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  • [Bio-Equip] UF/DF System [2020/06/01]

    [Bio-Equip] UF/DF System [2020/06/01]

    TFF System: Allegro System

    TFF Systemは、PallのAllegro System (3/8インチ)

    Allegro, Pall

    https://biotech.pall.jp/jp/ja/tangential-flow-filtration.html
  • [Bio-Process] UF/DF for buffer exchange – タンパク質溶液の緩衝液組成の変更 – ID8458 [2020/02/02]

    [Bio-Process] UF/DF for buffer exchange – タンパク質溶液の緩衝液組成の変更 – ID8458 [2020/02/02]

    抗体

    抗体の精製の場合、バッファ組成を調整しないで次工程に進むことも多い

    rAAV

    次工程のAffinityクロマトグラフィにロードするために緩衝液の組成を調整すると共に、溶液体積の縮小化を行う

    rAAVは、分子量~1,000kDaと想定される。したがってTFF膜のサイズは、それ以下で良いが、製品ラインナップとしては、分子量カット100kDa若しくは300kDaがあるので、状況に合わせて使用する。

    平膜のTFFではなく、フォローファイバーのTFFでは、分子量カットのラインナップは、平膜より多いため、合わせて使用を検討する。

    最終工程の緩衝液置換では、以下の要件に合う組成に置換する

    • 安定な最大濃度
    • 安定なpH
    • 安定な電気伝導度
    • 安定になる最小限度の添加物

    TFF Systemは、PallのAllegro System (3/8インチ)

    Allegro, Pall

    https://biotech.pall.jp/jp/ja/tangential-flow-filtration.html
    編集履歴
    2020/02/02 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Process] UF/DF for chromatography – 溶液組成の置換と目的物の濃縮/膜の選定に関する考慮点 – [2021/01/05]

    [Bio-Process] UF/DF for chromatography – 溶液組成の置換と目的物の濃縮/膜の選定に関する考慮点 – [2021/01/05]

    ID8446

    UF/DF工程

    UF/DF工程は、Ultrafilterを用いたUltrafiltration/Diafiltration工程です。具体的には、目的物質の濃縮と緩衝液組成の置換です。UltrafilterすなわちUF膜は、分子量の差を利用して分子集団を分画することを目的としており、そのためには、目的のタンパク質の分子量に応じたサイズを選択できる。しかし、厳密には、分子量のみでUF膜を選択できることは稀れです。UF膜の素材の物理的特性と目的タンパク質や不純物などのタンパク質の物理特性に影響をうけるためです。その物理特性に影響できるのが緩衝液のpH, 伝導度などです。

    UF/DF工程の組込み目的は、次工程の目的によって異なります。例えば、次の工程がクロマトグラフィーである場合は、ロードに適する組成に置換することが、UF/DF工程の処理目的となる。最終的なサンプル組成を目的としている場合は、組成の置換と目的タンパク質の濃度調整も処理目的となる。

    UF/DF実施の考慮点

    • 抗体では、30kDa~50kDaの分子量カットのものを使用する
    • AAV Vectorの場合は、理論分子量が1,000kDaであるため、それより小さい500kDaで濃縮できるはずだが、メーカーや製品によるバラつきもあり、漏れる量に違いが生じる。できるだけ漏れを少なくするには、100kDaの膜サイズを使用する。また、バッファ組成によっては、「漏れ率」が変化するため、予備検討が必要である。以下に示したTMPやCross Flow Rateによっても、漏れ率は異なるため、条件設定には、十分に理解して検討を進める。
    • TMPの設定
      • 膜システムの出と入の圧力差の設定
      • システムの配管口径に依存する
        • 高濃度のタンパク質では、極端に配管口径が小さい場合、TMPを標準に設定できたとしても、Cross Flow Rateが適切に設定できない場合がある
    • Cross Flow Rateの設定
      • 膜付近で濃縮されたタンパク質を洗い流す効果を効率的に設定する必要がある
      • システムの配管口径に依存する
        • 高濃度のタンパク質では、システム口径は、出来る限り最大化を目指す
      • 膜面積当たりのポンプ流速 (L/m2)
    • メーカーの違い
      • Pall
      • Merck Millipore
      • Cytiva
      • Nova
      • etc.
    • 処理する目的物の組成の違い
      • pH
      • 伝導度 (塩濃度、塩の種類、etc)
    • UF膜の材質の違い
      • PES
      • 再生セルロース
    • 処理温度
      • 室温(18-24℃)
      • 15℃
      • 4℃
    • 構造
      • 平膜
      • ホローファイバー

