【GMP】〇医薬品に関わる試験記録書などのGMP文書の保管期間は何年か

生物由来医薬品等ではさらに長い保管期間がある

生物由来医薬品等については、GMP省令第30条に保管期間の特例があります。

製品区分保管期間
特定生物由来医薬品、または人の血液を原材料として製造される生物由来医薬品有効期間+30年
生物由来医薬品、または細胞組織医薬品有効期間+10年
上記以外の製品5年。ただし有効期間+1年が5年より長い場合は有効期間+1年
教育訓練記録5年間

したがって、バイオ医薬品、血液由来製品、細胞組織医薬品などを扱う場合には、一般的な「5年」だけでなく、第30条の特例を確認する必要があります。


試験記録書には生データも含めて考える

試験記録書の保管では、最終結果だけを保存すればよいわけではありません。

GMP事例集では、生データの例として、測定機器から出力されるデータ、チャート、測定値を書き取った記録、観察記録、電子的な波形データ、写真、計算や換算の過程を記録したものなどが示されています。

また、データインテグリティの観点から、生データは得られた時の状態で利用可能であるよう保存することが求められています。

したがって、試験記録書の保管では、次の資料も含めて管理対象にする必要があります。

試験記録に含めるべき資料の例内容
試験指図・試験依頼何を、どの規格で試験したか
試験結果規格適合・不適合の判定
生データクロマトグラム、スペクトル、測定値、観察記録など
計算過程換算、平均、補正、再計算の記録
承認記録確認者、承認者、日付
OOS/OOT関連記録規格外・傾向外結果の調査記録
監査証跡電子記録の変更履歴、アクセス履歴など

紙記録をスキャンすれば紙原本を廃棄できるとは限らない

紙の手書き記録をスキャンしてPDF化する場合でも、紙原本を廃棄できるとは限りません。

GMP事例集では、手書き記録をコンピュータに記憶させて保管する場合でも、データインテグリティを確保する観点から、元の手書き記録も別途保管する必要があるとされています。

そのため、電子化を行う場合は、次の点をSOPで明確にする必要があります。

確認項目実務上のポイント
原本の定義紙原本か、電子記録か、真正なコピーかを明確にする
スキャン後の紙記録廃棄可能か、継続保管が必要かを規定する
電子記録の完全性改ざん防止、アクセス管理、監査証跡を確保する
検索性査察時に速やかに提示できるようにする
バックアップ保管期間中に消失しない仕組みにする
廃棄記録廃棄対象、廃棄日、承認者を記録する

保管場所は原則として製造所

製造記録や試験検査記録は、原則として当該製造所で保管することが想定されます。

ただし、GMP事例集では、当該製造所で容易に利用でき、製造管理・品質管理に支障がなく、GMP適合性調査等にも支障がない場合には、本社等で保管することも差し支えないとされています。

この場合は、次の条件を満たす必要があります。

項目必要な管理
保管場所製造所、本社、外部倉庫などを明確化
管理責任製造部門または品質部門の指示・責任下で管理
取り出し性査察時に速やかに提示できること
移管記録どの記録を、いつ、どこへ移したかを記録
欠落防止保管リスト、棚卸、定期確認を行う

文書・記録の種類別まとめ

文書・記録の種類起算日保管期間の基本注意点
製造指図記録・製造記録作成の日5年または有効期間+1年の長い方ロットに直結する中核記録
包装記録・表示記録作成の日同上表示・ラベル版管理も重要
試験検査記録作成の日同上生データ、計算過程、承認記録も含めて管理
CoA関連記録作成の日同上試験結果の根拠資料と紐づける
OOS/OOT調査記録作成の日同上試験記録と一体で管理する
逸脱記録作成の日同上影響評価、原因調査、CAPAを含める
変更管理記録作成の日同上バリデーション、規格、手順への影響確認が必要
CAPA記録作成の日同上逸脱、苦情、監査所見と連動する
安定性試験記録作成の日同上有効期間設定の根拠として重要
原料・資材の受入試験記録作成の日同上製品ロットとの紐づきに注意
設備点検記録作成の日原則5年。製品品質に関わる場合は延長を検討SOPで扱いを明確化
保守・修理記録作成の日原則5年。重要設備では延長を検討設備の適格性維持の証跡
校正記録作成の日原則5年。関連ロットに応じて延長を検討試験・製造データの信頼性根拠
清掃・洗浄記録作成の日原則5年。製品品質に関わる場合は延長を検討交叉汚染防止の証跡
環境モニタリング記録作成の日原則5年。無菌・バイオでは延長を検討トレンド評価の観点で長期保管されやすい
バリデーション・クオリフィケーション記録作成の日原則5年。設備・工程の有効期間中は保持が望ましい現役設備・現役工程では廃棄に注意
SOP・手順書・規格書・製品標準書使用しなくなった日5年または有効期間+1年の長い方改訂履歴も管理対象
文書管理台帳・配付回収記録作成の日原則5年旧版誤使用防止に重要
自己点検記録作成の日原則5年改善措置記録も含める
苦情・回収関連記録作成の日原則5年。製品に紐づく場合は有効期間+1年も考慮市販後対応のため延長されやすい
教育訓練記録作成の日5年有効期間+1年による延長対象外
原薬の記録作成の日第22条に従うリテスト日、出荷完了日から3年を確認
生物由来医薬品等の記録作成の日第30条に従う有効期間+10年、+30年の特例あり

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