はじめに
2023年春から起こった鳥インフルエンザは、日本全国の養鶏場を襲った。その結果、たまごの供給不足となったが、とりわけ北海道では、最もお多い養鶏数を誇る千歳市の養鶏場が、大きな被害を受けた。
道内での春から生じた「たまご供給不足」は、市民の生活を一部大きく変えた。供給不足は、7月現在でも続いており1家族に1パックの販売制限を実施している販売店がほとんどである。それでも、単身赴任で仕事帰りに「たまごコーナー」に立ち寄るサラリーマンは、空になったコーナー前で呆然と立ちすくす姿が時折見られる。
(アイキャッチイメージ by Bing Image Creator)
北海道での鳥インフルエンザ
鳥インフルエンザは、大陸、特にロシアなどからの渡り鳥によって運ばれる。
秋になるとまた渡り鳥は日本にやってくる。これまでの鳥インフルエンザとは異なり、今回の養鶏場での爆発的な感染は、ウイルスに変異が怒っているものと考えられている。
具体的には弱毒化したことで、これまでは、渡り鳥が日本に上陸するまでに、感染した渡り鳥は日本海上で症状が進み脱落していたと考えられる。しかし、弱毒化したことで、感染した渡り度の大多数が日本に上陸が可能となったのでは無いかと考えられている (北海道大学大学院の迫田教授、NHK-北海道道)。
さらに、迫田教授は、北海道大学内に発見されたカラスの死骸を使って鳥インフルエンザウイルス検査を実施した。その結果、今年2023年3月、4月の死骸数は急激に増えて、更にウイルス陽性率も非常に高かった。また、カラス1羽あたりのウイルス数は、非常に高かった。
千歳市には渡り鳥の中継地である湖(ウトナイ湖)があり、この地が、今回の千歳の養鶏場での鳥インフルエンザウイルスによる大きな感染被害を起こした要因の一つとされる。
被害経路
カラスは、雑食性であり感染し死んだ渡り鳥から鳥インフルエンザに感染する。また、養鶏場周辺の環境はカラスにとって良い環境であることから、カラスは養鶏場に近づきやすい。
推察するに、感染経路は、以下のような経路が考えられる。
- 弱毒化した鳥インフルエンザに感染した渡り鳥が日本に上陸する確率が高くなった
- 感染した渡り鳥は、やがて死んでカラス(など)の餌となり、さらにカラス(など)が養鶏場付近に寄りついた
- カラスの死骸や糞をネズミなどが餌として感染した。
- 以上の経路により、養鶏場付近の周辺環境にウイルスを撒き散らした。
- 結果的に、ヒトにより養鶏ケージがある室内にウイルスが持ち込まれた。
- 鶏は、鳥インフルエンザに最も感受性がある鳥であり、その特性が感染爆発を招いた。
北海道大学 迫田教授
https://researchers.general.hokudai.ac.jp/profile/ja.5ca96878ce07d5f3520e17560c007669.html
養鶏場での対策
養鶏場における鳥インフルエンザ感染探索は、一言で言えばウイルスをケージ内に持ち込まないことである。
現在の養鶏場がどのような対策を実施しているのか知らないが、私がよく知る、バイオ医薬品製造所でそうであるように、更衣(二重、三重)、手洗い/手袋、空調(高精度フィルター)、ゾーニング(運用によるしきり、物理的仕切り)という対策は存在する。
しかし、費用対効果と照らして養鶏場にて打てる項目は限られると思われるが、参考にした創意工夫によるベター/ベストはあるだろう。
もしも、本当にウイルスの弱毒化が原因なから、今回限りの被害ではなく、今後も続く被害を想定しなければならない。
- 費用対効果を試算してみて実施する根拠の明確化
- 季節に応じた対策項目の変更
- 現状でやれていない対策の実施
編集履歴
2023/07/15 Mr. Harikiri