    編集履歴

    2020/02/02 Mr.Harikiri
    2021/01/05 文言整備、追記(漏れ率、条件設定における考慮するポイントなど)

    Pallの製品

    日本ポール

    https://www.pall.jp

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  • [Bio-Edu] 排除体積効果 – タンパク質を精製し濃縮する時に、知っておきたい知識 [2024/01/02更新] ID2701

    [Bio-Edu] 排除体積効果 – タンパク質を精製し濃縮する時に、知っておきたい知識 [2024/01/02更新] ID2701

    はじめに

    バイオ医薬など高分子を取り扱う場合,排除体積効果について知っておかなければならない.排除体積効果は,タンパク質の塩析の原理に関わる.また,高濃度のバイオ医薬品の処方組成(バッファ組成)をUF/DF(限外ろ過膜; Ultrafiltration/透析; Diafiltration)を用いてバッファ置換や濃縮,特に高濃度のタンパク質を調製する場合は,pH shift (Donnan effect)の対策のために理解しておかなければならない必須のナレッジである.

    抗体医薬では

    高濃度化するためにUltrafiltration Filter (UF)を用いて濃縮・バッファ組成置換を行うが、その際、濃縮過程で「排除体積効果」により組成が変化することでpHがシフトする現象が見られる場合がある。例えば、pH5の抗体溶液を30kDaのUFで濃縮していくと、あるバッファ組成ではpHは上昇していく。抗体分子の分子量は150kDa、バッファ成分は低分子であるため、抗体分子と比較してUF膜の濾過側へ濾過されやすい。濃縮前の抗体とバッファの成分との比率は、濃縮課程で「排除体積効果」により変化していく。抗体の等電点(pI)が塩基性の場合、バッファ成分が少なくなるため濃縮後の高濃度の抗体溶液のpHは濃縮前よりも高くなる。

    抗体医薬の高濃度化では、以上の現象が生じることを踏まえて濃縮およびバッファ組成置換のプロセス条件を構築することで製造工程の管理を行う必要がある (2024/01/02 by Mr.Harikiri)。

    排除体積効果

    排除体積効果を簡単にイメージすると、「体積の大きい分子が体積の小さい分子の居場所を無くす効果」となります。

    • 排除堆積効果とは、巨大分子(macromolecule)によって占有される空間体積における熱力学的効果です1)
    • 例えば、細胞内(細胞質)には、細胞の活動に必要なタンパク質(巨大分子)が局在状況(空間の体積を排除している状況)となっている1)
    • その結果、macromoleculeは、互いに接近しておりエントロピーが増加注)、また、分子間引力が働きやすくなり、分子同士の解離定数が減少(集合)する
    • macromoleculeが高密度で存在する環境では、その配置の多重度は増加する.すると分子同士が結合する状況も生まれる.エントロピーが最小になるように均衡していく.
    • その他、分子間に働いている力
      • イオン結合力
      • ファンデンワールス力
      • 水素結合
      • 疎水性相互作用
      • 枯渇力
      • source
    • 注) 重力と位置エネルギーの関係と同様の理屈で、重力すなわち分子間力が大きくなれば、位置エネルギーすなわち、分子の熱エネルギーが大きくなるsource

    液晶が並ぶ理由2)

    窮屈な状態には最も楽な状態になろうとする.ポイントは,①分子間力,②排除体積効果(),③パッキング(整列した方がよい,オーダーパラメータS=1は同じ方法,S=0はランダム),④温度(低い温度の方が安定),電気的力(+と+又は-と-よりは,+と-).

    活動係数4)

    高分子の活動係数は,濃度に影響を受ける.なぜなら,高分子であるが故,排除体積効果が無視できず,エントロピーが濃度により変化するためである.

    分子の濃度は,容積モル濃度(体積変化があるため温度に影響される),重量モル濃度(温度に影響されない),モル分率があり,熱力学を扱うには,モル分率表示が適する.希薄溶液の全モル予数を水分子のモル数に近似(55.5, 1kg)すると,溶液自身によるエントロピー変化,すなわち,アニタリー・エントロピー変化(ΔSu)を求めるられる.

    Gurney(1953)は,このΔSuの大小から,水素構造を壊すイオン(order-destorying ions)と水を構造化するイオン(order-producing inons)に分別した.

