カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Vc] 各社が開発したCOVID-19ワクチン情報リンク – [2021/10/08]

    [Vc] 各社が開発したCOVID-19ワクチン情報リンク – [2021/10/08]

    ID30915

    各種タイプ

    最先端の技術で作成されたワクチンは、mRNAタイプウイルスベクタータイプ、です。従来の遺伝子組換え技術で作られたワクチンは、組換え抗原タンパク質ワクチンです。

    今回のCOVID-19のパンデミックでは、図らずも、新技術であり新モダリティであるmRNAワクチンの有用性・有効性が示されることになりました。

    因みに、ウイルスベクタータイプでは、病原性がないウイルスの殻を利用してその中にウイルスではない遺伝子、すなわちワクチンとなる抗原遺伝子を封入している構造となっています。

    実は、このウイルスの殻自体が抗原性を示すため、一般的には、この使用しているウイルスの殻に対する抗体も作られます。これは、ワクチンには関係のない抗体も作られてしまうという懸念です。

    このウイルスベクター技術は、遺伝子治療に応用されていますが、遺伝子治療の場合は、人生の内で数回しか投与されないため、抗原性の問題は少く問題になりません。しかし、季節性のワクチンに対して利用する場合、毎年の投与は、その抗原性の問題があるのでは無いかと考えられます。もしかすると、新しい独自の技術で抗原性を低下させていのかもしれませんが、現状では不明です。

    • mRNA
      • 100μg/投与, 2回4weeks間隔 (Moderna, US)
      • 30μg/投与,2回3weeks間隔 (BioNTech/Pfizer, EU)
    • ウイルスベクター
      • チンパンジー アデノ ウイルスベクター (AstraZeneca, GB)
        • インドではCOVISHIELD (TM)として使用されている
      • Human Ad26ウイルスベクター (J&J, US)
      • Human Ad26ウイルスベクター (Janssen)
      • Adウイルスベクター(スプートニクV; 1回目と2回目摂取のベクターが異なる)
    • pDNA
      • (Zydus, India)
    • 不活化
      • (SINOVAC, CN)
      • (SINOPHARM, CN)
      • COVAXIN (バーラド・バイオテック, India)
    • 抗原タンパク質
      • TAK-019, (NOVAVAX/Takeda, US)
      • (シオノギ, 日本)

    Human Regulatory – COVID-19 vaccines

    https://www.ema.europa.eu/en/human-regulatory/overview/public-health-threats/coronavirus-disease-covid-19/treatments-vaccines/covid-19-vaccines

    Spikevax (previously COVID-19 Vaccine Moderna)

    https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/spikevax

    COVID-19 Vaccine Moderna
    Common name: COVID-19 mRNA Vaccine (nucleoside-modified) 2021/03/11

    https://www.ema.europa.eu/en/documents/assessment-report/spikevax-previously-covid-19-vaccine-moderna-epar-public-assessment-report_en.pdf

    Common name: COVID-19 mRNA vaccine (nucleoside-modified) 2021/02/19

    https://www.ema.europa.eu/en/documents/assessment-report/comirnaty-epar-public-assessment-report_en.pdf

    Vaxzevria (previously COVID-19 Vaccine AstraZeneca)

    https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/vaxzevria-previously-covid-19-vaccine-astrazeneca

    COVID-19 Vaccine Janssen

    https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/covid-19-vaccine-janssen

    Comirnaty COVID-19 mRNA vaccine (nucleoside-modified)

    https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/comirnaty

    WHO validates Sinovac COVID-19 vaccine for emergency use and issues interim policy recommendations

    https://www.who.int/news/item/01-06-2021-who-validates-sinovac-covid-19-vaccine-for-emergency-use-and-issues-interim-policy-recommendations

    ZyCoV-D becomes world’s first plasmid DNA vaccine for COVID-19

    Zydus’ ZyCoV-D received emergency use authorisation (EUA) in India, becoming the world’s first plasmid DNA vaccine for COVID-19. 2021/08/23

    https://www.europeanpharmaceuticalreview.com/news/160968/zycov-d-becomes-worlds-first-plasmid-dna-vaccine-for-covid-19/

    日本政府による当社が製造するNovavax社の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補1億5,000万回接種分の購入について – 武田製薬 –

    https://www.takeda.com/jp/newsroom/newsreleases/2021/20210907-8288/

    Jannsenの臨床状況

    adenovirus type 26 encoding the SARS-CoV-2 spike glycoprotein (Ad26.COV2-S) – EMA

    https://www.ema.europa.eu/en/search/search?sort=field_ema_computed_date_field&order=desc

