はじめに
医薬品の製造委託先に対する監査には、初回監査(適切性評価)、定期監査、変更監査、フォローアップ監査、突発監査などの種類があり、目的やリスクに応じて使い分けられる。初回監査は委託契約前に製造所の体制やGMP準拠状況を評価するもので、特に重要視される。定期監査ではGMPおよび品質マネジメントの継続的遵守を確認し、変更監査では工程や設備に変更が加えられた際の影響評価を行う。監査では、Site Master File(SMF)、Quality Manual(品質マニュアル)、QMS文書、組織図・職務分掌表などが確認対象となる。SMFは製造所の全体構造・業務・品質体制を記述した文書であり、初回監査や当局査察での提出が求められることが多い。Quality Manualは品質方針やQMSの構造を記載する最上位文書であり、品質文化や責任体制を示すものとして重要である。これらの文書に基づき、SOP、逸脱記録、変更管理、教育訓練記録などが実地で確認される。日米欧では監査の基本原則は共通するが、日本とEUでは定期監査の実施がGQPやEU-GMPで明確に義務化されているのに対し、米国FDAでは法令上の監査義務は明記されておらず、申請者が品質責任を負う形で監査を実施する。欧州ではAnnex 16に基づき、QPが製造所の適格性を確認する義務がある。監査はGMP遵守と品質保証の基盤であり、適切な文書と体制の整備が信頼性確保の鍵となる。
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ChatGPT: 医薬品の製造において、委託先(製造委託先や試験委託先など)に対する監査(Audit)は、品質確保とGMP/GQP等の遵守確認のために不可欠です。これらの監査には目的やタイミングに応じて複数の種類があります。以下に代表的な監査の種類を示します。
🔹 委託先監査の主な種類
種類 | 概要 | 実施タイミング・目的 |
---|---|---|
初回監査(Pre-approval audit / Qualification audit) | 新たに委託契約を締結する前に、その委託先が適切な体制・設備・管理手順を有しているかを評価する監査。 | 契約締結前または委託開始前 |
定期監査(Routine / Periodic audit) | 定期的に実施し、継続的なGMP/GQP遵守状況を評価する監査。 | 1~3年ごと(リスクに応じて頻度設定) |
年次監査(Annual audit) | リスクの高い業務や法規制上「毎年1回の監査」が求められる委託先に対して実施。 | 定期監査の中でも毎年実施する形式を指す。 毎年(例:製剤の最終製造所、GDP対象施設など) |
フォローアップ監査(Follow-up audit) | 以前の監査で指摘事項があった場合に、是正処置(CAPA)の実施状況を確認する監査。 | 指摘事項の是正後、一定期間内 |
変更監査(Change-related audit) | 委託先の設備・体制・手順などに重要な変更があった場合に実施する監査。 | 委託先の変更通知を受けた後 |
突発監査(For-cause audit / Ad-hoc audit) | 苦情、逸脱、OOS、不正疑義などがあった場合に、原因究明または対応評価のために実施する監査。 | 問題発生時、緊急対応として |
技術監査(Technical audit) | 製造・試験の技術的観点から工程の妥当性や技術移管の状況を確認する監査。 | 技術移管、プロセス変更、製造開始時など |
模擬当局査察対応監査(Mock inspection) | 規制当局の査察を想定して行う監査。委託先の対応力・GMP体制を評価。 | 査察前準備段階などで任意実施 |
書面監査(Desk-top audit / Paper-based audit) | 訪問を伴わず、自己点検報告書やQMS資料を提出させて評価する形式の監査。 | リスクが低い業務(例:包装表示)、コロナ禍など訪問困難時 |
🔸 監査対象と留意点
委託先の種類 | 監査の留意点 |
---|---|
製造所(API/製剤) | 製造工程、交叉汚染防止、文書管理、人的資源の確認など |
試験機関(分析試験) | 試験法の妥当性、記録のトレーサビリティ、DI(データインテグリティ)対応など |
包装・表示業者 | 資材管理、ロットトレーサビリティ、誤包装防止対策など |
保管・配送業者 | 適切な温湿度管理、逸脱時対応、GDP遵守の確認など |
ITサービス提供者(CSV対象) | コンピュータ化システムの管理、アクセス制御、バリデーションの状況など |
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ChatGPT: はい、日米欧における委託先監査(Audit of Contracted Facilities)には、GxPの基本原則に共通点がある一方で、規制や運用上のアプローチにいくつかの違いも見られます。以下に、GMPを中心とした日米欧の比較表と、違いの要点を解説します。
