[健康] キサンチン – 体内における代謝 : キサンチン → 尿酸 – フェブリクの薬効原理を少しだけ学ぶ – ID5111 [2021/11/09]

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キサンチン

キサンチン(xanthine)は、プリン塩基の一つで、化学的には、酸性条件下、グアニンを亜硝酸で処理すると得られる。コーヒー豆、茶などの食品に含まれる。水に対して難容性である1)

体内では、ある酵素(XOR)が、キサンチンから生体内での最終産物である尿酸に変えている。尿酸は腎臓でろ過されて体外に排出される。

高尿酸血漿の治療薬であるフェブキソスタット(フェブリク)は、その酵素(XOR)を阻害する。

体内代謝

キサンチンは、生体内では、肝臓、血液、尿などに存在する。プリン代謝経路において、尿酸の前駆体にあたる。

(イノシン酸代謝) ←(双方向)→ ヒポキサンチン → キサンチン →(XOR)→ 尿素 → (腎臓)

  • イノシン酸(IMP)
  • ヒポキサンチン (Hypoxanthine)
  • キサンチン (xanthine)
  • キサンチン酸化還元酵素 (xanthine oxidoreductase; XOR)
  • 尿素 (urea)
  • 肝臓 (hepatocyte)

プリン代謝系において、キサンチンの前駆体であるヒポキサンチンは、イノシン酸の代謝経路で合成される。逆に、ヒポキサンチンは、イノシン酸への合成に消費される。これをサルベージ回路という。

キサンチンは、ヒポキサンチンと違いサルベージ回路がないため、キサンチンから尿酸への代謝が抑制されるとキサンチンが体内で蓄積していく。

キサンチン蓄積は、腎臓でのキサンチン結石を生じさせるリスクが高まることが、動物実験で確認されている。しかし、ヒトでは、動物に比べて結石のリスクは非常に低い2)。ヒトでの尿量が動物より多いことが一つの理由と推察される。

尿酸の合成を阻害する医薬品のアロプリノールやフェブリクは、プリン代謝系におけるキサンチンオキシドリダクターゼ(XOR)の酵素活性を阻害することで、ヒポキサンチンからキサンチン、キサンチンから尿酸への代謝を阻害する3)

参考文献

  1. キサンチン FUJIFILM
  2. 非臨床試験の概括評価 2.4.2.2.4 キサンチン結石形成に関する評価pmdaより
  3. フェブリク投薬、そろそろやめたい – やめられた?! 〜 血糖値の管理と同様に尿酸値の管理は、健康管理上避けてはいけない〜服薬患者による自己実験記
  4. ブリン代謝
  5. ヌクレオチドの代謝 (塩基->ヌクレオシド->ヌクレオチド->略号), 略号は、ヌクレオシド名の略号にリン酸の数を表す略号を足して3文字で表現する。「IMP」は、イノシン酸の「I」とmono-phosphateの「MP」を足している。

編集履歴

2019/12/30, Mr. Harikiri
2021/11/09, 追記(略号)