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  • 気になる企業 – Sanofi – 新型コロナワウイルス・ワクチンの開発を組換えタンパク質ベースとmRNAで臨床試験が進められている  [2021/03/12]

    気になる企業 – Sanofi – 新型コロナワウイルス・ワクチンの開発を組換えタンパク質ベースとmRNAで臨床試験が進められている [2021/03/12]

    Sanofi

    • France (54, rue La Boétie 75008 Paris)、Home Page
    • 2019年の売り上げは、€36.1 bn (約4.4兆円)
    • Insulin製剤の3大メーカーの1つ
    • Insulin plant
    • Sanofi-Aventisの社名は、2012年まで
    • ビジネスユニット
      • Sanofi Genyme
      • Sanofi Pasteur

    Sanofi Pasteur

    Sanofi Pasteurは、Sanofi社のワクチン部門です。

    mRNAによるSARS-Cov-2ワクチン

    Translate Bio (NASDAQ:TBIO) 社と共同で開発していた新型コロナウイルス(Sars-Cov-2)に対するmRNAワクチン (MRT5500) の動物試験のデータが出てきました。

    マウスとカニクイザルでのデータです。3週後に2回目を投与することで更に中和抗体価は高まり(セロコンバージョン)ました。この結果を受けて、2020/Q4から、ヒトでの臨床試験(P1/2)が開始されるようです。source

    • Sタンパク質
      • 2つの変異
        • 2P : 細胞膜結合前の状態に関わる変異
        • GSAS : 宿主細胞が分泌するfurinによる切断による変異
    • 前臨床(マウス)
      • 3週間間隔で2回のワクチン接種
      • 投与量 : 0.2、1、5、および10 µg
    • 前臨床(非ヒト霊長類; NHP)
      • 3週間間隔で2回のワクチン接種
      • 投与量 : 15、45、および135 µg
      • 力価測定 : 2種類の中和アッセイ
        • 偽ウイルス中和
        • マイクロ中和
      • 結果
        • 最初の投与後、NHPの大部分はSARS-CoV-2スパイクタンパク質に反応する中和抗体が確認された
        • 抗体価は2回目の投与後にさらに増強され、NHPの100%が日ごとに増加し、投与開始後35日までは、ヒトの回復期血清の抗体価よりも有意に高いレベル達した
    • Th1細胞の応答優位が示された。Th1(細胞性免疫, ヘルパーT細胞、CD4+)、Th2(液性免疫)

    MRT5500の進展

    2021/03/12, mRNACOVID-19ワクチン候補の第1/2相臨床試験を開始)

    • 前臨床データが高い中和抗体レベルを示した後の安全性、免疫応答および反応原性を評価するための臨床試験
    • 415人の参加者を登録する予定。
    • 2021年第3四半期に予想される中間結果
    • 並行して、新たなSARS-CoV-2変異体に対する追加のmRNA候補を評価するための前臨床試験が進行中。

    組換えタンパク質ベースによるSARS-Cov-2ワクチン

    mRNAとは別の季節性インフルエンザ・ワクチンと同じ技術である「組換えタンパク質」ベースのSARS-Cov-2ワクチンについても、GSKと共同開発しています。GSKのアジュバントとの組み合わせで、9月にP1/2が開始されています。

    Sanofi Genzyme

    • US, サイト
    • 2011年にGenzymeは、Sanofiに吸収されてビジネスユニットとなった source
    • ビジネスユニット領域
      • 日本では、希少疾患領域、希少血液疾患領域、オンコロジー領域、免疫領域、リウマチ領域の5つ
    • Genzymeは、2005年に遺伝子治療薬開発のAvigen, Incの技術を取り込んでいる
    • 製品
      • Aldurazyme (laranidase)
      • Alprolix (Coagulation Factor IX)
      • Aubagio (teriflunomide)
      • Cablivi (caplacizumab-yhdp)
      • Cerdelga (eliglustate) capsules
      • Cerezyme (imiglucerase for injection)
      • Clolar (clofarabine injection)
      • Dupixent (dupilumab) injection
      • ELITEK (rasburicase)
      • Eloctate (Anthihemophilic factor(Recombinant), Fc Fusion Protein
      • ELOXATIN (oxaliplatin)
      • Fabrazyme (agalsidase beta)
      • JEVTANA (cabazitaxel)
      • KEVZARA (sarilumab) injection
      • LEMTRADA (alemtuzumab
      • LIBTAYO (cemiplimab-rwlc) injection
      • Lumizyme (alglucosidase alfa)
      • Sarclisa (isafuxamab-irfc) injection for Intravenous Use
      • TAXOTERA (docetaxel) injection
      • ZALTRAP (ziv-aflibercept) injection for intravenous injusion
    • 開発品
      • 19のmAbの免疫疾患(biosimilar,その他)
      • 23のmAbのガン領域(ADC含む)
      • その他mAb(to C1s, etc)
      • RNAi
      • small molecle

    Sanofi Genezyme

    https://www.sanofi.co.jp/ja/about-us/product/genzyme

    Division of MediciNova Inc.  
    www.avigen.com : 今はもう無い

    Avigen, Inc.’s Gene Therapy Technology Acquired By Genzyme Corporation

    https://www.biospace.com/article/releases/avigen-inc-s-gene-therapy-technology-acquired-by-genzyme-corporation-/
  • COVID-19関連 — PCR全自動検査装置: エリートインジーニアス –  フランスから感謝状が送られたとい素晴らしい装置 – Precision System Science社、は日本の企業です.でも、装置だけでは測定はできない [2020/11/21]

    COVID-19関連 — PCR全自動検査装置: エリートインジーニアス – フランスから感謝状が送られたとい素晴らしい装置 – Precision System Science社、は日本の企業です.でも、装置だけでは測定はできない [2020/11/21]

    エリートインジーニアス

    エリートインジーニアスは、プレシッション システム サイエンス社(Precision System Science; PSS)が開発するPCRの自動検査装置です。機能、オプションの違いにより数種類のラインナップがあります。
    海外、特に欧州での当局による審査がスムーズであるため、日本の企業が開発する医療機器の承認申請は、欧州で行うことが殆どであるとのです。

