、完全鎖の断片が生じます(例、「ワンアーム」mAb、遊離軽鎖)。28ペプチド結合の切断は、性質とサイズが異なる低分子量種をもたらし、酵素的または非酵素的メカニズムによって引き起こされる可能性があります。その柔軟性とアクセシビリティのため、不安定領域のメカニズムが完全に特徴付けられていない場合でも、ヒンジ領域は特に切断の影響を受けやすくなっています。28、 33 例えば、コルドバ等。35は、ヒンジ領域のパパイン部位でのmAb切断を研究しましたが、プロテアーゼ阻害剤の添加によって変化しないことがわかったため、非酵素的メカニズムを結論付けました。アスパラギンとアスパラギン酸の残基は、おそらくスクシンイミド中間体を介して、自然発生的な加水分解の影響を特に受けやすいようです。ただし、この分解経路は、治療用mAb製品の寿命中に通常遭遇しない条件(高酸性条件および高温)でのみ観察する必要があります28、 31 そして、適切な処方により予防された。31糖は、mAb製剤の安定化賦形剤として、およびIVバッグ(5%デキストロース)の希釈溶媒として使用されます。メイラード反応としても知られている糖化は、アマドリ転位を受けて安定したケトアミンを形成し、タンパク質の構造と機能に影響を与え、褐変の原因となるシッフ塩基の形成を通じて、還元糖とタンパク質の間で発生します。24、 36細胞培養の生産から投与まで、mAbの寿命の間に数回発生する可能性があります。37賦形剤に関しては、現在、非還元糖がほとんど唯一使用されています。しかしながら、還元糖は、非還元糖からの分解生成物として依然として見られるかもしれない。38mAbの化学修飾の影響は、その場所に大きく依存します。28、 39 たとえば、Fcフラグメントで発生する脱アミド化による影響はほとんどない可能性がありますが、FabフラグメントのCDRにある場合、結合親和性とmAb効力が低下する可能性があります。39酸化は同じ結果をもたらす可能性があり、Fcフラグメントにある場合、FcRnへの結合親和性を低下させ、マクロファージへの親和性を低下させるか、mAbクリアランスを増加させます。31、 40 さらに、いくつかの研究では、化学的不安定性が立体配座の改変と凝集につながる可能性があることが示されています。41 例えば、バーキット等。42メチオニンの酸化は二次構造を不安定化しやすいことを示した。mAbの化学修飾により、等電pH(pI)値が変化することにより、電荷が不均一になる可能性があります。脱アミド化で見られるように、全体的な負電荷の増加(pI値の減少)、31酸化またはコハク酸イミドの形成に見られるように、全体的な正電荷の増加(pI値の増加)により、塩基性の変異体が生じるのに対し、酸性変異体が生じます。pI(1ユニット以上)の主要な変更は、薬物動態の変化の原因である可能性があります。43 興味深いことに、いくつかの研究は、pIの増加が、組織の取り込みの増加から、mAbの血清半減期の減少を引き起こす可能性があり、皮下バイオアベイラビリティを変化させるように見えることを示しています。44、 45 一方、pIの減少は、mAbの全身クリアランスの全体的な増加の原因であると思われました。45

     身体的不安定

    タンパク質の変性とは、アンフォールディングにより高次構造が失われることを指します。これは、前述の化学的不安定性、または極端な温度やpHなどの環境条件に起因する可能性があります。アンフォールディングの結果は、mAbの機能の直接摂動、例えばヒンジの柔軟性の低下、または凝集の促進である可能性があります。28集約は主要な物理的不安定性です。46 これは、サイズやそれらを結合する結合の性質に関係なく、最初はネイティブで折り畳まれたタンパク質から高分子量種(多量体)へのアセンブリです。29日 凝集体は、弱い非特異的結合(ファンデルワールス相互作用、水素結合、疎水性および静電相互作用)のみから形成され、一次構造は変化せず、この現象は物理的凝集または自己会合と呼ばれるか、ジスルフィド結合を含む共有結合を含みます。そして、共有結合凝集と呼ばれます。24、 29日 どちらのメカニズムも、可溶性凝集体または不溶性沈殿凝集体の形成につながる可能性があります。凝集は、特に後の段階では、しばしば不可逆的であり、凝集体は、非ネイティブなコンフォメーションを持つ高レベルのタンパク質を含むことがよくあります。24、 27日、 47不可逆的な集約は、Lumry-Eyringモデル(式1)で説明できる複数ステップのプロセスです。しかし、内山が述べたような他の凝集経路が存在します。27日式1、Lumry-Eyringモデル(N:ネイティブ、U:展開、D:非アクティブ):N ↔ U → D

  • [Bio-Edu] Plasmid – バイオロジクスには欠かせない遺伝子組換え技術、そして rAAVを作るまで! – AAV Vector配列の例 [2020/08/05]

    [Bio-Edu] Plasmid – バイオロジクスには欠かせない遺伝子組換え技術、そして rAAVを作るまで! – AAV Vector配列の例 [2020/08/05]