🔸 日米欧における委託先監査の比較表(主にGMPに基づく)
項目 | 日本(PMDA/厚労省) | 米国(FDA) | 欧州(EMA/EU-GMP) |
---|---|---|---|
基本規制文書 | GMP省令、GQP省令、厚労省通知 | 21 CFR Part 210/211、FDA Guidance | EU-GMP Part I/II、Annex 16、GDPガイドライン |
委託業務の管理責任 | 委託者(製造販売業者)が責任を持ち、GQP体制下で管理 | 委託者が最終的な品質責任を負う(法的義務) | 責任の所在は明確にし、製造販売承認者(MAH)が最終責任 |
契約書要件 | GQPで契約締結義務あり(業務内容・品質責任の明記) | 明文化された契約が必須(CFR明記) | 書面による技術契約(Technical Agreement)が義務(Annex 16) |
監査義務 | GQPで定期監査が義務(委託前・定期) | 明文化された監査義務なし。ただし期待される実務として存在 | 明確に定期監査が義務付けられている(EU-GMP第7章) |
当局による査察方針 | GMP適合性調査(必要に応じ海外も) | 海外拠点含めFDAが直接査察 | 査察は各加盟国当局が実施し、EU間で情報共有(EudraGMDP) |
リスクベース監査の強調 | 通知にてリスクベースアプローチの推奨あり | FDA Guidanceでリスクベースの評価が強調される | EU-GMPでもリスクベース監査が原則(頻度・範囲の設定) |
遠隔監査(リモート) | COVID以降容認されつつあるが限定的 | COVID以降増加。一定の条件下で可 | 一定の条件下で認められるが、現地監査が基本 |
GDP対象の委託先(物流など) | GDPガイドライン準拠で監査必要 | FDAはGDP規制なし(がQMSで管理を期待) | GDPガイドラインが法的拘束力あり(監査も義務) |
🔹 補足解説と相違点の要約
✅ 共通点
- 契約書締結と品質責任の明確化は共通。
- 委託者が最終責任を負うという考え方も共通。
- 監査のリスクベースアプローチが日米欧すべてで推奨されている。
❗ 違いのポイント
- 法的義務の明文化レベル
- 日本(GQP)・EU(Annex 16)では監査実施義務が法令で明記。
- 米国(FDA)は監査義務を法令では明記していない(ただし業界慣行・期待値として求められる)。
- EMA/EUではTechnical Agreementが必須
- EU-GMP Annex 16では製品放出(QPリリース)前の管理責任が非常に厳格。
- GDP監査の取扱い
- 日本やEUでは、物流業務委託先(例:3PL)にもGDP準拠の監査が要求される。
- 米国ではGDPに相当する規制が存在せず、QMSの枠内での管理が期待されている。
🔸 実務面での注意点(日本から委託する場合)
- 米国委託先には監査の法的義務がないことを理解し、契約と監査の意義を説明する必要あり。
- EU委託先に対してはTechnical Agreement(製品品質協定)の詳細整備が必須。
- 監査頻度や項目の違いを吸収するために、日本独自のGQP体制との整合性を確保する必要がある。
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年次監査
定期的なGMP(Good Manufacturing Practice)監査や製品年次照査(PQR: Product Quality Review)は、製造業者の適切性を評価し、製品の品質を確保するために重要なプロセスです。以下に具体的な説明を示します。
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ChatGPT: 「法規制上“毎年1回の監査”が求められる委託先」については、主に日本のGQP省令およびその運用通知に基づくものであり、製造販売業者が品質保証体制の一環として委託先の監査頻度を設定する際に、「年1回以上の監査が望ましい」と明確に示されている対象があります。
以下に該当する委託先の種類と、関連通知・根拠、実務上の扱いを体系的に解説します。
🔸 年1回以上の監査が原則とされる委託先(日本)
委託先の種別 | 根拠・通知 | 監査頻度(基本) | 補足 |
---|---|---|---|
最終製剤の製造所(最終製品の製造工程を担う) | GQP省令第13条・第15条、 厚労省通知「薬食監麻発1224第1号」 | 年1回以上 | 品質保証責任が重く、出荷可否判定に直結 |
最終試験を実施する試験検査機関(放出試験など) | 同上 | 年1回以上 | 出荷判定の根拠となるデータの信頼性が必須 |
包装・表示の最終工程を行う製造所 | 同上 | 年1回以上 | 誤包装・誤表示防止などGMP/GQP的にも重要 |
