ICH Qシリーズ 一覧表(Q1〜Q14)
番号 | タイトル | 概要(簡略) |
---|---|---|
Q1A(R2) | 安定性試験:新規医薬品および新規原薬 | 医薬品および原薬の安定性試験の基本的ガイドライン(温度、湿度などの条件) |
Q1B | 光安定性試験 | 光に対する医薬品の安定性評価 |
Q1C | 安定性試験:新しい剤形 | 新規製剤における安定性試験の追加的ガイドライン |
Q1D | ブリッジング試験 | 安定性データの変換・補完に関する指針 |
Q1E | 安定性データの評価 | 安定性データの解析・保存期間の決定 |
Q1F | 気候区分IVにおける安定性試験 | 熱帯地域(高温多湿)での安定性試験の指針 |
Q2(R1) | 分析法バリデーション | 定量法・確認法などの分析法のバリデーション指針 |
Q3A(R2) | 不純物:新規原薬 | 原薬に含まれる不純物の管理(有機不純物など) |
Q3B(R2) | 不純物:新製剤 | 製剤中の不純物に関する指針 |
Q3C(R8) | 不純物:残留溶媒 | 製造に使われた溶媒の残留に関する許容基準と管理 |
Q3D(R2) | 不純物:金属元素 | 金属不純物のリスク評価と限度設定 |
Q4 | 薬局方用語の調和 | 各国薬局方における用語と試験法の調和(→Q4Bは具体試験法) |
Q4B | 承認済み薬局方試験法の調和 | USP、Ph.Eur、JPなどの薬局方試験法の調和と互換性の評価 |
Q5A(R2) | ウイルス安全性評価(バイオ製品) | バイオ製品のウイルス除去/不活化の評価と管理 |
Q5B | 発現系の特性評価 | 遺伝子発現系(宿主細胞など)の特性評価 |
Q5C | 安定性試験(バイオ製品) | バイオ製品特有の安定性評価 |
Q5D | 細胞株の特性評価 | 宿主細胞株の起源と特性の文書化 |
Q6A | 規格と試験法:化学医薬品 | 化学合成品の規格設定と試験法(例:純度、含量) |
Q6B | 規格と試験法:バイオ製品 | バイオ医薬品の品質評価項目と基準 |
Q7 | GMP(原薬) | 原薬(原材料を含む)のGMP(製造管理と品質管理)基準 |
Q8(R2) | 医薬品開発(製剤設計) | 品質設計(QbD)を取り入れた製品開発アプローチ |
Q9 | 品質リスクマネジメント | 品質に関するリスクの特定・評価・制御方法論 |
Q10 | 医薬品品質システム | 製品ライフサイクルを通じた品質管理システムの枠組み |
Q11 | 原薬の開発と製造 | 化学的またはバイオ由来の原薬の開発・製造戦略 |
Q12 | 製品ライフサイクルマネジメント | 製造・品質の変更管理とその事前承認・報告要件 |
Q13 | 連続生産 | 連続生産方式に関する技術的・品質的なガイドライン |
Q14 | 分析法の開発 | 新たに開発される分析法の開発設計とバリデーション(Q2と連携) |
🧭 ICH Qの補足ポイント
- Q8〜Q10は「ICH Quality by Design(QbD)三部作」として有名。
- Q12, Q13, Q14は近年の新技術やライフサイクル管理に対応。
- Q3A〜Q3Dの「不純物シリーズ」は非常に重要な品質管理指針。
🔹 ICH Qガイドラインのカテゴリ別分類
分類カテゴリ | 該当ガイドライン | 内容概要 |
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① 安定性試験 | Q1A(R2)〜Q1F Q5C | 原薬・製剤・バイオ製品の安定性(温度、湿度、光、保存期間)評価のためのガイドライン |
② 不純物関連 | Q3A(R2)〜Q3D(R2) | 原薬・製剤・残留溶媒・金属元素など、医薬品に含まれる不純物の管理と限度設定 |
③ 分析法関連 | Q2(R1) Q14 | 分析法のバリデーション(Q2)、および開発設計(Q14、Q2と補完関係) |
④ 規格と試験法(製剤品質基準) | Q6A(化学) Q6B(バイオ) | 医薬品の規格(純度、含量、特性など)の設定方法と試験法 |
⑤ バイオ製品関連 | Q5A(R2)〜Q5D Q6B | バイオ医薬品に特化した品質評価:ウイルス不活化、細胞株評価、安定性など |
⑥ 原薬関連(開発・GMP) | Q7(GMP) Q11(開発と製造) | 原薬に関するGMP(Q7)と開発製造プロセスの設計(Q11) |
⑦ 薬局方・用語調和 | Q4, Q4B | 薬局方試験法や用語の国際的調和(JP, USP, Ph.Eur) |
⑧ 品質システム・リスク管理・QbD | Q8(R2)(製品開発) Q9(リスク管理) Q10(品質システム) | Quality by Designの基本概念、リスク評価、品質システム全体 |
⑨ 製品ライフサイクル・継続的改良 | Q12(変更管理) Q13(連続生産) | 製品の市販後変更管理(CMC変更など)や連続生産方式に関するガイドライン |
🧭 カテゴリ別ガイドライン一覧(簡易)
カテゴリ | ガイドライン |
---|---|
安定性 | Q1A〜F, Q5C |
不純物 | Q3A〜D |
分析法 | Q2, Q14 |
規格・試験法 | Q6A, Q6B |
バイオ製品 | Q5A〜D, Q6B |
原薬 | Q7, Q11 |
薬局方 | Q4, Q4B |
品質システム・QbD | Q8, Q9, Q10 |
ライフサイクル | Q12, Q13 |
今後の改定などの予定
ICH(International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)は、医薬品の品質に関するガイドライン(Qシリーズ)を継続的に見直し、必要に応じて新しいガイドラインの策定や既存ガイドラインの改訂を行っています。
今後のICH Qシリーズの拡充予定についてのポイント:
- 新しいガイドラインの検討:
- ICHのQuality Discussion Group(QDG)は、品質に関する新しいトピックの検討を進めています。www.slideshare.net+3ispe.org+3Default+3
- 2021年の報告では、安定性試験(Q1シリーズ)や規格設定(Q6シリーズ)のガイドラインの近代化が優先事項として挙げられています。 database.ich.org
- 既存ガイドラインの改訂:
- 近年、いくつかの既存ガイドラインが改訂されています。例えば、分析法バリデーションに関するQ2ガイドラインは、技術の進歩に対応するために改訂が行われました。
- 新技術や新治療法への対応:
- 連続生産(Continuous Manufacturing)に関するQ13ガイドラインが策定され、製造技術の革新に対応しています。
- また、オリゴヌクレオチド医薬品などの新しい治療法に対応するガイドラインの必要性も議論されています。 Home
これらの動向から、ICH Qシリーズは今後も医薬品の品質に関する新しい課題や技術革新に対応するため、さらなる拡充や改訂が行われることが予想されます。
編集履歴
2025/05/06 Mrはりきり