    はじめに

    rAAV: recombinant Adeno Associated Virus による遺伝子治療薬の開発には、遺伝子組換え技術が使われている為、この知識がなくてはならい。

    rAAVを作るには、これまでのタンパク質を作ることとは、何倍も複雑かつ多数の手間が掛かっている。

    遺伝子組換え技術からrAAVを作るまでの基礎知識を解説する。

    編集履歴
    2020/04/07 はりきり(Mr) まずは、遺伝子組換え技術
    2020/06/21 追記(rAAV作成に必要なベクター製品)
    2020/08/04 追記(必要なPlasmidとその機能)

    まずは、遺伝子組換え技術

    1) 遺伝子工学の技術

    遺伝子工学の技術 – 福岡大学 –

    http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/genetech.htm

    以下の用語は、同義である。

    • 遺伝子工学 (gene technology, genetic engineering)
    • 遺伝子操作 (gene manipulation)
    • 遺伝子組換え技術 (recombinant DNA technique)

    これら技術は、1970年代に発見された以下の要素で構成されている

    • 制限酵素 (遺伝子の特定部位を切断する酵素)
    • 逆転写酵素 (DNAからmRNAが作られるが、逆に、mRNAからDNA(cDNA)を作る(転写する)酵素
    • リガーゼ (別々のDNA断片にそれぞれ、認識特異配列を認識してDNAを繋ぐ酵素)

    ベクター

    有用と考えた遺伝子配列を細胞に組込む場合、先ず、ベクターという器にその遺伝子配列を載せなければならない。ベクターには、以下のものがある。

    • ファージ
    • ウイルス
    • プラスミド (Plasmid) : 多くのバクテリアの核外の遺伝子で、組換技術用にデザイン・改変された鋳型となるPlasmidが市販されている)
    • コスミド
    • 酵母人工染色体

    大腸菌とPlasmid

    • 大腸菌(E.coli)は、2μmのソーセージの形をしていて、至適な環境では25分で2倍に分裂増殖する。4μmに成長すると中央がくびれて2個になる。菌の中央に位置する染色体DNAは、4000個の遺伝子をコードしており2本鎖で環状である
    • 多くの大腸菌株には、染色体DNA以外に小さい環状の2本鎖DNAを持ち、これをPlasmidといいい、染色体DNAと同様に分裂増殖する際に複製される
    • Plasmidの種類として大きく分けてR (resistant)-Plasmid, F (fertility)-Plasmid (雄株が持つ)がある。
      • Rプラスミド: 薬剤耐性の遺伝子を含む
      • Fプラスミド: 雌株に接合してFプラスミドを伝達する機能
    • 雄の大腸菌は、雌の大腸菌の細胞内に自分のPlasmidを挿入する過程で自分の染色体DNAを伝達することがあり、遺伝子の交雑が起こる
    • 以上の現象などから、遺伝子組換え技術が考案され、大腸菌間の遺伝子組換えを人為的に行える技術が確立されできた。
      • 自然界にPlasmidが存在する
      • そのPlasmidの機能を利用するのが、遺伝子組換え技術

    制限酵素

    遺伝子組換え技術における「ハサミ」である。ThermoFisherには概説。制限酵素の一覧は、TaKaRaを参照

    • それぞれ種々の配列を認識して切断する多数の制限酵素が知られている
    • EcoRI (図1参照)は、GAATTCと相補的(CTTAAG)に結合しているDNAを選択的に、「のり代」のある形に切断する
      • G-AATTC (CTTAA-G) : ‘-‘で切断
    2) 大腸菌と組み換えDNA技術

    大腸菌と組み換えDNA技術

    京都 WEB マガジン 現代アートとサイエンス No.11

    https://plasmid.med.harvard.edu/PlasmidRepository/file/map/pAAV-MCS.pdf

    DNAリガーゼ (ligase)

    遺伝子組換え技術における「のり;糊」であるsource

    • Plasmid (環状DNA)の一部の領域に制限酵素により「のりしろ」付き状態にしたところに、目的遺伝子(同様に「のりしろ」状態)を結合させて、環状DNA(Plasmind)にする酵素
    • DNAの末端同士をリン酸ジエステル結合させる

    大腸菌にタンパク質を作らせる

    • 最も初期の遺伝子組換え技術の応用例として、糖尿病治療薬のインスリン、ウイルス抑制因子のインターフェロンの大腸菌による生産がある
    • 天然のPlasmidを鋳型として、適切な位置にインスリンやインターフェロンをコードした遺伝子配列を挿入し、デザインしたPlasmidを作る
      • まず、

    Competent Cell

    Competent Cellとは、Plasmidを細胞内に導入しやすいようにダメージ処理が施され安定保存された細胞のことsource、wikipedia

    • カルシウムイオン存在下で冷却処理(膜透過性の増大)
    • 凍結保存(-80℃以下)

    製品

    XL-Blue Competent Cells(Agilent)