    COVISHIELD FAQ’s

    https://www.seruminstitute.com/product_covishield.php

    編集履歴

    2021/08/02 はりきり(Mr)
  • 気になる企業 – Kaneka Eurogentech S.A. – バイオCDMO [2023/10/11]

    気になる企業 – Kaneka Eurogentech S.A. – バイオCDMO [2023/10/11]

    Kaneka Eurogentech

    • ベルギー, 1985年設立
    • 2010年にEurogentechは,Kanekaによって買収され子会社となる.
    • 2017年にKaneka Eurogentechに社名変更
    • 事業: 核酸,ペプのチド,タンパク質の受託製造
      • GMP DNA製造
      • GMP mRNA製造 (~20g), 新設備(FAMHP;ベルギー当局)
      • GMP 設備:
      • 製造エリア: 10,000m2
        • 4 GMP Fermentation suites (80 L, 150 L, 500 L, 2200 L fermentors)
        • 3 GMP Purification suites
        • 1 GMP 0.2µm Filtration suite
        • Our state-of-the-art cleanroom facilities meet Class 100,000 (ISO8) and Class 10,000 (ISO7) standards with Class 100 (ISO5) working zones. Access to cleanrooms is authorized to qualified staff.

    Eurogentch Home Page

    https://www.eurogentec.com/en/

    カネカユーロジェンテックが新しいmRNA製造施設のGMP認定を取得 – COVID-19ワクチンの生産が進行中

    https://www.businesswire.com/news/home/20210217005039/ja/

    FAMHP site

    https://www.famhp.be/en
    編集情報
    2021/08/05,Mr.HARIKIRI
    2023/10/11,文言整備
  • [Vc] J&J/Janssen – 新型コロナウイルスに対するワクチン[2021/08/02]

    [Vc] J&J/Janssen – 新型コロナウイルスに対するワクチン[2021/08/02]

    Janssen

    米国で承認および推奨されているCOVID-19ワクチンには、Pfizer/BioNTechとModernaのものがあります。J&J/Janssenのワクチンは、副作用の問題があり、一時使用がFDAより見送られていましたが、2021/04/23にに使用再開されています。

    • JNJ-78436735
    • Ad26ウイルスベクター
    • 上腕筋肉に1ショット投与
    • 対象は18歳以上
    • 失神件数: 米国での800万回投与(2021/3 ~ 4)で653件(VAERS情報)。因みに2019~2020年のインフルエンザワクチン接種後の失神件数は、10万回あたり0.05。
    • 稀にみられる「血小板減少症、それに伴う血栓症、またはTTS)
      • 18~49歳でワクチンを受けた女性100万人あたり7人で発生
      • 50歳以上の女性と全ての男性では、更に稀となる

    ジョンソン・エンド・ジョンソン、ヤンセンのCOVID-19ワクチン候補の 第1/2a相臨床試験の中間結果を公開 (2020/09/30)

    https://www.janssen.com/japan/press-release/20200930

    Johnson & Johnson’s Janssen COVID-19 Vaccine Overview and Safety

    https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/vaccines/different-vaccines/janssen.html

    Fact Sheet

    https://www.fda.gov/emergency-preparedness-and-response/coronavirus-disease-2019-covid-19/janssen-covid-19-vaccine

    編集履歴

    2021/08/02 はりきり(Mr)
  • [Bio-Equip] TFDF – TFFの構造にdepth filterを採用して、高細胞濃度でも濾過能力を高める技術 – REPLIGEN [2021/07/26]*

    [Bio-Equip] TFDF – TFFの構造にdepth filterを採用して、高細胞濃度でも濾過能力を高める技術 – REPLIGEN [2021/07/26]*

    はじめに

    バイオ医薬品をつくるには,種々の高価な装置が必要です.MRHARIKIRは,バイオの専門家なので,皆さんには,バイオ医薬品の製造や品質分析方法,それ以外にも分析装置,製造装置などについても紹介しています.

