カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Bio-Edu] バイオロジクスの原材料が、天然型から遺伝子組換え蛋白質へ移行した理由 – ID6622 [2020/06/25]

    [Bio-Edu] バイオロジクスの原材料が、天然型から遺伝子組換え蛋白質へ移行した理由 – ID6622 [2020/06/25]

    移行先の宿主細胞

    出発材料を天然の原材料から遺伝子組換え細胞に変更した理由は、もちろん生産性が高いためですが、生産性が高いだけでは、変更はできません。

    生産した後の精製工程で歩留まりも問題になってきます。歩留まりに関しては、タンパク質のフォールディングの問題が含まれてきます。

    組換え体として大腸菌を選んだ場合と動物細胞を選んだ場合で、問題となる課題が異なってきます。

    低分子量のタンパク質の場合

    比較的低分子であるインスリンやインターフェロンでは、スムーズに天然型から遺伝子組換え型に移行しています。

    インスリン(6kDa)の場合は、豚や牛由来(膵臓)から・・・

    インターフェロン(13kDa ~ 21kDa)の場合は、白血球や株価細胞から・・・

    それぞれ大腸菌を宿主とする遺伝子組換え蛋白質に移行しています。

    高分子量のタンパク質の場合

    血栓溶解剤のウロキナーゼ(uPA, 31kDa)も、尿由来から・・・

    増血因子であるエリスロポエチン(34kDa)も、尿由来から・・・

    動物細胞を宿主とする遺伝子組換え体に移行しています。

    遺伝子組換え技術と生産株のマッチ

    • 低分子量の蛋白質(分子量: ~20kDa)では、組換え大腸菌での高生産が比較的容易に達成でき、低分子量蛋白質であることから再構成(Refolding)も比較的最適化しやすい。そのため、定分子量のタンパク質では、遺伝子組換え大腸菌に原材料を移行できたと考えられます
    • 高分子量の蛋白質(分子量が30kDa以上の蛋白質)では、Refolding効率が著しく低く、大腸菌で産生させたとしても立体構造の正しいフォールディングになっていないことが多く、そのアンフォールドからフォードを元に戻すことは、工業的な歩留まりを維持しながらは、現在の技術ではほとんど不可能です。そのため、高分子量のタンパク質では、大腸菌ではなく、動物細胞の組換え体に原材料を移行したと考えられます
    編集履歴
    2020/01/09 はりきり(Mr)
    2020/06/25 文言整備

    Insulin human

    https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Insulin-human

    インターフェロン アルファ(BALL-1)、分子量は13kDa~21kDaのサブタイプからなる

    http://www.nihs.go.jp/dbcb/Biologicals/interferon-alpha-ball.html

    昔は、尿由来の医薬品も現在では、ほとんどが、遺伝子組換え体に移行しています。

    https://www.chem-station.com/blog/2019/04/urine.html

    インスリン製剤の 変遷をたどる

    http://www.saitama-med.ac.jp/uinfo/mnaika4/pdf/ditn01-11.pdf
  • [Bio-Edu] 遺伝子組換え大腸菌からタンパク質を精製する製造フロー概略 – ID6624 [2020/01/09]

    [Bio-Edu] 遺伝子組換え大腸菌からタンパク質を精製する製造フロー概略 – ID6624 [2020/01/09]

    製造方法の概要

    1. 大腸菌に目的蛋白質の遺伝子を導入
    2. 大腸菌の培養
    3. 刺激剤(IPTG)添加
    4. 低温培養
    5. 大腸菌の最大増殖(蛋白質は大腸菌内に蓄積)
    6. 蓄積した蛋白質は、立体構造が異常(Inclusion body)
    7. Inclusion bodyは不溶性
    8. 蛋白変性剤(塩酸グアニジン、尿素)により可溶化処理
    9. ランダムなSS結合を切断するために還元剤の添加
    10. 最大希釈により、添加剤の濃度を薄める
    11. 立体構造が再構成される不溶性から可溶性になる
    12. 緩衝液の置換処理
    13. 各種レジンによるクロマト精製
    14. 緩衝液の置換処理と濃度調整
    15. 原薬の分注

