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  • バイオ医薬品に不純物として含まれるDNAや核酸など,がん原性のリスクはないのか [2025/03/20]

    バイオ医薬品に不純物として含まれるDNAや核酸など,がん原性のリスクはないのか [2025/03/20]

    遺伝子治療で使用されるAAV製品などでは,断片化したDNAである不純物がある程度含まれる.この核酸の長さが一定以上あるとがん原性のリスクがあると一般的には言われている.以下,Copilotに聞いてみた.Copilotの以下の回答は妥当な回答になっている.

    目次

    DNAや核酸にがん原性はあるか?

    Q: DNAなど核酸が医薬品に含まれる場合,がん原性の懸念はあるか

    Copilot : 医薬品にDNAやその他の核酸が含まれる場合、一般的にその量や形状、由来によって、がん原性の懸念が評価される必要があります。しかし、現在の科学的知見では、そのような懸念がある場合でも、厳格な基準や製造工程を通じて安全性が確保されています。

    1. 宿主細胞由来DNAに関する懸念

    • バイオ医薬品の製造では、細胞(宿主細胞)を使用することが一般的で、その結果として、微量の宿主細胞由来のDNAが最終製品に含まれる可能性があります。
    • 発がん性のリスク: 宿主細胞由来のDNAが不活性で断片化された状態である場合、がん原性のリスクは極めて低いとされています。ただし、リスクを完全に排除するため、厳格な基準が設定されています。

    2. 許容基準

    • WHO(世界保健機関)ガイドライン: 宿主細胞由来DNAの濃度に関して、1回の投与あたり10ナノグラム以下とする基準が推奨されています。これは、がん原性の懸念を最小限にするための保守的な基準です。
    • ICHガイドライン(例: Q5A): バイオ医薬品製造におけるDNAの許容量に関する規定を記載し、安全性を担保する方法を示しています。

    3. 核酸医薬品(例えばmRNAワクチン)の場合

    • 核酸そのものが医薬品の有効成分である場合もあります(例: mRNAワクチン)。
    • がん原性のリスク評価: 核酸医薬品では、がん原性のリスクは非常に低いとされています。特に、mRNAは細胞内で分解されやすく、DNAに組み込まれる可能性はほぼないため、がん原性の懸念は事実上ありません。

    4. 不純物やプロセスの管理

    • 不純物や核酸残存量は、製造工程中で除去・管理されます。
    • 毒性試験や非臨床試験を通じて、リスク評価が実施されます。

    5. 規制当局の役割

    厚生労働省やPMDA(医薬品医療機器総合機構)を含む規制当局は、申請された医薬品の安全性データを審査し、がん原性のリスクが許容範囲内であることを確認しています。

    総じて言えば、DNAや核酸の残存量が医薬品に含まれる場合でも、それらの管理が適切に行われることで、がん原性の懸念は最小化されています。

    核酸の長さは?

    Q : 核酸やDNAの不純物の長さがある程度長いとがん原性のリスクが高まるのは本当か.理論的な話と実験的な結果からそういわれているのか

    Copilot : 核酸やDNAの不純物が長い場合、がん原性のリスクが高まる可能性については、理論的にも実験的にも議論されています。ただし、具体的なリスクの評価は不純物の由来、量、長さ、そして体内での挙動など、さまざまな要素に依存します。

    理論的な背景

    1. 長さと潜在的な生物活性:
      • 長いDNAフラグメントは、特定の条件下で宿主細胞のゲノムに取り込まれる可能性があると理論的に考えられています。この取り込みが細胞の遺伝子発現に影響を与える場合、発がん性につながる可能性がゼロではありません。
      • 特にプロモーターやエンハンサーなどの活性部位が含まれている場合、細胞内で異常な遺伝子活性化を引き起こす懸念があります。
    2. エピジェネティック効果:
      • 長いDNAの断片が細胞内で異常なエピジェネティックな変化(例: DNAメチル化)を誘導する可能性も示唆されています。
    3. 免疫応答の引き金:
      • 長い核酸フラグメントは、体内で免疫系を過剰に刺激することで、炎症やがんのリスクを間接的に増加させる可能性が理論的に考えられます。

    実験的な証拠

    1. 動物モデルでの研究:
      • 実験的には、マウスモデルで高濃度の長い宿主細胞由来DNAを投与した場合、一部で腫瘍形成のリスクが増加する可能性が報告されています。ただし、これらの研究は極端な条件下で行われており、通常の医薬品の状況とは異なります。
    2. 体外試験(in vitro):
      • 宿主細胞由来DNAの長さが増えると、細胞への取り込みや遺伝子再編成のリスクが高まることを示す研究があります。ただし、これも非常に高濃度のDNA断片に依存する結果が多いです。
    3. 臨床的な関連性:
      • 実際のバイオ医薬品の製造プロセスにおいて、宿主細胞由来のDNA断片は非常に低いレベルにコントロールされており、これまでに臨床試験や市場で重大な発がん性の問題が発生した報告はほとんどありません。

    規制と安全対策

    • WHOガイドライン: 宿主細胞由来のDNA断片の長さと濃度を厳しく管理することが推奨されています。通常、10ナノグラム以下の濃度が基準として設定され、さらに断片化され短くなるような製造プロセスが採用されています。
    • プロセスによるリスク低減: 製造工程でDNA分解酵素を使用し、長いDNA断片の分解を確保しています。

    結論

    理論的には、DNAや核酸の長さがある程度長いとがん原性のリスクが高まる可能性が示唆されていますが、製造および品質管理の段階でこれらのリスクは非常に低減されています。実験的なデータも主に極端な条件下での結果が多いため、現実的なリスクは限られていると考えられます。

    リスクが高まるとされるDNAの長さ

    • 一般的な目安: 100~200塩基対以上のDNA断片は、ゲノムへの組み込みリスクがわずかに高まる可能性があるとされています。
    • 許容基準: WHOやICHガイドラインでは、DNAの長さだけでなく、濃度(例えば1回投与あたり10ng以下)も重要視されています。