    TFDF

    旧来からのTangential Flow Filtration (TFF)技術による濾過機材製品は、低濃度の細胞密度である培養液の濾過には十分に能力を発揮する。しかし、最近の生産性の改善に伴う培養終了時の細胞密度の上昇にともない力不足となっていた。具体的には、高濃度の細胞密度の場合、使用されているメンブランフィルターでは、濾過流速は著しく低下することは経験するところである。

    REPLIGENの製品で、TFDFというジャンルのハーベスト関連製品が提供されている。TFFの原理を使い、使用する濾過器材には、従来から存在するdepth filter (DF)と呼ばれる構造の濾過機材を使用することで、濾過能力の改善を図ったものである。

    TFDFテクノロジー

    https://jp.repligen.com/technologies/tfdf/tfdf-technology

    編集履歴

    2021/07/26 Mr.はりきり
  • [Bio-Process] 配列からベクターDNAを作るまでの工程 [2021/06/14]

    [Bio-Process] 配列からベクターDNAを作るまでの工程 [2021/06/14]

    遺伝子配列からベクターDNAを作る

    • plasmid vector (ベクター)の選択と準備
    • 遺伝子配列の準備
      • 配列のチェック
      • コドン最適化
      • 遺伝子合成
    • 合成遺伝子をベクターにカセットする
    • 大腸菌にトランスフェクションして増やす
      • ampicillin agar plate
      • single colony
      • Flask culture with ampicillin
    • Cell Bank作成
      • phenotype
      • sequence
      • plasmid number
    • Plasmid精製
      • midi-prepped
      • Plasmid circle to linear by (制限酵素)
      • 精製 phenol chloroform
      • 配列確認

    編集履歴

    2021/06/13, Mr. Harikiri

  • [抗体医薬] アルツハイマー病治療薬: Biogen & エーザイ 共同開発 ADUHELM はアメリカでは条件付き承認,エーザイ& BioArctic AB共同開発のlecanemabは日本で承認取得[2023/10/11]

    [抗体医薬] アルツハイマー病治療薬: Biogen & エーザイ 共同開発 ADUHELM はアメリカでは条件付き承認,エーザイ& BioArctic AB共同開発のlecanemabは日本で承認取得[2023/10/11]

    アデュカヌマブ

    痴呆症の内の60%は、アミロイドβが蓄積して脳の神経細胞を壊すアルツハイマー病 (AD) と言われいます。このアミロイドβ(Aβ)を取り除くことで、進行を遅らせることができると考えられる抗体医薬(IgG1)が、アメリカのFDAが、迅速承認という条件付きで2021/06に承認しました。今後、米国では市販され多くの患者さんに投与されることになります。その全ての治療結果について、再評価されるというのが、条件付きの理由です。大規模な治療成績において、治療効果が認められない場合は、承認が取り消されます。

    2023/10現在,このaducnumabは,Biogenとエーザイの共同開発品ですが,日本での承認は,未だされていません.しかし,エーザイとBioArctic ABの共同開発してたrekanemab (使用品名: レケンビ)が,2023/8月に日本で承認されました.米国では既に,2023/07に承認されています.

    • Aduhelm (aducanumab) 

    これまで、沢山の医薬品開発企業が、ADの治療薬として抗体医薬も含めて開発が行われてきました。根本的な治療ではない治療薬の承認は20年以前にあるようですが、今回は、初めての根本的な治療につながると考えられる治療薬です。しかし、aducanumab での臨床結果は、Aβ(アミロイドベータ)を減らせることは証明できたものの、それが痴呆症を遅らせることを証明したものではありません。そのため、条件付きの承認なのです。僕も、20年以上前に、同様の開発プロジェクトに関わったことがあります。今回、抗体医薬品として承認されたことは、本当に画期的なことです。Biogenがあきらめず、承認まで漕ぎ着けた背景については参考5)(Bloomberg)に詳しく示されています。

    • aducanumabは,の凝集体を標的としている抗体医薬
    • lekanemabは,の可溶性(プロトフィブリン)と不溶性を標的としている抗体医薬

    副作用

    アルテプラーゼ (レカネマブ) : 薬剤投与中に脳出血を発現した場合,出血を助長するおそれがある(2024/05/22)

    研究紹介コラム 認知症の新しい治療薬アデュカヌマブについて(1)

    研究紹介コラム 認知症の新しい治療薬アデュカヌマブについて(1) | 国立長寿医療研究センター (ncgg.go.jp)

    抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」について、日本において早期アルツハイマー病に係る適応で新薬承認を申請

    抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」について、日本において早期アルツハイマー病に係る適応で新薬承認を申請 | ニュースリリース:2023年 | エーザイ株式会社 (eisai.co.jp)

