モノクローナル抗体の薬物動態
薬物動態(PK; pharmacokinetics)は、薬物の体内における濃度と消失の速度過程
薬力学(PD; pharmacodynamics)は、薬物の作用部位における薬物濃度と薬理効果を定量
- IgGの一般的な投与経路 (用語説明 wikipedia)
- iv (Intravascular; 静脈投与)
- sc (Subculaneous; 皮下投与)
- im (Intramuscular; 筋肉内投与)
- 小さい < リンパ管のリンパ液の流れ << 血管の血液の流れ <大きい
- 血中半減期
- 生理的IgG濃度が12mg/mLの場合、IgGの半減期は21日
- 高濃度に投与するなどするとクリアランスは高まる
- 薄い濃度であるほど、クリアラスンスは低くなる
- mAbのpI (等電点)
- pIが高くなると全身クリアランスが高くなる
- pIが高くなるとバイオアベイラビリティも低くなる
- pIが高くなると細胞表面の不電荷とインタラクションする
グリコシル化
グリコシル化は、エフェクター活性と半減期に影響を与える。
- グリコシルパターン (Glycosylation) 1)
- 小胞体(ER)では、Mannose (Man)が付くだけ付加される
- 次のGolgiでは、Manが外され、3つになり、Glactose, Fucose, シアル酸が付加される
- 5個以上のHigh Mannoseでは、Fucoseが付かないことが原因の可能性も否定できないが、FcγRIIIaとの結合親和性が高まりADCC活性が強くなる
- Fucosylationは、FcγRIIIaとの親和性を弱めることでADCC活性を低下させる。これを狙った抗体を生産させる産生株がある
- CDCに影響
- Asn297アミノ酸
- アフコシル化 (脱フコース)
- ADCC活性が高まる
- クリアランスが高まる
- ガラクトシル化型
- FcγRIへの結合性増大する
- 高Man5, Man8, Man9
- クリアランス増大
- サイト内参考ページ
- IgGは腎臓でろ過するには大き過ぎる
- 腎臓でのクリアランスは無い
- トランスサイトーシス
- 血管上皮細胞(neonatal Fc receptor)
- FcRn
- エンドサイトーシス
- ピノサイトーシス
- 内皮細胞による比較的非特異的な液相エンドサイトーシス
- 間質空間
- 細胞外マトリックスで満たされている
- ゲル状
- 正電荷
- 成分は、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸など)、コラーゲンなどの構造タンパク質
- IgGの排除体積(excluded volume) : ~50%
- FcRnと結合親和性があるIgG1, IgG2, IgG4の消失半減期は、18~21日で、これは、同等の分子量を持つ他のタンパク質よりかなり長い。
- IgG3は、FcRnと結合親和性が低く、半減期は、7日と短い
1)
小胞体(ER)での糖鎖修飾、Golgiの各部位での修飾について解説がある。Gorgiの特にくTrans Golgiでは、Galactose、更にシアル酸が付加される。
シアル酸が多い程、血中濃度Cmaxが高くなる。IgGサブクラス毎のFc受容体タイプとの結合性の強さ。
ヒト血清のIgGのシアル酸付加率は、一般的に10未満であるが、CHO細胞の組換えIgGでは、殆どシアル酸は付加されない。マウス・ハイブリドーマで得たIgGでは、シアル酸比率は50%を超える。
https://www.researchgate.net/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins
Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2020)
Biosmilarを作る場合、Glycationのコントロールは重要である。糖鎖付加について、培養添加物を詳細に検討している文献である。
Impact of cell culture media additives on IgG glycosylation produced in Chinese hamster ovary cells (2019)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6590254/
Pharmacokinetics of Monoclonal Antibodies, 2017
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5613179/
編集履歴 2020/07/08 Mr.HARIKIRI