    そういった中、欧州で販売することが承認されたPSS社のPCR自動測定装置がフランスでCOVID-19のPCR検査で活躍しています。

    サンプル中のウイルスからの遺伝子の抽出などの作業が自働に行うため、専門の技師が必要ではないため、熟練技士の調達という律速がありません。

    取得したサンプルは、加熱処理して滅菌した後、装置にセットするだけで、2時間後には結果が出力されます。

    プレジッション システム サイエンス社、PCR自動測定装置

    http://www.pss.co.jp/product/genelead/lead12plus.html

    でも、装置だけでは測定できない

    測定装置だけでは、PCR測定はできません。装置は、反応を行う条件を自動に設定しますが、その反応そのものは、測定したいサンプルの他に、反応試薬(PCRキット)が必要になります。PCRキットには、核酸抽出試薬、転写酵素、プライマーおよび増幅酵素が含まれます。これらのキットは、高価であるため、機械によって効率的に測定をこなせたとしても、PCRキットの価格が低下してこないと、測定にかかるコストは低くすることは難しいのです。

    PCRキットは、日本製ではありません。日本は、決して世界の技術の中心にはいないのです。

    編集履歴
    2020/07/30 はりきり(Mr)
    2020/11/21 追記 (装置だけでは測定できない)
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    BioNTech社とPfizerが共同開発するmRNAをベースの新型コロナウイルス感染症に対するワクチンです。開発ワクチンは、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(receptor binding domain; RBD)をコードするヌクレオチド修飾メッセンジャーRNAをベースにしている(BNT162b2)
    アデノウイルス・ベクターにいて、複数の文献を網羅的にレビューした英語の文献を基に、アデノウイルス・ベクターは、HEK293細胞と依存関係があり、その歴史的な成り立ち、免疫原性や細胞毒性の低減化改善の歩みとして、第一世代から現在に至る第三世代までのベクターの特徴について解説した。
    Post Views: 328 AstraZeneca AstraZeneca HOME PAGE サイトから 2019年売上高 : $ 24.4bn (約2.4兆円) 2020/12のAlexion買収二より、武田薬品…
    Post Views: 306 ウイルス拡散量 WHO発表による行動による新型コロナウイルスの拡散量について、NHK関西のニュース番組であった。 行動 新型コロナウイルス量 くしゃみ 40,000個 せき 3,000個 …
    Post Views: 280 Pfizer 日本でPfizerが知れ渡ったのは、新型コロナウイルスのワクチンを最初に日本で承認されたことでしょう。Pfizerは、日本での製薬会社の最大手である武田製薬工業よりも、何倍も…
    Post Views: 253 FDAは、抗マラリヤ薬で知られる「ヒドロキシクロロキン」のCOVID-19感染予防に対する緊急使用を許可していましたが、効果が無いこと、及び心臓への副作用も強いことから、緊急使用を撤回しま…
    Post Views: 258 CROの宣伝ビデオ Creative Biolabs Inc.というCROが、アメリカのニューヨークに本社を構えています。このCROについて調査している過程で、宣伝ビデオを沢山公開している…
    Post Views: 236 はじめに 検出感度が高いPCRよりも感度は低いものの、15分程度で抗原の検出が可能な測定方法で、「イムノクロマト」と原理を利用しています。 2022/01/末、世界では、デルタ株からオミク…
  • [Vc] Pfizerの新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン – Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine の組成  [2021/06/10]

    [Vc] Pfizerの新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン – Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine の組成 [2021/06/10]

    BNT162とは

    ドイツのBiopharmaceutical New Technologies (BioNTech) 社とPfizerが共同開発するmRNAをベースとする新型コロナウイルス感染症に対するワクチンです。開発ワクチンは、SARS-CoV-2受容体結合ドメイン(receptor binding domain; RBD)をコードするヌクレオチド修飾メッセンジャーRNAをベースのワクチン(BNT162b2)

    • 2020/11/09, 4万3千人を対象に進められているP3臨床試験の途中集計として、その予防効果は90%以上あることを発表したsource
    • 2020/10/20, 日本人におけるBNT162b2の安全性、認容性および免疫原性を評価目的にPhase 1/2試験(160名、20~80歳日本人、BNT162b2とプラセボの比 3:1)を開始したと発表。BNT162b2は30μgを21日間隔で2回接種し、最終接種から12ヶ月後まで評価する計画。BNT162bは、最適化されたスパイクタンパク質の全長をコード強いる。BNT162b2は、ドイツ、米国、ブラジル、アルゼンチンを含む世界で最大120治験実施施設で、44,000人の参加で国際共同治験2/3相が評価中。この試験と、今回の日本出の試験のデータを用いて、日本での製造販売用視認を申請する予定です。承認が得られた場合、1億2000万回分のCOVID-19ワクチンを2021年上半期に日本に提供されるsource
    • 2020/07/31, 日本に対して来年6月までに6000万人分の供給を約束した
    • 2020/07/01, BioNTech社との共同研究であるSARS-COV-2に対するmRNAベースのワクチンの臨床試験(4候補、Phase I/II)の早期データを発表(45例の評価) source
      • 10μg/30μgの投与
      • 28日目, RBD結合IgG抗体濃度が上昇し、SARS-CoV-2に対する中和抗体価が確認された
      • 深刻な有害事象は無かったことから、今後のPhase IIb/3での有効性試験における主要候補と容量レベルの選択が可能となった

    BioNTech

    mRNAをベースに治療薬を開発するベンチャー source

    • mRNAベースの治療薬開発
    • コンピューターテクノロジー
    • 共同研究など他社との協業
      • Genmab
      • Sanofi
      • Bayer Animal Health
      • Genentech
      • Genevant
      • Fosun Pharma
      • Pfizer

    因みに、AstraZenecaが開発している新型コロナウイルス感染症ワクチンは、Adenovirsを使ったワンチンです。T細胞の免疫応答の強化が期待できるため、mRANワクチンよりもワクチン効果が高いことが期待されています。関連記事もご覧ください。

    ワクチンの臨床結果による有効性の比較

    世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。

    Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成

    Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンは、SARS-CoV-2表面の改変したスパイク・糖タンパク質(spike (S) glycoprotein)をコードするメッセンジャー RNA (modRNA)を脂質膜で粒子状にした製剤です。提供形態は、凍結品で以下の組成になっています。

