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  • [Bio-FAQ] タンパク質精製用のLab(実験室)の準備について教えてください[2022/11/16]

    [Bio-FAQ] タンパク質精製用のLab(実験室)の準備について教えてください[2022/11/16]

    Q : タンパク質精製用のLab(実験室)の準備について教えてください

    A : 目的のタンパク質の生産がどの細胞であるか,そのタンパク質は分泌系か否か,などにより準備する装置は異なってくる.

    フロー

    • 生産系 : 培養装置
      • 動物細胞 : 動物細胞用培養装置
      • 大腸菌 : Fermenter
      • 酵母 : Fermetner
    • 回収
      • 動物細胞,酵母では目的物は分泌されるため遠心機で培養上清を分離回収する
      • 大腸菌では,目的物はInclusion Body (IB),すなわち不溶性画分として産生されるため,遠心機に加えて細胞破砕装置が必要となる
    • 途中保管用の冷凍庫 : -20℃は凍っているとは言えない.タンパク質溶液を凍結して安定的に保管することはできない.できれば,-80℃冷凍庫がベスト.
      • できれば,-80℃冷凍庫
      • なければ,-40℃冷凍庫
      • それでも難しい場合は,安価な-20℃以下の冷蔵庫
    • Refoldingは必要か : 目的物がIBとして得られる場合,タンパク変性材,例えば尿素,塩酸グアニジンで可溶化し,さらに,アミノ酸組成にシステインを含む場合は,還元剤である2-Mercaptoethanolや酸化剤であるシスタミン塩酸塩あるいは金属塩を使用して分子内SS結合を正しく作ってやる必要がある.
      • 希釈法 : Refolding法としては一般的方法.10倍希釈に対応する容器が必要である.
      • カラム法 : カラムに目的物を結合させた状態で,Refolding 試薬であるたんぱく変性材などを取り除き,その後,カラムから抽出する方法.目的タンパク質が結合できるレジンとその量,および必要なサイズのカラムが必要である.
    • カラム精製: 使用するバッファは,できるだけStock Solutionとして用意する.
      • カラムサイズ (0.1mL~100mL)
      • Stepwise (max: 6CV) or Gradient
      • Resinの種類
      • カラム精製の順序
      • カラム再生
        • 0.1N NaOH, 6M GuHCl, 1% Acetic Acid
      • カラム保存
        • 3M NaCL
        • 次回の検討に使用するまで5℃保管 : 冷蔵庫
    • 膜処理
      • 濃縮 : タンパク質の濃縮し水分をろ過液として分離することで,体積を少なくする
      • バッファ組成交換 : 濃縮により減少した体積分を交換したいバッファで補充してやると組成が置換される.何度も行うことで目的のバッファ組成に変更できる.
      • 膜分画
        • MWCO値 : 目的の分子量(MW)を目安に適当なMWCO値の膜を選択する.
        • メーカーにより性能が異なる : メーカーによってMWCO値と性能は異なるため,実際の目的タンパク質で確認する必要がある.
        • バッファ組成ごとに性能が異なる : 伝導度,塩の種類,pHとタンパク質の物性の組み合わせにより,そのタンパク質の立体構造や表面電荷が変化することで,タンパク質の大きさとしての「膨らみ具合」,「粘度」や膜との親和性に違いが生じる.その結果,処理時間の変化,ろ過液への漏れにつながる.
    • Endotoxin除去
      • 混入リスクの低減
      • シンプルな配管
      • バッファ調製用の水
      • 限外ろ過膜による分子量カット

    材料

    • カラム : ディスポカラム(Endotoxin混入対策)
      • 0.1mLカラム : 市販のスピンカラムの中身を抜いて利用
      • 0.5mLカラム : PD-10 Emptyカラム
      • 5.0mLカラム : Millipore C10/Millipreの中身を抜いて利用
      • 50mLカラム : BioRad Econocolumn/5cmφ
        • 送液ポンプ : MasterFlex Pump
    • 限外濾過膜
      • 材質
        • 強度はPES, 低吸着はセルロース系
      • MWCO
        • 5kDa
        • 10kDa: 一般的
        • 30kDa: Albumin, IgG
        • 50kDa
        • 100kDa: 低分子量タンパク質のろ過によるEndotoxin除去
        • 1,000kDa: 清澄ろ過
      • 製品
        • VIVASPIN
        • VIVACELL
        • VIVAFLOW 50 , 200
          • 送液ポンプ : MasterFlex Pump
      • 再生
        • 6M GuHCl→0.1N NaOH→water
      • 保管
        • 3M NaCl
    • 分析装置
      • RP-HPLC
      • SDS-PAGE分析装置
      • ゲル振とう器
      • 分光光度計
      • 液体クロマトグラフィー装置(AKTA)
      • TFF System

