はじめに
リウマチ、特に**関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis, RA)**の診断は、臨床症状、画像所見、血液検査を総合的に判断して行われます。その中でも、**抗CCP抗体(anti-CCP antibody)**は非常に重要なバイオマーカーの一つです。
✅ 関節リウマチ(RA)の診断概要
1. 主な診断基準(2010 ACR/EULAR)
ACR(American College of Rheumatology)とEULAR(European League Against Rheumatism)による分類基準では、以下の項目をスコア化し、6点以上でRAと分類されます。
分類項目 | 内容 | 最大点 |
---|---|---|
① 関節の罹患数 | 小関節の数に応じて点数が増加 | 5点 |
② 血清学的検査 | RFまたは抗CCP抗体の陽性度合い | 3点 |
③ 急性期反応 | CRPまたはESRの上昇 | 1点 |
④ 症状持続期間 | 6週間以上持続 | 1点 |
✅ CCP抗体(Anti-Cyclic Citrullinated Peptide Antibody)
1. CCP抗体とは?
- 抗CCP抗体は、環状シトルリン化ペプチドに対する自己抗体です。
- 関節リウマチに特異的に認められる抗体の一つで、RA患者の**約70〜80%**で陽性となります。
2. シトルリン化とは?
- アルギニンがシトルリンに変化する酵素反応(PAD酵素による脱イミノ化反応)によって生成。
- これにより生じた変性タンパク質が免疫系によって異物と認識され、自己抗体が産生されると考えられています。
3. CCP抗体の診断的意義
項目 | CCP抗体の特徴 |
---|---|
感度 | 約67〜80%(RAの患者のうち、陽性になる割合) |
特異度 | 約95〜98%(RA以外の患者で陰性となる割合) |
診断上の意義 | RF(リウマトイド因子)よりも特異度が高く、RA診断において非常に有用 |
発症前診断 | 症状発現の数年前から陽性になることもあり、予測因子となりうる |
重症度予測 | CCP抗体陽性は進行性・重症化しやすいRAの指標とされる |
✅ CCP抗体と他のバイオマーカーとの比較
指標 | 抗CCP抗体 | RF(リウマトイド因子) | CRP / ESR(炎症マーカー) |
---|---|---|---|
感度 | △(中〜高) | ◎(高い) | ◎(高い) |
特異度 | ◎(非常に高い) | △(中程度) | ×(非特異的) |
初期診断 | ◎(非常に有用) | △ | △ |
進行予測 | ◎(陽性で進行しやすい) | △ | × |
✅ CCP抗体検査の活用のポイント
- RFと併用で診断感度が向上
- 関節炎が1〜2関節にしか現れていなくても陽性ならRAの前兆として重要視
- 関節破壊のリスク評価にも用いられる
- RA疑いの鑑別診断において、他疾患(SLEや感染性関節炎など)との区別にも有用
✅ まとめ
- 抗CCP抗体は関節リウマチの診断・予後評価において最も特異性の高いバイオマーカーの一つです。
- 症状出現前に陽性になることもあり、早期診断や治療開始の判断材料として非常に重要です。
- RFやCRPと併用することで、より精度の高い診断が可能となります。
編集履歴
2019/07/28 Mrはりきり
2025/04/14 更新(with ChatGPT)