    • 凍結品 (ドライアイス; 75℃程度)で保管・輸送
    • 使用時には、1.8 mLの0.9% Sodium Chloride (diluent) で希釈
    • 複数回用
    • 0.3 mL投与
      • 30mg of modRNA
      • 0.43 mg (4-hydroxybutyl)azanediyl)bis(hexane-6,1-diyl)bis(2-hexyldecanoate)
      • 0.05 mg 2[(polyethylene glycol)-2000]-N,N-ditetradecylacetamide
      • 0.09 mg 1,2-distearoyl-sn-glycero-3- phosphocholine
      • 0.2 mg cholesterol)
      • 0.01 mg potassium chloride
      • 0.01 mg monobasic potassium phosphate
      • 0.36 mg sodium chloride
      • 0.07 mg dibasic sodium phosphate dihydrate
      • 6 mg sucrose
      • (contributes an additional 2.16 mg sodium chloride per dose)
    • 3週間空けて2回の接種

    Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine – Fact Sheets and Additional Information – FDA

    特に、日本語のファクトシートを見たい場合は、ワクチン接種を受ける人と介護従事者のためのファクトシートを参照

    https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/pfizer-biontech-covid-19-vaccine

    審査結果報告書

    製造方法

    審査結果からわかる製造方法は以下の通り。

    • plasmid DNA(pDNA)を大腸菌の培養により得る
    • 大腸菌を溶解してpDNAの抽出、精製される
    • pDNAを直鎖DNAにしてから、転写によるmRANを得る。必要な精製処理が行われる
    • 転写で使用されるUTPは、改変されたものである
    • mRNAはLNPで製剤化されている

    コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS- CoV-2)

    (有効成分名:トジナメラン) , H2年 3月 12日

    https://www.pmda.go.jp/drugs/2021/P20210212001/672212000_30300AMX00231_A100_4.pdf

    編集履歴

    2020/07/23 はりきり(Mr)
    2020/07/31 日本との合意
    2020/11/09 予防効果は90%以上
    2021/02/03 Pfizer-BioNTech COVID-19ワクチンの組成
    2021/06/10 追記(審査結果報告書)
  • [Vc] アデノウイルス・ベクター・ワクチンとは – 新型コロナウイルスのワクチン開発で威力を発揮する – 必要な遺伝子のみを残す試行錯誤で、現在は第三世代  [2021/02/26]

    [Vc] アデノウイルス・ベクター・ワクチンとは – 新型コロナウイルスのワクチン開発で威力を発揮する – 必要な遺伝子のみを残す試行錯誤で、現在は第三世代 [2021/02/26]

    アデノウイルス・ワクチン

    アデノウイルス(adenovirus)を利用した治療薬の代表は、遺伝子治療薬です。adenovirusを用いた研究は歴史があり、遺伝子治療用のadenovirusは、最新世代の改変型adenovirusが使用されています。

    使用されるワクチン用のadenovirusは、目的に適した改変adenovirusが使用されるはずですが、前世代adenovirusが使用されているようです。この部分は、十分に把握できていないので、今後の調査を進めたいと思っています。

    アデノウイルス・ベクターを使ったワクチンとして代表的なものは、やはり、Astrazeneca社のCOVID-19ワクチンです。2021年中には、日本でも集団摂取が予定されています。Astrazeneca社のワクチンに関する情報は、後半に述べています。

    adenovirusのウイルス膜表面に、目的の抗体を作りたいウイルスの膜表面タンパク質を発現さたり、ベクターとして組み込んだ遺伝子に目的のタンパク質を発現させることも可能です。現在、新型コロナウイルスのワクチンとしてAstrazenecaの臨床試験が行われているadenovirus vector vaccineがあります(2020)、mRNAなどの核酸ワクチンと比較して、細胞免疫を惹起するため強いワクチン効果が期待できます。ただし、ワクチン効果以外の服反応も起こるため、免疫獲得として摂取できる回数は少ない数回に限定されます。核酸ワクチンの場合は、副次的な反応が理論上はないため、複数回の免疫が可能です。抗体ができるまで、複数の免疫も可能と考えられます(2020/09/08)。

    adenovirus vector vaccine (アデノウイルス・ワクチン)は、核酸ワクチンの原理と比較して、抗原提示に関するT細胞の免疫応答が強まる(細胞免疫)、感染細胞への殺傷効果が高い可能性があることから、よりワクチン効果が高い期待があります source: Adenoviral Vector-Based Vaccines and Gene Therapies: Current Status and Future Prospects, 2018

    上記参照文献は、adenovirusに関わる情報を網羅的によくまとめられおり、初学者には貴重な情報源となります。以下、原文の英語を日本語にまとめるとともに記載分類を再編成しレジメ化しました。以下の(数字)は、原文での参照文献番号を表しています。

    • 遺伝子投与(核酸ワクチン)による抗原の産生では、抗体の生成は可能だが、抗原提示に関するT細胞の免疫応答が弱い可能性 (核酸ワクチンの弱点の可能性)
    • adenovirusのウイルス膜表面への抗原提示、あるいはAdenorirus自体によるアジュバント効果(可能性)では、抗体の生成とT細胞の免疫応答のどちらも強力に得る可能性が高まる

    adenovirus

    adenovirusの特徴は、DNAウイルスであり以下の通りです。

    • カプシドとゲノムで構成されている
      • 表面抗原を構成するタンパク質は、(1)ペントン、(2)ヘキソン、(3)ファイバー
    • 血清型間で、ヘキソンの超可変領域とファイバーのエピトープ配列の不均一性が高い
    • 殆どの人は抗体を持っている
    • サイズ : 70 ~ 90 nm
    • 26~45kb二本鎖DNAゲノム、両端に100-140bpのフランクを持つ2つの逆方向末端反復を含む
    • 相補のDNAはそれぞれタンパク質をコードしている(双方向)
    • オルタネイティブ・スプライシングによりmRNAの異なるポリA修飾を使用する

    遺伝子導入実験ハンドブック — タカラバイオ —

    AAV (Parvoviridae) : ssDNAウイルス, 5kb, 18-26nm, P1レベル, 染色体への積極的なゲノム組み込み(-)
    adenovirus (Adenoviridae) : dsDNAウイルス, 36kb, 70-90nm, P2レベル、染色体への積極的なゲノム組み込み(-)
    lentivirus (Retroviridae) : ssRNAウイルス, 8-9kb, 80-130nm, P2レベル, 染色体への積極的なゲノム組み込み(+)

    by Mr. Harikir (2021/02/11)