    以上

  • [Data Link] Potency assay for Cell and Gene Therapy – ID3474

    [Data Link] Potency assay for Cell and Gene Therapy – ID3474

    Summary

    1) vector’s ability to transfer genetic material into a cell

    2)and this function measurement

    Refference

    Cell-Based Potency Assay Development and Special Considerations for Cellular Therapeutics (Comanche, 2017)

    https://www.covance.com/content/dam/covance/assetLibrary/posters/DunnCellTherapy17.pdf

    Bioassays for Cell and Gene Therapy Products: A Canadian Regulatory Perspective and Experience (CASSS CMC Bioassays 2018)

    https://cdn.ymaws.com/www.casss.org/resource/resmgr/bioassays_speaker_slides/2018_BIOA_Storbeck_Chris_PP_.pdf

    ABSORBTION SYSTEMS – Potency Assays for Cell & Gene Therapy Products

    https://www.absorption.com/kc/cell-gene-therapy-potency-assay-development/

    Potency Tests for Cellular and Gene Therapy Products (FDA)

    https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/potency-tests-cellular-and-gene-therapy-products

    Guidance for Industry Potency Tests for Cellular and Gene Therapy Products (FDA)

    https://www.fda.gov/media/79856/download

    POTENCY ASSAYS for CELL THERAPY PRODUCTS (pmda, 2016)

    https://www.pmda.go.jp/files/000211291.pdf
  • [Bio-Edu] (1) 血液中の蛋白質の濃度 – ID6520 [2020/01/09]

    [Bio-Edu] (1) 血液中の蛋白質の濃度 – ID6520 [2020/01/09]

    血液

    • 血球 : 赤血球
    • 血漿 : 遠心分離して血球を除いた上清画分
    • 血清 : 血液を凝固させて凝固画分を取り除いた上清画分
    蛋白質濃度説明
    Albumin35-55 mg/mL血中浸透圧調節、低分子キャリア
    γ globulin免疫防御、IgG, IgA, IgE, IgM,など(50%飽和硫安で沈殿する画分の総称)
    (IgG)8-18 mg/mL
    凝固系蛋白質体では常に出血しているため、これら蛋白質が適切に働いている。Fibrinogen
    (Fibrinogen)2-6 mg/mL
    (AT-III)0.2-0.3mg/mL
    (Transferrin)2-5mg/mL
    (Celluloplasmin)2-4mg/mL
    線溶系蛋白質凝固状態は機能を果たした後、溶かされる。Plasminogen
    補体系蛋白質低次元の免疫防御。C1~C9

    凝固・線溶系

    https://ja.wikipedia.org/wiki/凝固・線溶系

    補体系

    https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル/12-免疫学;アレルギー疾患/免疫系の生物学/補体系

    血漿タンパクの種類と機能

    http://www10.showa-u.ac.jp/~biolchem/H20-P2protein-8.pdf
  • [Bio-Edu] 今昔 – 天然型から遺伝子組換え型への移行圧力 – ID6626 [2020/01/09]

    [Bio-Edu] 今昔 – 天然型から遺伝子組換え型への移行圧力 – ID6626 [2020/01/09]

    天然原材料のリスク

    血漿由来の蛋白製剤は、ヒト由来病原性の混入リスクがあるため、遺伝子組換え型への移行が望まれている。

    ある遺伝子組換えアルブミン(Albumin)の酵母による医薬品開発は、その最たる事例である。血漿分画製剤の中では、ウイルス感染のリスクは最も低い.

