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  • [用語] DSP; Down Stream Process [2022/11/14]

    [用語] DSP; Down Stream Process [2022/11/14]

    DSP

    DSP; Down Stream Process。バイオ医薬品の製造工程における下流工程を指す。

    編集履歴
    2022/11/14 Mr.Harikir
  • 気になる企業 – Brammer Bio社 – 開発段階 から初期商用製造まで対応可能な豊富な経験を持つ遺伝子治療用の原薬 CDMO – ID11884 [2021/02/24]

    気になる企業 – Brammer Bio社 – 開発段階 から初期商用製造まで対応可能な豊富な経験を持つ遺伝子治療用の原薬 CDMO – ID11884 [2021/02/24]

    ThermoFisherグループ

    ThermoFisherは、rAAVによる遺伝子治療に関するCDMOサービスを提供するために、Brammer Bioを買収しました。

    遺伝子治療のためのAAVやその他のウイルス・ベクターについてUSPおよびDSPのプロセス開発を行えるCDMOです。CDMOとは、このような開発ノウハウを持ち、スケールアップ開発も可能で、臨床用のGMP製造も可能な委託製造会社です。Brammerは、数多くのプロジェクト実績を持っています。

    現在の治療対象は、症例数が少ないオーファンが多いので、200L程度のバイオリアクターで製造されるのがほとんどでした。しかし、今後の開発競争においては、症例数が多く且つ、全身投与などの投与量が多い症例へとシフトしてくるものと予想されます。製造装置としても更に大きなスケールアップが可能性なCDMOが求められることになってくると考えられます。具体的には、スケールアップの製造ノウハウや実際に持っている大きなバイオリアクターが競争優位性の重要なファクターになるものと思われます。

    2019/3にThermoFisherによるBrammer Bioの買収を17億ドルで合意

    https://www.genengnews.com/news/thermo-fisher-to-acquire-brammer-bio-for-1-7b-expanding-gene-therapy-presence/

    ThermoFisherが買収することで、AAVベクターを用いた遺伝子治療用医薬品の製造が、世界的に本格化していることが垣間見えます。抗体医薬品のCDMOであるLONZA BIOLOGICSもAAVベクターのCDMOとして自社の設備の整備を完了しており、世界のバイオロジクスは、抗体医薬から遺伝子治療医薬へ舵を切ったといえます。

    • 前臨床プロセス開発
    • プロセス最適化
    • スケールアップ
    • 分析
    • 製剤化
    • 保管サービス
    • 規制サポート
    • 施設は、FDA Code of Federal Regulations (Part 21)及びEuropean Advanced Therapy Medicinal Products’ regulationsに適合するウイルスベクター製造が可能

    Brammer Bio

    Brammer Bio

    https://www.brammerbio.com

    経験

    • first-in-human trials : 100以上のプロジェクト
    • Clinical lots AAV, ADV, RV, HSV, LV and T-cells : >150
    • Team members : >350 ( over 20 years of experience)

    拠点

    • フロリダ州アラチュア (本拠地)
    • マルチプラットフォーム : 哺乳類/昆虫細胞の生産
    • 50L ~ 2000L Bioreactor
    • 安定性試験
    • 製剤化、保管、流通 (商業供給)

    編集履歴

    2020/03/12 はりきり(‘Mr), ThermoFisherに買収されてからの調査
    2021/02/24 追記 (Brammerの説明、遺伝子治療CDMOの説明)
  • [rAAV] rAAVのUSP/DSP – 製造方法 – emptyとfullの比重, 2015 – SM[2019/10/05]

    [rAAV] rAAVのUSP/DSP – 製造方法 – emptyとfullの比重, 2015 – SM[2019/10/05]

    rAAVの製造

    2015年時点のrAAV製造(Upstream, Downstream)に関するReview文献をもとに解説します.

    基本情報

    目的の遺伝子をAAVに包含させて作ったAAVベクターが、遺伝子治療薬になります。ここで、目的の遺伝子がAAVの殻に含まれていれば良いのですが、何も含まれない空の粒子も確率的には作られてしまいます。空の粒子をEmptyと言います。一途方の粒子をFullと言います。

    ウイルスを精製するには、従来から遠心、特に超遠心を使われてきました。精製目的のウイルスでも、中に何も入っていない殻と目的遺伝を含む粒子を分別精製するためにも、超遠心が使われます。手技も固まっており簡単なので、よく使われます。

    粒子の比重

    参考文献から、AAVの比重 (密度) の情報を抽出しました。

    • Full : 1.40 g/cm3
    • Empty ; 1.32 g/cm3
    • 可溶性タンパク質 : 1.3 g/cm3
    • 核酸 : 1.7 ~ 2.0 g/cm3 (24, 48)

    参考文献

    1. Overview of current scalable methods for purification of viral vectors – PubMed (nih.gov)
    2. Qu G., Bahr-Davidson J., Prado J., Tai., Cataniag F., McDonnell J., Zhou J., Hauck B., Luna J., Sommer J.M., Smith P., Zhou S., Colosi P., High K.A., Perce G.F., Wright J.F.
      Separation of adeno-associated virus type 2 empty particles from genome containing vectors by anion-exchange column chromatography – PubMed (nih.gov). J. Viol. Methods. 2007; 140(1-2): 183-192. [PubMed]