    https://catalog.takara-bio.co.jp/PDFS/transgenesis_experiment.pdf
    • 遺伝子は、それぞれ5つの初期遺伝子と後期遺伝子に分けられる
      • 初期遺伝子 : E1, E3, E4は、自然免疫を抑制する
        • E1
          • E1A
            • ウイルスDNA合成に必要な遺伝子の転写の活性化
            • 宿主細胞への影響 : p53依存的と非依存的によりアポトーシス(ハイジャックアポトーシス)を誘導(9)
            • immuning回避(T細胞への抗原提示の減少(67) )、腫瘍形成(60,61)
          • E1B
            • 宿主タンパク質(p53, Bak, BAX)への結合によりアポトーシスを阻害する(68~79)
        • E2
        • E3 : 免疫調節機能
          • 感染細胞を免疫細胞から認識されないようにする (78)
            • 検出MHCクラスI分子の表面輸送の遮断
            • 宿主細胞の表面にあるNK細胞受容体を減少させる
          • Death receptorsのダウンレギュレーションすることにより、adenovirus感染細胞のアポトーシスを阻害する
        • E4 (74, 75, 76, 77)
          • E1B-55とE4のタンパク質は、Daxxタンパク質を誘発することで、抑制されているウイルスのゲノム発現を可能にする
          • E1B-55kとE4の結合タンパク質は、自然免疫である抗ウイルス応答を抑制する
        • 細胞に取り込まれた時に発現する
        • タンパク質合成、ウイルス複製に必要な宿主遺伝子の発現調整
      • 後期遺伝子
        • L1-L5
        • アセンブリ、放出、宿主細胞の妖怪(1,5,6)
    • 非エンベロープ
    • 20面体DNAウイルス
    • 50以上の血清型 (遺伝的に多様)
    • Adenoviruses (Adenoviridae) (10,11,12)
      • Mastadenovirus
        • 動物のアデノウイルス(サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ)
        • ヒトのアデノウイルス (Human Adenoviruses; HAd)
          • 7つ (A ~ G)
          • 血清学的特徴では、67種類、更にサブグループ
      • Aviadenovirus
      • Siadenovirus
      • Atadenovirus
      • Ichtadenovirus
    • 宿主組織 : 眼、呼吸器、胃腸の上皮など生命の危機に関わらない感染
    • 1953年、Roweらにより組織から分離された(2)
    • ヒトと動物の間で無症状の気道感染症を起こす
    • 免疫不全の患者では生命に危険がおよぶ場合がある
    • 殆どのヒトで中和抗体を有している(3)
    • 癌療法に使用される(4)
    • 構成タンパク質(6, 7, 8)
      • ヘキソン
        • 主たる表面タンパク質(270 x 3量体)
        • 超可変領域を含む。この領域を利用してワクチン抗原にできる
      • ペントン
        • 20面体の12の頂点に12 x 5量体
        • ファイバーと共に宿主細胞の受容体のリガンドとなる
      • ファイバー
        • 12の3量体が突出している
        • ペントンと共に宿主細胞の受容体のリガンドとなる
      • IIIa
        • カブシドの内側に位置する
        • 頂点領域の裏打ちと内包するウイルスゲノムの組み立てに寄与する
      • VI
        • 内側と外側のカプシドシェルをリンクする
      • VIII
        • ヘキソンの裏打ち
      • V, VII, IX
        • DNAゲノムに関連し、ビリオンのコアを構成
        • 末端タンパク質は、2本鎖DNAの末端に結合し、複数のVにより作られたコアとリンクして位置を安定化

    アデノウイルスに対する免疫

    宿主におけるウイルス認識

    adenovirus、その部品を認識するもの (27,28,29,30,31.32,33,34,35,36,37,38,39,40,41)

    • 細胞内でのバターン認識受容体 (PRR)
      • adenovirus由来の5’-triphosphateを持つ2本鎖RNAは、RIG-Iなどのcytosolic PRRに認識される
      • DNA, RNAは、TLR3, TLR7, TLR8などのエンドソーム膜(endosomal membrane)にあるintracellular PRRsに認識される(48,52,53,54,55)
      • 2本鎖DNAの生体内認識 (34,35,56,57)
        • TLR9
        • DNA-dependent activator of IRFs (DAI)
        • DNA-dependent protein kinase (DNA-PK)
        • IFNγ-inducible protein 16 (IFI16)
        • DEAD (Asp-Glu-Ala-Asp) box polypeptide 41 (DDX41)
        • cyclic guanosine monophosphate-adenosine monophosphate (cGAS)
    • 病原体関連分子パターン (PAMP)
    • PRRがPAMPを感知する
    • ウイルス(病原体)であると認識すると、1型インターフェロンを発現しウイルス抑制、炎症性サイトカイン発現 (23,24,25,26,27)
    • receptor : Coxsackie adenovirus receptor (CAR)
      • 促進因子 : IL-8, TNF-α
    • integrin αvβ5 heparin sulfate proteoglycans
    • CD46
    • sialic acid
    • scavenger receptors (マクロファージ、樹状細胞)(33)
    • Toll-like receptors(TLRs)
    • RIG-I like receptors(RLRs)
    • nucleotide-binding oligomerization domain (NOD-like receptors (NLRs)
    • cytosolic DNA sensors
    • effector molecules
    • CD46, desmoglein-2 (type B Adのmacropinocytosis)(39,40)→ IL-12で誘発されるINF-γの産生を抑制する
    • 細胞のβ3インテグリンは、pentonのAgr-Gly-Asn (RGD)モチーフに親和性あり

    Vectorとしての良くない免疫応答

    • adenovirus粒子のみでは自然免疫の誘導は不十分であり、その原因は、DNA由来として残っている(51)
    • 肝臓、脾臓のマクロファージの活性化(42,43)
    • MCP-1, RANTES(TLR2依存性)の活性化
    • IL-1抗体は、adenovirusによる角膜の炎症反応を低減化する(mouse)(45,46)
    • TLR9(E1, E3欠損adenovirusでも感知する→角膜炎症、IL-6,IFNα産生)(49,50)
    • plasmacytoid dendritic cells (pDCs)は、TLR9-MyD88依存、myeloid DCs (mDCs)は依存しない(48)
    • 細胞免疫
      • CD4+ Th1細胞
      • CD8+ T細胞

    adenovirus vector

    adenovirus vectorの特徴

    • HAd5は遺伝子送達用ベクターとして開発された
    • 非複製性
    • 広範囲な組織指向性
    • ゲノム解析が進んでいる
    • 大きなDNA遺伝子挿入が可能
    • 宿主ゲノムに組み込まれない
    • 宿主細胞の核にepsomeとしてDNAが残る
    • 36kbの遺伝子をパッケージング可能
    • 自然免疫(先天性免疫)シグナルを活性化することでワクチンとしての利点がある(21,130)
      • 効果的な免疫細胞刺激→適応免疫(獲得免疫)である液性・細胞性の免疫応答
      • 細胞内の病原体の解決には、CD8+細胞障害性Tリンパ球(CTL)が重要
      • adenovirus vectorで運ばれる抗原は、
      • MHCクラスI分子を介してT細胞に提示されるめた、adenovirus vectorは、堅牢なCTL応答を誘導できる
      • CTLは、ウイルス感染細胞、細胞内病原体、ガン性細胞を強力に認識し死滅できる
    • 抗体産生及び導入遺伝子て特異的T細胞の誘導
    • 必要な遺伝子をadenovirusから分離し、HEK細胞に担わせることで、共同してベクターを産生させる
    • adenovirusのタンパク質とHCVのタンパク質の相同性が高い