    Lecanemab(BAN2401)の臨床効果についてアルツハイマー病協会国際会議2021(AAIC2021)のLate Breakingとして発表

    Lecanemab(BAN2401)の臨床効果についてアルツハイマー病協会国際会議2021(AAIC2021)のLate Breakingとして発表 | ニュースリリース:2021年 | エーザイ株式会社 (eisai.co.jp)

    aducanumab

    aducanumabの開発名は、BIIB037で、スイスのNeurimmuneが発見したモノクローナル抗体ということです。アミロイドβ(Aβ)に高い結合親和性がありますが、脳の実質細胞に存在するAβに特に結合し、血管に沈着しているAβには結合しません(2013年当時)2)

    臨床試験プロトコル

    aducanumabの臨床試験のプロトコルの概要は、以下の通りです3)

    • エンドポイント : 18ヶ月目のPET画像によるAβプラークの減少
    • 患者数 : 3285人
    • 地域 : アメリカ、カナダ、EU, オーストラリア
    • Dose : 最初は1mg/kgからスタートし、徐々に投与量を上げていく(4weeks刻み)
      • 1mg/kg
      • 3mg/kg
      • 6mg/kg
      • 10mg/kg

    結果

    有効性の評価は、以下の試験で実施されました。

    • Phase 3
      • 対象 : 初期段階である軽度認知障害と軽度認知症
        • EMERGE : 試験1 (アミロイドβプラーク減少71%, p<0.0001)
        • ENGAGE : 試験2 (アミロイドβプラーク減少59%, p<0.0001)
        • PRIME : アミロイドβプラーク減少61%, p<0.0001)
        • PETで評価
    • Phase 1b
      • プラセボ
        • 無作為化二重盲検容量設定 : 試験3

    副作用

    安全性ブロファイルです。

    • 投与1回以上の3,000人の患者で確認

    有害事象です。

    • 治療受けた2%の有害反応(プラセボより2%以上高いもの)
      • ARIA-E
      • 頭痛
      • 脳表へモジデリン沈着
      • ARIA-H関連表在性せん妄
      • 転倒
      • 下痢
      • 錯乱/せん妄/精神状態の変化/見当識障害
    • ARIA(脳の浮腫) :MRI観察によるアミロイド関連画像異常( ARIA-E, ARIA-H)
      • 10mg/kg投与群 : 41%
        • 症候性あり : 24%
          • 頭痛
          • 錯乱
          • めまい
          • 視覚障害
          • 吐き気
      • ブラセボ : 10%
        • 症候性あり : 5%
          • 同上

    aducanumab/参考文献

    1)

    ADUHELM™(アデュカヌマブ) アルツハイマー病の病理に作用する初めてかつ唯一の治療薬として米国FDAより迅速承認を取得アミロイドβプラークの脳内蓄積はアルツハイマー病の根本的な原因

    臨床試験において、ADUHELMは18カ月でアミロイドβプラークを59~71%減少, 2021/06/08

    https://www.eisai.co.jp/news/2021/news202141.html
    2)

    Aducanumab – ALZFORUM Therapeutics –

    https://www.alzforum.org/therapeutics/aducanumab
    3)

    EMERGE and ENGAGE Topline Results: Two Phase 3 Studies to Evaluate Aducanumab in Patients With Early Alzheimer’s Disease

    – EMERGEとENGAGEのPhase 3試験のプロトコルと結果の詳細がわかる資料

    https://investors.biogen.com/static-files/8e58afa4-ba37-4250-9a78-2ecfb63b1dcb
    4)

    FDA Grants Accelerated Approval for Alzheimer’s Drug, June 07, 2021

    https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-grants-accelerated-approval-alzheimers-drug
    4)

    Aducanumab – wikipedia –

    https://en.wikipedia.org/wiki/Aducanumab
    5)

    アルツハイマー病治療薬巡る転機に-バイオジェンのFDA承認獲得 – 2021/06/08, Bloomberg –

    https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-06-08/QUCXG4DWX2PU01

    編集履歴

    2021/06/08, はりきり(Mr)
    2021/06/09,追記(bloomberg記事より)
    2023/10/11,追記(結局,日本でアルツハイマー治療抗体医薬は,aducanumabに先んじてlecanemabが最初に承認された)
  • 気になる企業: Novavax 新型コロナウイルス・ワクチンには、遺伝子組換えタンパク質とナノパーティクルの技術で挑む[2022/04/01]

    気になる企業: Novavax 新型コロナウイルス・ワクチンには、遺伝子組換えタンパク質とナノパーティクルの技術で挑む[2022/04/01]

    はじめに

    欧州では2021年12に承認されたVOVAVAXのCOVID-19ワクチンは、スパイクタンパク質を遺伝子組換えタンパク質で作りナノパーティクルに仕立てられており、既に日本で承認されているmRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンとは異なる剤形です.