    ストックバッファー

    • 3M NaCl (希釈して使用)
      • 0.15M NaCl (Saline) dilution by water
      • 0.3M NaCl
      • 0.5M NaCl
    • 6M GdmCl
    • 8M Urea
    • 1M Imidazole
      • 溶解時pH8
    • 1M Tris-HCl (pH7.5), 1M Tris-HCl(pH8.0)
      • 25mM Tris-HCl (dilution by water)
    • 1M Arginine, 0.25M Tris (HCl) pH9
    • 33mM Acetic Acid (pH3程度)
    • 0.1N NaOH

    精製検討の実際

    • 分析法
      • SDS-PAGE: SS結合の開裂の問題
        • 中性pHのSDS-PAGE (Bis-Tris)
        • 通常のアルカリ性のSDS-PAGE
      • BlueNativePAGE
        • 標準のサンプルバッファー
        • 1M Tris-HCl (pH7.5)
    • モニタリング
      • RP-HPLC
        • 分析時間: 5分
        • A220nm
        • PolymerLaboratorys, A4000
        • A buffer: 0.1% TFA
        • B buffer: 90% Acetonitrile, 0.1% TFA
    • スモールスケール検討
    • クロマト
    • 膜分画
      • MWCOによる分画では、バッファ組成、遠心G、クロスフロー流速とTMPにより性能が異なる
    • 沈殿法
    • Refolding
    • サンプルの状態の目視観察
      • 泡立ち
        • タンパク質濃度の推定
        • 試験管を激しく振ったりする
        • 色は不純物、タンパク質との分離の具合
      • 表面張力
        • タンパク質濃度、核酸、糖

    Eco-Study

    • 基本的は、Stepwiseによるカラム実験とRP-HPLC分析を同時並行して回し、サンプルが整えばSDS-PAGE分析に投入する。これをシームレスに慌ただしく実行する
    • マルエム・チュープSS14 (5ml)に充填カラム(0.5m)を載せる
    • Stepwiseで、サンプルアプライ(好きなだけ/3mL/tube)、バッファ(3mL)添加毎にチューブを交換しフラクションを回収(3mL/tube)
    • 得られたフラクションはその都度、次のバッファー(3mL)をカラムに載せたら、即、RP-HPLC システムに持って行き、オートサンプラーに載せ、すぐに実験室に戻る。このサイクルを回す
    • バッファ組成は、実験の前に予め定めているが、RP-HPLCの結果も同時に確認しながら、次のカラム条件のアイデアを考え、臨機応変にバッファー組成の追加、変更を試す
    • ある程度サンプルが揃えば、SDS-PAGEを同時並行的に実施する
    • リアルタイムなバッファ調整のコツ
      • 充填カラムに載せるバッファ組成の変更を思い付いたとき、素早くバッファを作る。それには、複数のストックバッファとピペットを準備しておく。
      • 3M NaClは用意している。0.15M NaClを作りたい時、20倍希釈すればいい。3mLを調製するには、1/10量は、0.3mL, 1/20量は、その半分(0.15mL)なので、tubeに3mLのwaterをとり、0.15mLを抜き取って、3mM NaClを0.15mL添加すれば良い。これを全量、充填カラムに載せる。
    
    
  • [Bio-Lab] Nalgene® メディアボトル、スタイル2019 [2020/09/19]

    [Bio-Lab] Nalgene® メディアボトル、スタイル2019 [2020/09/19]

    ラボ製品

    メディアボトル

    タンパク質精製工程の途中で得られるサンプルの保管に使用する。

    nalgen

    Nalgene® メディアボトル、スタイル2019

    https://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/z768677?lang=ja&region=JP&gclid=Cj0KCQjwlN32BRCCARIsADZ-J4uUgPNvxIgdO4AA6T9v5pnJ2oy2hyH17Ly-Yfg6E6mvsh2da9Lp90kaAvnNEALw_wcB
  • [Data Link] 研究実験施設ガイダンス – 実験施設の設計に参考になる  [2020/07/27]

    [Data Link] 研究実験施設ガイダンス – 実験施設の設計に参考になる [2020/07/27]