    遺伝子治療におけるadenovirus vectorの歴史

    繰り返し投与により体液性免疫、細胞性免疫、細胞性細胞毒性、発癌などの課題に直面した(129)

    • 1992年、alpha-1 antitrypsin (A1AT)欠損症(124, 125)
    • 嚢胞性線維症 (CFTR遺伝子)(126)
    • 尿素回路関係(オルニチントランスカルバミラーゼ)(127,128)

    ワクチンにおけるadenovirus vectorの歴史

    • HIVワクチン 2003年~2006年、Merck(131)
      • HAd5 vector-based

    第1世代

    アデノウイルス・ベクターは、HEK293細胞とともに改変が進められてきた(2021/02/11, by MR.HARIKIRI)。

    • First generation
    • E1削除
      • 初期、後期のウイルスタンパク質は、濃度依存的にMHCクラスIによる抗原提示により細胞死を誘発するが、それをホスト細胞以外では産生できないことにより毒性低減化に繋がる(104,105)
      • 削除により非複製アデノウイルスとなる (HEK293(ヒト胚性腎細胞), PER.C6などのE1トランスフェクト細胞を使用する (93)
      • HEK293には、E1領域にトランス相補性を入れている(組織形質導入能力)
      • 自然相同組換えが起こり複製力のあるadenovirus(RCA)が出現する可能性を持っている(98)
      • RCAのリスク低減としてのPER.C6では、独自のプロモーター(PGK)を持つadenovirusのE1領域の発現カセットを使用し相同領域を削除(99,100)
      • 4.5kb導入可能となった (92)
    • E3削除
      • 免疫学的経路の阻害(101)が知られている
      • 完全に削除された(102)
      • 8kb導入可能となった(103)

    第2世代

    増殖中の複製能力のあるadenovirus生成の可能性を排除できたが、導入遺伝子の発現が少ないとされる。依然として残る課題は、免疫原性と細胞毒性である。

    • Second generation
    • E1削除 : 第1世代から継承
    • E2削除
    • E3削除: 第1世代から継承
    • E4削除
    • 10.5kb導入可能となった

    第3世代

    ITRとパッケージングシグナルを除く全てのウイルスシーケンスを削除(114)

    • Third generation (114)
      • ITRs
      • packaging signal
    • Helper Dependent or gutless adenoviral vectors(115, 116, 117)
    • high capacity adenoviral vectors (HCAds)と呼ぶ
    • 2種類のvectorが必要(トランスフェクション)
      • Helper virus
        • ホスト細胞に組み込んでいたウイルス遺伝子補完遺伝子をHelper virusで提供により、adenovirusタンパク質を合成可能となる→ capsidのアセンブリ→HCAD genomeのパッケージング
        • HCAdsのみのパッケージングが可能
        • packaging signal flanking loxP siteを含む
          • Helper virusのパッケージングシグナルは、loxP siteのCreを介した組換えにより阻害されることで、Helper virusのgenomeがadenovirus粒子に集まるのを防ぐ(機能が十分でない場合、Helper Virus汚染の問題が生じる)
      • HCAd genome
        • ITRsを含む
        • packaging signalを含む
    • HEK293細胞
      • constitutivery express Cre recombinase
    • Helper virus
    • 免疫原性と細胞毒性の低減化(118,120,121,122)
    • 課題は、生産方法が複雑、Helper virusの汚染問題(123)
    • 36kb導入可能となった

    新型コロナウイルス・ワクチン

    現在、世界で喫緊の課題である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン開発は、イギリス(英国)のアストラゼネカ(Astrazeneca)が最も進んでいるようです。

    英国のAstrazenecaとOxford大学が共同開発しているSARS-CoV-2の感染症(COVID-19)ワクチンは、アデノウイルスをベクターとして使用するAdenovirus vector vaccineです。

    現在、臨床試験は、~10,000人程度を予定されるPhase III試験に入っており、今年中には、20億ドーズの供給が始まると言われています。日本へも1億ドーズを供給する準備があると言っています。Phase I/II試験(約1,000人)の結果、中和抗体の上昇と感染した細胞を破壊するT細胞の誘導が確認されており、結果は良好のようです。1回投与では90%代の効果、2回投与では100%の効果が確認されました。2回投与の場合、日本への1億ドースは、5,000万人分の計算になります。

    Phase I/IIの臨床試験の内容は、以下の記事もご参照ください。

    編集情報
    2020/07/22 Mr.HARIKIRI
    2020/07/25 追記 (adenovirusの網羅的情報)
    2020/08/03 文言整備
    2020/08/08 文言整備
    2020/09/08 追記(細胞免疫)

    以上

  • 気になる企業 – AstraZeneca; アストラゼネカ [2021/01/28]

    気になる企業 – AstraZeneca; アストラゼネカ [2021/01/28]

    AstraZeneca

    AstraZeneca HOME PAGE

    サイトから

    • 2019年売上高 : $ 24.4bn (約2.4兆円)
    • 2020/12のAlexion買収二より、武田薬品と並ぶ規模となる
    • Headquarter: イギリス
    • 製品
      • ダグリッソ : EGFR(T790M変異)の非小細胞肺がんの2次治療
      • シムビコート : 気管支喘息治療薬
      • イミフィンジ : 抗PD-L1抗体(デュルパルマブ)
      • など
    • 2020/12/12, Alexionを買収 source
      • Alexion Pharmaceuticals, Inc.: 生物医薬品会社 sourceです。従業員数は、約3,000人。市販製品には、「SOLIRIS」(エクリズマブ)、「Strensiq」(アスフォターゼアルファ)、「Kanuma」(セベリパーゼアルファ)、「ULTOMIRIS」;長時間作用型C5阻害剤で、終末補体カスケードのC5タンパク質を阻害するmAb、「Andexxa」、「Ondexxya」などがある。臨床開発プログラムには、ALXN1210、ALXN1810、ALXN1720、ALXN1830、ALXN1840、ABY-039などがある。