物流・保管・配送の委託業者(GDP対象) | GDPガイドライン、GQP通知 | 年1回以上(リスクベースで短縮も可) | 保管状態が製品品質に影響するため。温度管理等が必要な製品は特に重視される |
変更が多くリスクが高いと評価された製造所・委託先 | リスクベース評価に基づく | 年1回以上(またはそれ以上) | 年度内で複数回実施もありうる |
🔹 関連通知と記述(抜粋)
✅ GQP関連通知:「薬食監麻発1224第1号(平成16年)」より抜粋
委託先の製造管理および品質管理の実施状況については、原則として年1回以上の頻度で監査を実施することが望ましい。
✅ GDPガイドライン(日本版)第4章より:
委託者は、保管・輸送を行う者のGDP遵守状況について**定期的な監査(年1回が目安)**により評価する必要がある。
🔸 実務上の取り扱いと柔軟性
- リスクベース監査の考え方により、年1回を基本としつつ、以下のような調整が行われます:
ケース | 監査頻度調整の例 |
---|---|
長年にわたり問題のない実績、CAPAも適切 | 1.5年~2年に1回(例:書面監査との組合せ) |
新規立上げ、逸脱・回収歴あり、重要工程担当 | 年2回(初期強化監査)など |
COVID等の理由で現地訪問困難 | 書面監査+リモート監査で一時対応(実地は後日) |
🔹 まとめ:年1回監査が求められる委託先の共通点
特徴 |
---|
出荷判定に直結する工程(製造・試験)を担う |
製品品質へのリスクが大きい(包装表示、保管、流通など) |
品質情報の信頼性が問われるデータ発生源である |
GQPやGDPにおいて品質保証責任を適切に果たす必要がある |
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ChatGPT: 製造業者の**適切性評価(評価または査察)**は、医薬品の製造委託を行う前、または製造販売承認申請時や変更申請時に、委託先がGMPに適合しているか、製品品質を保証できる体制を有しているかを確認するための調査・監査です。
この評価は、**「初回監査(初期監査、適格性評価監査)」や「適格性評価(Qualification)」**という形で呼ばれることが多く、以下のような特徴を持ちます。
🔹 製造業者の適切性評価:概要
項目 | 内容 |
---|---|
目的 | 委託先が製造業許可/GMP体制を有し、品質保証が可能であることの確認 |
タイミング | 委託開始前、またはCTD申請前(承認申請前)、変更管理に伴う再評価時 |
評価方法 | 実地監査(オンサイト)、リモート監査、書面評価(必要に応じ組合せ) |
評価対象範囲 | GMP体制、設備、人員、手順書、教育訓練、過去の査察対応、データインテグリティ、逸脱管理、バリデーション、出荷可否判定体制など |
実施者 | 製造販売業者(MAH)の品質保証部門(GQP部門) |
結果活用 | 委託契約の締結判断、CTD記載(特にModule 3.2.P.3)、リスクベース監査計画への反映 |
🔸 適切性評価の分類と内容
種類 | 説明 | 実施内容の例 |
---|---|---|
初回監査 / 初期評価監査 | 新規委託先や新製品導入前に行う監査 | 交叉汚染防止、品質システム、記録管理、バリデーション状況などの確認 |
適格性評価(Qualification) | 製造所が委託製造の要件を満たすかを文書で確認 | 製造実績、査察歴、承認状況、CAPA体制、組織図などのレビュー |
製造販売承認申請時の製造所評価 | CTD記載とPMDAのGMP調査に対応する評価 | Module 3.2.A や GMP調査表との整合性、試験委託体制の確認など |
🔹 日本の法的・規制的背景(GQP省令)
- GQP省令第13条・15条において、「製造所がGMP省令に適合しているか確認すること」が求められています。
- 「薬食監麻発1224第1号(厚生労働省通知)」では、委託先の選定に際して「実地確認または書面確認による適正性評価」の実施を求めています。
🔸 海外対応(米国・EU)との比較
地域 | 適切性評価の特徴 | 特記事項 |
---|---|---|
日本(PMDA) | GQPに基づく初期評価と監査記録が必須。PMDAへの説明責任もあり。 | GMP適合性調査に備えて十分な評価が要求される |
米国(FDA) | 申請者(MAH)が責任を持つ。事前評価が期待されるが形式自由。 | FDAが直接査察に来る可能性が高い |
EU(EMA) | QPがバッチ放出前に製造所の適格性を確認する義務あり | Annex 16にて「供給先の評価」は明記されている |
🔹 適切性評価で確認すべき主要項目
- 製造業許可とGMP適合状況
- 品質システムと文書管理体制
- 逸脱・OOS・CAPAの実施状況
- バリデーション(設備・清浄度・工程)
- 人員教育・責任体制(責任者の明確化)
- 査察歴(PMDA/FDA/EMA他)と指摘対応履歴
- DI(データインテグリティ)管理状況
- 試験委託先・資材供給元の管理体制
🔸まとめ:製造業者の適切性評価とは?