    投与経路の違いによるリスク

    Q : がん原性が懸念されるDNAや核酸のヒトへの混入経路として皮膚や経口,静脈経由,皮下注射,筋肉注射など考えられるが,経路別のリスクについて教えて

    Copilot : DNAや核酸の不純物がヒトに混入する経路別のがん原性リスクについて、以下のように整理します。各経路での体内吸収効率や生物学的バリアの有無に応じてリスクが変わります。

    1. 静脈経路(Intravenous)

    • 特徴: DNAや核酸が直接血流に入るため、細胞との接触が広範囲に及ぶ。
    • リスク:
      • 高リスク: 長いDNA断片が直接血液中に運ばれるため、細胞に取り込まれゲノムに組み込まれる理論的リスクが最も高い。
      • 免疫応答: 免疫系が異物として認識することで、炎症や副作用を引き起こす可能性。
    • バリアの有無: 血液循環がバリアを持たないため、DNA断片が広範囲に移動。
    • リスク軽減: 厳格な精製工程とDNA濃度管理(WHO基準10ng以下)。

    2. 皮下注射(Subcutaneous Injection)

    • 特徴: DNAや核酸が皮下組織に留まり、局所的な吸収が起きる。
    • リスク:
      • 中リスク: 局所細胞との接触があるため、免疫反応や炎症を誘発する可能性。
      • 遺伝子組み込みのリスクは静脈経路ほど高くないが、細胞吸収が完全に否定できない。
    • バリアの有無: 局所に限られるが、全身への移行が起きる場合も。
    • リスク軽減: 精製プロセスの改善と投与量の管理。

    3. 筋肉注射(Intramuscular Injection)

    • 特徴: DNAや核酸が筋肉組織に注入される。
    • リスク:
      • 中~低リスク: 局所細胞への影響は皮下注射に類似するが、筋肉内での吸収速度が遅いため、リスクはやや低減。
      • 局所炎症や免疫応答の可能性。
    • バリアの有無: 筋肉内の代謝速度に依存。
    • リスク軽減: 皮下注射同様の対応策。

    4. 経口(Oral Ingestion)

    • 特徴: 消化管を通じて体内に入るDNAや核酸。
    • リスク:
      • 低リスク: 酵素(DNAse、RNAse)や酸性環境によって大部分が分解される。
      • 未分解のDNAが腸管上皮細胞に吸収される可能性は極めて低い。
    • バリアの有無: 酵素分解と酸性環境がバリアとして機能。
    • リスク軽減: 消化プロセスがリスクを大幅に低減。

    5. 皮膚経路(Topical or Dermal Absorption)

    • 特徴: 外部からの接触、または傷口からの侵入。
    • リスク:
      • 極めて低リスク: 健康な皮膚には角質層という強力な物理的バリアがある。
      • 傷がある場合、局所的な免疫応答や炎症の可能性がある。
    • バリアの有無: 健全な皮膚はほぼ完璧なバリア。
    • リスク軽減: 適切な防護措置(手袋、傷口保護)。

    6. 吸入(Inhalation)

    • 特徴: エアロゾルや粉塵の形で肺を通じて混入。
    • リスク:
      • 低~中リスク: 肺の粘膜や免疫細胞による防御が働くが、一部吸収の可能性。
      • 長期暴露が続くと、炎症や細胞吸収のリスクが増加する可能性。
    • バリアの有無: 粘膜と免疫系が効果的なバリア。
    • リスク軽減: 作業環境の換気と防護具の使用。

    総括

    • 最も高いリスク: 静脈経路(血流に直接入り、全身に拡散)。
    • 中程度のリスク: 皮下注射および筋肉注射(局所的な影響が中心)。
    • 最も低いリスク: 経口および皮膚経路(強力なバリアがある)。
    • リスク軽減策として、製造工程の改善、精製プロセスの高度化、適切な防護措置が不可欠です。

    さらに具体的なケースや特定の医薬品に関連するリスクについて知りたい場合は教えてください!

    がん原性が懸念されるDNAや核酸のヒトへの混入経路として皮膚や経口,静脈経由,皮下注射,筋肉注射,脊髄投与,など考えられるが,経路別のリスクについて教えて

    DNAや核酸の不純物がヒトに混入する場合、経路別にリスクを評価すると以下のようになります。各経路は吸収効率、体内挙動、バリアの有無によってリスクが異なります。

    1. 静脈経路(Intravenous Injection)

    • 特徴: 血流に直接注入されるため、体内の広範囲に分布する。
    • リスク:
      • 高リスク: 長いDNA断片が血液中に運ばれ、細胞に取り込まれゲノムへ組み込まれる可能性が高い。
      • 免疫反応: 外来DNAが免疫系で異物と認識され、炎症や免疫応答を誘発する可能性。
    • バリアの有無: 血液循環にはほとんどバリアがない。

    2. 皮下注射(Subcutaneous Injection)

    • 特徴: 皮下組織に留まり、局所的に吸収される。
    • リスク:
      • 中リスク: 局所細胞にDNA断片が取り込まれる可能性。免疫反応が主な懸念点。
      • 遺伝子組み込みのリスクは静脈経路より低いが、完全に除外はできない。
    • バリアの有無: 局所的な影響に限定されるが、全身循環への移行が起きる場合もある。

    3. 筋肉注射(Intramuscular Injection)

    • 特徴: 筋肉組織に注入され、徐々に吸収される。
    • リスク:
      • 中~低リスク: 局所炎症や免疫応答の可能性があるが、皮下注射より吸収速度が遅いためリスクはやや低い。
      • 遺伝子組み込みのリスクは限定的。
    • バリアの有無: 筋組織が吸収速度を調整するため、影響は局所的にとどまることが多い。

    4. 経口摂取(Oral Ingestion)

    • 特徴: 消化管を通じて体内に入る。
    • リスク:
      • 低リスク: 酸性環境や酵素(DNAse, RNAse)による分解が主な防御メカニズム。
      • 未分解のDNAが腸管細胞に吸収される可能性はほぼゼロ。
    • バリアの有無: 酵素分解と酸性環境が強力なバリア。

    5. 皮膚経路(Topical or Dermal Absorption)