    COVID-19関連

    新型コロナワクチンの開発

    • 2021/01/28, 日本における供給体制が分かってきました(goto
    • 2020/09/12, 因果関係なしとしてUK治験を再会 source
    • 2020/09/09, アメリカから12億円の資金を受けていた当該ワクチン開発において、Phase 3 (3万人-内1万人はプラセボ、大規模無作為割付、二重盲検, source)の試験で1人に重い症状を示したことから、安全性の観点からPhase 3試験の一次中止したと発表した。同日、大手ワクチン開発企業は、ワクチン開発は、安全性第一であるとの共同声明を発表したした。
    • 2020/08/05, 新型コロナ ワクチン供給で「アストラゼネカ」と合意へ 厚労省 (NHKニュース), 1億回分以上の供給の見通しが立った
    • 2020/07/20, Phase 1/2 (COV001)の臨床試験結果を発表 astrazeneca
      • 18~55歳、健常人、1,077人
      • 対象ワクチン : 髄膜炎菌共役ワクチン(MenACWY)
      • 単回投与、2回投与(10人/1ヶ月)
      • 投与後1ヶ月で95%の被験者においてSARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する抗体が4倍に増加
      • それに伴いT細胞応答が誘導され、14日目をピークに投与後2カ月間維持された
      • MNA80アッセイによる中和活性は、ワクチン投与後4週後で、1回投与被験者では、91%、2回等予後被験者で100%であった
      • 深刻な有害応答は無く、一時的な局所・全身応答は7割で見られた(頭痛、疲労、悪寒、発熱、倦怠感、筋肉痛)
      • 予期せぬ反応は引き起こさず予想された結果と一致するが、Phase III試験で確認する必要がある
      • 論文(LANCET)から方法の詳細
        • ワンチン : SARS-CoV2スパイクタンパク質を発現するチンパンジーAdenovirus vectorワクチン (ChAdOx1 nCov-19)
        • 実施施設 : 英国5サイト
        • 単一盲検ランダム化比較試験
        • 18~55歳
        • 投与量 : ChAdOx1 nCov-19 (5e10 particles)
        • コントロール : MenACWY
        • 評価
          • 総IgG ELISA
          • マルチプレックスイムノアッセイ
          • 中和アッセイ
          • 偽ウイルス中和アッセイ
          • 細胞応答 (ex-vivoインターフェロン-γイムのスポットアッセイ)
    • ChAdOx1 nCoV-19のSpikeタンパク質の設計は、Jenner Instituteで開始(2020/01)
    • Virus Bankingおよび臨床試験サンプルは、オックスフォード大学 (Oxford University)のClinical BioManufacturing Facility
    • 今後の商用製造は、イタリアAdvent社に移されるとみられる
    • 2020/06, 日本政府と協議を開始の合意を発表
    • 第一三共、Meiji Seikaファルマ、KMバイオロジクスと協力し日本でのワクチン安定供給をしていく
    • 2020/01/28, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン開発が最も進んでいるのが、イギリスのAstraZenecaです。現在、オックスフォード大学と共同開発した新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の臨床第3相試験(Phase 3)をおこなっいます。その他、中国の3社もPhase 3で臨床試験を行っています。

    ワクチンの臨床結果による有効性の比較

    世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。

    新型コロナワクチン、日本への供給

    日本での新型コロナワクチンは、まず、Pfizer製から投与されると言われています。Astrazenecaの新型コロナウイルス・ワクチンの日本での供給体制については、以下の通りを予定されているとのことです (2021/01/28, Mr. Harikiri)

    • 国内での製造担当は、兵庫県のJCRファーマー
      • バイオロジクス製品化実績を多く持つ
    • 容器充填は、熊本県のKMバイオロジクス
      • 充填能力として、半年で5,700本。
    • 包装は、東京のMeiji Seikaファルマです

    その他開発品(治療薬)

    • Calquence (アカラブルニブ) : 高サイトカイン血症) source
      • 慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)の成人患者に対する治療薬
      • 承認2019年に承認
    • フォシーガ (ダパグルフロジン) : 臓器不全
      • KEGG情報 source
      • 選択的SGLT2阻害剤−糖尿病治療剤−
      • 2020/05, FDA承認

    編集履歴

    2020/01/28 Mr. Harikiri
    2020/07/22 追記(その他開発品)
    2021/01/28 追記(新型コロナワクチンの基本での供給体制)
  • [COVID-19] 行動別のウイルス拡散量、及び感染力 [2020/11/16]

    [COVID-19] 行動別のウイルス拡散量、及び感染力 [2020/11/16]

    ウイルス拡散量

    WHO発表による行動による新型コロナウイルスの拡散量について、NHK関西のニュース番組であった。

    行動新型コロナウイルス量
    くしゃみ40,000個
    せき3,000個
    5分間の会話3,000個
    2020/07/14 NHK 関西(18:15~), WHO発表

    このデータで気を付けないといけない事は、このウイルス量が実際に感染性を有している生きたウイルス粒子を意味しているかどうかです。ウイルスは結構死にやすい(この死にやすいという言い方は、生物/非生物の観点から正しいかどうかは議論はあります)ためです。死んでいる粒子が存在していても、それ自体には心配の必要がありません。この辺りの詳細は、この情報ソースが一般向けのTVニュースなので不明です。

    変異型は感染力が高い

    2020/11/16,ニュース番組「ゼロ」で、変異型(新型コロナウイルス)と野生型のコロナウイルスの感染力について、動物実験の結果やヒトでの結果を示したいた。

    野生型より変異型は、動物実験においてもその感染力は高く、ヒトでは、3から8倍も感染力が高いという。肺炎症状は、野生型と変異型では差はなく、感染力が高いことが特徴であるとのこと(2020/11/16, Harikiri(Mr) )。

    ウイルスの受容体が多いのは

    新型コロナウイルス(Sars-CoV-2)が感染するために関わっている受容体は、「舌」に多い、と阪大の森下先生が仰っていた。

    編集情報
    2020/07/15 Mr.はりきり
    2020/08/01 追記 (Sars-Cov-2の受容体)
    2020/11/16 追記 (変異型の感染力は、野生型より高いことが特徴)
  • 気になる企業 – Pfizer – 今後もバイオシミラーに主力/新型コロナウイルス・mRNAワクチンは日本における最初の承認 [2021/12/04]

