気になる企業 – Spark Therapeutics, Inc – Rocheグループ – ID4433 [2020/06/09]

血友病A (Hemophilia A)遺伝子治療薬

はじめに、Hemophilia Aの遺伝子治療薬(in vivo, SPK-8011,静脈内単回投与 Phase 1/2(12~30人)では年間出血率97%削減source:HEMOPHILIA NEWS TODYA)は、BIOMARINが、臨床結果、世界で初めて承認されるなど、一歩先を進んでいるようです。

Sparkが開発するhemophilia Aに対する遺伝子治療薬について、その内容を以下で見てみましょう。

  • SPK-8011(Bドメイン削除AAV)
    • 肝臓でのみ組み込まれる
    • 12人(低用量2人、中用量3人、高用量7人)
    • 52週追跡
    • FVIII活性は、全ての用量で安定
    • 46週時点で、全ての用量で95%のFVIII削減効果
    • 高用量の2人でFVIII活性は、2%に低下しベクターに対する免疫応答のためと考えられる
    • 全ての患者で、体液からの迅速なウイルス除去が九人され、その期間は、中央値で2週間。
    • その後、他施設臨床試験(NCT0342520,コホート研究)を開始(2018/8, 100人、~2022/12、最大5年間追跡)
  • SPK-8016 (インヒビター患者用、インビビターと結合して中和)
    • マルチセンター
    • 非盲検
    • 非ランダム化
    • 重症、30人(NCT0374588): 2019/01/30~2020/05
    • Phase 1: インビビターが検出されない患者での安全性、有効性、認容性の評価
    • Phase 2 : インビビター保有患者、用量
    • 最大52週の追跡
      • 副作用
      • 肝機能
      • 出血イベント数
      • 必要なFVIII中量数
      • FVIIIの活性
      • 唾液、血液、精液、尿などの体液からのSPK-8016のクリアランス
      • 免疫応答の発生
  • (肝臓、網膜、心筋、骨格筋の細胞核に組み込まれる。プロモーターの種類により組織を特定できる)
  • 5e11 vg/kg
  • 1e12 vg/kg (投与4週間でFVIIIレベル安定、48週間でFVIII投与が99%減少)

Hemophilia Bの遺伝子治療法(in vivo, SPK-9001)では、Phase 3が進行中(2020/04/22, Source: INDUStRY NEWS)。Phase 1/2では、免疫管理レジメの管理の面から、用量の最適化について解析進めPhase 3で適用されるとのことである。

RocheグループとなったSpark

Spark Therapeutics, Inc (スパーク・セラピューティクス)

希少疾患の遺伝子治療会社、RocheがSpark Theraphuticsを買収する当局相談が済んだことを2019/12/07に発表

Spark Theraputicsは2013/3に発足した遺伝子治療薬開発専門の営利企業。

  • 第I/II相臨床試験にあるChoroideremia(CHM)
  • 遺伝性網膜疾患(IRD)
  • 血友病Aの治療向けSPK-FVIII
  • 血友病Bの治療向け第I/II相臨床試験 (SPK-FIX)
  • SPK-8011(hemophilia A, which is a bleeding disorder caused by mutations in the F8 gene)
  • SPK-8016(Dose finding)向け用量漸増第I/II相臨床試験を開始した。

ロシュによる買収

RocheによるSpark Therapeutics、Inc.の買収により遺伝子治療のプレゼンスを強化が進められた。Sparkは、フィラデルフィアでロシュグループ内の独立企業として事業を継続します。
             
バーゼル、2019年12月17日-ロシュ(SIX:RO、ROG; OTCQX:RHHBY)およびSpark Therapeutics、Inc.(NASDAQ:ONCE)(「Spark」)は本日、すべての政府から規制当局の承認を受けた後、買収の契約完了を発表

ペンシルベニア州フィラデルフィアに本拠を置くSpark Therapeuticsは、失明、血友病、リソソーム蓄積症、神経変性疾患などの遺伝子疾患の遺伝子治療の発見、開発、提供に取り組んでいる。 Spark Therapeuticsは、ロシュグループ内の独立企業として事業を継続。

ロシュについて

ロシュは、腫瘍学、免疫学、感染症、眼科、中枢神経系の疾患に医薬品を提供する世界最大のバイオテクノロジー企業です。 体外診断および組織ベースのがん診断の世界的リーダーであり、糖尿病管理の第一人者でもあります。

1896年に設立されたロシュが開発した30種類以上の医薬品は、命を救う抗生物質、抗マラリア薬、がん薬など、世界保健機関の必須医薬品のモデルリストに含まれ。

スイスのバーゼルに本社を置くロシュグループは、100か国以上で活動しており、2018年には世界中で約94,000人を雇用しています。 2018年に、ロシュはR&Dに110億スイスフランを投資し、568億スイスフランの売上を計上。 米国のジェネンテックは、ロシュグループの完全所有メンバーです。 ロシュは、日本の中外製薬の多数株主

Spark Therapeuticsは、ペンシルベニア州フィラデルフィアに本社を置いています。

Spark Therapeuticsについて
Spark Therapeuticsは完全に統合された商業企業であり、遺伝子治療の発見、開発、提供に取り組んでいます。 同社は、失明、血友病、リソソーム蓄積症、神経変性疾患などの遺伝病の不可避性に挑戦しています。

フィラデルフィア小児病院(CHOP)で20年以上にわたり蓄積された技術とノウハウの結果として2013年3月に設立されたSpark Therapeuticsの治験療法は、患者の生活を劇的かつ積極的に変化させる長期的な効果をもたらす可能性を秘めています 治療法が存在しないか、緩和療法のみが存在する状況。 ヒトのゲノムと遺伝的異常についての理解が深まったことにより、Spark Therapeuticsの科学者は、非常に特異的な遺伝病に苦しむ患者に研究療法を調整することができました。 このアプローチは、多くの遺伝性疾患に対する効果的な治療法を開発する上で非常に有望です。

編集履歴

編集履歴
2019/12/19 はりきり(Mr)
2020/06/09 追記(Hemophilia A遺伝子治療薬の開発状況)