    • 特徴: 外部からの接触や傷口からの侵入。
    • リスク:
      • 極めて低リスク: 健康な皮膚には角質層という強力な物理的バリアが存在。
      • 傷がある場合に限り局所的な免疫応答や炎症の可能性。
    • バリアの有無: 健全な皮膚がほぼ完全なバリアとして機能。

    6. 吸入経路(Inhalation)

    • 特徴: エアロゾルや微粒子の形で吸入される。
    • リスク:
      • 低~中リスク: 肺の粘膜や免疫細胞によるバリアが大部分を防御。
      • 長期暴露時には局所的な炎症や細胞取り込みのリスクがわずかに増加。
    • バリアの有無: 呼吸器系の粘膜と免疫系が機能。

    7. 脊髄投与(Intrathecal Injection)

    • 特徴: 脊髄内に直接投与される。
    • リスク:
      • 高リスク: バリアが存在しないため、DNAが中枢神経系(CNS)の細胞に直接接触する。
      • 遺伝子組み込みの可能性や局所炎症、中枢神経系への影響。
    • バリアの有無: 血液脳関門を通さず、直接的な影響を及ぼすためリスクは高い。

    総括

    以下に各経路のリスクをまとめます:

    経路リスクバリアの有無
    静脈経路バリアなし
    皮下注射局所的バリア
    筋肉注射中~低吸収速度が遅く影響は限定的
    経口摂取酵素と酸性環境による分解
    皮膚経路極めて低い健康な皮膚でほぼ完全なバリア
    吸入経路低~中粘膜と免疫系による防御
    脊髄投与バリアなし(直接影響を及ぼす)

    各経路におけるリスク軽減には、製造工程での高度な精製と品質管理が不可欠です。

    参考文献

    1. Establishing Acceptable Limits of Residual DNA | PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology
    2. Establishing_acceptable_limits_of_DNA.pdf
    3. バイオ医薬品中の宿主細胞由来の残留DNAの定量

    編集履歴

    2025/03/20 Mrはりきり

  • [用語] UNA; unlocked nucleic acid [health] [2023/10/14]

    [用語] UNA; unlocked nucleic acid [health] [2023/10/14]

    はじめに

    UNAは,人工的に作られたヌクレオチドであり,構造フレキシビリティが高いため,核酸医薬開発における有用なツールである.

    核酸の基本単位であるヌクレオチド

    1. 先ず,「ヌクレオチド」は,5炭素糖,窒素塩基およびリン酸からなっている.このヌクレオチド1単位に1つの遺伝暗号が対応する.
      • 5炭素糖
      • 窒素塩基
      • リン酸
    2. 5炭素糖は,環状の糖分子であり,「リボース」と「デオキシリボース」の2種類が自然界には存在している.
      • リボース
      • デオキシリボース (リボースの2位の水酸基が水素に置換されている)
    3. リボースはRNAに,デオキシリボースはDNAに,それぞれ骨格形成として使われる.
    4. 窒素塩基(核酸塩基)には,アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T),およびウラシル(U)の5種類が存在しており,遺伝情報を担っている.
    5. AとGはプリン塩基,CとTおよびUはピリミジン塩基という.
    6. DNAにはA,G,C,Tで,RNAにはA,G,C,Uで,それぞれ構成される.
    7. AとT(またはU)は2つの水素結合,GとCは3つの水素結合でそれぞれ結びつき,核酸の特有な安定構造である二重らせん構造を作る.
    8. リン酸は,リンさ酸素からなる無機化合物で,5炭素糖の5’位に結合している.
    9. リン酸は,高エネルギー結合を持ち核酸合成・分解に関与している.
    10. リン酸は,隣合うヌクレオチド同士をホスホジエステル結合で結びつける.

    UNA

    1. Unlocked Nucleic Acid(ロックされていない核酸;UNA)モノマーは、RNAのリボース環のC2′-C3′-結合を欠く(開いている)RNAの非環式誘導体です.
    2. UNAは,リボース間が開いていることで,構造的に柔軟性が高くなっている.
    3. UNAは2本鎖を形成できるが,C2′-C3’結合を欠いているためその二本鎖構造の安定性は低下している.
    4. UNAは,DNAやRNAと同じように,核酸塩基であるアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびウラシル(U)の4種類の塩基を持つが,自然界に存在しない人工的な物質である.
    5. UNAモノマーは、核酸二本鎖の安定性を付加的に減少させることができる.
    6. ミスマッチの識別の欠如を装うこともできる.
    7. 逆に,ミスマッチの識別の増加も可能となりハイブリダイゼーションなどの特異性の改善も可能となる.
    8. UNA修飾RNA二本鎖は、円二色(CD)分光法により、未修飾RNA二本鎖を構造的に模倣することが示されています。

    抗体精製をマスターしよう (1) -cytiva-

    https://www.cytivalifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/technical_tips/tips63.html

    UNAの最初の情報原は,上記のcytiva社から最初のUNA情報を取得し,キーワードを把握した後,Windows 11 の Copilot Preにより調査した (2023/10/14).

    Windows 11 > Copilot Pre

    編集履歴

    2022/09/04, Mr. Harikiri
    2023/10/14,追記(Windows11 > Copilot preによる追加調査)
  • [Bio-Edu] DNAとRNAの違い – レジメ – [2020/10/11]

    [Bio-Edu] DNAとRNAの違い – レジメ – [2020/10/11]

    ID24191

    DNAとRNAの違い

    DNAはRNAの設計図になります。RNAは、タンパク質の設計図になります。

    • DNAを設計図にして、RNAポリメラーゼという酵素により、RNAが作られる

    3つの部品単位

    「糖」と「核酸塩基」の単位を含めて「 ヌクレオド」といい、更に「リン酸」を含めて「ヌクレオチド」という。リン酸を介して直鎖を形成する。核酸塩基には、水素結合親和性がある相補的結合が可能な5種類の塩基がある。AとTまたはU、GとCがそれぞれ結合できる。これにより2本鎖になることができる。以下に詳細を示す。