製造業者が製品を委託できるだけの品質体制とGMP準拠性を備えているかを、契約前・申請前に総合的に評価するプロセス。
その形式として「初回監査」「書面評価」「適格性評価」などがあり、結果は委託契約締結の可否判断やCTD提出情報に反映されます。
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ChatGPT: 承知しました。「製造業者の適切性評価:概要」に記載した監査項目について、以下に逐次解説します。
これらの項目は、初回監査(初期適格性評価)でよく使われるGMP遵守状況の確認リストとも一致します。
製造業者の適切性評価における主要監査項目(逐次解説)
1. GMP体制の整備状況 + 製造管理体制
製造業者としての基本的な品質保証体制および製造管理体制が整備されているかを確認。
- 組織図、職務分掌(製造と品質の独立性)
- GMP手順書の整備とマスタープランの存在
- 製造日誌、製造管理記録の整備状況
- 工程管理の適切性(工程逸脱の抑制・是正)
- 原料・資材受入〜製品出荷までの一貫した管理体制
➡ 評価ポイント: 品質と製造の責任分離、記録の整合性、手順通りの運用。
2. 設備と施設の適格性
製造・保管・試験を行う設備と施設が、製品品質確保に必要な条件を満たしているか。
- 設備台帳、保守・校正記録
- DQ/IQ/OQ/PQ記録の有無と更新状況
- 清浄度区分、圧差、換気、交叉汚染対策
- 試験室やサンプリングエリアの動線設計
➡ 評価ポイント: GMP設計に準拠し、設備の適格性が文書で保証されているか。
3. 人的資源と教育訓練
業務を遂行するに十分な知識・経験を持った人材が配置され、継続的に教育されているか。
- GMP教育の年間計画と実績
- 新任者教育・定期再教育・変更時教育
- 作業ごとのスキルマトリクス
- 教育効果の確認(テスト・評価制度)
➡ 評価ポイント: 教育履歴と作業実態が一致し、品質に関わるリスクが低減されているか。
4. 手順書(SOP)の整備と運用
標準作業手順書が整備され、現場で正しく運用されているか。
- SOP、マニュアル、WI(作業指示書)の体系
- 改訂管理(版管理・改訂履歴)
- 手順書の現場への展開状況
- 実作業と手順書の整合性確認(現場観察)
➡ 評価ポイント: 文書化されただけでなく、実際に従って運用されているか。
5. 逸脱管理、OOS、苦情対応体制
品質問題や手順からの逸脱に対する初動対応と是正が機能しているか。
- 逸脱報告書の分類(重大・軽微)
- OOS/OOTの管理手順、根本原因分析(RCA)
- 苦情の受理、調査、改善措置
- CAPA(是正・予防措置)の追跡管理
➡ 評価ポイント: 問題が早期に発見され、再発防止策が実施されているか。
6. 変更管理(Change Control)
設備、工程、手順、試験法等の変更が適切に評価・承認され、品質に影響を与えないよう管理されているか。
- 変更管理SOPの有無と分類基準
- 変更前の影響評価(リスク評価)
- 製造販売業者への連絡記録
- 変更後の教育・バリデーションの実施確認
➡ 評価ポイント: 無許可変更がないか。影響が適切に評価されているか。
7. バリデーションの実施状況
工程、設備、洗浄、試験法など、適切なバリデーションが実施・維持されているか。
- 工程バリデーション(PV)
- 洗浄バリデーション、クロスコンタミ評価
- 試験法バリデーション(Analytical Method Validation)
- 再バリデーション・継続的評価(CPV)
➡ 評価ポイント: 計画と結果に矛盾がなく、品質が安定的に保証されているか。
8. 記録管理とデータインテグリティ(DI)
記録の真正性・一貫性・追跡性が確保され、改ざんのリスクが排除されているか。
- 電子記録・紙記録の一元管理
- アクセス権限管理、監査証跡(Audit Trail)
- 原資料と転記データの照合
- データ保存年限とバックアップ体制
➡ 評価ポイント: ALCOA原則に適合しているか。紙・電子どちらのデータも完全か。
9. 出荷判定体制と品質保証
品質部門による出荷可否判定が、製造部門とは独立して行われているか。
- バッチレコードレビュー体制
- 出荷承認権限者とその記録
- ロットリリース基準、逸脱時の判断権限
- 委託元との出荷関連情報連携
➡ 評価ポイント: 品質情報に基づき、適切な判断がされているか。
10. 査察歴と是正対応履歴
当局または顧客からの査察に対する受査記録と、その際の指摘事項・改善対応状況。
- PMDA、FDA、EMAなどからの査察履歴
- 過去の指摘と改善対応(CAPA)
- 警告書、回収歴の有無
➡ 評価ポイント: 同様の問題が繰り返されていないか、恒久対応がされているか。