    特徴

    1. スパイクタンパク質の遺伝子組換えタンパク質をナノ粒子化したワクチン
    2. 冷蔵庫保存可能
    3. 日本では,武田薬品工業が申請し,2022/04/19、厚生労働省の審議会で承認される見通しとなった後,迅速承認された.
    4. オミクロン株での効果は不明

    NOVAVAX

    NOVAVA社の新型コロナワクチンへのアプローチは、先進的とは言えないかも知れません。世界では、数社の医薬品メーカーが先行しています。例えば、Pfizer社とModerna社の新型コロナウイルスワクチンではmRNAAstrazeneca社ではウイルスベクターですが、NOVAVAX社のワクチンは、遺伝子組換えのスパイク・タンパク質を脂質をつかっさてNano Particle (ナノパーティクル)に整えている剤形(NVX-CoV2373)です。ナノパーティクルにする技術が先進的なのかも知れません。

    事業内容

    • 組換えナノ粒子ワクチン及びアジュバントの探索・開発・商業化
    • 組換えナノ粒子ワクチン技術を用いて、既知疾患及び新興疾患に対応するワクチン候補物質を製造
    • パイプライン
      • 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)
      • 季節性インフルエンザ
      • パンデミックインフルエンザ; H7N9ワクチン(Matrix-M使用、PI/II)
      • エボラウイルス;EBOVワクチン (Matrix-M使用)
    • 人用鉛アジュバントであるMatrix-M(TM)
    • 中東呼吸器症候群(MERS)の前臨床段階

    提携

    武田製薬工業は、Modernaに加えて、NOVAVAXとも提携を発表しています。

    2021/09/07, 武田はTAK-019のコード名で、日本の自社工場におけるNVX-CoV2373及びMatrix-Mの製造技術移管を進めている。2022年初頭には供給開始を目指す。

    (NovavaxのCovid-19ワクチンは、ModernaやPfizerのようにスパイク・タンパク質の設計図に当たるmRNAを投与するのではなく、ウイルスのスパイク・タンパク質そのものを投与する。タンパク質を医薬品にする場合、タンパク質の立体構造を工業的に自然と同じ立体構造になるようにコントロールできなければならない。一方、mRNAの場合は、細胞中でmRNAを鋳型にしてタンパク質が作られるため、その細胞が自然に持っている機能により、そのタンパク質は自然な構造になる。この違いが高いハードルになる場合がある。)

    参考

    NOVAVAX社 Home Page

    https://www.novavax.com

    Novavax Statement on Participation in Mix-and-Match COVID-19 Vaccine Booster Trial in the United Kingdom, May 21, 2021 at 2:25 PM EDT

    既に、Phase 3の結果は出ており89.3%の有効性が発表されています。6月からUKにおいて、異なる試験が予定されています。

    https://www.novavax.com

    Novavax COVID-19 Vaccine Demonstrates 89.3% Efficacy in UK Phase 3 Trial, Jan 28, 2021 at 4:05 PM EST

    https://ir.novavax.com/news-releases/news-release-details/novavax-covid-19-vaccine-demonstrates-893-efficacy-uk-phase-3

    日本政府による当社が製造するNovavax社の新型コロナウイルス感染症ワクチン候補1億5,000万回接種分の購入について (2021/09/07)

    https://www.takeda.com/jp/newsroom/newsreleases/2021/20210907-8288/

    編集履歴

    2021/01/30,Mr.HARIKIRI
    2021/05/21,追記(事業内容、提携)
    2021/09/08,追記(武田へ技術移管し2022年初頭に供給目指す)
    2022/04/01,追記(日本で2022/4に承認予定)
    2023/10/13,文言整備
  • [規格・安全性] 医薬品添加物規格 (薬添規) [2023/10/14]

    [規格・安全性] 医薬品添加物規格 (薬添規) [2023/10/14]

    医薬品添加物規格

    医薬添加物規格とは,医薬品に添加される物質の品質基準を定めたものです.これには2つの規格があります.