    • リン酸 : リン酸を介して糖が数珠繋ぎされてDNA, RNAの直鎖構造が形成される(ホスホジエステル結合)
    • 糖 (2種類)
      • リボース : RNA用
      • デオキシリボース : DNA用
    • 核酸塩基 (5種類)
      • アデニン(A)
      • チミン(T) : DNA専用
      • グアニン(G)
      • シトシン(C)
      • ラウシル(U) : RNA専用(Tの代わり)

    ヌクレオチドとは — 受験のミカタ —

    https://juken-mikata.net/how-to/biology/nucleotide.html
    編集履歴
    2020/10/11 Mr.HARIKIRI

    バイオ医薬品に不純物として含まれるDNAや核酸など,がん原性のリスクはないのか [2025/03/20]

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    [用語] RNA, tRNA, rRNA, etc. [Biotech] [2022/09/03]

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    [Bio-Edu] DNAとRNAの違い – レジメ – [2020/10/11]

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  • [用語] DNA; Deoxyribonucleic acid – Histoneを介した染色体の折り畳みまでを順を追って解説  [2020/09/23]

    [用語] DNA; Deoxyribonucleic acid – Histoneを介した染色体の折り畳みまでを順を追って解説 [2020/09/23]

    DNA

    DNA; Deoxyribonucleic acid; デオキシリボ核酸。DNAは塩基の相補的結合によって2本が結合し二重螺旋 (DNA double helix)を形成します。人の23本の染色体に収められているDNAの長さは、総長30億塩基対です。卵子と精子を除く細胞は、2倍体なので、染色体は、46本(うち性染色体が2つ、DNAの総長は60億塩基対になります。

    機能の有無で分けた場合、DNAには、イントロンとエクソンのそれぞれの領域が存在する。

    昔々のバイオロジクス生産細胞株の品質管理

    もう40年も前のことですが、IFNをリンパ芽球で生産していた頃、細胞の染色体数を先輩がカウントしていたことを思い出します。当時は、それくらいしか検査する項目が無かったからです。

    1) DNAから染色体までのパッケージングについて、わかり易い図があります。クロマチン構造のDNAの巻き数は1.65回とありましたが、また、以下の2)の文献では、1.75回とありました。どちらが正しいのかは不明です。

    DNA Packaging: Nucleosomes and Chromatin – Scitable by nature EDUCATION

    https://www.nature.com/scitable/topicpage/dna-packaging-nucleosomes-and-chromatin-310/

    2)DNA-Histone結合体の分かり易い図があります。

    クロマチン構造 – 分子遺伝学研究所 広島大学 –

    http://www.mls.sci.hiroshima-u.ac.jp/smg/chromatin/chromatin1.html

    塩基対の幅は、2nmです。塩基対の長さは、約0.34nmです。60億を掛ける (0.34nm x 6e9 = 約2m)と、2倍体の細胞には、2mのDNAを含んていることになります。

    人体には、約50兆個の細胞があると推定されるているので、人には、100兆メートルのDNAが含まれている計算です。

    1. Nucleosomeの形成

    DNAは、8 x Histone protein (2 x (H2A-H2B二量体) + (2 x H3, 2 x H4, オセロのチップのような平たな円柱構造の円周にDNAが巻きつく)の円周に1.65回巻かれます。

    この1つのDNA-タンパク質結合体の単位を「Nucleosome」といい、DNAの長さ分だけ形成されます。この紐状のものを「Chromatin」と言います。実は、Chromatin線維は、細胞周期の間期に観察可能です source

    すなわち、

    • 二重螺旋の紐状のDNAは、以下の流れで最初の太い紐になります
    • 8 x Histone (Histone Octamer) および1 x H1 histone proteinの球体に、糸巻きのように巻かれて、多数の基本単位であるDNA-Histone 結合体であるNucleosomeを作ります、
    • 一つのNucleosomeには、146塩基対のDNAが含まれます
    • DNA-Histon結合体の直径は11nmです

    1: Histone H1° (NEB #M2501) 1 μg; 2: Histone H2A (NEB #M2502) 1 μg; 3: Histone H2B (NEB #M2505) 1 μg; 4: Histone H3.1 (NEB #M2503) 1 μg; 5: Histone H3.2 (NEB #M2506) 1 μg; 6: Histone H3.3 (NEB #M2507) 1 μg; 7: Histone H4 (NEB #M2504) 1 μg; 8: Histone H2A/H2B Dimer (NEB #M2508) 2 μg; 9: Histone H3.1/H4 Tetramer (NEB #M2509) 2 μg; 10: NEB Protein Ladder (NEB #P7703)

    図 Histoneの分子量 (SDS-PAGE)

    2. Chromatosomeの形成

    • Nucleosomeに1つのHistone 1 (H1) histone proteinが加わり
    • Chromatosomeになります

    2. Chromatinの形成

    • おそらく、H1の追加により、Chromatosomeの12~13個を一周とする構造を形成するための方向性を持つようになると考えられます
    • Chromatosomeが、12~13個を一周として配置されハッキングされた、この全体の構造体線維をChromatinと言います
    • その一週の直径は、30nmです

    3. Chromatinの螺旋・ループ形成

    Chromatinは、「ねじれ」て、更に太い紐状になりパッケージングされます(便宜上、Chromatin螺旋、と称します)。Chromatin螺旋は、更に、ループ状に短縮されます(便宜上、Chromatin螺旋・ループ、と称します)。このループの長さは300nmです。

    すなわち、

    • Chromatinは、螺旋状にねじれて太い紐状に短縮され、
    • さらに、その太い紐状は、ループに折り畳まれれてパッキングされます
    • そのループの長さは300nmです。
    • Chromatin螺旋・ループが完成します

    4. Chromatin螺旋・ループの最後の螺旋形成

    • Chromatin螺旋・ループは、更に螺旋を形成します(便宜上、Chromatin螺旋・ループ・螺旋、と称します)。
    • 螺旋を形成することで、Chromatosome螺旋ループの幅は、コンプレスされて、300nmから250nmに縮小されます。
    • Chromatin螺旋・ループ・螺旋の直径は、700nmです