    パーツの分子量

    rAAVの殻の部分は3種類のタンパク質でVP1, VP2およびVP3でできていますが、これらの総分子量は、600kDaです。そして、その空の中に収められるベクター遺伝子は、4.7kbpの長さで、その分子量は、170kDaです。前述の比重の差は、この分子量の差になります。

    • rAAV capsid protein (VP1~VP3): over 600kDa
    • rAAV vector (4.7kbp): over 170kDa

    超遠心以外の精製方法

    AAVは、負に荷電しています。したがって、陰イオン交換体 (AEX)に吸着性を示します。AEX resinとして、以下のものが使えそうです。ただし、最近の遺伝子治療薬としてAAVの精製方法に関する文献や特許を見ていると、その精製条件は、一般的な方法では、精製度をあげることは難しく、少し特異な条件を使用していることに目が惹かれます。例えば,pH10を超えるような条件で吸着させます。

    • Poros HQレジンによるクロマト精製
    • Poros PIレジンによるクロマト精製
    • Source 15Q レジンによるクロマト精製
    • Q-Sepharose レジンによるクロマト精製
    • HiTrap Q レジンによるrAAV1,2,4,5,6 and 8の精製

    文献

    1. Scalable Downstream Strategies for Purification of Recombinant Adeno-Associated Virus Vectors in Light of the Properties (2015)
    2. WO2010148143A1 – Improved methods for purification of recombinant aav vectors – Google Patents
    3. PEG-modulated column chromatography for purification of recombinant adeno-associated virus serotype 9 – PubMed (nih.gov)

    超遠心分析

    AAVサンプルを超遠心分析により、Emptyを含めた不純物を除くFullの純度分析が可能となります。

    • 1波長、干渉
      • サンプル量 : 260nmで0.2以上、1~2E12 vg/mL, 0.5mL以上

    [ignore]

    • 4サンプル ¥90万円

    [/ignore]

    • 2波長、干渉
      • サンプル量 : 同要件で1mL

    [ignore]

    • 4サンプル ブラス40万円

    [/ignore]

    • 別途
      • 宿主ウイルス
      • AAV Vector Plasmid
      • その他、情報
    編集履歴
    2019/10/15 Mr.Harikiri
    2020/10/01 追記 (文言整備)
    2020/11/10 超遠心分析
    2024/08/12 文言整備,引用文献の整備
  • [rAAV-Edu] rAAV9の精製方法 – 特許, 2017 – ID2566 [2023/10/23]

    [rAAV-Edu] rAAV9の精製方法 – 特許, 2017 – ID2566 [2023/10/23]

    概要

    リコンビナントAAV(rAAV)の大規模精製方法に関する方法特許(Method Patent)です.

    精製のためのスタート原材料は,rAAVを発現した細胞培養上清です.

    精製ステップは,2段のクロマトグラフィーになっています.1段目には,高い塩濃度で吸着が可能な疎水クロマト,2段目には,低塩濃度で吸着が可能な陰イオンクロマトです.

    以上のステップにより,目的遺伝子を包含していな不要なウイルス粒子を効率的に除去可能であるとしています.

    rAAV9の精製条件

    当該特許は、現時点では「国際調査報告公開」です。

    特徴的なのは、pH10.2を採用していることです。タンパク質にとってpH8以上のアルカリ性は、タンパク質に良い条件ではありません。それと、システイン残基のSS結合が緩むのが、pH8から上のpHです。それをpH10.2を使っているのは、それでしか精製できないからでしょう。ある程度のタンパク質の劣化を許容しているということですが,劣化も精製度もコントロールできるのであれば,品質上問題ではありません.ただし,その結果が効力や副作用などに影響する場合は,投与の仕方を工夫する必要性が生じるでしょうか,それも臨床試験で確認していけばいよのです(Mr.Harikir, 2020/10/01)

    • Buffer A: 20mM Bis-Tris propane (BTP), pH10.2
    • washing: 10mM NaCl, 20mM BTP, pH10.2
    • gradient: 10mM to 190mM NaCl
    • correct rAAV9 by A260/A280 ratio monitoring

    クレーム

    1. AAV9の分離方法.pH10.2条件下の陰イオン交換クロマトグラフィーに吸着し、塩濃度勾配で溶出させA260とA280でモニタリングし、A280/A280の比率でAAV9 full capsideを回収
    2. A260/A280比が1未満から1以上になる
    3. 溶出ピークにおける伝導度が20mMから190mN NaCl相当となる
    4. AAV9中間体は50nM(50mMばはないのか、typo? 各所み見られる) NaCl相当で溶出する
    5. 不純物が10%未満
    6. 純度は少なくとも95%
    7. many more

    国際特許の権利発生までのフローは、このリンクを参照のこと。

    国際特許検索は、このリンクを参照のこと。使用方法は、このリンクを参照.

    特許庁 実務者向け説明資料は、このリンクを参照のこと.

    文献

    特許

    WO 2017/160360 A9, SCALABLE PURIFICATION METHOD FOR AAV9

    https://patents.google.com/patent/WO2017160360A9/en

    編集履歴

    2019/10/15 Mr.HARIKIRI
    2020/10/01 追記(pH10.2について)
    2023/10/23 追記(pH10でウイルスの品質に影響はあるだろうが,開発段階では問題にせずに,先に進むのが良い)
    2023/10/24 追記(概要)