    Kauzmann(1956)は,疎水性分子を非極性溶媒から水溶液に移動させたときのエントロピー変化から求めたΔSuは負(<0)になることを見出し疎水性分子の界面間の相互作用の一因と考えた(疎水結合).

    疎水性結合による会合メカニズム

    脂肪性炭化水素や芳香族炭化水素を非極性溶媒から水溶液を移した場合,ユニタリー・エントロピー変化(ΔSu)は,-24 ~ -16 e.u.,ユニタリー・自由エネルギー変化(ΔGu)は,+3~+5 kcal/mol増加した.構造化した水槽(ice-berg)が疎水性分子の表面に形成された結果である.この系の状態は,不安定である.不安定であるため,疎水性分子は,お互いに会合(水素結合)しようとして,ice-berg量(直接的な報告としては最も多い)を減らそうとすることになる.2003年の中性子,X線反射率を使用したの報告では,iced-bergは,1.5~2nmの構造があるとされる.

    AOモデルによる会合メカニズム(Asakura & Oosawa)

    立体モデルとして高分子を大きな球,小さい分子を小さな球とする.大きな分子が互いに接近しない環境下では,小さい分子の並進運動は,使用可能空間として最大になっている.もしも,大きい分子が接近して接触し会合したとすると,会合面周辺も含めて排除領域が小さくなるため,小さい分子の並進運動に利用できる空間容積が増加する.すなわち,並進運動エントロピー(traslational entropy)は,増加して,その結果,自由エネルギーは減少する.Kauzmannも出もAOモデルもエントロピーに基づいて結合を説明している 4)

    注) エントロピーが高い状態とは,散らかっている状態,低い状態とは,整頓されてい状態.分子が取りうる可能性の大きさ.

    注) 希薄溶液は,理想気体の理論に近似できる.ΔG = -TΔS 5)

    高分子鎖の広がりと排除体積効果 (1983)3)

    Werner Kuhn,P.J.Floryは,それを思索した.Kuhnは分子の形の問題に深い関心を持つ続け,糸状分子に関する論文(1934)では,両端と中央の比率6:2.3:1の楕円体に近似できることを明らかにし、式(2)のように見積もった.

    [η] = (5/2)(N/M)[1+(p2/75)]・・・(1)

    [η]に対する分子の広がりωと形pの効果

    • [η] :固有粘度は棒の長さの2乗に比例する
    • ω :分子実体
    • NA :Avogadro定数
    • M: モル質量または分子量
    • p :軸比
    • 大かっこ[]: 形状因子

    ω0=(1/36)(π/3)1/2<R2>03/2・・・(2)

    <R2>0: 2乗平均末端距離

    等価セグメントの数 (n)と長さ(b)で表すと,式(3)となる

    Staudinger則の指数a(すなわち[η])=2では,直線の糸状分子,0.5はある程度まとまりかけた分子,0は完全に糸まりとなった状態.Kuhnはこの糸まりの膨張が,理想気体の状態方程式にタイル巣van der waalsの排除体積補正と本質的に同じ原因でおこるものと考えた

    排除体積効果と第二ビリアル係数

    Staudinger則は,いまだ,低分子の一般粘度式で成立するが,Schulzらにより鎖状高分子溶液(数万以上の固有粘度と分子量の関係)の浸透圧測定法が確立された(1935)

    浸透圧事態は,第二ビリアル係数A2がMの違いに関わらないことが明らかにされた.低分子の場合,A2はMに反比例する

    編集履歴

    2019/10/13 はりきり(Mr)
    文献3)のクラスター展開法の解説以降は省略
    2020/06/25 追記(排除堆積効果の説明に具体例追加)
    2023/10/27 文言整備
    2024/01/02 追記(抗体医薬の高濃度化での事例)

    文献

    1) 排除体積効果

    https://www.yodosha.co.jp/jikkenigaku/keyword/2832.html

    2) 液晶が並ぶ理由

    https://www.rs.noda.tus.ac.jp/~furuelab/lc_align.html

    3) 高分子鎖の広がりと排除体積効果 (1983)

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/kobunshi1952/32/1/32_1_26/_pdf/-char/ja

    4) 生理現象と高分子排除体積効果(Excluded Volume Effect) ─高分子活量係数(I) (2006)

     http://physiology.jp/wp-content/uploads/2014/01/068010004.pdf

    5) エントロピーと自由エネルギー

     http://www.twmu.ac.jp/Basic/physics/entropy.pdf