    研究実験施設ガイダンス

    研究所計画における建築設備
    568 ~ 572 頁
    ■衛生設備
    ・給水、給湯、排水設備
    ・排水トラップ ・特殊ガス、真空、圧縮空気、スチーム設備 ・電気設備
    ■配管の立上げ及び接続
    ・中央実験台、サイド実験台、流し台 ・配管の立上げ高さ
    ヒュームフード
    573 ~ 574 頁
    ■ヒュームフードの給排気システム
    ・排気風量の設定 ・排気システムの検討
    実験室の設計
    575 ~ 583 頁
    ■安全な化学実験室とするための基本的な施設条件
    ・レイアウトに際しての配慮事項 ・実験室の壁面構成で考えなければならないこと ・研究設備品関連の安全対策
    ■医薬品安全性動物実験室の設計
    ・SPF 動物飼育室の設備
    ■バイオハザード実験室の設計
    ・BSL2 および BSL3 実験室 ・実験分類の名称と封じ込めレベルの対応 ・物理的封じ込め施設の設計
    ■水質検査室の設計
    ・各室設計上の注意点(共通事項) ・部屋別にみた設計上の留意点

    各項目の詳細は、研究実験施設ガイダンス

  • [バイオ関連装置] ClonePix 2 自動動物細胞コロニーピッキングシステム [2020/06/03]

    [バイオ関連装置] ClonePix 2 自動動物細胞コロニーピッキングシステム [2020/06/03]

    ClonePix

    バイオロジクスの開発には欠かせない装置です。遺伝子をホストセルに電気パルスなどで導入したあと、導入できていて、元気がよく、且つ生産性が高い細胞の1個をセレクション(スクリーニングによる)する必要があります。ClonePixは、モノクローンの細胞をビックアップする装置です。現在では、昔のように顕微鏡を見ながら細胞をスポイドで吸うなんてことはしません。

    サイトの説明から。
    モノクローナル抗体やバイオ医薬品を生産する細胞株樹立ワークフローの効率化
    ClonePix™ 2システムは、抗体医薬候補のタンパク質高産生クローンを効率的にピッキングする自動動物細胞ピッキングシステムです。ClonePixテクノロジーは世界中の100ヶ所を超える製薬企業や研究機関に導入され、モノクローナル抗体やバイオ医薬品を生産する細胞株樹立ワークフローの効率化に貢献してきました。

    ClonePix 2 自動動物細胞コロニーピッキングシステム

    https://www.moleculardevices.co.jp/systems/clonepix-2-system#gref
  • [Bio-Lab] Albumin – Bovine Serum Albumin (BSA)  [2020/06/03]

    [Bio-Lab] Albumin – Bovine Serum Albumin (BSA) [2020/06/03]

    ラボ製品-標識試薬

    精製したタンパク質分析のコントロール、例えば、タンパク質濃度の標準曲線に使用する。

    サイトの説明から。
    Albumin, a soluble monomeric protein, comprises about half of serum proteins. Albumin is a carrier for steroids, fatty acids, and thyroid hormones and stabilizes extracellular fluid volume. Albumin is a globular unglycosylated serum protein and is synthesized in the liver as preproalbumin. After a peptide is removed, proalbumin is released from the rough endoplasmic reticulum; it is then cleaved in the Golgi vesicles to produce secreted albumin.

    Bovine Serum Albumin (BSA)

    https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-culture/mammalian-cell-culture/media-supplements/albumin.html
    編集履歴
    2020/06/03 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Lab] CHAPS – 膜タンパク質可溶化剤 [2020/06/03]

    [Bio-Lab] CHAPS – 膜タンパク質可溶化剤 [2020/06/03]

    ラボ製品-標識試薬

    精製したタンパク質の可溶性を維持したい場合に、後の除去も容易なCHAPSを使用する。

    サイトの説明から。
    両性界面活性剤:cmc=8 mmol/L
    膜タンパク質の溶解剤としての好ましい条件の一つに非イオン性であることがあげられ、例えばTriton X-100などが用いられているが、溶解効率、除去の難しさ等の点で必ずしも満足なものとは言えない。ここに紹介するCHAPSはコール酸を母核とする両性化合物であり、スルホベタイン型の溶解剤や胆汁酸塩アニオン化合物の双方の特徴を兼ねそなえた膜タンパク質可溶化剤である。
    なお、CHAPS自体の紫外部の吸収は弱いため、UV吸収を利用するタンパク質の検出にも好都合である。