    5. 最後、染色体への形成

    染色体 (chromosome) は、染色分体; chromatidを形成するために、Chromatin螺旋・ループ・螺旋は、最後の折り畳みが行われます。

    分裂期の染色体は、一対の姉妹染色分体(それぞれを染色分体; chromatidという)からなるためXの形をしています。また、分裂期には、短腕と長腕の間にある「セントメア」に微小管のキネトコアにより姉妹染色分体は、両極に引き寄せられて分裂を完了します。source:wiki

    編集履歴
    2020/09/21 Mr.HARIKIRI
    2020/09/23 追記 (Histone分子量)
  • [Vc] mRNAワクチンの優位性 (Morderna社) – 従来ワクチンとの比較 – ID15083 [2020/05/03]

    [Vc] mRNAワクチンの優位性 (Morderna社) – 従来ワクチンとの比較 – ID15083 [2020/05/03]

    mRNAワクチンの優位性

    最初に、核酸ワクチンと従来ワクチンとの比較で、核酸ワクチンが優位である点は、探索研究が必要ないこと、それが、最も大きな優位性です。病原となる関連物質の遺伝子配列を特定し、遺伝子組み換え技術を使って、適するモダリティに適応すれば、候補薬剤ができます。この部分が探索研究が必要ないと言っている部分です。従来ワクチンでは、その特定してから候補薬剤となるまでに、精製や免疫などが必要で、それが開発時間がある程度必要であるとして不利であると考えられます。

    核酸ワクチンには、DNAワクチンとmRNAワクチンがあります。どちらも同じものと理解してはいけません。

    Moderna社は、mRNAワクチンに注力する医薬品開発企業です。2017/03の同社ホワイトペーパーから、mRNAワクチンの優位性について概説します1)

    はじめに

    感染症を予防するワクチンは、これまでで最大の医療革新でした。CDCは、過去20年間に与えられた米国の小児ワクチン接種により以下の多くを予防できたと推定しています。

    • アメリカ人が3億2,200万の病気
    • 2,100万人の入院
    • 732,000人の死亡
    • 2,950億ドルの直接費用
    • 1.3兆ドルの社会的費用

    たとえば、1963年に麻疹ワクチンが出現する前は、このウイルスは毎年500,000人の アメリカ人に感染し、48万人が入院していました。今日では、主に外国人旅行者による麻疹の症例は年間60例にすぎません。天然痘、ポリオ、ジフテリア、百日咳、はしか、おたふく風邪、 その他多くのワクチンも公衆衛生に多大な影響を与えてきました。

    しかし、ワクチンの研究、開発、製造、およびデリバリーには革新の余地がかなりあります。

    既存のワクチンのパラダイム

    ワクチン接種の目的は、病原体(抗原と呼ばれる)そのもの、または一部分を少量で無害な用量により安全に事前曝露することで、免疫システムを構築することです。

    これにより、将来実際の病原体に遭遇した場合、既に出来ている免疫システムは病気と戦うことができ、病気を防ぐことができます。

    今日、私たちは25を超えるさまざまな疾患に対するワクチンを持っています。その形態は、

    • 弱められた病原体
    • 不活化された病原体
    • 不活化毒素
    • 病原体の部分サブユニット(構成するタンパク質)
    • 病原体の部分サプユニットの複合体

    などです。

    これら従来のアプローチはすべて、長くて複雑で費用のかかる開発機関と生産期間を伴います。

    1. 対象となる病原体/抗原は、専用の細胞培養および/または発酵ベースの生産で増殖させてから、抽出、殺害、分離、精製。これには、長くて複雑で費用のかかるプロセスが含まれます。
    2. 従来のワクチンの中には、経験的に有効性を示します(それ、なぜ機能するかを知らずに)。有効な正確なメカニズムは、ワクチンが認可されて使用された後にのみ完全に解明される場合があります。百日咳(百日咳)などの一部のケースでは、まだ有効性のメカニズムを理解できていません。
    3. 特注品であるワクチンである場合、固有の製造プロセスや製造設備、などが必要です。さらに、これらの設備投資はワクチン承認の何年も前に行わなければならず、ワクチンが最終的に失敗してこの資本を 浪費する可能性があるというリスクも大きな課題です。ワクチン開発の持続的な活動が損なわれる要因となります。
    4.  既存のワクチンは、経験則によるところが多く、アジュバントを使用して、それらが誘発する免疫応答の種類を調整することを学んでいるだけです。

    核酸ワクチン

    核酸ワクチン、即ち、DNAおよびメッセンジャーRNA(mRNA)は、病原体が疾患を引き起こすために使用するタンパク質をコードするヌクレオチド配列(たとえば、「AAAGGCC …」)をコードしています。

    これらのタンパク質は、免疫システムが認識する抗原として機能するという考えです。 このタンパク質のみでは、病原性はありません。これらのタンパク質には、病原性はありませんが、免疫応答を構築できるという訳です。

    ©2017 Moderna Therapeutics

    https://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/Vaccines/ApprovedProducts/UCM093833

    このアプローチには、従来のワクチンに比べて利点があります。

    1. これらの抗原の多くはすでに特定されているため、発見段階は非常に迅速です。 発見も小動物モデルでの重要なコンピュータ内(コンピュータベース)の抗原設計とワクチンの迅速なテストが可能です
    2. 生産は標準化されています。 それは、病原体または標的特異的細胞培養または発酵などの製造工程も含まない(化学合成による製造と考察される)。 ワクチンを育てる必要はありません。 その結果、単一の施設ですべてのmRNAワクチンを製造でき、単一のプロセス、資本設備、労働力を効率的に利用できます。
    3. ワクチンは、免疫系が認識する方法で自然のウイルス感染を模倣します。 それは筋肉と免疫細胞に送達され、実際の感染時に体の細胞内のウイルスDNA / mRNAを使用して行うのと同じようにヌクレオチド配列を処理します(ただし安全)。
    4. さらに、ワクチンはDNAまたはmRNAであるため、標準化されたプロセスで、より正確に制御されたステップで製造することができます。 これにより、生産がより速く、より安くなり、バッチ間のばらつきによる不必要なバッチ損失の影響を受けにくくなります。 mRNAワクチンとDNAワクチンは、モジュール性と標準化の両方において、従来のワクチンよりも格段に優れています。
    5. さらに、核酸ワクチンは、送達される抗原を正確に調整する能力に基づいて、腋生免疫と細胞免疫の間のバランスを調整する可能性があります。 このため、核酸ワクチンは、従来のワクチンアプローチでは対処が非常に難しい病原体に対処するように設計できます。