    1. 厚生労働省「医薬品添加物規格2018
      • 日本薬局方に収載されていない医薬品添加物の規格が収録されています.
    2. 日本医薬品添加剤協会「医薬品添加剤安全性データ」
      • 収載内容は,遺伝毒性,がん原性,その他の安全性データが収載されている.

    https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000336088.pdf

    編集履歴

    2021/05/08, Mr.Harikiri
    2023/10/14,追記(日本医薬品添加剤協会)

  • [Bio-Culture] 大腸菌; E.coliの増殖率は細胞長の増大に関わる [2021/02/27]

    [Bio-Culture] 大腸菌; E.coliの増殖率は細胞長の増大に関わる [2021/02/27]

    大腸菌の増殖率

    一般的に、大腸菌の増殖率(growth rate)、1時間あたり1未満であり、それを超える増殖率になってくると、大腸菌の長さが増大するのだという。

    大腸菌の1時間あたりの増殖率を近似して1だとすると、1時間経てば、大腸菌は2倍に増えることになる。実際には1未満であるので、2倍に増える時間は、1時間より1割増しないし、2割増し程度の見積もりとなる。

    一方、大腸菌のダブリングタイムは20分という文献もあり、この文献との整合性については、今後確認したい。

    Data from: Threshold effect of growth rate on population variability of Escherichia coli cell lengths (2018)

    https://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=en&tl=ja&u=https%3A%2F%2Fdatadryad.org%2Fstash%2Fdataset%2Fdoi%3A10.5061%2Fdryad.2bs69&anno=2&prev=search

    編集履歴

    2021/02/27 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Culture] Poloxamer 188 (Pluronic F-68) – バイオリアクターの撹拌翼による細胞のダメージを抑制 [2021/02/24]

    [Bio-Culture] Poloxamer 188 (Pluronic F-68) – バイオリアクターの撹拌翼による細胞のダメージを抑制 [2021/02/24]

    Poloxamer 188

    Poloxamer 188という名称は、馴染みがないが、商品名のPluronic F-68はよく知られている。細胞培養において、バイオリアクターの撹拌翼による細胞への物理的ダメージを低減化を目的に培地に添加される。蛋白医薬品(バイオロジクス)においても製品での添加剤として使用され、毒性が少ないことがわかっている。

    遺伝子治療用のウイルスベクター、たとえばAAVベクターの安定化剤として使用されることも多い。

    Poloxamerは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックポリマーです。 例として、商用グレードのポロキサマー188の不純物には、低分子量物質(アルデヒド、ギ酸と酢酸の両方)、1,4-ジオキサン、残留エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドが含まれます。 ほとんどのポロキサマーは、化粧品において界面活性剤、乳化剤、洗浄剤、および/または可溶化剤として機能し、0.005%から20%の濃度で141の化粧品に使用されているようです3)

    1)

    Development of an Improved Poloxamer 188 – Optimized for Cell Culture Performance (2017)

    https://cellculturedish.com/development-of-an-improved-poloxamer-188-optimized-for-cell-culture-performance/
    2)

    ジスロマックの毒性試験 – pmda –

    (poloxamerの毒性は非常に低い)

    https://www.pmda.go.jp/drugs/2009/P200900004/40007900_22100AMX00393000_J100_1.pdf

    毒性

    レビュー論文3)には、Poloxamer 188の安全性について評価し、安全であると結論づけられています。

    動物の静脈内注射 (Poloxamer)

    • 尿中に急速に排泄
    • 肺、肝臓、脳、腎臓の組織にいくらか蓄積

    ヒトの静脈内注射 (Poloxamer 188)

    • 血漿中濃度(エチレン性投与)は1時間で最大
    • その後定常状態に達する

    創傷治癒

    • Poloxamerは一般に創傷治癒に効果がない
    • 動物実験に置いて高コレステロール血症と高トリグリセリド血症を引き起こす可能性が示されています
    • 術後癒着を減らすのに効果的という報告もあります
    • Poloxamer 108, 4g / kgまでの短期静脈内投与
      • 体重に変化がない
      • 腎のびまん性肝細胞空胞化を引き起こした
      • 腎臓の尿細管拡張、および近位曲尿細管の上皮細胞の用量依存的な空胞化を起こした
    • 97 mg / m(3)でのポロキサマー101の短期吸入毒性試験
      • 2週間の暴露後に軽度の肺胞炎を確認
      • 2週間の暴露後の観察期間で肺胞炎は治癒した
    • Poloxamer 184の1000 mg / kgまでの用量でのウサギにおける短期皮膚毒性試験
      • 組織学的検査でわずかな紅斑とわずかな皮内炎症反応
      • 用量依存的な体重、血液学、血液化学、または臓器重量の変化はなかった