11. 供給者・再委託先の管理
原材料・試験委託先など、製造業者がさらに委託している外部先の管理体制。
- 再委託先の監査・契約の有無
- 供給業者の選定基準と変更管理
- 原材料・資材の受入試験手順と記録
➡ 評価ポイント: 原材料の信頼性、外部の品質影響が管理されているか。
✅ 必要に応じてさらに確認される項目(補足)
- 品質リスクマネジメント(QRM)の運用状況
- 安定性試験の実施体制
- 不適合品の管理(保管・廃棄)
- GDP関連手順(保管・配送時の品質維持)
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監査対象となる文書類
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ChatGPT: ご質問の「QMS文書」「Site Master File」「Quality Manual」「General roles(一般的な役割定義)」などは、製造業者の適切性評価を含むGMP監査全般において必須とされる基本文書であり、文書体系の整備と運用状況を確認することは監査の基本的な目的の一つです。以下に、それぞれの文書の定義・意味・監査での使用場面などを包括的に解説いたします。
🔹 1. 各文書の定義と役割
文書名 | 意味・内容 | 主な目的・特徴 |
---|---|---|
QMS Documents(品質マネジメントシステム文書) | GMPの要求事項を具体的に満たすための文書群。手順書(SOP)、様式、記録類などを含む。 | GMP遵守のための全体運用設計。製造・試験・保管・苦情処理などあらゆる業務を文書化。 |
Site Master File(SMF) | 製造所の全体構成、業務内容、組織体制、品質管理体制などを概説する文書。EUやWHOにおいて標準化された様式あり。 | 査察対応や委託元への施設紹介資料として使用されることが多い。各種監査の入り口文書。 |
Quality Manual(品質マニュアル) | 品質方針、QMS構造、文書体系、責任体制などを包括的に記載した品質保証上位文書。 | ISO 9001/ICH Q10などで重視される。品質文化やトップマネジメントの方針を反映。 |
General Roles / Organizational Responsibilities(一般的役割定義) | 組織内の各部署・責任者の役割、権限、報告ラインなどを定義した文書。職務分掌表など。 | 製造部門と品質部門の独立性、出荷判定権限、逸脱承認者などの確認に用いられる。 |
🔸 2. どのような監査で対象となるか
監査の種類 | 文書が確認される理由・目的 |
---|---|
初回監査(適切性評価) | 全体構造や体制を評価するため、SMF・Quality Manual・職務分掌表は必須。SOP体系や文書管理手順も確認。 |
定期監査(ルーチン監査) | 文書が更新・維持されているか、変更管理やCAPAが記録されているかなどを確認。 |
変更監査(Change Audit) | Quality ManualやSOPが変更に伴い正しく改訂されているかを重点的に確認。 |
突発監査(For-cause Audit) | 苦情・逸脱・OOSの発生時に、その処理手順や権限体制が明文化されているかを確認。 |
当局査察(PMDA, FDA, EMA等) | Site Master Fileは事前提出要求があることが多く、QMSのトップレベル文書として重要な審査対象。 |
🔹 3. 文書の相互関係と構造(QMS文書体系ピラミッド)
▲
Level 1:Quality Manual(品質方針、QMS構造)
▲
Level 2:SOP・管理手順書(具体的な運用ルール)
▲
Level 3:記録様式、チェックリスト、日誌など(実施証跡)
- Site Master File(SMF) はこの体系とは少し異なり、施設・業務・品質体制を外部説明する文書として位置付けられます。
- General Roles はLevel 1または2に含まれることが多く、組織図や職務分掌記述が対応します。
🔸 4. 国際的な位置づけ
地域 | SMFの位置づけ | Quality Manualの位置づけ |
---|---|---|
EU | EU-GMP Annex 15/16で明示。査察時に提出が義務のケースあり | ICH Q10に基づき、品質文化や継続的改善の観点で重視される |
WHO | SMFの様式がWHO-GMPに定義されている | 同上 |
日本 | PMDAでは承認申請時やGMP調査時にSMFの提出を求められることがある | Quality Manualの定義は明文化されていないが、実務では重視されつつある |