    これまでに血漿分画製剤のAlbuminでの感染症発症の事例は無いものの,国内における自給自足の面からは,献血のみでは量的に賄えない

    Albuminの分子量は,55kDaであり,それほど大きく無いこと、および、翻訳後の糖鎖修飾がない(アミノ酸配列に翻訳後修飾される領域が無い)ことから、世界では、2社で酵母による開発が行われた。

    酵母では、大腸菌とは異なり、菌体内に蓄積する事なく、細胞外に分泌するとともに、立体構造も天然と同じでいる。

    酵母を宿主細胞として,その他の組換え蛋白質に応用することは、実は限定的である。真菌類では、翻訳後修飾により、これら宿主由来の糖鎖を,産生した蛋白質に付加してしまう。異種の糖鎖は、ヒトにおいて抗原性を発揮し、免疫原性を生じてしまう。

  • [Bio-Edu] 夢の薬 – インターフェロン – ID6619 [2020/01/09]

    [Bio-Edu] 夢の薬 – インターフェロン – ID6619 [2020/01/09]

    インターフェロン

    1954年に抗ウイルス活性の発見としてインターフェロンの歴史が始まる

    当初の製造方法では、白血球にある種の化学物質やウイルスで刺激すると天然型のInterferonを産生させていた。その後、遺伝子組換え技術により、大腸菌でのInterferon産生が可能となった。

    インターフェロン

    IFN-α : スミフェロン(住友化学), 腎癌、ウイルス性肝炎

    IFN-β : フェロン(TORAY)、悪性黒色腫、肝炎

    ウィキペディアより

    PEG化インターフェロン : PEG4000などを1分子付加することで、血中滞留性を長くさせて効力持続性を高めた製剤である

    Albumin-IFN : Albumin – Interferonにより、血中対流性を改善させようとしたもの。

  • [Bio-Edu] 高分子蛋白質の組換え宿主細胞として大腸菌、酵母に勝るCHO細胞 – ID6629

    [Bio-Edu] 高分子蛋白質の組換え宿主細胞として大腸菌、酵母に勝るCHO細胞 – ID6629

    大腸菌

    大腸菌では、翻訳後修飾における糖鎖付加機能がないものの、糖鎖の付加がされないタンパク質で、且つ比較的分子量が小さいバイオロジクス製品に採用されている。その理由は、不溶化(Inclusion Body)するほど高い生産性、低分子でのRefoldingは確立されているためである。

    ただし、抗体医薬などの高分子蛋白質においては、Re-folding技術は確立されておらず用途はこれらに限られる。

    • 原核生物に属する細菌 (染色体DNAが、裸で細胞内に存在する)
    • 倍化時間 : 20分
    • 生産性は、酵母より数倍高いと考えられる
    • 糖鎖付加しない
    • 産生タンパク質は、細胞内に留まる(Inclusion Body)
    • 糖タンパク質でない医薬品として、数十年の実績がある

    酵母・カビ

    酵母では、翻訳後修飾における糖鎖付加機能はヒトと同様にあるものの、付加される糖鎖は巨大な酵母型であり、ヒトにおいて免疫原性のリスクがある。ヒト型糖鎖付加の研究は地道になされているようであるが、道のりは長い。

    • 動物細胞と同じ真核生物である真菌(違いは、硬い細胞壁)
    • 倍化時間 : 2時間(酵母)
    • 高い生産性(Pichia Pastoris: >10g/L、カビ: >100g/L)
    • 酵母・カビ由来の巨大な糖鎖付加
    • 生産タンパク質は、菌外に分泌される
    • 医薬品として実績が殆どない

    酵母とシステムバイオロジー
    岡山屋大学

    https://tenure5.vbl.okayama-u.ac.jp/HM_blog/?p=97

    動物細胞

    CHO細胞では、哺乳細胞のであることから付加される動作はヒト型に類似していたものの、生産性が現在と比べて1/100 ~ 1/1000と低くコスト高であった。しかし、CHO細胞の改変と培養技術や培養用培地の改良された。

    • 倍化時間 : 24時間
    • ヒト型の糖鎖付加
    • 生産性は、抗体医薬で10g/Lの報告がある
    • 生産物は、細胞外に分泌される
    • 医薬品として数十年の実績がある