    動物実験

    • 試験系 : 摂食試験、ラットと犬
      • Poloxamer 188 (最大5%の食餌への暴露)、6ヶ月、ラットと犬、悪影響なし
    • 試験系 : 摂食試験、犬
      • Poloxamer 331(0.5 g / kg日(-1)までテスト済み)、悪影響なし
      • Poloxamer 235(1.0 g / kg日(-1)までテスト済み)、悪影響なし
      • Poloxamer 338(0.2または1.0 g / kg日までテスト済み)(-1))、悪影響なし
      • Poloxamer 331(0.5 g / kg日(-1)までテスト済み)、わずかな一過性の下痢
      • Poloxamer 338(5.0 g / kg日)(-1))、犬、わずかな一過性の下痢
    • 試験系 : 摂食試験、ラット
      • Poloxamer 188 (最大7.5%食餌への暴露)、2年間、5%および7.5%レベルで下痢、7.5%レベルで成長がわずかに減少、生存率に変化はなし

    ラットを使用して0.5mg / kg日(-1)までの用量で2年間、血清の黄色変色、高い血清アルカリホスファターゼ活性、および血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼおよびグルタミン酸-オキサル酢酸トランスアミナーゼ活性の上昇ポロキサマーは最小限の眼刺激性ですが、そうではありません 動物の皮膚刺激物または感作物質。 ポロキサマーの生殖毒性および発生毒性に関するデータは見つかりませんでした。

    AMES試験

    • 代謝活性化の有無にかかわらず、Poloxamer 407の変異原性活性は確認されませんでした

    発癌性

    • いくつかの研究は、Poloxamerの抗発癌効果を示唆
    • 多剤耐性癌細胞の抗癌剤に対する感受性を高める

    臨床試験

    • Poloxamer 188は、大量の下剤治療と組み合わせて使用​​すると、糞便の水分補給を増加させた
    • コントロールと比較して、Poloxamer 188を投与された血管形成術患者の1つの研究では、鎌状赤血球症を患っている患者にPoloxamer 188を投与すると、コントロールと比較して痛みが減少し、入院が減少
    • 心筋梗塞サイズの縮小と再梗塞の発生率の低下の臨床試験で、毒性の証拠はありませんが、他の2つの研究では効果が見られませんでした
    • 皮膚刺激性および感作性は一様に陰性

    化粧品

    化粧品成分レビュー(CIR)専門家パネルは、以下のように述べています。

    化粧品業界は、免疫グロブリン酸化物、プロピレンオキシド、および1,4-ジオキサンの低レベルを維持するために必要な精製手順を引き続き使用する必要があることを強調しています。

    Poloxamerの生殖毒性および発生毒性のデータがないことに留意している。分子量と溶解度に基づくと、皮膚への浸透はほとんどなく、皮膚への浸透は遅いはずである。

    また、入手可能なデータは、皮膚暴露以外の経路で体内に導入されたPoloxamerが体から急速に除去されることを示しています。

    全体として、入手可能なデータは発がんについての懸念を示唆していない。 製品の使用に関する知識にはギャップがあるが、製品の種類に関する全体的な情報が入手可能であり、生殖毒性および/または発生毒性のリスクがないことを示唆しています。

    これらの成分が使用されており、どの濃度での使用のパターンを示しています。 これらの安全性試験データと、不要な分子を制限するために製造プロセスを制御できるという情報に基づいて、専門家パネルは、これらのPoloxamerは使用しても安全であると結論付けられています。

    3)

    Safety assessment of poloxamers 101, 105, 108, 122, 123, 124, 181, 182, 183, 184, 185, 188, 212, 215, 217, 231, 234, 235, 237, 238, 282, 284, 288, 331, 333, 334, 335, 338, 401, 402, 403, and 407, poloxamer 105 benzoate, and poloxamer 182 dibenzoate as used in cosmetics (2008)

    https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18830866/

    編集履歴

    2021/02/24 Mr.HARIKIRI