米国(FDA) | SMFという名称での提出義務なし。ただし施設全体の構造説明資料を求められることがある | QMS要素(21 CFR Part 211)として内在的に期待される |
🧩 5. 関連補足:文書監査でよく確認される代表例
確認文書 | 確認される監査目的 |
---|---|
組織図・職務分掌表 | 出荷判定責任の独立性、部門間の牽制 |
文書管理手順書(SOP) | 改訂・廃止手順の妥当性、旧版管理 |
教育訓練記録 | GMP教育の履歴と頻度、対象業務への適用状況 |
年間自己点検計画 | QMSの継続的改善状況の確認 |
逸脱報告様式・CAPA記録 | 原因分析・再発防止策の具体性と実行力 |
✅ まとめ
「QMS文書・SMF・品質マニュアル・職務分掌」などは、製造業者の品質保証の“骨格”を示す文書であり、初回監査・定期監査・査察すべてにおいて確認対象となります。
また、これらの文書の整備状況は、GMP適合性調査における信頼性評価の重要な基準でもあります。
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あとがき
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ChatGPT: はい、これまで説明した監査は、主に**GMP(Good Manufacturing Practice)およびGQP(Good Quality Practice)**に係る監査です。製造業者や試験委託先などに対して実施される監査は、製品の品質を保証するために製造販売業者が果たすべき法的責任の一環として位置づけられており、関連法令・ガイドラインに根拠があります。
以下に、監査に関する法的根拠・ガイドラインを日本・国際・日米欧の観点からリストで整理します。
🔹【日本国内】監査の根拠となる主な法規・通知
文書名 | 内容・関係 |
---|---|
医薬品医療機器等法(薬機法) | 第16条、18条等で製造業・製販業の責任を規定 |
GMP省令(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準) (厚労省令第179号) | GMP遵守体制の構築と、逸脱・変更・記録管理等の監査項目の根拠 |
GQP省令(製造販売後の品質管理の基準) (厚労省令第136号) | 製造販売業者による**製造所・委託先の監査義務(第13条、第15条)**を規定 |
厚労省通知:薬食監麻発1224第1号(平成16年) | 「原則年1回以上の監査」などの具体的運用指針 |
日本版GDPガイドライン(平成30年) | 医薬品の保管・配送に関する委託先の監査義務を記載 |
🔹【国際ガイドライン・標準】
文書名 | 内容 |
---|---|
ICH Q10:Pharmaceutical Quality System | 監査を含む製薬品質システム全体の国際的枠組みを提示 |
WHO GMPガイドライン | Site Master File の構成要件や監査の一般原則を記載 |
PIC/S GMPガイドライン | 欧州・アジアを含む国際査察当局の共通基準(日本は加盟) |
ISO 9001(参考) | QMSの国際標準。Quality Manualの考え方と重なる部分あり |
🔹【欧州(EMA/EU-GMP)】
文書名 | 内容 |
---|---|
EU-GMP Part I/II | GMPの基本原則を規定。委託業務は第7章で詳細に扱われる |
Annex 16(Certification by a Qualified Person) | QPによる製造所の適格性評価および委託監査の義務付け |
GDPガイドライン(2013年発効) | 保管・輸送業務の監査義務と頻度の明示 |
🔹【米国(FDA)】
文書名 | 内容 |
---|---|
21 CFR Part 210/211 | GMPの法的根拠(ただし「監査義務」は明記されていない) |
FDA Guidance on Quality Agreements(2016) | 委託先との契約管理・監査責任について明確に規定 |
FDA QMS Expectations(各種Warning Letter等) | 品質システムに関する期待水準として監査も含まれる |
🔸 まとめ
よって、これらの監査はGMP/GQP体制の一部として、法令・通知・ガイドラインに明確に根拠を持つものであり、委託製造・試験・包装・保管・配送などの外部委託先が品質確保の義務を満たしているかを確認する手段として実施されます。
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編集履歴
2025/04/29 Mrはりきり