    気になる企業 – Pfizer – 今後もバイオシミラーに主力/新型コロナウイルス・mRNAワクチンは日本における最初の承認 [2021/12/04]

    Pfizer

    日本でPfizerが知れ渡ったのは、新型コロナウイルスのワクチンを最初に日本で承認されたことでしょう。Pfizerは、日本での製薬会社の最大手である武田製薬工業よりも、何倍もある大きな製薬会社です。

    新型コロナウイルスのmRNAワクチンでは、BioNTechと共同で開発しました(2021/12/04 by Mr.Harikiri)。

    • 2019年売り上げ 約5.2兆円
    • Biopharmaの売り上げは、約3.9兆円
    • Biosimilarの売り上げは、約0.8兆円(2027には予測6兆円)
    • 2016, Pfizer Acquires Bamboo Therapeutics in a $645M Deal, source

    PFIZER REPORTS FOURTH-QUARTER AND FULL-YEAR 2019 RESULTS

    https://investors.pfizer.com/investor-news/press-release-details/2020/PFIZER-REPORTS-FOURTH-QUARTER-AND-FULL-YEAR-2019-RESULTS/default.aspx

    新しいバイオロジクスの製造工場を作っている(Pfizer site, 2019)

    1. Andover Clinical Manufacturing Facility (ACMF)
    2. 投資額 : 2億ドル(200億円)
    3. 5つの製造スイート (75 employee)
    4. アンドーバー、マサチューセッツ州
    5. 175,000ft2
    6. 生物製剤とワクチンの開発と製造(商業生産可能)

    PfizerのPipelineの検索サイト

    Hospiraの買収

    • 米国のHospira社を買収、2015/9/3
    • 世界屈指のバイオシミラー企業

    低分子医薬品

    • ADENOSINE : 内皮細胞上のアデノシンA2A受容体に結合して、好中球の遊走抑制、炎症性サイトカイン(TNF-α、INF-γ、IL-12, IL-6)産生抑制
    • ARGATROBAN: トロンビン阻害剤
    • ARTHROTEC : 関節炎

    ワクチン

    • 新型コロナウイルス・ワクチン
      • 2020/11に、アメリカでの緊急使用を申請
      • アメリカには、2020年内に2,500万人分の提供予定
      • 日本は、6,000万人分の供給を約束
      • 日本における新型コロナウイルスに対するワクチンとして最初に承認されたのがPfizerでした。その後、Modernaが昇進されています(2021/12/04)。

    Biosimilar

    PfizerのBiosimilarの売り上げは、約319億円(2016)から約1,000億円(2020)に伸長し、その後、2027には、6,000億円を見込むForbes

    • Inflectra (infliximab-dyyb), injection
      • Remicade biosimilar (2018/12/10, JP)
    • Nivestym (filgrastim-aafi), injection
    • Retacrit (epoetin alfa-epbx), injection
    • Ruxience (rituximab-pvvr), injection
      • Rituximab biosimilar (2020/01/20, JP)
    • Trazimera (trastuzumab-qyyp), injection
    • Zirabev (bevacizumab-bvzr), injection
      • Avastin biosimilar (2019/12/09, JP)

    Pfizerサイト – より

    https://www.pfizerpro.com/product/biosimilars/hcp

    編集履歴

    2020/06/19 はりきり(MR)
    2020/06/24 追加(RocheのBiosimilar戦略, 2015版)
    2021/12/04,追記(新型コロナウイルス ワクチン(mRNA)は日本における最初の承認となった)
  • [Kw] ヒドロキシクロロキン – FDAはCOVID-19感染予防の緊急使用を撤回  [2020/05/16]

    [Kw] ヒドロキシクロロキン – FDAはCOVID-19感染予防の緊急使用を撤回 [2020/05/16]

    FDAは、抗マラリヤ薬で知られる「ヒドロキシクロロキン」のCOVID-19感染予防に対する緊急使用を許可していましたが、効果が無いこと、及び心臓への副作用も強いことから、緊急使用を撤回しました。ヒドロキシクロロキンについては、WHOが実施していたCOVID-19に対する臨床試験を中段していた。

    参考文献

    ヒドロキシクロロキン wikipedia – より

    https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒドロキシクロロキン

    WHO 抗マラリア薬・ヒドロキシクロロキンの臨床試験を一時中断

    https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69336
    編集履歴
    2020/06/16 Mr.HARIKIRI
  • [Edu] Creative Biolabs Inc.が公開しているビデオから – COVID-19の原因ウイルスである新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の構造について学ぶ [2020/05/21]

    [Edu] Creative Biolabs Inc.が公開しているビデオから – COVID-19の原因ウイルスである新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の構造について学ぶ [2020/05/21]

    CROの宣伝ビデオ

    Creative Biolabs Inc.というCROが、アメリカのニューヨークに本社を構えています。このCROについて調査している過程で、宣伝ビデオを沢山公開していることを知りました。非常に参考になるのでご紹介します。

    COVID-19は、SARS-CoV-2という新型コロナウイルスが引き起こす病気の名前です。

    今回は、SARS-CoV-2というウイルスの構造について、Creative Biolabs Inc.がYouTubeに公開しているビデオから解説します。

    編集履歴
    2020/05/21 はりきり(Mr)

    新型コロナウイルスの構造

    新型コロナウイルスの正式名称は、SARS-CoV-2と言います。1本鎖プラス鎖RNAウイルス、RNA長は29.9kbです1)

    • Spike Glycoprotein (S) 3)
      • 細胞に吸着するため糖タンパク質、宿主のプロテアーゼ(トリプシン、エラスターゼなど)で切断されて活性化され、細胞への侵入(Fusion: 脂質2重膜同士の融合)が開始される 5)
      • S1とS2がある
      • 細胞表面に出ているアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)と結合する3)
    • M-Protein 4)
      • エンベロープ(Envelope)を構成するタンパク質
      • メンブラン(M)タンパク質
      • 発芽(Release)、形態形成とアセンブリに関連する
    • Hemagglutinin-esterase (HE) 6)
      • 赤血球凝集エステラーゼ
      • 初期の吸着メカニズムを構成する当タンパク質
      • 細胞表面のシアル酸受容体への吸着とその破壊に関わる
    • N Protein 4)
      • ヌクレオカプシド(N)タンパク質
      • ウイルスのエンベロープ内のウイルスRNAゲノムを、カプシドと呼ばれるリボ核タンパク 質(RNP)複合体にパッケージ化することに関わる
    • E-Protein 4)
      • エンベロープ(Envelope)を構成するタンパク質
      • 小さいタンパク質であり、よくわかっていないが、アセンブリ、出芽、エンベロープ形成、病原性に関連するとされる
    • Envelope 2)
      • M-ProteinやE-Protein以外の膜成分であり、宿主由来の脂質や膜タンパク質

    感染と増殖

    1. Fusion
      • HEと宿主プロテアーゼ
      • RNA genomeが注入される
    2. Replicate
      • 細胞質内
    3. Assembly
      • 小胞体、ゴルジ体で成熟
    4. Release
      • 出芽

    参考ビデオ (Create Biolabs Inc.)

