CRISPR/Cas9ゲノム編集技術
2020/10/07, ノーベル化学賞の受賞者に、ゲノム編集技術のCRISPR/Casを開発した2人の研究者が選ばれました。Emmanuelle CharpentierとJennifer Doudnaです。
当該技術は、微生物が本来持っている防御システムの一部です。ファージの侵入を防ぐために、細胞内にあるものを発現しています。あるものとは、CRISPR RNA (crRNA)分子です。このcrRNAは、防御する目的のファージなどの遺伝子を標的にしていて、それと相補的に結合できます。結合した際、crRNAがガイドとなって、核酸分解酵素Casが、ファージ由来のその核酸分子を切断します。
2人は、化膿連鎖球菌などで、CRISPR/Casの防御システムによる分子機構を明らかにし、crRNAを人工的に合成し、核酸分解酵素Cas9とともに細胞内に導入しました。それによって、標的のDNAを特異的に切断できることを証明しました(Science, 2012)。
用語
- CRISPR-Cas9 :Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats CRISPR-Associated Proteins 9
CRISPR-Cas9システムの理解に役立つコスモバイオのサイトです。
ゲノム編集技術の基礎知識を余すところなく解説します!CRISPR-Cas9 基本の「き」- コスモバイオ –
https://www.cosmobio.co.jp/product/detail/CRISPR-Cas9-introduction-apb.asp?entry_id=15520
ゲノム編集技術の進展
- 第1世代
- ジンクフィンガーヌクレアーゼ (ZFN)
- 核酸結合モジュールにタンパク質を使用
- 第2世代
- テールヌクレアーゼ (TALEN)
- 核酸結合モジュールにタンパク質を使用
- 第3世代
- CRISPR/Cas
- 核酸結合モジュールにガイドRNAを使用
- タンパク質合成が必要ではなくなり、ノックアウト/ノックイン・マウスの作成が容易になるなど、技術の進展がめざましい
参考
- 大腸菌ゲノムにあるリピート配列は、CRISPRシステムにおける免疫システムである
編集履歴 2020/10/09 Mr.はりきり