    1. DNAワクチン

    DNAワクチンの研究は30年前に始まりましたが、認可されたDNAワクチンはまだなく、ほとんどが第1相試験に残っています。

    DNAワクチンに関連する主な課題は、それらが細胞核(2つの膜を通過する、細胞質と核)を貫通する必要があることです。 次に、DNAは核でmRNAに転写されてから、細胞質に移動して抗原の産生を刺激する必要があります。 この中核となる複雑な経路は、多くの場合、DNAワクチンを送達するために、大量の投与と、電気ショックまたは金のミクロスフェアを使用して人の皮膚に投与する、しばしば痛みを伴う特別な送達デバイスの両方を必要とします。 核内に入ると、DNAワクチンは人のDNAを永久的に変化させるリスクがあります。

    • DNAワクチンが機能を発揮するには、細胞膜と細胞核の2つの膜を通過しなければならない
    • デリバリー技術が必要となる
    • 細胞核内でゲノムに組み込まれるリスクがある

    2. mRNAワクチン

    現在、臨床試験には6つの予防的mRNAワクチンがあり、そのうち4つはModerna Therapeuticsによって実施されています。 これらのワクチンは、多くの欠点に対処しながら、DNAワクチンの利点(より速く、標準化された天然の抗原の発現と産生)を組み合わせています。 DNAワクチンとは異なり、mRNAワクチンは核に入る必要がなく、DNAに組み込まれるリスクもありません。また、タンパク質ワクチンに直接翻訳されます。 その結果、mRNAワクチンはDNAワクチンのたった1/1000の用量で済み、特別な送達装置を必要としません。

    ヒトで強力な免疫を誘発する予防的mRNAワクチンの能力を示す最初に発表されたデータは、2017年4月の分子療法で発表されました。(Bahl et al。、2017)

    すべての新しいワクチンと同様に、より大きく、より多様な集団における免疫原性の持続時間とmRNAワクチンの安全性プロファイルのレベルを確立するために時間が必要です。

    しかし、mRNAワクチンの革新は、DNAワクチンを改善する機会を提供します。 これらのワクチンは身体とシームレスに作用し、実際の感染の危険なしに、自然の一連の曝露と防御を模倣します。 抗原の設計とデリバリーの正確さと標準化は、発見のスピードとコスト、開発のスピード、多くのターゲットが成功する確率、そして生産のスピード、コスト、適応性の点で、公衆衛生と商業上の利点をもたらします。

    mRNAは私たちにワクチン接種の100年の歴史における新しいパラダイムを提供します。

    • mRNAワクチンが機能を発揮するには、細胞膜を通過すればいい
    • 特別なデリバリー技術は必要ない
    • 細胞核内でゲノムに組み込まれない
    • DNAワクチンの投与量と比較して1/1000程度で済む

    The science of mRNA
    Learn about messenger RNA’s role in human biology, the instructions it provides that direct cells in the body to make proteins, and why we believe mRNA medicines may have the potential to treat a broad array of diseases.

    Vaccine Excipient Summary
    Excipients Included in U.S. Vaccines, by Vaccin

    https://www.cdc.gov/vaccines/pubs/pinkbook/downloads/appendices/B/excipient-table-2.pdf

    Documenting Vaccination

    https://www.immunize.org/askexperts/documenting-vaccination.asp

    Vaccines Licensed for Use in the United States

    https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/vaccines/vaccines-licensed-use-united-states

    参考文献

    1)

    mRNA Vaccine: Distuptive Innovation in Vaccination – Moderna, May 2017 –

    https://www.modernatx.com/sites/default/files/RNA_Vaccines_White_Paper_Moderna_050317_v8_4.pdf
    編集履歴
    2020/05/16 Mr.HARIKIRI
    2020/08/19 追記 (USワクチン関連情報)
  • [Vc] 核酸ワクチンとは DNAワクチンとmRNAワクチン – ベクターワクチンとの違い –  ID15040 [2020/09/10]

    [Vc] 核酸ワクチンとは DNAワクチンとmRNAワクチン – ベクターワクチンとの違い – ID15040 [2020/09/10]

    ID15040

    核酸ワクチン

    ワクチンの目的は、病原性の抑制に直接的/間接的に関わるタンパク質に対する抗体の誘導である。核酸ワクチンには、DNAワクチンとRNAワクチンがあり、目的タンパク質の遺伝子コードに関わり長所/短所が存在する。製造し易さ、ワクチン能力に関わる投与量は製造規模に影響する。副作用の問題も加味して、それぞれの目的に応じて選択される。

    核酸ワクチンでは、従来のタンパク質性ワクチンでは無く、目的のタンパク質の設計図である遺伝子を使う。遺伝子には、DNA(特にplasmid DNA; pDNA)とmRNAがあり、それぞ長所/短所がある。よく似たアプローチとして、ベクターワクチンという種類のものもある。これらは、それぞれ異なるモダリティである。

    • 核酸ワクチン
      タンパク質の設計図であるDNAやmRNAそのものを体内に注入して、細胞内に到達した時には、それが遺伝子をコードしているタンパク質を作らせ、それを異物として認識されることで、免疫抗体が作られる
    • 核酸の保護剤
      核酸(DNAやmRNA)をLNP*1でナノパーティクルにすることで、目的の遺伝子を細胞内に導入し易くさせる。これはをDrug Delivery System (DDS)と言い、mRANの送達技術の進歩によりmRNAを使用した医薬品開発が進展してきている。Precision NanoSystems Inc.mRNA-LNP技術については、下記、「関連記事」参照
    • 参考 : ウイルスベクターワクチン
      ウイルスの病原性を欠損させて、細胞への感染機能により細胞内に到達させ、タンパク質をコードする遺伝子を細胞内にリリースさせることができる。日本では、阪大の仙台ウイルス・ベクター(下記参照)、世界では、AstraZenecaのAdenovirus Vector vaccine などがある
    • ADE
      ワクチンの副作用として知られる、ワクチン接種後の抗体依存性感染増強(Antibody Dependent Enhancement:ADE)は、症状を悪化させる副作用であり、ワクチン開発にとって重要な評価項目である 参考SOURCE:NIKKEI