    • XL2-Blue UltraCompetent Cells
    • XL1-Blue SuperCompetent Cells
    • XL1-Blue Electroporation-Competent Cells
    • XL1-Blue Competent Cells
    • XL-2-Blue Subcloning Grade Competent Cells

    特徴

    • プラスミドベクター/ラムダファージベクターの両ベクターの増幅に両できる菌株
    • 表現系: EndA(-)
    • Plasmid DNAの増幅/回収に適したCompetent Cell
    • Blue/White スクリーニング、ファージミドDNAのsingle-strandレスキューが可能
    • F7エピソームは、抗生物質耐性
    • XL1-Blue : エレクトロポレーション・コンピテント・セル(>=1e9)
      • 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr)]
    • XL2-Blue : ウルトラコンピテント・セル(>=5e9)
      • 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr) Amy Camr]a
    • カルタヘナ対応が必要

    rAAVを作る

    必要なPlasmidとその機能

    ベクタープラスミドとヘルパープラスミドには、共通する塩基配列があると、相同性組換えによって野生型のウイルスの出現の可能性が高まるため、共通配列が存在しないようにデザインする。

    • ベクタープラスミド (Vector Plasmid)
      • 目的は、目的遺伝子の挿入
      • 両端のITRのみを残し、目的遺伝子を挿入
    • Rep/Cap プラスミド (Rep/Cap Plasmid)
      • 目的は、DNA複製タンパク質とカプシドタンパク質をコードする遺伝子の挿入
    • ヘルパープラスミド (Helper Plasmid)
      • 目的は、AAVの増殖に必要なadenovirus由来遺伝子の挿入 (宿主のHEK293には、更に必要となるE1A, E1Bを持っているため、これらは必要ない)
      • E2A, VA, E4 or f6
    3) AAVを利用した遺伝子治療

    4. AAVを利用した遺伝子治療 – ウイルス 第57巻 第1号 pp.47-56, 2007 –

    http://jsv.umin.jp/journal/v57-1pdf/virus57-1_047-056.pdf

    Vector製品

    Vectorは、Plasmid構造になっています。「運び屋」の別名を特に付けている訳です。

    Agilent社のベクター製品

    recombinant AAVを生産させるための材料として、どのようなものが必要なのか理解することができる。

    (1)目的遺伝子ベクター、(2)rep/capベクター、および(3)Helperベクター、の3つのベクターを、感染性AAV粒子を作るために必要な補間遺伝子をコードするHEK293細胞に同時感染させ、感染性recombinant AAV (rAAV)を作成するための製品群。

    • pCMV-MCSベクター
      • 4.5kb
      • クローニング・ベクター
      • マルチクローニングサイトに目的遺伝子をクローニング → 「pAAV-CMV-MCSベクター」作成
        • 同時トランスフェクション
      • pAAV-MCS、pAAV-LacZへサブクローニグ可能
    • pAAV-LacZベクター
      • 7.3kb
      • クローニング・ベクター/コトロール・ベクター
      • LacZはレポーター
      • pAAV-MCSを作るため自立複製能を持たないAAVベクター
      • Not IでLacZカセットの切り出し、pCMV-MCSベクターから取り出した目的遺伝子カセットクローニングできる →「pAAV-MCSベクター」作成
        • 同時トランスフェクション
    • pAAV-RCベクター
      • 感染性があるrAAV2粒子を作るのに必要
      • rep/cap遺伝子 (DNA複製タンパク質/カブシドタンパク質)
      • 同時トランスフェクション
    • pHelperベクター
      • rAAV2発現用
      • AAV-293細胞との組み合わせで機能する
      • Adenovirus由来遺伝子(E2A, E4, VA RNAs)
      • AAVのlytic phaseの誘発
      • 同時トランスフェクション
    • AAV-293細胞
      • Adenovirus由来の遺伝子をコード(E1A, E1B)
      • トランスフェクション用細胞
    • AAV-HT1080細胞
      • ウイルスのタイター測定用細胞
    4) AAV Helper-Free System

    AAV Helper-Free System

    Agilent (ストラタジーン)

    https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=300079

    AAV Vector

    Example

    図1. pAAV-MCS ベクター
    TypeNameDescriptionStart PositionEnd Position
    viral LTRITRAAV inverted terminal repeat00
    promoterCMVpCMV promoter for mammalian expression00
    gene fragmentbgexIIbeta-globin exon II fragment00
    gene fragmentbhIVSIIbgIVSII fragment00
    MCSMCSMCS (EcoRI, NotI, BamHI, SalI, XhoI, BlgII)00
    gene fragmentbgexIIIbgexIII fragment00
    viral LTRITRAAV inverted terminal repeat00
    ssDNA originF1 oriF1 origin for ssDNA production00
    selectable markerampRampicillin resistance gene00
    bacterial originColE1ColE1-type bacterial origin00
    https://plasmid.med.harvard.edu/PLASMID/GetVectorDetail.do?vectorid=221
    5) AAV – wikipedia

    AAV – wikipedia

    https://ja.wikipedia.org/wiki/アデノ随伴ウイルス