    細胞株

    商用化されている抗体医薬では、以下の細胞株が使われている。日本において70程度の抗体医薬品が薬価収載されているが、80%程度は、CHO細胞である。残りは、SP2/0とNS0であ。

  • [GT] 遺伝子治療の課題 – H30, 経済産業省より – ID2031 [2020/01/08]

    [GT] 遺伝子治療の課題 – H30, 経済産業省より – ID2031 [2020/01/08]

    2019現在における遺伝子治療薬の製造課題

    1. Full particleとEmpty Particleの比率の改善
    2. Full Particle定量法の精度改善
    3. 効果的なスケールアップ: 浮遊培養法の開発
    4. 欧米の急進展に対して、競争力をもつ製造技術力を獲得
    5. 希少疾患の患者数は少ないため、数カ国の特許権取得ではビジネスにならない。

    H30, 経済産業省

    https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/genome/advisory_board/dai5/siryou4-2-8.pdf
  • [Bio-Edu] 腫瘍溶解性ウイルスによる治療薬の開発 (タカラバイオ) – ID3358 [2020/01/08]

    [Bio-Edu] 腫瘍溶解性ウイルスによる治療薬の開発 (タカラバイオ) – ID3358 [2020/01/08]

    C-REVは単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を弱毒化した腫瘍溶解性ウイルス。天然型に比べ神経毒性が減弱化されている。癌細胞に感染すると特異的にその癌細胞で増殖し破壊する。これは、再生医療等製品に分類されている。

    Canerpaturev (C-REV)

    http://www.takara-bio.co.jp/medi/hf10.html

    切除不能進行膵がんを対象とした腫瘍溶解性ウイルスC-REVの国内第I相臨床試験の中間結果を発表(タカラバイオ,2019/01/15)

    https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_8538793120961952_011619.html

    ウイルスでがん治療「腫瘍溶解性ウイルス」今年から来年にかけて相次ぎ承認へ (タカラバイオ,三共,その他,2019/04/05)

    https://answers.ten-navi.com/pharmanews/16059/

    米国臨床腫瘍学会にて腫瘍溶解性ウイルスC-REVとNY-ESO-1・siTCR遺伝子治療の臨床試験結果を発表 【発表概要を追加】(タカラバイオ,2019/05/16)

    https://ir.takara-bio.co.jp/ja/news_all/news_Release/newsr_63514319763834162_051619.html

    タカラバイオ は、C-REVと抗CTLA4抗体(ヤーボイ/イピリムマブ)を悪性黒色腫に対して28例の臨床試験Phase IIを実施し,その結果をもとに2019/3に承認申請した。その後,pmdaとの協議の結果,国内では承認に至らなかった。主要評価項目である安全性は CTCAE(V4.0)で評価,副次評価項目である有効性は、RECIST (V1.1)で評価 (タカラバイオ,2019/03)

    タカラバイオ,悪性黒色腫に対するC-REVは「完全に断念とは言い難い」(2019/11/14) – C-REVの悪性黒色腫への適応について承認申請を取り下げた件について言及.米国ではPhase IIが進行中.(タカラバイオ,2019/11)

    https://ameblo.jp/kato-antibody/entry-12545512233.html
  • [Data Link] AAV-3Bのキャラクタ – 文献レビュー – ID3151 [2020/01/08]

    [Data Link] AAV-3Bのキャラクタ – 文献レビュー – ID3151 [2020/01/08]

    AAV血清型3

    • 細胞に感染する時、ヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合
    • AAV-3Bの血清型得意的なカプシド抗原の機能は不明
    • 立体構造の決定はされている
    • AAV-3Bは、AAV-2よりもヘパリン結合性は低い

    The structure of adeno-associated virus serotype 3B (AAV-3B): Insights into receptorbinding and immune evasion (2010)

    The structure of adeno-associated virus serotype 3B (AAV-3B): Insights into receptorbinding and immune evasion (2010)