    導入された遺伝子は、コードされたタンパク質を産生する。このタンパク質が細胞外に分泌されて、免疫系が働けば、その結果としての抗体が産生される。核酸ワクチンでは、ウイルスベクターワクチンと比較して、液性免疫は起こるものの、細胞性免疫があまり期待ができないこと言われており、メリットでありデメリットである。細胞性免疫があれば、より強固にワクチン効果を期待できる。反面、ウイルスベクターワクチンでの細胞性免疫が生じ安いということは、何回も免疫をすることは、不要な免疫も生じることからデメリットでもある。

    核酸には、DNAとmRNA

    plasmid DNA (pDNA)、mRNA、いずれも細胞内に目的遺伝子を選ぶ事は可能です。

    pDNAは、大元の設計図が含まれていて、これがmRNAに変換される幾つかのステップが必要です。RNAは、直接的に目的のタンパク質に変換されます。

    高分子ナノテクノロジーが切り拓く 核酸医薬デリバリー Drug Delivery System 31-1, 2016 – 核酸医薬とDDS – より

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/31/1/31_44/_pdf

    DNAワクチンとRNAワクチンのメリット/デメリット

    DNAワクチン

    • 文献4)
    • 分解を受けにくい
    • 一般的に組換え大腸菌により大量製造が容易
    • (細胞内でタンパク質を作るには、いったんmRNAに変換されなければならない)
    • 細胞のゲノムに組み込まれて(相同組換え)しまう危険性(癌原性のリスク)が全く無いわけではない。医薬品としては、その辺りの確認が重要となってくる。
    • 抗DNA抗体が産生されやすかったり、不要な免疫活動が起こる

    mRNAワクチン

    • 文献1), 2), 3)
    • 分解を受けやすい (ため、LNP*1 の技術が重要となってくる)
    • 一般的に大量製造が難しい
    • (細胞内に到達できれば、直接的にタンパク質の変換に使われる)
    • 研究がこれまで進まなかったが、mRNAワクチンとして、moderna社が躍進していたが、Pfizer/BioNTech社の新型コロナワクチンが一番最初に世界に上市された
    • 日本のRNAワクチンでは、仙台ウイルス(SeV)ベクターの開発が進んでいる3)

    関連記事

    編集履歴
    2020/05/02 はりきり(Mr)
    2020/05/08 追記 (作用機序、DNAワクチン開発状況)
    2020/05/28 追記 (拡散には、DNAとmRNA)、訂正
    2020/08/03 個別記事(DNAワクチン、RNAワクチン)のリンク追加
    2020/08/06 修正 (混在していたベクターワクチンとDNAワクチンの説明を訂正)
    2020/09/10 追記 (液性免疫と細胞性免疫について)
    2021/02/24 文言整備

    以上

    参考文献

    1) RNAワクチンの開発

    RNA ワクチンの開発:感染症への応用 - 長谷川 護 (ディナベック)、バイオロジクスフォーラム 第9回学術集会

    http://www.nihs.go.jp/cbtp/home/Biologics-forum/BF9/DrHasegawaM.pdf
    2) RNAワクチン

    RNAワクチン
    安全、効率的かつ汎用性に優れた新しいRNAワクチンの開発 –

    http://inewsletter-king-skyfront.jp/jp/research_highlights/vol-11-research01/
    3) ベクターワクチン

    ベクターワクチン
    センダイウイルスベクターを利用した ワクチン技術の開発

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/22/6/22_6_636/_pdf
    4) 新型コロナのDNAワクチン開発状況

    アンジェス山田社長、新型コロナのDNAワクチンの開発状況を明らかに – 日経バイテク 2020

    https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/20/03/26/06735/
    5) DNAワクチン

    DNAワクチン
    来春にも新型コロナ感染予防DNAワクチン実用化へ 森下竜一氏 (大阪大学大学院医学系研究科 臨床遺伝子治療学寄附講座教授)に聞く 2020

    https://iyakutsushinsha.com/2020/04/22/来春にも新型コロナ感染予防dnaワクチン実用化へ/
    6) DNAワクチンの作用機序を解明

    遺伝子(DNA)ワクチンの作用機序を解明, 2008, 科学技術振興機構報 第473号

    https://www.jst.go.jp/pr/info/info473/index.html
    7) 新型コロナワクチンに適したモダリティはあるのか?

    1章 新型コロナワクチンに適したモダリティはあるのか?, 2020 – 日経バイオテク –

    https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/072000119/
  • [用語] curved DNA

    [用語] curved DNA

    curved DNA; カーブド DNA; 約 10 bp (base pair)毎に 4 ~ 6 個のアデノシンリピートを持つ DNA 分子。

    編集履歴

    2020/04/24, Mr. Harikiri

  • [Bio-Edu] DNAワクチンとは – 2008年までの論文から、免疫細胞へのプラスミドDNAの取り込みにより特異抗体が産生される – ID13931 [2020/04/21]

    [Bio-Edu] DNAワクチンとは – 2008年までの論文から、免疫細胞へのプラスミドDNAの取り込みにより特異抗体が産生される – ID13931 [2020/04/21]

    DNAワクチンとは

    1998年、2000年および2008年の論文から、DNAワクチンの作用機序を調査した。最近の論文調査は今後追加する。

    1998年現在

    1998年には、DNA vaccination, genetic immunizationと呼ばれている。作用機序は不明。

    • DNAワクチンの特徴としては強力な細胞性免疫の誘導能
    • 生ワクチンの長所と, 生きた病原体を使用しないため安全性が確保されるというペプチドワクチンの長所を具備
    • 合成が容易で保存性に優れ, 経済性, 長期にわたる免疫反応が持続するなどの面で従来のワクチンより優れている

    DNAワクチンの現状と展望 (1998) – J-STAGE – より

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsb1944/53/2/53_2_407/_article/-char/ja/#article-overiew-references-wrap

    2000年現在

    • アレルゲン遺伝子を組み込んだプラスミドDNAを接種することによってアレルゲン特異的Th1細胞が誘導できる
    • アレルゲン特異的Th2細胞の応答を抑制でき, アレルギー反応を抑制することができると考えられる
    • DNAワクチン接種の際の条件, たとえば投与方法や投与部位の調節, あるいは, アジュバントや補助シグナル分子を発現するプラスミドDNAの併用により, 免疫応答を操作できることが明らかになってきている.