    CHAPS

    https://www.dojindo.co.jp/products/C008/

    Alexa Fluor 488 NHS標識反応に使用

    溶解性の低いタンパク質の溶解に1%程度のCHAPSを添加しないと解けない場合がある。このような難溶性のタンパク質のAlexa標識したい場合、かろうじて反応可能な濃度(<0.5% CHAPS)の条件を試してみよう

    • 0.5% CHAPS(最高濃度、できれば更に低い濃度)
    • Alexa標識試薬の添加
    • 反応は、室温で一晩
    編集履歴
    2020/06/03 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Lab] Alexa Fluor® 488 色素 [2020/06/03]

    [Bio-Lab] Alexa Fluor® 488 色素 [2020/06/03]

    ラボ製品-標識試薬

    Alexa Fluorはタンパク質に傾向標識する試薬キットである。

    精製したタンパク質を使って、細胞を用いた評価系で評価をしたい場合、タンパク質の標識に使用する

    サイトの説明から。
    Alexa Fluor® 488色素は、明るい緑色の蛍光色素であり、488 nmのレーザー線に最適な励起波長を持ちます。イメージングおよびフローサイトメトリーにおける安定したシグナル発光のために、Alexa Fluor® 488色素は幅広いモル範囲においてpH非感受性です。

    Alexa Fluor® 488 色素

    https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-analysis/fluorophores/alexa-fluor-488.html
    編集履歴
    2020/06/03 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Lab] グラスファイバーフィルター 接着剤使用, AP20, 55 mm [2020/06/03]

    [Bio-Lab] グラスファイバーフィルター 接着剤使用, AP20, 55 mm [2020/06/03]

    ラボ製品-グラスフィルター

    メンブランタイプの濾過器よりも目詰まりが起こりにくい。プレ濾過に用いる。グラスフィルターは、タンパク質の非特異吸着が多いため用途には気を付ける。具体的な用途としては、大腸菌で産生させたInclusion body状のタンパク質のRefoldingを実施する際、タンパク質変性剤で可溶化した溶液の清澄ろ過などに使用する。

    マイレクス-AP, AP20, プレフィルター 50 mm, 非滅菌

    https://www.merckmillipore.com/JP/ja/product/Millex-AP-Syringe-Filter-Unit-AP20,MM_NF-SLAP05010
  • [Bio-Lab] QPix400 Imager 全自動微生物コロニーピッキングシステム [2020/06/03]

    [Bio-Lab] QPix400 Imager 全自動微生物コロニーピッキングシステム [2020/06/03]

    QPix400

    複数枚の培養プレートに対応し多検体処理が可能。

    サイトの説明から。
    モレキュラーデバイスの全自動微生物コロニーピッキングシステムでは、マーカーを事前にスクリーニングし、希望するコロニーだけをピッキングできます。
    QPix™ 400シリーズの微生物コロニーピッカーは、ピッキング前のスクリーニングの段階でコロニーの検出と蛍光マーカーの定量を同時に実施する独自のオプションを提供してます。モレキュラーデバイスのQPixシステムは、世界中の研究機関、シークエンシング施設、バイオテック企業、製薬会社などで600台以上が導入されています。QPixシステムのロボティクスは、ヒトゲノムプロジェクトが推進されていた当時、シークエンシング施設において信頼性と正確さで有名になりました。

    QPix400 Imager全自動微生物コロニーピッキングシステム

    https://www.moleculardevices.co.jp/systems/qpix-400-series-microbial-colony-pickers#gref
  • [Bio-Raw Material] Protein A resinの簡単な説明 [2020/06/01]

    [Bio-Raw Material] Protein A resinの簡単な説明 [2020/06/01]

    Bio-Raw Material-Resin

    Protein A Column

    抗体を産生株した培養液は、清澄ろ過してから、Protein AカラムによるBinding/Elutionモードで抗体のアフィニティ精製を行う。

    注意しなければならないこと

    • 電気泳動では、抗体の染色バンドのみが確認できるので、精製度は高いと思われがちであるが注意が必要
    • HCP、HCDは多量に含まれている。そのような理由から、精製とは呼びにくく、キャプチャリング(capturing)工程と呼ばれる
    • 次工程として、少なくとも、ハイドロキシアパタイトやAEXを実施すべきである。

    Mab Select SuRe

    Amsphere A3