    是非、英語の解説をビデオでご覧になってください。

    以上

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    アデノウイルス・ベクターにいて、複数の文献を網羅的にレビューした英語の文献を基に、アデノウイルス・ベクターは、HEK293細胞と依存関係があり、その歴史的な成り立ち、免疫原性や細胞毒性の低減化改善の歩みとして、第一世代から現在に至る第三世代までのベクターの特徴について解説した。
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    参考文献

    1)

    新型コロナウイルスSARS-CoV-2のゲノム分子疫学調査 (2020/4/16現在)

    https://www.niid.go.jp/niid/images/research_info/genome-2020_SARS-CoV-MolecularEpidemiology.pdf
     2)

    エンベロープ(ウイルス)

    https://ja.wikipedia.org/wiki/エンベロープ_(ウイルス)
     3)

    コロナウイルスの構造 – 岩井科学薬品株式会社 – より

    https://www.iwai-chem.co.jp/products/sinobiological/sars-cov-2/
     4)

    ウイルス学研究用 新型コロナウイルスSARS-CoV-2 構造タンパク質 – BioVendor – より

    https://filgen.jp/Product/Bioscience4/BioVendor/BioVendor_SARS-CoV-2-protein_flyer.pdf
     5)

    プロテアーゼ依存的なコロナウイルス細胞侵入 – ウイルス 第61巻 第1号 – より

    https://filgen.jp/Product/Bioscience4/BioVendor/BioVendor_SARS-CoV-2-protein_flyer.pdf
     6)

    Hemagglutinin esterase – Wikipedia – より

    https://en.m.wikipedia.org/wiki/Hemagglutinin_esterase
  • [健康] コロナウイルス抗原検査キット(SARS-CoV-2)の原理をわかり易く解説 [2022/01/24更新]

    [健康] コロナウイルス抗原検査キット(SARS-CoV-2)の原理をわかり易く解説 [2022/01/24更新]

    はじめに

    検出感度が高いPCRよりも感度は低いものの、15分程度で抗原の検出が可能な測定方法で、「イムノクロマト」と原理を利用しています。

    2022/01/末、世界では、デルタ株からオミクロン株への感染シフトが進む中、日本においてもオミクロン株への感染シフトが進展しており、抗原検査試薬の不足が生じています。

    反応概要

    (1) サンプルは、本反応の前に、コロナウイルスと結合できる標識Antibody-3 (色素や酵素が標識されている)と混合させ前もって反応させ、「標識Antibody-3とコロナウイルス結合体」を作らせる。
    (2) 反応メンブランには、コロナウイルスに対する別抗体: Antibody-1 (ELISAにおけるサンドイッチ法と同様)と、Antibody-3に対する抗体: Antibody-2の2種類が、1ラインづづ塗布されている。
    (3) 「標識Antibody-3とコロナウイルス結合体」を(2)のメンブランに反応させる。

    図を見ながら解説

    キットは、図1のような構造になっている。図1だけでは不十分であったため、図2にも別のサイトから参照した原理図を示した。

    図1で説明する。「サンプルパッド」部分に、コロナウイルスを含む検体を添加すると、以下のような機序により2本のバンドが発色し、陽性であることを判定できる。

    1. 「サンプルパッド」(図1,黄色)にサンプル(唾液)を添加(数十μL)
    2. 「コンジュゲートパット」(図1,青色)には、色素や酵素が標識されたコロナウイルスに対する抗体(標識Antibody-3)が染み込ませてある。標識とは、酵素や色素をその他の物に結合させた状態を呼ぶ。
    3. 「サンプルパッド」から「コンジュゲートパッド」にコロナウイルスを含む水分が染み込んでくることで、「サンプルパッド」から「吸収パッド」への方向に、液体の流れが生じる
    4. 「コンジュゲートパット」で、標識Antibody-3とコロナウイルスが結合し、コロナウイルスとAntibody-3の比率の程度によっては、標識Antibody-3には、コロナウイルスが結合していない抗体分子も存在する。そのような状態のまま、「メンブラン」に染み込んでくる。
    5. 「メンブラン」(図1,水色)には、コロナウイルスに対する抗体(Antibody-1)と、コロナウイルスに結合でき標識Antibody-3に対する抗体(Antibody-2)が、それぞれ、2箇所(2ライン)に塗布してある(結合しているので位置は移動しない)。このメンブラン上を、4のサンプルが順次染み込みながら進む(これをクロマトと呼び、免疫反応も関連しているので、イムノクロマトと言う)
    6. 最終的には、「メンブラン」中のテストラインには、「標識Antibody-3とコロナウイルスとAntibody1の3つの結合体」が出来上がり、標識Antibody-3による発色ラインが現れる。
    7. 更に、「メンブラン」中のコントロールラインには、「標識Antibody-3と(コロナウイルスの量に反映されてされた量のコロナウイルス)とAntibody-2の2又は3結合体」が出来上がり、標識Antibody-3による発色ラインが現れる。
    図1. ForDxから参照した原理図
    図2. ACUTECAREから参照した原理図

    参考文献

    イムノクロマト法とは – ForDx -より

    https://www.fordx.co.jp/immunochromatography/

    イムノクロマト法- ACUTECARE-より

    https://www.acute-care.jp/ja-jp/learning/course/immunoassay/ria/ic

    SARSコロナウイルス抗原キット ADTest 対外診断用医薬品、アドテック株式会社

    SARS-CoV-2 操作方法 : https://www.adtec-inc.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/adtest-pamphlet210712.pdf

    SARS-CoV-2 製品概要 : https://www.city.usa.oita.jp/material/files/group/49/kaigo20210204-6.pdf
    編集履歴
    2020/05/16 はりきり(Mr)
    2020/08/02 文言整備
    2022/01/24、追記(ADTest関連情報)