    DNAワクチン (2000) – J-STAGE – より

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/iryo1946/54/2/54_2_89/_article/-char/ja/

    免疫細胞と非免疫細胞 (2008)

    1. 免疫細胞が抗原特異的抗体を産生

    阪大の研究成果により、作用機序が明らかになってきた。

    • DNAの右巻きの二重らせん構造(B-DNA)注2)が細胞内でTank-Binding Kinase 1 (TBK1)注3)という酵素(シグナル伝達分子)を介して自然免疫系注4)を活性化
    • このことが、ワクチンの内因性アジュバント注5)として作用し、自然免疫系活性化のシグナルがDNAワクチンの効果発現に必須である
    • DNAワクチンの効果のうち、抗体の産生のためには樹状細胞などの免疫細胞でのTBK1依存性の自然免疫活性化が重要
    • T細胞による細胞性免疫の活性化のためにはDNAを取り込んだ筋肉細胞などの非免疫細胞でのTBK1の活性化も重要
    • この論文は、2008年2月7日(英国時間)発行の英国科学雑誌「Nature」に掲載
    • DNAワクチンとは、プラスミドDNAと呼ばれる細菌由来の環状DNAに抗原を発現する遺伝子を組み込んだもの
    • 生体に投与すると、その抗原に特異的な免疫反応を誘導
    • 製法が簡便でコストも抑えられる
    • 動物用ワクチンとしてウマの西ナイルウイルス感染症、養殖サケのウイルス感染症、ペット犬の悪性黒色腫(メラノーマ)に対するDNAワクチンが北米で認可され、実際に使用されている
    • DNAワクチンがなぜ効くのか解明はあまり進んでいません。
    • 特にDNAワクチンが持つアジュバント効果に関しては、ワクチンのプラスミドDNAに存在するCpGモチーフ注6)という特殊な配列がトル様(よう)受容体9(Toll-like receptor 9, TLR9)注7)によって認識されることで起こる自然免疫系の活性化によるものと思われていました(図1)
    • この自然免疫反応はDNAワクチンの効果に無関係であるとの報告がある。
    • 今回の研究成果
      • TLR9ノックアウトマウスでも、ワクチン効果があった
      • I型インターフェロン注9)の受容体遺伝子ノックアウト・マウスの場合では、ワクチン効果が顕著に低下
      • 従って、I型インターフェロンを誘導する経路が重要である。
    • 一方で、B-DNAがTLRを介さずに、TBK1というシグナル伝達分子(酵素)を介し、炎症性サイトカイン注10)やI型インターフェロンを産生することを発見
    • 核酸(DNA)の自然免疫賦活化作用はTLR9を介する病原体(細菌やウイルス, 塩基配列(CpGモチーフ)である
    • ウイルス、宿主細胞両方に見られるDNAの二本鎖DNAの右巻き構造が、TLRに依存しない強いインターフェロン産生能を持つことが示された。
    • 樹状細胞などの免疫細胞
      • TBK1遺伝子を持つマウスでは、(1)抗原特異的な抗体の産生(液性免疫)、(2)ヘルパーT細胞の誘導
      • TBK1遺伝子を持つマウスでは、細胞障害性T細胞(CTL)の誘導
    • 筋肉細胞などの非免疫細胞
      • 状況(1)と(2)のワクチン効果は、見られなかった。
      • TBK1遺伝子を持つマウスでは、細胞障害性T細胞(CTL)の誘導が見られる
    • (A) DNAワクチンによる抗体産生には樹状細胞などの免疫細胞でのTBK1依存性の自然免疫活性化経路が重要である
    • (B) 細胞性免疫誘導のためにはDNAが主に取り込まれる筋肉細胞などの非免疫細胞における、TBK1依存性の自然免疫活性化シグナルも働いていること、
    • (C) 免疫・非免疫細胞双方における自然免疫活性化が相互に作用し合っている

    2. 副作用関連

    • DNAはいくつかの自己免疫疾患、たとえば全身性エリテマトーデス(SLE)(自己のDNAに対する抗体ができる原因不明の疾患)などの発症、増悪の機序に関与している可能性がある

    遺伝子(DNA)ワクチンの作用機序を解明(DNAワクチンの本格開発にはずみ)2008 – 大阪大学免疫学フロンティア研究所

    http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/20080207-0524.htm

    細胞性免疫

    編集履歴

    2020/04/21 はりきり(Mr)
    2020/07/24 追記 (細胞性免疫)
  • [Bio-Material] GMP製造に使えるNucleaseの種類と価格 – ID3859 [2019/12/09]

    [Bio-Material] GMP製造に使えるNucleaseの種類と価格 – ID3859 [2019/12/09]

    はじめに

    AAVベクターを製造する場合、宿主細胞の破砕によりDNAが溶液中に混入して溶液の粘度が上がり、取り扱いが難しくなってしまいます。

    その際、DNAを酵素で切断する工程を設けます。その酵素について、以下調査しました。

    DENARASE

    c-LEcta

    The Nuclease that cleaves all forms of DNA and RNA.

    Advertorial: Outstanding cGMP Enzymatic Technology in Purification

    Price :

    €290/100KU

    €890/500KU

    Benzonase®

    Merk Millipore

    Nuclease, Purity > 99%

    ¥29,100/10kU

    TurboNucleaseTM

    Accelagen

    $885/250KU

    編集履歴
    2019/12/09 はりきり(Mr)
    2020/06/25 文言整備