[Bio-Edu] 進化するPCR – droplet digital PCRまで – 原理を解説する [2020/07/16]

PCR

Polymerase chained reaction

デジタルPCRとは。そして更に、ドロップレットPCRの原理は、シンプルで美しい。

  • ~20,000ウェルの微細なナノウェルにDNA分子をランダムに分配する。ナノウェルとは、water in oilの事です。これを考案したの凄いのです。
  • 0個のウェルが存在するようにする(限界希釈)ことで、ポアソン分布を成り立たせ、その統計手法により分子数を定量する
  • エンドポイントPCRにより、分子が0個(ネガティブ)となる数に基づいて、サンプル中のDNA分子数をポアソン統計手法により計算する

各PCRの説明

原理説明
PCRDenature → Annealing → Extension
Denature : 100℃近い温度で、ダブルストランドのDNAを1本に解く
Annealing : 50℃~60℃で、Primerを相補結合させる
Extension : 70℃程度で、耐熱性のDNA polymerase (Tag Polymerase)で伸長反応
Endo point method、エンドポイント増幅量を標準と比較してして判定、装置が単純(サーマルサイクラー)
Real time PCRリアルタイム測定(増幅の傾き; 指数増殖フェーズのデータを利用)、蛍光シグナル使用
統計手法により絶対量を予測、広いダイナミックレンジ、1.5~2倍の濃度差識別
Digital PCR微細な多数のウェルに分子が0個のものもあように分配(ナノ流体工学に基づくチップ; 数千~数万の反応ウェル)してエンドポイントPCR。ネガティブ・ウェル(必ず必要)の割合と複数分子のウェルからポアソン統計(分子が0,1,2あるいは3個入る場合の確率)、により、絶定数を定量可能。標準曲線不要、PCR反応阻害を受けにくい
Droplet Digital PCRナノ流体工学に基づくチップを、もっとシンプルな考え方で解決しています。チップでナノのスペースを作るのではなく、water in oilによる微細なエマルジョンの1つ1つを反応ウェルと見なせます。50μLの反応液に数万の反応ウェルが存在することになります。このままPCR反応を行います。エンドポイントの産物は、ドロップレットという粒子として、フローサイトメトリーの原理で一つ一つ数万の粒子ごとに蛍光強度を測定する。
ThermoFisher と BIO-RADのサイトから

Digital PCR

次世代の定量技術!デジタルPCRの原理とは? – ThermoFisher –

https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/digitalpcr1/

QX200 Droplet Digital PCR システム – BIO-RAD –

https://www.bio-rad.com/ja-jp/product/qx200-droplet-digital-pcr-system?ID=MPOQQE4VY
編集情報
2020/07/16 Harikiri(Mr)